あらすじ
「惚けてしまったおばあちゃんは生ける屍や。正気のおばあちゃんは死にたがっている」そう信じた少女は溺れる祖母を見殺しにした。そして通夜の席で一瞬、確かに祖母は蘇った――表題作「屍の聲」のほか、5編の恐怖短編を収録。因習としがらみの中で生きる人間たちの、心の闇に巣くう情念の呪縛。濃密な風土を背景に描く、恐怖の原型とは。記憶の底に沈む畏怖の感情を呼び起こす本格ホラー小説集。
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Posted by ブクログ
呆けて孫のことが分からなくなったお婆ちゃん、でも時々呆けていないお婆ちゃんが出てきてそのお婆ちゃんは死にたがっている...これは孫の気持ちが分かりすぎてキツイ
どの話も人間が生きる屍になっている
でも同時に燃え上がるような生も感じていて、圧倒された
雪蒲団はどうして繁さんが殺されなければならなかったのかが理解できない
あの子はあのときどんな精神状態になったの...?
Posted by ブクログ
こんなに怖いホラー小説は読んだことがない…
各地の民話や伝承に着想を得た怪談ですが、文章が圧倒的にうまいから、どの短編も現実のように感じる。
最近の、なにかゲームの世界のようなホラーとは一線を画する、本物のホラーです。
Posted by ブクログ
濃密な情念に満ちた重めのホラー短編集。血縁や婚姻による繋がりの中で、しがらみや重圧、自身や他者の欲望によって、心をすり減らしていく人々の物語。怪異が存在する話もそうでない犯罪小説的な話もありますが、人の身勝手さや嫉妬心、伴侶や家族に対する無意識の甘えがストレートに表現されて、ずしりとくるものがあります。
それでいて、どの話もよくまとまっていて、すいすいと読めるのもよかった。
Posted by ブクログ
相変わらず不気味な小説を書く作家。舞台は四国か。土臭い闇の世界がよぎる坂東のホラーは他の者の追随を許さない。短編集だがテーマとして共通しているのは“迷信”“ことわざ”“いいつたえ”など。これもおどろおどろしい雰囲気をかもしている。中でも、猫が死者を跨ぐと死者が生き返る、何ていうのは本当にあるようで恐い。
Posted by ブクログ
①屍の聲
ボケてしまったおばあちゃんと、その孫のお話。お年寄りの介護って本当に大変。よく、子供や孫が真摯に世話をする様子が描写されるけど、本当に、偉いなぁといつも感じる。介護って、それだけ大変なこと・・・まだ中学生の布由子の抱える負担感は相当なものだ。なんとなく、気持ちもわかってしまうのは、自分への言い訳なのか、単なる同情なのか。
②猿祈願
安産祈願のお猿さんの人形ってのは、さるぼぼとは違うのかしら・・・でも、奥秩父が舞台だし、岐阜のさるぼぼとは違うのかな?怖い姑がいなくて良かった良かった・・・
③残り火
奥さんは大事にしよう。こんな風に、昔の風習のなかに、時代感覚の違う人が混じっているとやっぱりしんどいものなのだろうなぁ。何も感じず、考えずに、生きていた方が、時には幸せなのかも・・・しれない・・・
④盛夏の毒
お盛んなお二人。貞操はいつの時代でも大事・・・と信じたい。
⑤雪蒲団
母と子とのほっこり物語かと思ったら!嫉妬心は恐ろしい。
⑥正月女
女の嫉妬!こわ~。
多分・・・だけど、今回読んだの、これ二度目かな?
なんとなーく覚えあり。だけど、改めて年取ってから、読むと、それも結婚が決まってから読むと、感じるものも変わってくるんだなぁとしみじみ。
Posted by ブクログ
正月の元旦に女の人が死んだら、その村の女を七人引いていくゆうがよ(正月女)…など、田舎の地縁と人の執着心が歪を生み出すバッドエンドなホラー短編集。
方言での会話が作り出す風土風習に絡めとられるような陰の雰囲気に独特のクセがあって、キモ怖くて面白い。
「屍の聲」「猿祈願」「残り火」「盛夏の毒」「雪蒲団」「正月女」の6編。