あらすじ
20年ぶりに故郷である高知の矢狗村を訪れた比奈子は、幼馴染みの莎代里が18年前に事故死していたことを知った。その上、莎代里を黄泉の国から呼び戻すべく、母親の照子が禁断の“逆打ち”を行っていたのを知り、愕然とする。四国八十八ヶ所の霊場を死者の歳の数だけ逆に巡ると、死者が甦るというのだ――。そんな中、初恋の人・文也と再会し、恋に落ちる比奈子。だが周囲で不可思議な現象が続発して……。古代伝承を基に、日本人の土俗的感性を喚起する傑作伝記ロマン。
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やはり★5!!
新品が売ってたので、新品で再読したいと思い購入。
やっぱり坂東さんはゾワゾワと怖いです。
石槌山とか死ぬまでに一目見てみたい。
サヨリちゃんのお父さん。。無念でござる。
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タイトルからして強烈で内容も未だに鮮明。読んだ当時は中学生かな?とにかく怖かった。けれどまた読み返すと抱く感想はまた異なり、魅力的。自分の中では名作です。
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四国、それは『死国』へと通じる。
四十八カ所の霊場を死者の年の数だけ逆まわりすれば、すなわち「逆打ち」をすれば死者は甦るという。
東京で生活に疲れた主人公の比奈子は郷里である高知県の村に帰る。幼友達とも再会、初恋の相手、文也とも再会し淡い恋の記憶がよみがえる。しかしいつも一緒で一番仲の良かった莎代里は事故死していた。しかも比奈子が東京へ転校していったすぐあと。まだ中学生だった。
莎代里は口寄せ巫女の家系に生まれた。村人は何か困ったことがあると先祖の霊を呼び出し、そのお告げを解決への指標とした。その際に依り代となる役割を莎代里の家の女が代々担ってきた。しかし、莎代里が死んでしまったことによってその役割を担う後継者が絶えてしまった。莎代里の母は、その後、狂ったように遍路を繰り返すようになる。逆打ちだ。そしてついに莎代里が亡くなった年と同じ回数を逆打ちし終えた。
そのあと、比奈子のまわりで次々と不可思議な現象が起こりはじめる。
莎代里は本当に甦ったのだろうか・・・
莎代里の母の奇怪な言動、村人が見たという死んだはずの人の姿、老女の頭に次々と甦る忌まわしい記憶。ざわざわした空気が村全体を包みだす…
土着的な伝承と土佐弁で編む類い稀な表現力で、払っても払っても、まとわりつくように寒気が体から離れない。稀にみる傑作だ。毛が逆立つ感覚を何度も味わう。女性ならでは耽美的な表現も妖しく、男性作家ではこうは書けない。
気に入った本はたまに再読するが、『死国』は、最近面白い本がないな〜、と読書意欲をなくしたときに真っ先に頭に浮かぶ本で何年かに一度は読む。今回が5回目の再読だった。
ご存じの方も多いと思うが、『死国』は夏川結衣主演で映画化されている。本の表紙の幽霊は栗山千秋。
映画はひどい出来だった。霊魂が甦る幽霊と、死体が甦るゾンビを勘違いしていた。ゾンビ映画は視覚と痛覚を刺激するが、幽霊は聴覚や触覚や想像力で補って感じるものだ。見えなくてもいる(感じる)もの。全然違う。ゾンビは肉的で質量があるが、幽霊は気配で、溶け込んでいるから質量がない。
映画化なんてしなけりゃ良かったのに。原作を冒涜している。
この本は絶対にまた再評価される日が来ると思う。
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VHS全盛期の頃に映画『死国』を鑑賞した時に、この設定は中々面白いなぁ〜という印象があったので、原作を読んで見る事にしました。
本作は映画の内容を細かく描かれホラー要素半分、恋愛要素半分といった感じで、淡々と複数視点で物語は進み、後半から一気にピークにぶち上げる。そのスケールのデカさは映画を凌駕していた。しかしこの物語は何とも悲哀に満ち溢れてた話で、紗代里が「死んだら〇〇〇」というセリフはかなり切なすぎて言葉も出ませんでした。
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『ぼくらの頭脳の鍛え方』(立花隆・佐藤優)をきっかけに本作に興味を持った。読んだ感想として、自分が好きな和風ホラーゲーム「零 赤い蝶」と似た雰囲気や展開で、個人的に読みやすい小説であった。本作は高知県の矢狗村を舞台に、小学時代に過ごした村を訪れた主人公の明神比奈子、かつて主人公の親友で今は亡き日浦莎代里と幼馴染の秋沢文也の三人を中心に物語が進む。この話の見どころは、秋沢文也をめぐっての主人公と蘇った親友の関係性と争いであろう。物語の中盤で判明するが、比奈子にとって、莎代里が小学時代で一番仲がよいと思っていたが、それに反して、莎代里は比奈子を単なる付属物、いいかえると自分にとって都合のいい操り人形にすぎないと、それぞれの心情が食い違うのである。また、莎代里が比奈子と同様に文也が好きだと物語の後半で明らかになり、そこからお互いが文也を取り合うという三角関係が特徴的である。それだけではない。この小説は、所々『古事記』や古代日本の伝承等に言及しており、それによって日本特有の恐怖や観念を醸し出すところが幻想的で虜になる。
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日本を代表する巡礼である「四国八十八ヶ所巡り」に、呪術的要素を加えた、怪奇ロマン系のホラー小説です。日本の風習や、しきたりといった土俗的な部分に惹かれてホラーを好きになった私としては、世界観に入り込みやすかったです。
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小中学生の頃に深い恐怖に陥れられた映画「リング」。その続編の「リング2」と同時上映された作品が、この「死国」だった。「リング」、「リング2」は強烈な恐怖として記憶に残っているのだが、この「死国」は栗山千明の美しい黒髪と切れ目の妖艶さの印象が強く、内容を漠然としか記憶していなかったので、原作を当たることにした。
本作は、「四国=死国(黄泉の国に最も近い場所)」の古代伝承(解釈)を基にしたホラー小説。
高知県の矢狗村という田舎が舞台の中心。村の口寄せ巫女である照子は、亡くなった娘(莎代里)を甦らせるべく「逆打ち(=四国八十八ヶ所の霊場を死者の歳の数だけ逆に巡る)」を行う。その最中、主人公である比奈子は小学生時代に過ごしたこの村に東京から帰郷する。東京での愛人関係に悩まされる生活から離れ、静かな故郷に帰郷し、仲の良かった莎代里と再会することで心機一転を図ろうとするが、そこで知らされる莎代里の死。意気消沈する比奈子の前に初恋の相手である文也が現れ、恋に落ちる。東京での愛人関係に終止符を打ち、文也との恋を成就させたいと願うが、比奈子らの周囲で不可思議な現象が起こり、死んだはずの莎代里の気配が纏わりつく。そして今――――死者が甦る。
「死者を甦らせること」≒「隠されたものを暴くこと」として描かれていたように感じた。前者は神を汚す冒涜的行為、後者は不用意に行ってはならない行為(「知らなければ良かった莎代里の比奈子への感情」、「愛人を見捨てた過去を思い出してしまう村の老婆」、「意識が無いと思っていた患者に対して行っていた行為を患者自身によって暴かれる看護師」など)、どちらも(程度の差はあれ)”禁忌”として。
(作中の言葉を借りると、)生きている人は、程度はどうあれ、誰もが「亀の甲羅」を被っている(=自身を隠すことで身を守っている)。それを不用意に暴くこと、それは静かに眠る死者を起こすが如く、危険な行いなのだ。
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板東眞砂子のミステリー小説であるが、四国の霊場をベースに死者が蘇る物語。日本ならでは不気味さがあり、面白い。後から映画も見たが、なかなかよくできた映画であった。 板東眞砂子の独特な世界は好きである。
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小さい頃、いろんな時に神頼みをした。縋る術がなかったのもあるけれど、目に見えないものは怖くて偉大だった。
死んだものより、生きているものが強い。そう信じて読んでいたけれど、死者も強い。苦笑
もっといろんなものを大切にしたい。
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四国と死国の意味。古事記をモチーフに、四国が死国であるがため、代々様々な役割をこなす人々。役割に着く前に早世した少女の復活。死者の復活のより、忘れていた過去の過ちにさいなまれる老女。
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展開が早く文章も上手なんでさくさく読めました。
生者と死者の対比が小野不由美の「屍鬼」を連想させる。
少女の粘りつくような執念が恐ろしかった。
怪奇現象に散々悩まされてるわりに主人公の比奈子と文也の行動が能天気すぎる気がした。
読んでる自分ですらぞっとしたんだから、登場人物二人もあんな目に遭ったら暢気にハイキングなんていかずに屋内に閉じ篭ったりするんじゃないかな。
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板東眞砂子。好んで読んでいた作家の一人。生と死、それに纏うような男と女の愛憎。古来伝承を交えながら話が展開していき、どっぷりとその世界に引きずり込まれる。いつもながら、凄い。
「生きていくとは、こういうことだ。山積する問題を背負いこんで歩く。それが亀の甲羅。」だけど「甲羅を抱えこむこと自体、生きていることの証、生者の特権だ。」と…
生とはそういうもの。
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一気に読んでしまった〜!
日本にいる際にどうしてもっと日本古来を知ろうとしなかったかなぁ、って思う。
大変興味深かった。
私、ちなみに四国には一度も行ったことないんです…。
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栗山千明様の表紙ではなく、皆川博子様「巫子」みたいな装画の版で読みました。
映画は観ました。栗山千明様は美しいし夏川結衣さんも美しいし根岸季衣さんは怖いし筒井道隆さんはフラフラしている……あんまり怖くない作品でした。
3人の三角関係が中心だったようで、小ぢんまりしていた印象でした。
原作は、3人が幼少期を暮らした矢狗村や神の谷、石鎚山すべてを巻き込む死者の蘇りで、大ごとになっていました。
復讐される人もいれば、「会いたかった…」と還ってくる人もいました。哀しい。
修験者は石鎚山の山頂で鎮めて、神の谷では再生した莎代里を死の国に戻すために、死の国から日浦康鷹がやってきて連れ帰る。照子さんを振り切りながらなのでアツい…!願わくば、これを大杉漣さんで観たかったな…
狭いコミュニティだと、噂はすぐ広がるから、何か話題が出たら「どこから知られた?どこまで拡がってる!?」と疑心暗鬼になってしまい避けるようになるのはあるある。人も土地も。
四国にはいまだにいったことがないのでますます行ってみたくなりました。
石鎚山、2000m近くあるのか!観てみたいな〜
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四国のお遍路さんを題材にした架空の民間伝承ホラー。
設定は興味深い。本当にありそうな伝承だ。
ただ、小説自体は日常のシーンが多く、純粋に恐怖を感じたい人には少し冗長かもしれない。
スティーブンキングの描く恐怖と日常の対比みないな要素を大切にしている気がした。
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20年ぶりに帰ってきた地元で仲の良かった幼馴染が亡くなっていたことをはじめて知る比奈子。
帰省中に起こる様々な出来事にゾワっとした。
土俗ホラーといった感じで、四国のお遍路や口寄せなど色々盛り込まれていてなかなか面白い。
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高知の風習が描写されていて、いつもながら、高知の山々、自然、川などが目に浮かぶ。登場人物の言動も高知の人間そのまま。リアルと想像をうまく織り交ぜている。
お盆に松明を木の棒の先にくくりつけて、火をつけて高く掲げる。死んだ人が帰ってくるための目印になる。というのは、祖母から教えられた。
『死国』という映画は、ずっと気になっていた。今回読んでみて、ホラー小説という感じがしなかった。
坂東さんの作品はどれも、ひとつのジャンルにはくくれない。
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生者も死者も怖い。
娘を失った母の気持ちはわかるが、母もこの地の呪いのような物に囚われてしまっていたのかもしれない。
ハッピーエンドで終わるかと思いきやの最後のワンシーンで、誰も彼もみな囚われた小さな世界から抜け出せないのだと思った。
本当にありそうな話。
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自分の住んでいる四国を舞台にこれほどまでの土俗ホラーが繰り広げられるのにまず驚いた。寒風山トンネルとか石鎚山とか馴染みのある地名が出てくるので、自分の住んでいるところがとんでもなく恐ろしい死者の地のように感じた。
しかし、この死者を甦らせる逆打ちという儀式、これが本当にあるのか、または言い伝えとして残っているのかは寡聞にして知らないが、このアイデアは秀逸。実際、ありそうだもの。
そして素直にお遍路さんを感心して見る事が出来ないようになりそうだ。
この逆打ちを中心に、四国が死者と生者が同居する“死国”となる展開、そして比奈子の実家の管理人、大野シゲの若かりし頃の不倫の話、儀式として四国霊場八十八ヶ所巡りを村の男が順番に行う男の話、植物人間状態で入院している郷土研究家の莎代里の父と介護する看護婦の話、これら全てが逆打ちに同調して収斂する手際は見事だ。
今回読書中、『八つ墓村』とかの昔の日本の映画の雰囲気を思い出した。あの独特の日本人の魂の根源から揺さぶられる恐怖がここにはある。日本の田舎が持つお化け屋敷的な怖さを感じさせる文章力は素晴らしい。
そして映画は未見だが、恐らく莎代里=栗山千明なのだろう。このキャスティングは見事。イメージぴったりだ。映画も観たくなった。
Posted by ブクログ
結局は三角関係の話。と思うと陳腐だけれど。
四国の自然とか古事記の世界と合わせると、情景が豊かに浮かんでくる。
ちょっと四国が怖くなった。四国の人はどう思ってるんだろう?
結局男は死んだ女のもとに行ってしまうのだけど、そんな呪縛から逃げれないのは不幸なこと。主人公もせっかく帰省したのに踏んだり蹴ったり。東京の彼も終わってるし。
Posted by ブクログ
坂東眞砂子の初期の長編。
これをもって今をときめく坂東のホラーワールドが広がった先駈けとなった作品である。
四国を“死国”に置き換え、石鎚山につながる土俗信仰をうまく絡み合わせて、壮大な物語へと展開させていく力はさすがというべきか。また、“吐息のような光を放つ蛍”なんていう表現は、思わず「うまいなぁ」と感じてしまう。
Posted by ブクログ
映像化したら怖そう。やっぱりこういうホラーって文章ではそうでもないのかな?(「ドグラマグラ」とか「リング」の前半とか、狂気の部分にコないとね)
比奈子と文也の仲が進展していく過程の描写がなんか瑞々しかった。
もう1作くらい読んでみるか?
Posted by ブクログ
個人的にはものすごく好きなジャンル。
四国八十八ヶ所の巡礼?をモチーフにして
古代伝承をふんだんに練り込んだホラー…でいいのかな?
民間伝承-宗教-信仰については個人個人で様々な解釈があるから、どうこう言うつもりはないけど、フィクションとはいえこのような形でこれまでの歴史が変遷されてきているのも事実。
読み物として十分満足できるし、ちょっとした揶揄っぽくも感じる。
ま、ロマンって謳ってるのででその描写もあるけど、その部分だけがちょっと浮いてるように感じた。
Posted by ブクログ
四国八十八ヶ所を逆回りで巡礼すると
死んだ娘が甦る
死者と生者が入り混じった世界にあるのは
永遠のモラトリアムである
大人の自由は欲しいけれども、責任負うのはまっぴらごめん
死国とはそういう願いの国である
その到来が許されないのは、結局のところ生者の嫉妬かもしれないし
頑迷さによるものかもしれない
漠然としたホラー小説だ
おそらく、バブル時代を人間性の死と捉える視点はあるだろう
しかし死者の世が実在する世界観で、なぜ生と死が等価となりえないのか
納得のいく説明はない
ただはっきりしているのは
生に執着する死者が、生者にとっての悪霊でしかないということだけだ
Posted by ブクログ
死者が甦る国、死国。
ちょいちょいと古事記の話も出てきて中々面白かったです。
ただ、チープ感が抜けずに読み進めてしまったので残念。。
終わり方も少しガッカリ。
映画もあるみたいですが、映像にした方が安っぽさ倍増しそう!
Posted by ブクログ
内容(「BOOK」データベースより)
二十年ぶりに、故郷である高知の矢狗村を訪れた比奈子は、幼馴染みの莎代が十八年前に事故死していたことを知った。その上、莎代里を黄泉の国から呼び戻すべく、母親の照子が禁断の“逆打ち”を行なっていたのを知り、愕然とする。四国八十八ヶ所の霊場を死者の歳の数だけ逆に巡ると、死者が甦えるというのだ―。そんな中、初恋の人・文也と再会し、恋におちる比奈子。だが周囲で不可思議な現象が続発して…。古代伝承を基に、日本人の土俗的感性を喚起する傑作伝奇ロマン。
11月16日~19日
Posted by ブクログ
序盤、読みやすく綺麗で湿った感じの文体に惹かれたが、いつまで経っても何も無く終わってしまった感が…。
ラスト、普通に幽霊が出てきちゃうのは興ざめした。
Posted by ブクログ
四国八十八ヶ所の霊場を死者の歳の数だけ逆さに巡ると死者が甦る…、というお話。
読んだことあるんですけど、10月に四国に行く機会があって内容忘れてたのでもいっかい読んでみました。
が。
怖いよー。
うわーん。
お風呂でシャンプーのとき目開けられないよー。