坂東眞砂子のレビュー一覧

  • 影牢 現代ホラー小説傑作集

    Posted by ブクログ

    【収録作品】
    鈴木光司「浮遊する水」…『仄暗い水の底から』
    坂東眞砂子「猿祈願」…『屍の聲』
    宮部みゆき「影牢」…『あやし』
    三津田信三「集まった四人」…『怪談のテープ起こし』
    小池真理子「山荘奇譚」…『異形のものたち』
    綾辻行人「バースデー・プレゼント」…『眼球綺譚』
    加門七海「迷(まよ)い子」…『美しい家』
    有栖川有栖「赤い月、廃駅の上に」…『赤い月、廃駅の上に』

    ホラーは理不尽で怖い。
    きれいに見えるものは怖い。
    曖昧な記憶が怖い。

    0
    2024年08月07日
  • 葛橋

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    坂東眞砂子氏の中編集。彼女お得意の土俗ホラーというものではなく、2編が怪奇物で1編が奇妙な味系か。

    まず怪奇物2編は冒頭の「一本樒」と末尾の表題作。

    前者は妹のやくざ紛いの情人が姉夫婦の家を付き纏うというお話。ネタ自体は特に目新しい物はないのだが、樒やまたたび酒などの小技が効いている。

    後者は妻を亡くした男が仕事の忙しさに疲れ、故郷の徳島に帰った時に出くわす怪異譚。
    この作品のモチーフとなっている葛橋は私も祖谷にある物を渡った事があるだけに興味深かった。古事記の伊邪那岐命の話から葛橋はあの世とこの世を結ぶ橋という設定を生み出した(実際そう伝えられているのかもしれないが)坂東作品の王道であ

    0
    2024年07月03日
  • 死国

    Posted by ブクログ

    20年ぶりに帰ってきた地元で仲の良かった幼馴染が亡くなっていたことをはじめて知る比奈子。
    帰省中に起こる様々な出来事にゾワっとした。
    土俗ホラーといった感じで、四国のお遍路や口寄せなど色々盛り込まれていてなかなか面白い。

    0
    2024年05月29日
  • 死国

    Posted by ブクログ

    高知の風習が描写されていて、いつもながら、高知の山々、自然、川などが目に浮かぶ。登場人物の言動も高知の人間そのまま。リアルと想像をうまく織り交ぜている。
    お盆に松明を木の棒の先にくくりつけて、火をつけて高く掲げる。死んだ人が帰ってくるための目印になる。というのは、祖母から教えられた。
    『死国』という映画は、ずっと気になっていた。今回読んでみて、ホラー小説という感じがしなかった。
    坂東さんの作品はどれも、ひとつのジャンルにはくくれない。

    0
    2024年04月22日
  • 死国

    Posted by ブクログ

    生者も死者も怖い。
    娘を失った母の気持ちはわかるが、母もこの地の呪いのような物に囚われてしまっていたのかもしれない。
    ハッピーエンドで終わるかと思いきやの最後のワンシーンで、誰も彼もみな囚われた小さな世界から抜け出せないのだと思った。
    本当にありそうな話。

    0
    2024年04月01日
  • 影牢 現代ホラー小説傑作集

    Posted by ブクログ

    どれも読みやすく面白かったです!
    怖かったのは小池真理子「山荘奇譚」かなあ。細長い地下室にボロ切れだけ画鋲で留まってる光景、不気味すぎる。

    0
    2024年03月19日
  • 桜雨

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    今まで四国、奈良と古き因習の残る小村、または町を舞台に伝奇ホラーを展開してきた坂東氏が今回選んだ舞台はなんと東京。しかも本作はホラーではなく、戦前の画家の探索行と昭和初期の情念溢れる女と男の業を描いた恋愛物。

    しかし、舞台は東京といっても年寄りの街、そして仏閣の街、巣鴨。やはり死がテーマの一部である。

    物語は混乱の昭和初期を生き抜いた二人の女性の物語を軸に、戦前の画家西游を巡る現代の物語が展開する。

    当初本作の主人公とされた額田彩子のストーリーよりも五木田早夜と小野美紗江という対照的な二人の物語の方が比重が大きくなり、またその情念の凄さから物語自体、かなり濃密である。

    この二つの物語に

    0
    2024年03月11日
  • 恐怖 角川ホラー文庫ベストセレクション

    Posted by ブクログ

    なぜこの本を予約したのかさっぱり思い出せません。ともかく読んでしまう。
    1993年角川ホラー文庫創設。そこから30年あまりの作品の中から精選収録のアンソロジー。
    竹本建治「恐怖」1983
    小松左京「骨」1972
     SFっぽさあり
    宇佐美まこと「夏休みの計画」2017
     新しいなって思う
    坂東眞砂子「正月女」1994
     女の嫉妬の怖さ
    恒川光太郎「ニョラ穴」2013
    平山夢明「或るはぐれ者の死」2007
     都会の隅で見過ごされる悲しさ
    服部まゆみ「雛」1994
     雛人形の怖さと女の情念の怖さのダブル
    小林泰三「人獣細工」1997
     ありえなくもない豚と人間の相互移植

    坂東さんの正月女は、言い伝

    0
    2024年02月21日
  • 影牢 現代ホラー小説傑作集

    Posted by ブクログ

    【2024年10冊目】
    ホラー小説のアンソロジー!1作目から怖くて、「どうしよう寝れない怖い」となりましたが、いろんな作家さんのホラー小説が味わえて、結果オーライでした!

    1番怖かったのは、やはり「浮遊する水」でしょうか。「仄暗い水の底から」も拝読したことがあるので、多分読んでるはずなんですが、当然のように覚えてなくて、恐怖再来でした。今でもCM覚えてます、蛇口から髪の毛出てくるやつ。あれようお茶の間に向けて流してたな。

    「猿祈願」もぎょっとする話で、あんまり想像しないようにして読みました。因果応報なのだろうか、でも子どもに罪はないのに…。

    「影牢」はさすがの宮部みゆきさん!といった文体

    0
    2024年01月18日
  • 貌孕み

    Posted by ブクログ

    総合評価で4よりの★3です。
    坂東さん=ホラーの認識が強く、星をどの分野として評価するか悩みました。
    全体的に現在、過去、未来と嘉津間の語りで繰り広げられる世界観。最初は馴染めなかったけど、馴染みだしたら面白い!!
    流石!坂東さん。
    一つ一つのストーリーは、ちょっとクセが強い内容もあるので、好き嫌いが別れてしまうのかなと思います。
    個人的には実在した“平田 篤胤”の家系を軸に登場人物が構成されているので、いつか著書を読んでみたいと思う小説でした。

    0
    2023年10月12日
  • 道祖土家の猿嫁

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    【あらすじ】
    土佐の山村で、ワールドワイドな百年物語の幕が開く。
    祭りの唄は海を渡り、男と女は血を超えていだきあう。日本人はどこから来て、どこへ行くのか──。濃密な筆致でこの国の根源に迫る大河歴史ロマン!

    明治中期、土佐・火振(ひぶり)村の名家、道祖土家(さいどけ)に18で嫁いできた蕗(ふき)。その容貌のため“猿嫁”と陰口をたたかれるが、不思議な存在感で少しずつ道祖土家に根を下ろしていく。近代化への胎動の中、時代は大正、昭和と移ろい、多くの戦の火の粉が火振村にも容赦なく襲いかかって人々の運命を弄ぶ──すべての日本人が得たもの、失ったものを見据え、百年のタイムスパンで壮大に描きあげた、著者の新

    0
    2023年05月17日
  • くちぬい

    Posted by ブクログ

    放射能汚染を恐れ、東京から高知の山村に移住した夫婦の物語。
    山村での不気味な出来事が中心ですが、夫婦間の微妙な心理のすれ違いの描写に、常に嫌な予感しかしない…
    後味も悪いですが、最後の小節で更に唖然としてしまいます。

    0
    2023年02月09日
  • 死国

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    自分の住んでいる四国を舞台にこれほどまでの土俗ホラーが繰り広げられるのにまず驚いた。寒風山トンネルとか石鎚山とか馴染みのある地名が出てくるので、自分の住んでいるところがとんでもなく恐ろしい死者の地のように感じた。

    しかし、この死者を甦らせる逆打ちという儀式、これが本当にあるのか、または言い伝えとして残っているのかは寡聞にして知らないが、このアイデアは秀逸。実際、ありそうだもの。
    そして素直にお遍路さんを感心して見る事が出来ないようになりそうだ。

    この逆打ちを中心に、四国が死者と生者が同居する“死国”となる展開、そして比奈子の実家の管理人、大野シゲの若かりし頃の不倫の話、儀式として四国霊場八

    0
    2023年01月11日
  • 曼荼羅道

    Posted by ブクログ

    富山の薬売り。いく先々の家に、薬箱をおいてもらい、使った分のお代をいただいて、新しい薬を補充していく。そんなあらかたなことは知ってはいるが、実際は、どうだったのか? 台帳をめぐって、南国の島まで、足を延ばした商売がうかびあがってくる。綿密に資料にあたった作品である。ただ、そのありかたと想像的展開は上手く繋がっていない。ある種の読み取りにくさを感じる。旅という異空間の上に、もうひとつ異空間が重なって、物語の輪郭が漠然と拡がっている。もしくは、資料の裏付けのある部分と、物語がせめぎあう。どちらかに軸足をおくと、もう一方が読み取れてない。そんな印象を読み手としてはもつ。

    0
    2023年01月05日
  • 恐怖 角川ホラー文庫ベストセレクション

    Posted by ブクログ

    角川ホラー文庫ベストセレクションのアンソロジー。
    小松左京の「骨」は既読でしたが、久々に読んでも怖いと思った。震災の後の大洪水というくだりが東日本の震災のことを書いてるようで、それが1972年に書かれていたというところにまた戦慄。
    坂東眞砂子「正月女」何かのアンソロジーで読んだか、それとも同じような別の話だったか…ホラーというよりイヤミス的な面白さだった。
    小林泰三「人獣細工」のラストが一番おぞましかった。
    これは角川ホラーセレクションの第二弾らしい。
    第一弾「再生」の方も読みたい。

    0
    2022年11月20日
  • 葛橋

    Posted by ブクログ

    初めて読んだ著者の作品が、今まで読んだことのない類だったので、別の作品も読んでみようと思って手に取った。
    前回のものは単なるエロ小説だと思ったが、今回は違った。読んでいる間中、ずっと後ろを確認したくなるような恐ろしさがあって、話にも引き込まれた。
    でも、どの話も読後感が良くなく、「イヤミス」ならぬ「イヤバナ」(読んだ後、イヤな気持ちになる話)だなーと。
    ただ、これは好みの問題。私は楽しく本を読みたい派なので評価が低いが、きっとすごく好きな人もいると思う。

    0
    2022年11月04日
  • 狗神

    Posted by ブクログ

    期待したほど怖さはなかったが、面白く読めた。「ホラー」というよりは、角川文庫の惹句のように「伝奇ロマン」というほうが合っているかも知れない。横溝正史へのオマージュか、と思わせる要素がいくつかあり、横溝ファンとしては軽くくすぐられる感じ。だが実は全然関係なくて、自分がタイトルに引っ張られただけ、という可能性は無きにしもあらず。

    「怖さ」はそこそこでも良いけれど、禁忌を描くストーリー上、「忌わしさ」「呪わしさ」を演出でもっと煽って欲しかったな、とは思う。読んでて生理的嫌悪感を感じるくらいでないと。

    他にも残念な点がいくつか。割と早い段階で、物語の中核である隠された事実がネタ割れしてしまった。こ

    0
    2022年08月10日
  • 朱鳥の陵

    Posted by ブクログ

    この作家の特徴なんでしょう、文章の粘質さみたいなものは。これについては、読者の好き嫌いの問題になるでしょう。
    内容としては結構面白いのですが、結末が意外にあっさりしていて肩透かしを食らわされたな、というのが正直なところです。

    0
    2022年05月30日
  • 恐怖 角川ホラー文庫ベストセレクション

    Posted by ブクログ

    坂東眞砂子さんの『正月女』と恒川光太郎さんの『ニョラ穴』が印象的。
    平山夢明さんと小林泰三さんのはもう何度も作品読んだことあるけど、相変わらず好き。

    0
    2022年04月17日
  • ブギウギ 敗戦後

    Posted by ブクログ

    陽気なタイトルとカバーの絵から、昭和の人情物語かと思って読んだんだけど、思いがけずミステリーでした。
    しかも「ブギウギ 敗戦前」という前編があるらしい。どおりで箱根訪問の描写がそっけないと思った。でもそれ以外は特に違和感なく、リツの逞しさ(学ばなさ?)が味わい深いです。

    0
    2022年03月22日