大森望のレビュー一覧

  • 三体3 死神永生 上

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    二巻の雰囲気とはガラッと変わって一巻に近いテイストで好き。

    暗黒森林理論が活かされているのもよいですね。SF的には既にぶっ飛んだ設定なのでハードSFとしてはどうかと思うが (何でもありの半分エンターテイメントSFとしては楽しい) 、三体は心理描写が結構書かれていているのが良いですね。地球艦隊乗員、雲天明等にしても人類全体のマクロ視点でも。ところどころ、なぜそうなる?の箇所もあるけれど気にしない。

    さあ、次はいよいよ最終巻下巻。序盤の魔女の話と繋がるのかなあ。単に何か暗示なのか。

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    2025年06月03日
  • 老神介護

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    劉慈欣が紡ぐ物語には、想像を超えるスケールと、壮大な設定を物語の終わりまで力強く貫き通す筆力があり、その圧倒的な構想力にはただ驚嘆するばかりだ。

    中国SFがこれほどまでにスケールの大きな作品を生み出す背景については、単に中国人が壮大な妄想を好むからという説明だけでは不十分だという興味深い指摘がある。政府や国家体制への直接的な批判が許されにくい中国の環境下では、現実世界の崩壊やそれに対応できない政治の姿をリアルに描くことは難しい。結果として、作家たちは現実から一歩引いた視点を取り、自然と物語の舞台を地球規模、さらには宇宙規模へと広げるようになるという。この見方には深く頷かされるものがあった。

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    2025年05月27日
  • 三体3 死神永生 下

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    ネタバレ

    上下まとめての感想。昔はもっと高次元で光速も速かったって分かる下りはぞくっとしたし面白かったけど、中盤辺りは描写が多くて読むのにちょっと疲れちゃう。Ⅱが一番好きだったな。童話に伏線があるという構成はすごく面白かったから、そこをもっとたくさん読みたかったとも思う。

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    2025年08月16日
  • 三体2 黒暗森林 上

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    中盤までは話のペースがゆっくりで読むのが少し辛かったが、後半は面壁者計画の内容に踏み込んでくれるのでサクサクと読み進めることができた。まだ、具体的な計画の内容などは明かされていないので、下巻が楽しみ
    ただ、やっぱり読むのにかなり時間がかかるので少し時間を空けて続きを読みたい

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    2025年05月17日
  • 三体0【ゼロ】 球状閃電

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    ネタバレ

    やはり面白かった。『三体』三部作のスピンアウト作品、と位置付けされているが、先にこちらを読んでから、三部作を読む順番の方が良い気がする。
    というのは、本作品では、球電の謎が解き明かされていくに従って、量子状態やマクロ電子など取っ付きにくい言葉で説明される超(?)自然現象が、あたかも我々のいる世界で起きているかのようにすっとイメージを抱けるのではないかと思ったから。
    ある程度の現代物理学の基礎知識があった方が楽しめるシリーズだと思うので、三部作の壮大×100倍位のスケールで、いきなり馴染のない言葉を追っかけるよりも、まず我々の世界と地続きにある本作品の世界で馴化しておくと、より楽しめるのではない

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    2025年05月16日
  • 流浪地球

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    「三体」で知られる劉慈欣の短編集。どの作品も壮大でスケール感あふれるアイデアが詰まっていて非常に読み応えがあった。

    宇宙人の襲来や太陽の爆発といった多様なシナリオで地球が滅亡の危機に瀕し、登場人物たちが極限状況の中で揺れ動く心理がリアルに描かれている。

    全体を通して外れのない充実した内容だが、中でも作者自身が登場する異色のコメディSF「呪い5.0」は、独特のユーモアが際立っており、印象深かった。

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    2025年05月14日
  • ザップ・ガン

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    話しの設定は面白いのですが、構成に難ありといった感じ。そのあたりのことは、あとがきに著者の言葉が掲載されていますが、個人的には充分楽しめました。

    あらすじ:
    2004年、世界は東西両陣営に分かれた冷戦下にありました。その両陣営共に、武器開発は超次元空間に意識を浮遊させ、トランス状態になって独創的な殺戮兵器をスケッチすることにより、アイデアを得る方法が取られていた。その職種は、兵器ファッション・デザイナーと言われ、西側はラーズ・パウダードライ、東側はリロ・トプチェフが担っていた。しかし、これらのアイデアを反映した兵器は、新兵器のデモンストレーションと称して、実際のことのようにドラマ仕立ての映像

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    2025年05月04日
  • 人間以前 ディック短篇傑作選

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    ディックの短編種って、正直長篇より好き。短い物語の中にいっぱいのアイデアとたくさんの驚きが含まれているから。

    そんな本書はファンタジー多め、ホラー多め。「ナニー」や「フォスター、おまえはもう死んでるぞ」からは大量消費社会への皮肉が強く表れていたりと、当時の時代背景を感じさせられる作品もちらほら。
    なかでも中篇に該当する「宇宙の死者」は読みごたえもあっておもしろい。

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    2025年04月29日
  • 三体2 黒暗森林 上

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    Ⅱは面白い、出てくる案は、あまりにも壮大ではあり、想像を絶する。印象として、Ⅰよりとっつきやすく、のめり込む。Ⅰで挫折するのはもったいない、Ⅱから読んでも良いのでは、とさえ感じる。Ⅰで挫折した方には、ぜひ読んで欲しいと感じた。

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    2025年04月28日
  • 三体0【ゼロ】 球状閃電

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    ネタバレ

    やっぱしスケール、規模感よな

    扱う内容がどれも自身の生活の範疇を超えすぎていて、ニヤけてしまう。
    最強の武器とは?球電とは?

    そんなスケールを扱いつつ、叙情的でいちこましい描写が並び、そちら側でない人間の心にも寄り添ってくれたりしてにっこり。

    男と女の関係性に関しては今作もほぼノータッチ、一方通行な恋慕があるだけ。まあこの作品はそれでいいんですよ。男女の関係はここに求めていないから。

    シュレディンガーの猫やシェイクスピアを引用した人間存在が描かれているのは興味深いし、様々な武器を紹介するところは驚きとともに恐怖でもある。液体地雷とかね。

    SFが強みだけどサイエンスフィクションの先端に

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    2025年04月12日
  • 銀河の壺なおし〔新訳版〕

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    “父親は壺なおし(ポット・ヒーラー)だった。そして彼も、壺なおしを仕事にしている。”と、印象的な書き出しではじまる原題もそのままズバリ『Galactic Pot-Healer』。
    映画スターウォーズ顔負けの多種多様な宇宙人がでてくる、彼独特の虚構世界を描いたSF小説でしたが、タイトル同様にディック特有の笑える箇所も多くて読みやすい作品。ディック好きなら読んで損はないと思います。

    あらすじ:
    腕利きの陶器修復職人であるジョー・ファーンライトは、荒廃した管理社会と化した地球で7か月も仕事の依頼がない失業状態にありました。陶器はプラスチック製に取って代わられ、父から受け継いだ職人技を振うこともでき

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    2025年04月06日
  • トータル・リコール

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    SF短編集。10篇入っていて手軽で読みやすい。タイトルの映画に原作があるのを知らなかったので手に取った。骨子は小説から取っているが、かなり膨らませて映画にしたのだなぁと思った。

    他の話も意外なものに助けられるような展開や、前提の立場が入れ替わることで話の流れが変わるようなものが多く、面白かった。
    個人的には、テレパスが当たり前にあり、頭の中を読まれることを拒むことが悪いこととされている世界で、精神走査を拒絶するためのフードが送られてくる「フード・メーカー」が好みだった。

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    2025年03月30日
  • 新編 SF翻訳講座

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     最近は海外SFの文庫本の価格が高騰している。1冊1,000円超が普通。購入層が少ないのだろうか。SFの翻訳状況を確認したく再読。といっても本書は、SFマガジンに1989年から1995年に掲載されたエッセイがもとになっている。2006年に再編集し、新編となって出版されたものだ。でもSFの翻訳状況は、当時からそれほど変わっていないようだ。
     「弊機」という訳語を生み出した中原尚哉氏が、若手翻訳家として取り上げられていたりするのが面白い。

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    2025年03月27日
  • 三体2 黒暗森林 上

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    スピードが上がった!(私の読むスピード)
    しっかり面白くなってきた。1巻での躓きを取り返すべく読み進められる面白さ。しかし情報量が多くて、多少ページ数も多い。味わい、理解しながら読む本だなとつくづく。

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    2025年03月26日
  • 三体2 黒暗森林 上

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    面壁計画がいかにも終末世界のSFという感じでワクワクさせられた!ルオ・ジーの行動がどうつながっていくのか分からないが、下巻が楽しみだ。

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    2025年03月24日
  • 小さな黒い箱 ディック短篇傑作選

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    なかなか理解するのに苦労する作品もあったが短編ということで、挫折することなく読みきれた。
    傍観者の「産業資本家が、自分たちの商品を買わせよう、消費させようと、大衆を煽り立てていた。たまたまその宣伝の中心にあったのが〜〜」現代にも通づるなと思った。
    私たちも作られたムーブメントの中で生きている

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    2025年03月08日
  • 息吹

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    ネタバレ

    第一作品集は全作面白かったが、本作9編もまた、全作面白い。
    ひとつひとつ感想は書かないが、第二作品集は親子のテーマが多いせいか、人の善性を歌い上げるような話が印象的。
    もちろん、徹底した思弁と、辛い状況をふまえて、なお人には自由意志があるのだ、と。
    絵面としては「息吹」が可愛くてお気に入り。

    ■「商人と錬金術師の門」
    ■「息吹」
    ■「予期される未来」
    ■「ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル」
    ■「デイシー式全自動ナニー」
    ■「偽りのない事実、偽りのない気持ち」
    ■「大いなる沈黙」
    ■「オムファロス」
    ■「不安は自由のめまい」
    ◇作品ノート
    ◇大森望 訳・解説

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    2025年03月07日
  • 流浪地球

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    『三体」の作者劉慈欣氏の短編集。読み応えありました。
    「山」という作品が私は一番好きです。続いて「呑食者」「呪い5・0」も好きだなぁ。
    思考の枠を外してくれるようなお話が好きな人はぜひ一読を。

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    2025年02月20日
  • 白亜紀往事

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    老神介護の短編を読んだ後に読みました。短編のときと大きく異なるのは文明の勃興期がより詳しく描写されていること。人類の大航海時代よろしく蟻文明にも恐竜の体内を探索する時代があったとかいう発想も面白い。第一次竜蟻戦争の顛末も面白く、短編に書かれていない部分は楽しく読むことかできたけれど、後編以降はすべからく短編と同じです。

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    2025年02月02日
  • 流浪地球

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    面白い。ロマンを追い求める作品が多かった。特に山なんかは知的生命体が知的生命体である所以として知的好奇心を華々しく描いており、なかなかに胸に来るものかある。また、中国太陽は農村出身の窓ガラス清掃員があろうことか宇宙空間にまで行くという壮大なストーリーであり、夢を忘れないことの大切さを教えてくれる。おおむねこのような評価ができる良い作品軍。呪い5.0は微妙。

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    2025年01月31日