釈徹宗のレビュー一覧
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宗教とは何かを考えるうえで参考になる名著を、4人の有識者がそれぞれ1冊ずつ紹介している本です。
どの章も非常にわかりやすく、宗教(的な考え方)の大事さも恐ろしさも感じさせてくれる作りになっています。
別の本で半分ファンみたいになっている釈徹宗氏の著作だったため購入。認知的不協和や自我防衛機制、成熟した宗教的人格について述べている同氏の章は、読んでいるだけで何だか安心感を覚える内容です。
―宗教はどうしても信じている人と信じていない人との境界を生み出します。その境界ができないようであれば、生きる力にもならないことでしょう。しかし、その境界を超える回路がどれだけ多様にあるか、そこが大切です。( -
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(2024/10/10 2h)
最相葉月『証し』を読み終え、著者について調べたら本書が出てきました。
2024年1月のNHK放送分をまとめたもののようです。
釈徹宗「人間と宗教のメカニズム」(『予言が外れるとき』)★★★☆☆
最相葉月「信仰に生きるということ」(『ニコライの日記』)★★★★★
片山杜秀「絶対的な「信じる心」と戦争の時代」(『大義』)★★★★☆
中島岳志「神はどこにいるのか」(『深い河』)★★★☆☆
宗教にまつわる書について、さまざまな視野から選ばれ、解説されています。
新興宗教と信者と信仰のメカニズムについて、正教の伝導について、天皇信奉(絶対観念)について、与格として -
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宗教とカルトは本当に難しい問題で、おそらく「答え」はないのでしょう。
こういう問題を考えるうえでは、このような複数人での対話が重要になる気がします。
「理解できないと重んじられない、ではなくて、理解する前に重んじる」「宗教的要素を教育から排除してきたことを見直す」といった、自分が普段から考えていることが述べられていて、深く共感しました。
若松さんが「拘束」はカルト化の原因だと述べたあとに、川島さんが宗教においてある程度の拘束は避けられないと、自身のキリスト教徒としての経験から正直な感想を述べていたのが印象的でした。では何が問題なのか、互いに共存できる考え方は何なのか。こういうのは対話によっ -
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(2022/1/8)
2020年、まだコロナ第2波くらい、オリンピック延期、という段階で書かれたアンソロジー。
日本の知性が集結している。多くの方が参加している。
読み始めたとき、それぞれのお名前の横に簡単な肩書しか書かれておらず、
もう少し人物紹介すればいいのに、、、と思ったのだが、巻末にまとめて紹介されていた。
この本は中高生向きなので、それぞれの著者を知らない可能性が高く、人物紹介が長いとかえって予断を持って読み始めてしまうので、避けたのかな、と推察。
私は彼らの著作を結構読んでいるので、背景を知って読むとより立体的に読めた気がする。
一つ一つのコラムにコメントをするのは野暮 -
ネタバレ 購入済み
他宗派の人にも読んで欲しい一冊
2023年10月読了。
長らくの積ん読本から。最近世界を騒がせる紛争地域を眺め、己の信ずる教え(幅広い意味での仏教)について思いを致し、一番「解りにくくて、敬して遠ざけていた」本を読もうと思い立ち、じっくりと読んだ。
かく云う自分は他宗の人間だが、別に出家している訳でも、宗派に拘り信心が取分け篤い人間でも無いので、予てから親鸞と云う人物や『歎異抄』には、少なからず興味があった。
ただ「自家撞着しているかの様な、出口の無い迷路の様な考えの書」と云う勝手なイメージが強くて《迂闊に触れられないぞ》と云う一種の恐さもあったのは、正直に認める。
幸いにして、ここ数年間仏教に関する本を読むことが増えて -
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NHK「こころの時代」を興味深くチェックするようになったのは、本書のもととなった放送を見て以来。よって、本書の購入は記念的な意味だったが、各先生が放送で語られたことを一歩深めて書き下ろしているコラムが追記されていて、より深まった。
”カルト”について考察を進めると、宗教と国家、社会における個人へと問いがつながっていく。その過程が平易な語りでなされているのは、どの先生方も当事者として、危機感をもって関わってきてたからだろう。こうした番組が多くの人の目に留まり日本社会の宗教リテラシー向上につながることを願う。
①カルトの定義②宗教と国家の歴史的把握③宗教間対話の可能性④宗教の意義、役割 -
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玄侑宗久(げんゆう・そうきゅう)
福島県生まれ。慶應義塾大学卒。臨済宗妙心寺派福聚寺住職。
2001年『中陰の花』で芥川賞を受賞。他に『禅的生活』など。現在、政府の東日本大震災復興構想会議委員。
釈徹宗(しゃく・てっしゅう)
浄土真宗本願寺派如来寺住職。相愛大学人文学部教授。専門は宗教学、比較宗教思想。グループホーム「むつみ庵」などを運営するNPO法人理ライフ代表。
主な著書に、『ゼロからの宗教の授業』(東京書籍)、『現代霊性論』(内田樹との共著、講談社)など。
自然を生きる
by 玄侑宗久、釈徹宗
釈 ちょっと話が飛んじゃいますけど、僕ね、以前、アダルトビデオ(AV)監督の -
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内田樹さんんが呼びかけて「中高生向き」に書いてもらった,オムニバス本。わたしが知っていた人は6~7人だが,それぞれの呼びかけが面白かった。
本書のメッセージは,30代~70代の年代別に分かれていて,70代なんて,中高生が大人になった頃はほとんど現役ではないわけで,だからこそ,なにを呼びかけているのかが,気になる。
新型コロナによって暴き出された現代社会の矛盾は,コロナ禍が過ぎ去ったとしても,なんらかの修正を迫られるはずだ。会社に行かなくても仕事ができる…と分かったからには,満員電車に乗って会社へ行くこと自体が,すでに「必要なこと」ではなくなってしまった。密を避けることは,過疎地域では当た -
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NHKEテレの放送内容を振り返りたくて読んでみたけど、各著者の論が放送よりも掘り下げられた内容になっていて読んで良かった。手塚治虫が日本のマンガに与えた影響を、物語構造論、表現技術論、ジェンダー論、宗教論の切り口でコンパクトにまとめられている。手塚治虫は驚くほどの質を伴った量の作品を残している作家なので、手塚治虫論もまた沢山あるけど、本著はコンパクトに多方面の切り口でそれに触れられるので良いと思う。ここ近年では萌え系ファンの間で、ボクっ娘、ケモナーなどもすでに手塚が何十年も前にやっていたことが発見され話題になったが、新しい読み手の視点があればまだまだ手塚作品の魅力が掘り起こしができるかも知れな
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『日本霊性論』内田樹×釈撤宗
東日本大震災以降、新たに日本の霊性を捉え直すというのが本書のテーマ。内田老師が常々仰っていることが新たに霊性という観点で書かれている。
・霊性とは人智を越えたものを感じ取る構え。「ここに何かがありそうだ」という直感を推し進め、とにかく触ってみる。そして、それを様々な用途で検討し続ける、そのようなブリコロール的な知性も、ここでは霊性と呼べるであろう。非常に面白いのは、科学的知性と宗教的知性は本質的に同じものであるという記述である。「神の摂理が存在する。宇宙の全てを統御している理法が存在するという宗教的な覚知と、万象の背後には数理的な秩序が存在するという直感は構造 -
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この夏は長崎に行きたかったが、コロナで行けず、代わりにと手にしたのが本書。キリシタンをテーマに長崎、大阪を紀行する。内容的には潜伏キリシタンを多く扱っている。
釈徹宗、内田樹両先生の当意即妙なやり取りが心地よい。出典等はなく、学術的なものではないのだが、ラフな「しゃべくり」の方がこのコンビには合っている気がする。特に内田先生がその土地に触れて反射的に発するコメントにはキラリと光るものがある。信長や秀吉は成長型の社会システム、家康は定常型として、アメリカも実は定常系なんだというのは面白い指摘だと思う。
4年前の刊行なので、その後、社会は変わっている。アメリカの定常的な社会に、中国が対抗できるほど