釈徹宗のレビュー一覧
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ネタバレ比較を通じて法然・親鸞・一遍という浄土仏教の三祖を学べる本。
タイトルの三者を比較するというだけではなく、他の仏教徒を持ち出して比較しているところも多い。たとえば、法然を痛烈に批判した明恵、親鸞が曇鸞に傾倒したこと、など。こういうのはなかなか勉強できない点なので、参考になった。
法然はそれまでの仏教を脱構築して「二項対立による選択の論理」にとらえなおしたこと、親鸞の改読、一遍は、法然による仏教の「二項対立への組み換え」を中空化・同一化へ回帰させた、などそのほかの点でも勉強になったことが多かった。
現社の授業で話す余裕がないのが惜しい。 -
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内田樹篇の平成を振り返るエッセイ集。最初に内田氏が言っているように、自由に書いてもらったので統一感はないが、それぞれの書き手の専門分野に応じて、いろいろな平成の断面が見える。中には内田氏ファンである読み手の存在を忘れているのではないかと思われるものもあったが、総じて興味深く読めた。面白かったのはブレイディ氏の英国的「ガールパワー」と日本的「女子力」が全く真逆の意味になるという指摘だった。前者は、女が、女たちの支持を得て女たちをインスパイアすることだったが、後者は、女が、男たちの支持を得て男たちに愛されてほかの女たちより上に立つことだという、なるほど、双方の国民性の一端を垣間見せてくれている。
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釈徹宗・若松英輔著『宗教の本質』の感想です。
他の著作で目にしたことのあるお二人の新刊を見かけて購入。やはりいいですね。言葉ではうまく表現できませんが、自分の知らない斬新な視点を提示されつつ、なぜか共感できる安心感のようなものを感じます。
マルティン・ブーバーやキルケゴールの受け売りのようですが、自分自身も「宗教の本質は不合理である」というのがしっくり来ます。イサク奉献がその代表。
ちなみに個人的には「科学の本質は再現性である」と思っています。
そう考えると「宗教が常に個人的体験とともにある」とすれば、やはり科学と宗教は本質的に別の世界を対象としているのではないかと思いました。
だからと -
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ネタバレ「ゲゲゲの謎」という映画が流行っている昨今、水木さん入門書として良い、というトゥートを見かけたので購入。
水木さんの漫画・人生に自分の語りたいことをおっかぶせている様子も、後半ちょっと散見されるが、水木さん本人のおおきさが上回って語りきれない感じなので、たしかにかえって入門書としてはよかったと思う。わたしの手元にはいま「総員玉砕せよ!」があって、このあともしかしたら「のんのんばあとオレ」を買うかもしれない。
嫌いだというのに人間中心主義(ヒューマニズム)の夢を見てしまいがちだったのだが、そこに、人間もひとしく生きて死ぬだけという価値観をぽんっと放り込んでもらったので、ちょっと読み返しながら自分 -
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安部元首相殺害で関心が集まる宗教、カルトの世界。容疑者家庭における母親の一億円寄付、家庭崩壊がいわれるが、ではなぜ宗教にそこまで入れ込んだかという視点も必要ではないか、というのが冒頭の問題意識としてあった。読んでいくと、本来宗教とは、そういうものではないんだな、と思ったね。ただ、宗教の力を利用して、そういうことをする集団もある、と。見分けるポイントは「恐怖」「搾取」「拘束」する集団であるかどうか。あと「嘘」をついていないか、ということも言われていた。
「宗教というのは、その扉に鍵がかかっていないはずなんです。もしなんらかの宗教画内側から鍵をかけるようなことがあれば、それは宗教と呼ぶには値しな -
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平成元年は1989年、「ベルリンの壁」の撤去が始まった年であり、その後の東西ドイツ統一、ソ連を含めた東側陣営の崩壊、東西冷戦の終結へと向かっていく最初の年であった。また、この年の12月29日には、日経平均株価が38,915円の最高値をつけ、バブル経済の絶頂を迎えている。この年が絶頂であったということは、平成の時代を通じて、日本の経済は停滞あるいは衰退を続けていったということだ。
平成が終わったのは、平成31年、2019年のことだ。昭和が終わり平成が始まったのは、昭和天皇のご崩御によったわけであるが、平成が終わり、令和が始まったのは、平成天皇・明仁天皇が自ら退位の意思を示されたからであった。
平