大森望のレビュー一覧

  • 人間以前 ディック短篇傑作選

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    久しぶりのF.K.ディック。短編集。
    しかもPSYCHO-PASSを読んだ後での「シビュラの目」はなかなか運命的な出会いと言わざるをえない。

    「地図にない町」は三崎亜記を彷彿とさせるテーマ。地図にない町に住んでいるという乗客から、世界の境目が次第に揺らいでゆく。

    「新世代」「ナニー」のような、ロボットを用いたシニカルなSFも面白い。
    子供の教育を完全にロボットに任せ、それが最善と信じて疑わない社会。そんなバカな、と当時の読者が思った以上にはリアルに近付いている。

    またタイトル「人間以前」も衝撃的。
    人口増加率をゼロにするためにとられた積極策。それが12歳以下の魂のない子供を「人間以前」と

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    2015年08月18日
  • オール・クリア1

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    イライラは募る一方ですな。同じ空襲でも、本作のロンドン空襲と、例えば『ガラスのうさぎ』で描かれた東京大空襲、『ものすごくうるさくてありえないほど近い』のドレスデン大空襲とは、えらくイメージが違う。戦勝国と敗戦国の差か。勿論SFと実録ものの差もあるだろうが。ダグラスとメアリ・ケントの正体は判明。残るはアーネストだ。2でわかるよね。

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    2015年08月16日
  • オール・クリア1

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    2060年から来た史学生3人(ポリー、マイク、アイリーン)が、第二次世界大戦下のロンドンに取り残され、未来に戻る手段が見つからない。
    何が起こっているのかはわかってきたが、なぜそのようなことになったのかはまだわからない。

    未来から来た人間が過去に介入することによって歴史を変えることが許されない。
    しかし戦時中、何がどう転んで人を死に追いやったり、または失われるはずだった命を助けてしまうかわからない。
    また、自分自身が死んでしまうことももちろん避けねばならない。

    そのためには一刻も早く未来にも出らなければならないのに、手掛かりが見つかったかと思うと、勘違いだったりすれ違いだったりして、思うに

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    2015年04月08日
  • 人間以前 ディック短篇傑作選

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    表題作が興味深いのだが、巻末収録短編のタイトルが「シビュラの目」である…
    私はSFを完全に誤解していたなぁ、だから手を出さなかったんだろう、SFは全てにおいて「無機質なもの」と思い込んでいた。人間の在り方も科学的に進んでしまう事で精査され、人間味が薄れ、設定の奇抜さを楽しむもんだと思い込んでた。設定の奇抜さで競う、と言うのはBLにもある側面だ。
    収録作の『ナニー』に差し掛かっているが、ほぼ球体のアンドロイド家政婦ロボットの話。旧式は新式と対決すると、性能の差、と言う絶対値を打ち破る事は出来ない。人間の様に「火事場のクソ力」なんてものはスペックになければ出すことが出来ない。旧式のロボットは修理す

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    2016年07月24日
  • ブラックアウト

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    『ドゥームズデイ・ブック』『犬は勘定に入れません あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎』に続く、オックスフォード大学史学部タイムトラベル・シリーズ第三弾。

    今回は三人の史学生がほぼ同時に第二次大戦中のロンドンへ降下する。
    タイムトラベルといっても過去へ行くことしかできず、時間旅行者が歴史に影響を与えることはできない。時間旅行も、大学が研究目的で時間遡行装置を管理しているので、誰でもが簡単にいくことはできない。
    当時の人たち(時代人)の中で生活をしながら、歴史的事実を見学するだけなのだ。

    ポリーは、ロンドンのデパートで働きながら、ロンドン大空襲下の日常生活を体験する。
    マイクルは、アメリカ

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    2015年03月27日
  • vN

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    これは、「ブレード・ランナー」その後ですね。

    タイトルのvNは現在の主なコンピューターの基礎理論を確立したフォン・ノイマンからきています。
    主人公はフォン・ノイマン式自己複製ヒューマノイドの女の子。果たして、脳がフォン・ノイマン式どおり逐次処理を行っているのか?等、科学的な突っ込みどころは満載。ディックの原作からブレード・ランナーという映画になっても流れていた人間とは?といった思索をめぐらせるようなテーマを持っているわけではなく、スプラッター&アクション&ラノベ的ラブの連続。でも面白い。ところどころ、何を描写しているのかわかりにくいところもありますが、これがデビュー作とは。すごいなぁ。

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    2015年01月10日
  • 犬は勘定に入れません(下) あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

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    長さを抜きにすれば、お気楽に読めるけど、
    あちらこちらに散りばめられたヒントや、
    複雑にしようとしていると思える仕掛けに
    気づいて楽しむには、人物たちに惹きこまれて
    じっくり読むのが一番。
    引用を多用するテレンスも気取り屋ではなく
    夢見がちで嫌味のないイイヤツだし。
    19世紀の謎は、早くにわかるけど、
    「そこと、掛かっていたいたか!」と。
    イングランドの建築や美術、古典や詩だけではなく、
    推理小説も知っているとより楽しめるのだろうが、
    知らなくても、この世界を楽しめる。

    前作に続きフィンチ君、抜群の安定感、癒し系。
    天職を見つけます。

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    2014年12月26日
  • 犬は勘定に入れません(上) あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

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    『航路』『ドゥームズデイ・ブック 』の
    シリアス路線とは一味違うコメディ。
    語り手、主人公が疲労困憊で混乱気味なので
    最初の方は混乱に付き合わされて読みにくいが、
    周りの見えないマイペースな登場人物、
    当初自分すら見失っている主人公、愛すべき動物
    に魅力的なヒロイン。ドタバタコメディラブロマンス
    にならない方がおかしい、娯楽作の要素たっぷり。
    数多く繰り返される引用、ヴィクトリア朝、
    知らないことに興味をひかれて調べるのも副作用。

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    2014年12月18日
  • 航路(下)

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    こんなことになるなんて…
    どうしてウィリス作品の登場人物たちは人の話を聞かないんだろうか
    どんでん返しがいつくるかないつくるかなと淡い期待をして辛いけど最期まで読んだ
    喪失感
    はあ…

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    2014年10月17日
  • ドゥームズデイ・ブック(下)

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    二つの時代の疫病の蔓延で、物語は加速する。
    わかっているのよ、創作だということも
    すでに700年前に結果が出ているということも。
    でも年代が判明した瞬間、
    あの人(達)が亡くなった(とわかった)時
    何度か震える一行があった。
    なによりキヴリンの最後の一言は、
    文字通りにとってよいのだろうか。

    途中、若さゆえ活き活きと頼もしくもあった
    最終盤では、それがわずらわしくもあるコリンが
    成長して出るなら、シリーズは全部読まないとね。
    もちろん空襲警報も読みなおそう。

    他の方感想に「長い」とあるが、確かに長い。
    (いや、今年ようやく読み終わった『レ・ミゼラブル』
    各巻冒頭100ページに比べたらなんで

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    2014年10月14日
  • ブラックアウト

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    航時シリーズ。同シリーズの「ドゥームズデイ・ブック」「犬は勘定に入れません」を読んで無くても読める…が、読んでおくことをお勧めする。ネットの原理や過去の事件に言及している部分など、今作から入ると「?」な部分が多すぎると思う。

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    2014年09月01日
  • 航路(下)

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    確かに第2部終盤には驚かされた。
    そして、そこから始まる並行の物語は
    (現実では並行ではないけど)
    本当に静かな余韻を漂わせるラストへ。
    帯にあるような「魂を揺さぶる感動巨編」とまでは
    思わないが臨死体験を通して生と死に向き合う。

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    2014年08月22日
  • 航路(上)

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    確かに650ページ超の(それも上巻だけで)は長い。
    けど、深く知りたいと思いのめりこむ人たちと、
    自分が信じたい(他人に刷り込まれた)ことに
    飛びつく人たちとの対比や、病院内と病院外、
    わかりやすいキャラ設定(ティッシュとか)
    リズムも彩りも豊かで読むのは苦にならない。
    何より、各章の冒頭にある最期の言葉のように
    謎多く、ドタバタしながらも、しっとりと
    落ち着き、詩的なムードが根底を支配している気がして
    どんな結末を迎えるのか楽しみ。

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    2015年11月12日
  • NOVA1【完全版】

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    SFにそれほど強くはないのですが。
    やっぱり、伊藤計劃さんの物語力は凄いと思った。本当にその死が惜しまれる。
    『かめくん』が大好きなので、北野さんの作品が読めたことも嬉しかった。

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    2014年06月28日
  • ブラックアウト

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    波に乗っちゃえばわりあい一気に読めるけど、でもやっぱり長い・・・しかしタイムトラベルって興味あるけど、いくら歴史を目撃したい体験したいと思っても、戦時中に行きたいとは思わないなあ・・・

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    2014年04月11日
  • オール・クリア2

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    私の評価基準
    ☆☆☆☆☆ 最高 すごくおもしろい ぜひおすすめ 保存版
    ☆☆☆☆ すごくおもしろい おすすめ 再読するかも
    ☆☆☆ おもしろい 気が向いたらどうぞ
    ☆☆ 普通 時間があれば
    ☆ つまらない もしくは趣味が合わない

    レビューは前編に

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    2014年01月11日
  • 航路(下)

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    面白かった。
    二日がかりで一気に読みました。
    臨死体験が薬によって再現できる、という設定の元に認知心理学者の主人公が擬似臨死体験のプロジェクトに参加することになるのですが、そのうち自身がその被験者となり、そこで行った先は何とあの歴史上有名なアノ場所だった!と分かるところで第一部が終了します。この辺りで上巻の半分強、ここまでは多少冗長な展開なところもありましたが、そこから先の上巻の終わり、そして衝撃的な第二部のくくりを経て最後へと続くところはまさにノンストップノベルという感じ!訳者があとがきで作者コニー・ウィリスは常々日本の宮部みゆきだと言っているのだが、と書いてますが、まったく同感です。衝撃的

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    2014年01月06日
  • ドゥームズデイ・ブック(下)

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    どうして誰も人の話を聞かないのか…。登場人物たちの身勝手さに読んでてイライラするのはいつものウィリスだが。我慢して上巻の最後のページまでくればすぐさま下巻を読みたくなること間違いなし。過去も現代もパンデミックのためバタバタ人が死んでいく。その凄惨さの中で唯一の救いがコリンの明るさ。「ブラックアウト」に成長したコリンが出てくるらしいので楽しみだ。(ろくでなしの母親しかいないのに何故名門イートンに入れたのか気になる)。
    あと、ボドリアンをボドレアン、ベイリオルをベイリアルとするなど、どうしてそのカタカナ表記にした?という細かいことが気になって仕方ない。

    キブリンのその後は短編『空襲警報』でどうぞ

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    2014年04月09日
  • ドゥームズデイ・ブック(上)

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    歴史調査で1320年に行くという話。タイムトラベルもので過去の描写が丁寧。でも、タイムトラベルだけで話が進まないのが面白い。

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    2013年12月01日
  • アジャストメント ディック短篇傑作選

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    「にせもの」のスリル、
    「おお!ブローベルとなりて」「ぶざまなオルフェウス」の黒い失笑、
    「さよなら、ヴィンセント」の切なさが、特にも印象的だった。
    小説ではなく、著者の論考である「人間とアンドロイドと機械」も収録されていて
    SFを通じて著者が何を熟考し、表現したかったのかが、ひしひし伝わる。
    書くことは戦いであり探究、という印象を得た。
    「ペンと剣」という言葉を思い出した。

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    2013年11月23日