坂東眞砂子のレビュー一覧
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期待したほど怖さはなかったが、面白く読めた。「ホラー」というよりは、角川文庫の惹句のように「伝奇ロマン」というほうが合っているかも知れない。横溝正史へのオマージュか、と思わせる要素がいくつかあり、横溝ファンとしては軽くくすぐられる感じ。だが実は全然関係なくて、自分がタイトルに引っ張られただけ、という可能性は無きにしもあらず。
「怖さ」はそこそこでも良いけれど、禁忌を描くストーリー上、「忌わしさ」「呪わしさ」を演出でもっと煽って欲しかったな、とは思う。読んでて生理的嫌悪感を感じるくらいでないと。
他にも残念な点がいくつか。割と早い段階で、物語の中核である隠された事実がネタ割れしてしまった。こ -
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Posted by ブクログ
「口縫い」と聞いてすぐに思い出すのは、私の棺桶に入れてほしいほど好きな、珠玉の小説『猫を抱いて象と泳ぐ』。しかしこの『くちぬい』は絶対に入れてほしくない(笑)。
夫の強い希望で東京から高知の過疎村・白縫集落に移住した夫婦。定年まで美術教師を務めた夫・竣亮は、ここで趣味の陶芸に打ち込めると大喜び。最初は移住に反対していた妻・麻由子も、震災に遭って放射能汚染の不安を感じてからは賛成に転じる。老人ばかりの住民はみな善人に見えたが、竣亮が陶芸用の窯をつくった場所に文句をつけられる。自分の敷地内に何をつくろうが勝手だろうと竣亮は反発。以来、嫌がらせを受けるようになり……。
著者自身が過疎村に移住して -
Posted by ブクログ
四国八十八ヶ所を逆回りで巡礼すると
死んだ娘が甦る
死者と生者が入り混じった世界にあるのは
永遠のモラトリアムである
大人の自由は欲しいけれども、責任負うのはまっぴらごめん
死国とはそういう願いの国である
その到来が許されないのは、結局のところ生者の嫉妬かもしれないし
頑迷さによるものかもしれない
漠然としたホラー小説だ
おそらく、バブル時代を人間性の死と捉える視点はあるだろう
しかし死者の世が実在する世界観で、なぜ生と死が等価となりえないのか
納得のいく説明はない
ただはっきりしているのは
生に執着する死者が、生者にとっての悪霊でしかないということだけだ