坂東眞砂子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
自由民権運動が盛んだった明治時代、火振村の地主の道祖土家に嫁いだ蕗(ふき)の一代記。終章は、彼女の33回忌に曾孫の十緒子が道祖土家を再訪するところまでを描いています。
道祖土清重のもとに猿そっくりの顔をした蕗が嫁いでまもなく、義姉の蔦が私生児を産むという事件が起こります。家長の治之進は、秋英と名づけられたその子を、清重と蕗の子として育てることに決めます。若い頃は民権運動にかぶれていた清重も村長となり、秋英の下に春乃、俊介、保夫という子を授かります。しかし、秋英は家を飛び出し、俊介は若くして死に、三男の保夫が家を継ぐことになります。
終戦の日まで小国民だった保夫の子の篤は、洋子という妻を得て -
Posted by ブクログ
地元で「みぃさんの祭り」がおこなわれる直前に、恋人の広樹をともなって実家に帰省した永尾玲は、蔵の中で蛇をかたどった鏡を発見します。この鏡は、三年前に自殺した玲の姉の綾が首吊り自殺をおこなった場所に置いてあったものでした。
斗根遺跡の発掘をしていた田辺一成は、玲から蛇鏡の話を聞き、興味を示します。広樹のつれない態度に、将来の幸せについて漠然とした不安を抱いていた玲は、しだいに一成に惹かれていきます。
その一方で玲は、父の前妻だった多黄子が、33年前にやはり蔵で首を吊って自殺し、その足元に蛇鏡があったこと、さらに姉の綾が自殺したとき、彼女は婚約していた男性ともう一人の男との間にはさまれて苦悩し