坂東眞砂子のレビュー一覧

  • 眠る魚

    Posted by ブクログ

     坂東眞砂子 著「眠る魚」、2017.2発行(文庫)。著者、未完の絶筆小説です。バヌアツに住む伊都部彩実は父の死で帰国。福島の原発事故による放射能汚染での急死はアオイロコという病によるものか・・・。後半、彩実の舌の腫瘍が悪性の舌癌とわかり入院に。このあたりから著者自身に重なってきます。本作品は手術前の段階で絶筆となっています。著者は、実際は東京の病院に入院中の所、故郷に帰りたいとの希望が受け入れられ、高知の病院に転院し、亡くなられました。
     坂東眞砂子さん、2014.1.27、故郷の高知でお亡くなりになりました。「眠る魚」(2014.5)は、未完の絶筆長編です。巻末に著者の著作が整理されていま

    0
    2019年10月27日
  • 蟲

    Posted by ブクログ

    体内に心に巣食う常世蟲に人間は勝てない。あれだけ心地好さそうな眠気に誘われて勝てるはずがない...
    わたしだったら勝てない。
    蟲に食われるなら純一のように自覚なしで食われたい...話の中には純一の仕事中の様子は最初しかでてこないから無気力になっていく自分を感じていたかもしれないけど...そんな純一視点も読んでみたい。

    最後は救世主かと思われたカヤまでも常世蟲に食われてしまって...どうにもならず
    めぐみは常世神を産み落とし火をつけられるというダイナミックかつバイオレンスな虫送りに...

    0
    2021年12月30日
  • 桜雨

    Posted by ブクログ

    現代(よりちょっと昔)パートと戦時中のパートが交互に語られる。
    現代は三人称で、戦時中は早夜の視点で。
    それが交差した時が物語のクライマックスになる、と思ったのだけど。

    現代パートの主人公・額田彩子は出版社で画集を編集している。私生活では自分勝手な同棲相手と別れた直後。
    戦時中のパートは美術専門学校を中退した早夜が、奔放な生活の果てに愛した画家・西游(さいゆう)と、美人で金持ちの新進画家・美紗江との三角関係に苦しむ話。

    この西游というのが、生活力がなくて女好きのくせに、自分の芸術に対しては一切の妥協をしないという自己チュー男。
    しかし、だからこそ、離れられない二人の女。

    自己チューという

    0
    2019年03月09日
  • 朱鳥の陵

    Posted by ブクログ

    西暦700年代初頭の古代が舞台。持統天皇の心の内に入ることができる白妙を借り、夫や息子を含めた周りの邪魔者を排除し、天皇に上り詰めていく過程をたどる。歴史上の人物や物事をうまく織り込み登場させながら、フィクションの面白さが存分に生きた小説。
    この著者の作品はハッピーエンドや報われたり悪が挫かれる終わり方にならない。途中からそれが読めてしまい、読み終えてみたらやはり。

    0
    2018年11月17日
  • 狗神

    Posted by ブクログ

    善光寺も高知も何度か行ってるので情景が思い浮かべること出来た。
    美希さんが不幸でかわいそうすぎる。悲しい話だなぁ。

    0
    2018年11月11日
  • くちぬい

    Posted by ブクログ

    高知のひなびた穏やかな田舎の集落の人々に巣食う狂気。著者自身が村八分になった体験をもとにした恐ろしい小説。田舎の社会が実は和やかなものでなく因習に捕らわれていたり互いに見張り合うような窮屈さを備えたものだということはよく言われもすることだし、都会を好む地方出身者がよく言うこと。そうしたムラ社会の恐ろしさを描いている。
    くさいものにふたをするかのように思考することをやめ、真実を知ろうとせず今日だけのもろい安定と異なる軌道外の言動をたたく世間というものの圧力が日本全体に満ちていると思う。著者の言うとおり、それは過疎や限界集落のような末端こそ濃縮して現れるものかもしれないが、一方で都会の駅や電車内で

    0
    2018年10月27日
  • 聖アントニオの舌

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    時は中世イタリア。当時パドヴァに暮らした修道士アントニオは、人智を超えた不思議な力で数多くの奇蹟を起こし、人々を病苦・死から救い出したという。彼の死後七百年以上経った今も、その聖性は人々の心に脈々と生き続け、その証として崇められているのは、彼の干からびた舌であった…。表題作の地パドヴァ、魔女伝説が残るトリオラ、鞭打ち苦行の儀式が行われるチェリアーナ、魔都と呼ばれるトリノ等、直木賞作家の著者が、イタリア中世の奇蹟と神秘の地を訪ね歩き、彼らの魂と深層を探りあてた、知的好奇心溢れるエッセイ。(裏表紙)

    都市に歴史あり、と感じた一冊。
    万が一、イタリアに行くことがあれば、ほかのガイドブックと一緒に持

    0
    2018年05月31日
  • 狗神

    Posted by ブクログ

    まあミステリというかホラー。夏だからってこともあって読んだけど、スーパーナチュラル系だから、そこまで肝は冷やされず。相変わらず、そっち系の感度は鈍いです、わたし。やっぱサイコ系ホラーの方が怖いと思うんです、どうしても。ただ本作は、人間の怖さも同時に描き出していて、村八分(ちょっとニュアンス違うけど)の悲劇みたいな部分もあります。と書きながら思ったけど、どっちかというとそっちがメインか(苦笑)。狗神はあくまで味付けで、魔がさした人の怖さが寧ろ中心かも。小野不由美「屍鬼」の圧縮版。そんな印象でした。

    0
    2017年08月16日
  • 鬼に喰われた女 今昔千年物語

    Posted by ブクログ

    2017年、25冊目は主に隙間読書用にしていたヤツ❗

    今昔物語を下敷きにした、短編を、10編収録。今回もタイトルだけ紹介。

    鬼に喰われた女
    死ぬも生きるも
    空虚の板
    生霊
    月下の誓い
    歌う女
    蛇神祀り
    稲荷詣
    油壺の話
    闇に招く手

    正直、凄く好き、と、微妙、の狭間の一冊。

    隙間読書用としては、1編、30p前後で、内容&分量的にはベスト。その点でも、★★★★☆評価。

    ただし、コレは通し読みした方が良かったかも(?)とも思う。いわゆる、頭の中、平安の京の都へ送られちゃうから。現実との、切り替えが少なからず、必要なのよね。

    いわゆる、古典(古文)の世界観、鬼、モノノケ、お稲荷さんの類いと

    0
    2017年06月30日
  • 屍の聲

    Posted by ブクログ

    濃密な情念に満ちた重めのホラー短編集。血縁や婚姻による繋がりの中で、しがらみや重圧、自身や他者の欲望によって、心をすり減らしていく人々の物語。怪異が存在する話もそうでない犯罪小説的な話もありますが、人の身勝手さや嫉妬心、伴侶や家族に対する無意識の甘えがストレートに表現されて、ずしりとくるものがあります。
    それでいて、どの話もよくまとまっていて、すいすいと読めるのもよかった。

    0
    2017年02月23日
  • 朱鳥の陵

    Posted by ブクログ

    読み応えのある本だった。歴史、ミステリー、ホラー一つに定まらない内容を散漫にする事なく一気に読ませてくれる。ただ歴史オタとも言える私でも 冒頭の部分でやや腰が引けてしまうほど 当時の官職名、言葉使い、人名が忠実に再現されている。持統天皇については 永井路子「茜さす」「美貌の女帝」有名所では里中真智子「天上の虹」などである程度のイメージがあったけれどこの本では彼女の政治家としての部分ではなく どこまでも「女」としての情念の凄まじさについて書かれている。とても面白い本だけれど誰にでも薦めるとは言えない本かな

    0
    2016年08月28日
  • 朱鳥の陵

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    こわかった!!もうその一言。

    ・・・・百人一首のあの歌・・オソロシイ。
    昔あの歌に惹かれて天の香久山まで登ったんですが、この小説後は感じ方が
    変わりそうです。((笑))
    ちなみに地元で売っている「白妙の衣」をイメージした「鵜野讃良」という和菓子
    が好きなんですが・・今後うををを!と思いそうです。
    古語をちりばめた文体に最初は読みにくかったんですが、慣れてくると世界観が
    はっきりしてきてよかったです・・。
    ネタバレになりますが、後半のクライマックス。
    寝所で横たわる讃良が「お前を見つけたぞ」的な表情するのが・・オソロシイ。
    読み終わった後、トラウマになりそうでした。トラウマになりそうなときは

    0
    2016年08月24日
  • 朱鳥の陵

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    タイトルに惹かれ購入。好きな時代を生きる好きな人物たちが次々と登場し、親しみを覚えながら少しも早くと読み進めると…なんとも恐ろしさに身のすくむ結末。
    〝春過ぎて夏来たるらし白妙の…〟を、こう読み解くとは。現代からみればファンタジックにも思える部分こそ古代史の魅力のひとつであると思ってはいたが、まさかの読後感に衝撃を引きずっている。

    0
    2015年02月21日
  • 狗神

    Posted by ブクログ

    登場人物の台詞が私にはあまり聞き慣れない方言で、それがすごく好きです。

    読んでいて、日本の憑き物の文化などに思わず興味が湧いてしまいました。

    内容は、やはり”ロマン”ですね。 胸がドキドキする展開が結構ありました。 けれど、最後の方は悲壮感に包まれます。 決してハッピーエンドではないです。 ですがやっぱり面白かったです。

    0
    2014年09月16日
  • 葛橋

    Posted by ブクログ

    徳島県は祖谷渓にあるかずら橋を2度ほど訪れたことがあり、書店で本作を見かけたときにそれを思い出して購入。しかし本作はそんなノスタルジックな気分をかき消すような、少し陰鬱な気分になる中編三作が納められた作品。

    「一本樒」「恵比寿」は地方での安寧な暮らしぶりが、外界の異物ーー坂上と鯨の糞ーーによって歪まされてしまう様子が描かれている…んですかね。どちらも地方の主婦が主人公で、“香気”が意味有りげに登場するところが共通しているように思います。

    「一本樒」は昼ドラや二時間サスペンス的な印象。ストーリーの面白さよりは、樒の香気が“美しいもの”から不気味な印象に変わってしまうところが不思議と強く記憶に

    0
    2014年04月04日
  • 道祖土家の猿嫁

    Posted by ブクログ

    高知の一村に漂う伝奇的な空気と近代日本史が融合した一冊。
    だけど、蕗と蔦くらいしか印象に残らなかった。
    百年の物語は軽くも重々しくもない文章で書かれ、テンポよく読めた。

    0
    2013年12月11日
  • 死国

    Posted by ブクログ

    板東眞砂子のミステリー小説であるが、四国の霊場をベースに死者が蘇る物語。日本ならでは不気味さがあり、面白い。後から映画も見たが、なかなかよくできた映画であった。 板東眞砂子の独特な世界は好きである。

    0
    2023年01月16日
  • ブギウギ 敗戦後

    Posted by ブクログ

    「愛」という名のもとに、強く逞しく信念に向かって生きるリツとオルガと、戦争に翻弄される法城と。
    ミステリー要素も良く、早く先を読みたくなると引き込まれたが、とにかく三様の生き方に、いろいろ考えさせられる。ヘラヘラしつつもどこか憎めないリツがいい。

    0
    2013年11月17日
  • 死国

    Posted by ブクログ

    小さい頃、いろんな時に神頼みをした。縋る術がなかったのもあるけれど、目に見えないものは怖くて偉大だった。

    死んだものより、生きているものが強い。そう信じて読んでいたけれど、死者も強い。苦笑
    もっといろんなものを大切にしたい。

    0
    2013年11月16日
  • 蛇鏡

    Posted by ブクログ

    期待以上に面白かった!
    大好きな奈良と神話が題材となっていて物語にのめり込めた。
    玲の気持ちの変化も、丁寧に書かれていたし。
    ラストがん?という感じも、するけど良かった

    0
    2013年09月05日