坂東眞砂子のレビュー一覧
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ネタバレ著者の名前はどことなく聞き覚えがあり、読み終えて気づきました。
1999年に「リング2」と同時上演され、映画館で見た「死国」の原作者。
調べてみると高知県の産まれだそうで、納得。
映画「死国」も舞台はもちろん四国、本書の舞台も高知県の山里で、そこで暮らす美希が主人公です。
彼女の一族は「狗神筋」と呼ばれ、村人達から忌み嫌われていました。
「狗神」とは?
血が引き起こす恐怖の伝播。
そして、明かされた血の内容にはある種の戦慄を覚えました。
読み始めた時にプロローグとして始まる信濃•善光寺のシーン。
そこから舞台は高知県に移りますが、善光寺の「戒壇廻り」から始まらなければ本作の恐怖は味わえなかったと思います。
何故に人々が善光寺にお参りに行くのかも知ることが出来ました。
「リング」や「呪怨」程のホラー感はありませんが、思わず一気読みさせられました。
説明
内容紹介
美希の一族は村民から「狗神筋」と忌み嫌われながらも、平穏な日々が続くはずだった。一陣の風の様に現れた青年・晃が来なければ……そして血の悲劇が始まり、村民を漆黒の闇と悪夢が襲う。
内容(「BOOK」データベースより)
過去の辛い思い出に縛られた美希は、四十路の今日まで恋も人生も諦め、高知の山里で和紙を漉く日々を送ってきた。そして美希の一族は村人から「狗神筋」と忌み嫌われながらも、平穏な日々が続いてゆくはずだった。そんな時、一陣の風の様に現れた青年・晃。互いの心の中に同じ孤独を見出し惹かれ合った二人が結ばれた時、「血」の悲劇が幕をあける!不気味な胎動を始める狗神。村人を襲う漆黒の闇と悪夢。土佐の犬神伝承をもとに、人々の心の深淵に忍び込む恐怖を嫋やかな筆致で描き切った傑作伝奇小説。 -
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震災後、放射能汚染を気にする麻由子は、夫の峻亮の強い希望でもあった高知の田舎へ、移住することを決めた。
美術教師であった峻亮は、長年の夢であった穴窯を作り陶芸に勤しむ毎日。
しかしその地域にある鎌神社のお宮まて続く、赤線と呼ばれる道の一部に穴窯を建てたことから、村人達の苛めが始まる。
猫の死骸が吊るされていたり、車をパンクさせようと包丁が埋められていたり。
確かな嫌がらせがありながら、顔を合わせると誰もが優しく接してくる。
気にするなと言う峻亮に苛立ち、ストレスから夫婦仲も悪化、麻由子は疑心暗鬼になっていき、殺人事件にまで発展して行く。
田舎移住番組などを観ると、こんな老後もいいなぁと呑気に思っていたが、実体験に基づいた話と知りぞっとした。
ここで起きたことは、ここで解決する。他言無用。
くちぬい様に口を縫われる。
滝代の最期を想像すると悲しくなる。 -
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小中学生の頃に深い恐怖に陥れられた映画「リング」。その続編の「リング2」と同時上映された作品が、この「死国」だった。「リング」、「リング2」は強烈な恐怖として記憶に残っているのだが、この「死国」は栗山千明の美しい黒髪と切れ目の妖艶さの印象が強く、内容を漠然としか記憶していなかったので、原作を当たることにした。
本作は、「四国=死国(黄泉の国に最も近い場所)」の古代伝承(解釈)を基にしたホラー小説。
高知県の矢狗村という田舎が舞台の中心。村の口寄せ巫女である照子は、亡くなった娘(莎代里)を甦らせるべく「逆打ち(=四国八十八ヶ所の霊場を死者の歳の数だけ逆に巡る)」を行う。その最中、主人公である比奈子は小学生時代に過ごしたこの村に東京から帰郷する。東京での愛人関係に悩まされる生活から離れ、静かな故郷に帰郷し、仲の良かった莎代里と再会することで心機一転を図ろうとするが、そこで知らされる莎代里の死。意気消沈する比奈子の前に初恋の相手である文也が現れ、恋に落ちる。東京での愛人関係に終止符を打ち、文也との恋を成就させたいと願うが、比奈子らの周囲で不可思議な現象が起こり、死んだはずの莎代里の気配が纏わりつく。そして今――――死者が甦る。
「死者を甦らせること」≒「隠されたものを暴くこと」として描かれていたように感じた。前者は神を汚す冒涜的行為、後者は不用意に行ってはならない行為(「知らなければ良かった莎代里の比奈子への感情」、「愛人を見捨てた過去を思い出してしまう村の老婆」、「意識が無いと思っていた患者に対して行っていた行為を患者自身によって暴かれる看護師」など)、どちらも(程度の差はあれ)”禁忌”として。
(作中の言葉を借りると、)生きている人は、程度はどうあれ、誰もが「亀の甲羅」を被っている(=自身を隠すことで身を守っている)。それを不用意に暴くこと、それは静かに眠る死者を起こすが如く、危険な行いなのだ。 -
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坂東眞砂子 著「眠る魚」、2017.2発行(文庫)。著者、未完の絶筆小説です。バヌアツに住む伊都部彩実は父の死で帰国。福島の原発事故による放射能汚染での急死はアオイロコという病によるものか・・・。後半、彩実の舌の腫瘍が悪性の舌癌とわかり入院に。このあたりから著者自身に重なってきます。本作品は手術前の段階で絶筆となっています。著者は、実際は東京の病院に入院中の所、故郷に帰りたいとの希望が受け入れられ、高知の病院に転院し、亡くなられました。
坂東眞砂子さん、2014.1.27、故郷の高知でお亡くなりになりました。「眠る魚」(2014.5)は、未完の絶筆長編です。巻末に著者の著作が整理されています。作品を眼で追いながら、感動を思い起こしました。「山はは」「わたし」「善魂宿」「天唄歌い」「くちぬい」・・・。大作ですね! -
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現代(よりちょっと昔)パートと戦時中のパートが交互に語られる。
現代は三人称で、戦時中は早夜の視点で。
それが交差した時が物語のクライマックスになる、と思ったのだけど。
現代パートの主人公・額田彩子は出版社で画集を編集している。私生活では自分勝手な同棲相手と別れた直後。
戦時中のパートは美術専門学校を中退した早夜が、奔放な生活の果てに愛した画家・西游(さいゆう)と、美人で金持ちの新進画家・美紗江との三角関係に苦しむ話。
この西游というのが、生活力がなくて女好きのくせに、自分の芸術に対しては一切の妥協をしないという自己チュー男。
しかし、だからこそ、離れられない二人の女。
自己チューというのなら、田舎に帰りたくない、東京で暮らしたいという一心で学校をやめ、絵のモデルをしながら遊び暮らす早夜も負けていない。
苦しい生活の中からお金を送ってくれる親や、間借りさせてくれる子だくさんの叔父の気持ちを踏みにじり、自分に心を寄せてくれている雄吉の思いを知りながら、都合のいい時にしか寄り付かない早夜。
彩子の近所に住んでいると思われる二人の老女は、早夜と美紗江であろうことはすぐにわかる。
しかし、二人の間に厳然として存在していた西游はどうなったのか?
感情移入できる人物のいない恋愛小説は、なかなか読み続けるのに骨が折れる。
今一つ乗り切れないまま、終盤、空襲で焼け出された西游と美紗江が早夜の元で一緒に暮らし始めてから、物語の緊張の度合いが高まる。
絶対に破局するはずだ、こんな関係。
しかし、現在西游は何をしているのか?
なぜ早夜と美紗江は一緒に暮らしているのか?
最後の50ページは一気読み。
そして衝撃の顛末。
ひゃ~、途中でやめなくてよかったよ~。
だから読書はやめられない。 -
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高知のひなびた穏やかな田舎の集落の人々に巣食う狂気。著者自身が村八分になった体験をもとにした恐ろしい小説。田舎の社会が実は和やかなものでなく因習に捕らわれていたり互いに見張り合うような窮屈さを備えたものだということはよく言われもすることだし、都会を好む地方出身者がよく言うこと。そうしたムラ社会の恐ろしさを描いている。
くさいものにふたをするかのように思考することをやめ、真実を知ろうとせず今日だけのもろい安定と異なる軌道外の言動をたたく世間というものの圧力が日本全体に満ちていると思う。著者の言うとおり、それは過疎や限界集落のような末端こそ濃縮して現れるものかもしれないが、一方で都会の駅や電車内で聞く過剰なまでのマナー順守を呼びかける放送とかも窮屈でおそろしい世間を予感させる。
そういう意味で日本というムラ社会の異常さを指摘する物語として読んでいったのだが、最後には因習をいいように解釈し利用している村人たちの非が露わになるかと思いきや、最後の最後で著者らしい……というか小説らしい皮肉な展開で終わるのが、らしいなと思いながらもちょっと悔しい。 -
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ネタバレ時は中世イタリア。当時パドヴァに暮らした修道士アントニオは、人智を超えた不思議な力で数多くの奇蹟を起こし、人々を病苦・死から救い出したという。彼の死後七百年以上経った今も、その聖性は人々の心に脈々と生き続け、その証として崇められているのは、彼の干からびた舌であった…。表題作の地パドヴァ、魔女伝説が残るトリオラ、鞭打ち苦行の儀式が行われるチェリアーナ、魔都と呼ばれるトリノ等、直木賞作家の著者が、イタリア中世の奇蹟と神秘の地を訪ね歩き、彼らの魂と深層を探りあてた、知的好奇心溢れるエッセイ。(裏表紙)
都市に歴史あり、と感じた一冊。
万が一、イタリアに行くことがあれば、ほかのガイドブックと一緒に持っていきたいと思いました。 -
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2017年、25冊目は主に隙間読書用にしていたヤツ❗
今昔物語を下敷きにした、短編を、10編収録。今回もタイトルだけ紹介。
鬼に喰われた女
死ぬも生きるも
空虚の板
生霊
月下の誓い
歌う女
蛇神祀り
稲荷詣
油壺の話
闇に招く手
正直、凄く好き、と、微妙、の狭間の一冊。
隙間読書用としては、1編、30p前後で、内容&分量的にはベスト。その点でも、★★★★☆評価。
ただし、コレは通し読みした方が良かったかも(?)とも思う。いわゆる、頭の中、平安の京の都へ送られちゃうから。現実との、切り替えが少なからず、必要なのよね。
いわゆる、古典(古文)の世界観、鬼、モノノケ、お稲荷さんの類いと、女性的官能。和ホラーと官能が、近似値と捉えられる方向き。
後は、個人的だが、尻すぼみに感じてしまう、並び順にもう一工夫欲しかったかな……。