中田永一のレビュー一覧
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【恋する超能力者たちの青い春】
キャッチをつけるならこんなとこか。
6篇の短編集。
●少年ジャンパー
引きこもりの男子高校生は、トン! と、「ジャンプ」で瞬間移動を繰り返すうちに。
もっとも乙一さん、いや、中田永一さんらしい作品。
九州の方言はかわいいな~。
●私は存在が空気
意識して自分の存在を消すことのできる女子高生は、好きな人のために能力を使う。
「ケーキ?」
「うん、宝石みたいなケーキだよ」
「いいところのやつだ」
「いいところのやつだよ」
なにげない会話なんですが関係性がじわじわきて良いです。
●恋する交差点
量子トンネル効果? によって出会った男女は、そのせいでなぜだかつないでいたはずの手がいつも外れてしまう。
わずか6ページの作品ですが、けっこう好きです。
――見失っても、さがしだして、手をとりあえるはずだった。そのことを証明しなければならないのだ。わたしたちにはそれができるのだということを。何回でも手をつなぎあえるのだということを。決しておたがいを一人にしないのだということを。(中略)だから、だいじょうぶだ。わたしたちはだいじょうぶなんだ。
●スモールライト・アドベンチャー
ひょんなことから「ドラえもんのスモールライト」のような道具を手に入れた男子小学生は。
最後がいいな~。動機がスカートの中を覗くことだったなんてさすがに言えないよね。男子小学生なんてそんなもんです。
●ファイアスターター湯川さん
男子大学生が管理人を務めるボロアパートに入居した美人の湯川さんには発火能力が。
派手な発火能力に加えて珍しくバトルまである作品。短編アニメにでもしたらいいかも。いろいろあるが
最後は心地よく終わる。
●サイキック人生
見えない手で物を動かすことのできる女子高生は、霊魂の存在を信じたい男子と出会う。
短編うまいな~。短い話の中にバタバタする見せ場あり、キャラクターもいい、最後はじんわり。これもアニメにでもして欲しい。
どれもおもしろくて堪能しました。でも、「百瀬、こっちを向いて」のほうが少し上かな。
次は「吉祥寺の朝比奈くん」か「ダンデライオン」か。 -
Posted by ブクログ
10年前の本だけど、先月のキョーさんのレビューを見て買ってみた。
5つの短編からなり、最後の表題作以外は学校が舞台で学園ものの雰囲気が楽しい。
若い男女がそれぞれに思いを寄せる話だが、直截的な好いた惚れたという話ではなく、どの話にも彼や彼女の互いに互いを思いやる感情が綴られていて好ましい。
二人だけの筈の交換日記に多くの他人が乱入してくる作りが楽しい「交換日記始めました!」
飄々とした主人公が友人や友人が思いを寄せる女生徒を思う心根が切ない「三角形はこわさないでおく」
他の2編も、相手を好きだと気づかないあるいは相手の好意に気づかない、そこはかとなく切ない間柄が描かれる。
そういうテイストで積み重ねられてきた後に語られる「吉祥寺の朝日奈くん」は、だから最後のその顛末に意表を突かれたが、最後の最後にはその“愛”の形が心に沁みる一編。
人の心は移ろい易くはかないものなので、だからこそ“いつまでものこるもの”の存在を信じたいものだよね。 -
Posted by ブクログ
『危機的な状況で結ばれた男女は長続きしない…』
似たような台詞が某映画のラストであったなぁと唐突に思い出してしまった。
この物語もそんな感じだなぁ…と思ったけど、ラストを見るとそれを乗り越えるんじゃないかと期待させたかな。
タイムリープものではあるが、ごく小さな世界線の中で起きた出来事に焦点を当てたもので、ライト過ぎるかなとも感じたけど、あまりあっちもこっちもにならなかったのが良かった。
登場人物が少ないせいか、犯人になりうる人物がかなり絞られる展開で進むから、ソノヒトが出てきた時に「ん?」となった。
まさか、そんな理由で?…という感じもしたが、主人公の人生(出来事)に大きく関わる事象も起こしていたという意外性、復讐も兼ねた見えない未来の結末…。
ラストの展開としては、もっと粘っても良かったように思うけど、彼女との未来の為の布石って所か。
だから、物足りなさもある…呆気ない…もう少し引っ張っても…。
末巻の解説に映画用の脚本だったと書いてあったが、難しかったのも分かる気がする。
全体的に弱い印象だからじゃない?
本当にあっさりと読みたいなら、オススメします!
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私が作家“乙一”を強く意識したのは、「殺人鬼の放課後」(角川文庫)に収録された「SEVEN ROOMS」という作品だった。
本来、自分はホラー系は苦手で、わざわざ怖い話を読みたがる人間ではない。上記の文庫を買ったのも恩田陸の「水晶の夜、翡翠の朝」が収録されていたからであり、萩尾望都の初期作品を思わせる全寮制学校を舞台にした物語のミステリアスな雰囲気を味わいたかったからにすぎない。
ちょうど、体調を崩してしまい一週間ばかり横になったままの生活を送っていたときに、これを読んでしまったのがいけなかった。
ベッドの上で目的だった恩田陸の短編は心地よく読んだのだが、ついでに読み始めたはずの「SEVEN ROOMS」に圧倒されてしまった。
ただただ恐ろしいスプラッターと言って良いくらいの内容であるにもかかわらず、なおかつこれほどに哀しく愛おしさに満ちた物語が、その短い頁数に収められていることが信じられない思いだった。
自身の体調不良もあいまって、その恐ろしくも美しい物語がぐるぐると頭の中を回り続けて離れない一週間を過ごすこととなってしまい、自分の中で“乙一”は、読み込むべき作家となった。
“中田永一”が“乙一”の別ペンネームであると知ったのは、それからしばらくのちの事だったと思う。
もともと乙一名義でも怖くない系の作品もあったのだが、中田永一名義では恋愛ものを中心にしていたこともあって、こちらのほうが安心して読めるという判断基準が定着してしまった。
前置きが長くなってしまったが、本作は精神的タイムリープをあつかったミステリーだ。
読みながら高畑京一郎氏の「タイム・リープ あしたはきのう」を思い浮かべてしまったが、大森望氏の解説でも中田氏が同書を念頭に置いて本作を執筆したことが紹介されており、やっぱりそうなんだと納得してしまった。
構成の緊密さにおいては「タイム・リープ……」に一歩譲ることになるかもしれないが、どの時点で何を知り何を知らないのか、タイムラインの図解を書かないと混乱しそうになってしまった。
惜しむらくは、ミステリーであるがために少々筋が読めてしまうことだが、これはもうしょうがない。そのうえで充分楽しめる内容だったと思う。 -
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小学生の蓮司は、野球の練習試合にボールに当たって気絶した。目覚めてみると、そこは20年後の世界だった。戸惑いを隠せなかったが、所持していたICレコーダーから今の状況を説明する謎の男の音声に導かれるまま、突然現れた見知らぬ女性と共に行動する。
一方、小学生の蓮司には、反対に20年後の蓮司の魂が入っていた。しかし、こちらは待ち受けたかのように目的の場所へ行動する。
いったい、何が起きているのか?
後で気付いたのですが、中田永一さんは乙一さんの別名義だったことに驚きでした。
さて、内容ですが、序盤から何やら計画されたのように殴られ、タイムスリップし実行するという流れに、こちら側は訳がわからないまま読み進んでいました。
過去と現在を交互に進行し、徐々に全体がわかっていくのですが、同時にスピード感ある展開なので、スイスイ読めました。彼女のために奔走する31歳の魂が入った11歳の蓮司。
目的のところに行き、その中へ忍び込む描写は、読んでいてハラハラしました。果たして犯人は誰なのか?
犯人だけでなく、20年の間に起きた色んな出来事が後に伏線となって回収していくので、最後はスッキリ感があり楽しめました。
一つ気になったのは、そもそも、何故蓮司は、彼女のために奔走するのか?が気になりました。作品では、11歳と31歳の魂が交換されるということで、その後は永遠にループし続けますが、その最初がどうなったのか。エピソード0的な事が描かれていないのが気になりました。
二度読み必至と紹介されていますが、そんなに必至というわけではありませんが、緻密に計算された構成は、よく練られているなと思いました。 -
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ネタバレ田中栄一の作品「メアリー・スーを殺して」。
所謂オタク女子という人物が小説を書いていて、ある人の言葉を切欠に現実と関わる。
関わる先は大きくなっていく一方、メアリー・スーは?
そう、メアリー・スー=中二病となっているが自らが生み出したキャラだ。
作中のメインヒロインを理想の女性として置き、それに自分を投影していく。
彼女の作品の中に必ず出てくる彼女の理想が、メアリー・スー。
没頭していた時代に同じくそれらに没頭していた友人が、少し離れた時間に現れて「あなたの作品が読みたい」と。
久々に訪れた母校、そこで転寝をした彼女の前に現れたメアリー・スー。
キーボードを動かし始める動作で物語は終わる。
田中栄一氏の作品でこれだけ短編は初めて読んだ。
うん・・・
やっぱこの人の作品好きだわ。 -
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少年ジャンパー
瀬名先輩のために、グランドキャニオンに自転車で行けるのは、すごいと思った。自殺と見せかけて、屋上から移動するのは、他人から見るとすごいびっくりするだろうなぁと思った。私も、こんな能力が使えたらなぁと思った。
私は存在が空気
まさか、本当に先輩が犯人だと思わなかった。先輩がベッドの下を覗き込んだ時は、すごくヒヤヒヤした。最後は、友達だと思っていた人が好きになっていてすごく面白かった。
恋する交差点
全然知らない人と手を繋ぐのは、すごく気まずいなぁと思った。一緒に交差点をわたることが出来て本当に良かったと思った。
スモールライトアドベンチャー
犯人に捕まった時は、すごく焦った笑笑ペスも、強くなれて良かった。知らないふりしてすっとぼけた時は、本当は言いたかったんだろうなぁと思った。
ファイアスターター湯川さん
パイロキネシスというのは、結構大変そうだなぁと思った。湯川さんと俺との関係がすごく、不思議だなぁと思った。スピリタスが、こんな時に役にたつんだと思い、びっくりした。湯川さんがいつかまた、戻って来てくれたならなぁ〜と思った。
「人生で最悪の日でした!俺、無関係なのに!」
サイキック人生
性格のことを、レッテルを貼ると表していることが、面白いなぁと思った。エラーコインには、プレミアが付いていて、数十万円もするんだなぁと思った。私も、見てみたいと思った。蓮見華のことをずっと考えているお母さんは、少しは楽になったんじゃないかと思った。スーパーの中で、派手にやらかしたけれど、今の時代はCGと判断されるから、安心だと思った。どれが本当で、どれが偽物か分からないなぁと思った。 -
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カドフェス2017対象本。
芝浦工業大学の小説創作支援ソフトを使用した、中村航と中田永一の合作小説。
両著者の作品を数冊ずつは読んでいる私からすると、いろいろな手が加わっていることもあって、それぞれの味が消えてしまっているのではないかと思わないでもない。
駄作では決してないが、そこそこの作品という印象。
不幸を呼び寄せてしまうという主人公像は、中田永一っぽい。
対してヒロインの奔放さというか、軽さというか、主人公に運河でキスしてしまうようなところは、中村航っぽい。
「ああもう、そういう人を惑わすようなことしないでくれよ!」っていうのが、中村航には多い気がする。
執筆は、両著者でプロットを作ったあと、交互に進めていったそう。
冒頭は中田永一で、「知識の橋」とか言い出すところは中村航っぽい。
あと、ラストはとてもきれいだったが、これは着地の上手な中田永一の手によるものではないかと思う。
七瀬が色とりどりの風船を背にしているところとか、風船が割れるところとか。
偉そうに書いておいて、実際は全部逆だったら恥ずかしいな(笑)。
とりあえず、「ああ、これはこっちの著者っぽいな」と感じるところはいくつかあった。
ただ、中村航の冗長な甘さとか、中田永一の切なさとか、それぞれの持ち味を強く感じることは少なかったように思う。
特に私は中田永一の方が好きなので、彼が全編書いたらどうなるんだろう、と思わずにいられない。
とはいえ、一定の成功の基準は満たしているだろうし、面白い取り組みだった。