坂東眞砂子のレビュー一覧
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ネタバレ【あらすじ】
土佐の山村で、ワールドワイドな百年物語の幕が開く。
祭りの唄は海を渡り、男と女は血を超えていだきあう。日本人はどこから来て、どこへ行くのか──。濃密な筆致でこの国の根源に迫る大河歴史ロマン!
明治中期、土佐・火振(ひぶり)村の名家、道祖土家(さいどけ)に18で嫁いできた蕗(ふき)。その容貌のため“猿嫁”と陰口をたたかれるが、不思議な存在感で少しずつ道祖土家に根を下ろしていく。近代化への胎動の中、時代は大正、昭和と移ろい、多くの戦の火の粉が火振村にも容赦なく襲いかかって人々の運命を弄ぶ──すべての日本人が得たもの、失ったものを見据え、百年のタイムスパンで壮大に描きあげた、著者の新境地を拓く前人未到の野心作!
(講談社books 商品ページより)
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戦前、戦時、戦後を通して生きた女性の一生を追う中で、生きることのひたむきさや血・家族の絆、命の力強さについて描いた壮大な物語でした。力強い筆致も良かったし、民族文学的な面白さもあり、一気読み出来た。「火振合戦」「七夕女房」「玄道踊り」あたりが好きかな。
蕗という女性の視点で追った話の中で、不思議な(妖的な、神様的な)ものが見えるんだけど、最後の最後、終章でそれがないのが私は残念だった。そりゃ蕗視点じゃないし時代が変わってるから感じ入る感性はここにはもうないのかもしれないけど、啓助の話を好み、蕗に懐いていた十緒子だからこそ最後になにか見たっていいじゃん!?という気持ちになってしまう。我慢の多い人生だったから、その後の蕗が好き放題してるって思いたかった、読者としてはさ…。
面白かったです。
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Posted by ブクログ
ネタバレ自分の住んでいる四国を舞台にこれほどまでの土俗ホラーが繰り広げられるのにまず驚いた。寒風山トンネルとか石鎚山とか馴染みのある地名が出てくるので、自分の住んでいるところがとんでもなく恐ろしい死者の地のように感じた。
しかし、この死者を甦らせる逆打ちという儀式、これが本当にあるのか、または言い伝えとして残っているのかは寡聞にして知らないが、このアイデアは秀逸。実際、ありそうだもの。
そして素直にお遍路さんを感心して見る事が出来ないようになりそうだ。
この逆打ちを中心に、四国が死者と生者が同居する“死国”となる展開、そして比奈子の実家の管理人、大野シゲの若かりし頃の不倫の話、儀式として四国霊場八十八ヶ所巡りを村の男が順番に行う男の話、植物人間状態で入院している郷土研究家の莎代里の父と介護する看護婦の話、これら全てが逆打ちに同調して収斂する手際は見事だ。
今回読書中、『八つ墓村』とかの昔の日本の映画の雰囲気を思い出した。あの独特の日本人の魂の根源から揺さぶられる恐怖がここにはある。日本の田舎が持つお化け屋敷的な怖さを感じさせる文章力は素晴らしい。
そして映画は未見だが、恐らく莎代里=栗山千明なのだろう。このキャスティングは見事。イメージぴったりだ。映画も観たくなった。 -
Posted by ブクログ
富山の薬売り。いく先々の家に、薬箱をおいてもらい、使った分のお代をいただいて、新しい薬を補充していく。そんなあらかたなことは知ってはいるが、実際は、どうだったのか? 台帳をめぐって、南国の島まで、足を延ばした商売がうかびあがってくる。綿密に資料にあたった作品である。ただ、そのありかたと想像的展開は上手く繋がっていない。ある種の読み取りにくさを感じる。旅という異空間の上に、もうひとつ異空間が重なって、物語の輪郭が漠然と拡がっている。もしくは、資料の裏付けのある部分と、物語がせめぎあう。どちらかに軸足をおくと、もう一方が読み取れてない。そんな印象を読み手としてはもつ。