あらすじ
【第15回柴田錬三郎賞受賞作】家業の薬売りを手伝うために妻の静佳とともに富山に戻った麻史は、祖父が残した書き付けから「曼荼羅道」の存在を知る。祖父の蓮太郎は戦時中マレー半島に渡り、部族の娘サヤを現地妻としたのだった。現代を生きる麻史と静佳、戦後を乗り越えてきた蓮太郎とサヤ。二組の男女の人生が、やがて「曼荼羅道」で交錯する。圧倒的な迫力と濃密な筆致で描く家族、愛憎、そして性。傑作長編。
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Posted by ブクログ
曼荼羅道を探しに行くといって出て行ったまま行方不明になった麻史と静佳。
戦局が厳しくなりまた戻るといったまま日本に帰国した蓮太郎とサヤ。
歴史を超えたストーリーに、楽しく読めた。
12/03/22-35
Posted by ブクログ
富山の薬売り。いく先々の家に、薬箱をおいてもらい、使った分のお代をいただいて、新しい薬を補充していく。そんなあらかたなことは知ってはいるが、実際は、どうだったのか? 台帳をめぐって、南国の島まで、足を延ばした商売がうかびあがってくる。綿密に資料にあたった作品である。ただ、そのありかたと想像的展開は上手く繋がっていない。ある種の読み取りにくさを感じる。旅という異空間の上に、もうひとつ異空間が重なって、物語の輪郭が漠然と拡がっている。もしくは、資料の裏付けのある部分と、物語がせめぎあう。どちらかに軸足をおくと、もう一方が読み取れてない。そんな印象を読み手としてはもつ。
Posted by ブクログ
地獄へ続く生者と死者の狭間道、坂東さんの作品は読後に疲れる(笑)
「狗神」「死国」でホラーブームに乗った彼女、僕としては2作品で、もういいやだったんですが・・「旅涯ての地」で見直して、読み続けています。
この「曼荼羅道」は、不可思議な異次元世界とか時を越えた体験とか幻想、SFっぽい面より戦中、戦後の描写に重点を置き、アジアでの日本軍の横暴、従軍慰安婦問題、敗戦後に掌を返した国民性、坂東さんは情と性を突き放して書いてる気がします。読者の目を意識しながらも、媚びていませんね。
しかし・・この作品は入り組み過ぎて・・異次元人物の正体に見落としがありそうな。。読み返す気はないですけど(^^;)