大森望のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
久しぶりのF.K.ディック。短編集。
しかもPSYCHO-PASSを読んだ後での「シビュラの目」はなかなか運命的な出会いと言わざるをえない。
「地図にない町」は三崎亜記を彷彿とさせるテーマ。地図にない町に住んでいるという乗客から、世界の境目が次第に揺らいでゆく。
「新世代」「ナニー」のような、ロボットを用いたシニカルなSFも面白い。
子供の教育を完全にロボットに任せ、それが最善と信じて疑わない社会。そんなバカな、と当時の読者が思った以上にはリアルに近付いている。
またタイトル「人間以前」も衝撃的。
人口増加率をゼロにするためにとられた積極策。それが12歳以下の魂のない子供を「人間以前」と -
Posted by ブクログ
2060年から来た史学生3人(ポリー、マイク、アイリーン)が、第二次世界大戦下のロンドンに取り残され、未来に戻る手段が見つからない。
何が起こっているのかはわかってきたが、なぜそのようなことになったのかはまだわからない。
未来から来た人間が過去に介入することによって歴史を変えることが許されない。
しかし戦時中、何がどう転んで人を死に追いやったり、または失われるはずだった命を助けてしまうかわからない。
また、自分自身が死んでしまうことももちろん避けねばならない。
そのためには一刻も早く未来にも出らなければならないのに、手掛かりが見つかったかと思うと、勘違いだったりすれ違いだったりして、思うに -
Posted by ブクログ
表題作が興味深いのだが、巻末収録短編のタイトルが「シビュラの目」である…
私はSFを完全に誤解していたなぁ、だから手を出さなかったんだろう、SFは全てにおいて「無機質なもの」と思い込んでいた。人間の在り方も科学的に進んでしまう事で精査され、人間味が薄れ、設定の奇抜さを楽しむもんだと思い込んでた。設定の奇抜さで競う、と言うのはBLにもある側面だ。
収録作の『ナニー』に差し掛かっているが、ほぼ球体のアンドロイド家政婦ロボットの話。旧式は新式と対決すると、性能の差、と言う絶対値を打ち破る事は出来ない。人間の様に「火事場のクソ力」なんてものはスペックになければ出すことが出来ない。旧式のロボットは修理す -
Posted by ブクログ
『ドゥームズデイ・ブック』『犬は勘定に入れません あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎』に続く、オックスフォード大学史学部タイムトラベル・シリーズ第三弾。
今回は三人の史学生がほぼ同時に第二次大戦中のロンドンへ降下する。
タイムトラベルといっても過去へ行くことしかできず、時間旅行者が歴史に影響を与えることはできない。時間旅行も、大学が研究目的で時間遡行装置を管理しているので、誰でもが簡単にいくことはできない。
当時の人たち(時代人)の中で生活をしながら、歴史的事実を見学するだけなのだ。
ポリーは、ロンドンのデパートで働きながら、ロンドン大空襲下の日常生活を体験する。
マイクルは、アメリカ -
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これは、「ブレード・ランナー」その後ですね。
タイトルのvNは現在の主なコンピューターの基礎理論を確立したフォン・ノイマンからきています。
主人公はフォン・ノイマン式自己複製ヒューマノイドの女の子。果たして、脳がフォン・ノイマン式どおり逐次処理を行っているのか?等、科学的な突っ込みどころは満載。ディックの原作からブレード・ランナーという映画になっても流れていた人間とは?といった思索をめぐらせるようなテーマを持っているわけではなく、スプラッター&アクション&ラノベ的ラブの連続。でも面白い。ところどころ、何を描写しているのかわかりにくいところもありますが、これがデビュー作とは。すごいなぁ。
レ -
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二つの時代の疫病の蔓延で、物語は加速する。
わかっているのよ、創作だということも
すでに700年前に結果が出ているということも。
でも年代が判明した瞬間、
あの人(達)が亡くなった(とわかった)時
何度か震える一行があった。
なによりキヴリンの最後の一言は、
文字通りにとってよいのだろうか。
途中、若さゆえ活き活きと頼もしくもあった
最終盤では、それがわずらわしくもあるコリンが
成長して出るなら、シリーズは全部読まないとね。
もちろん空襲警報も読みなおそう。
他の方感想に「長い」とあるが、確かに長い。
(いや、今年ようやく読み終わった『レ・ミゼラブル』
各巻冒頭100ページに比べたらなんで -
Posted by ブクログ
面白かった。
二日がかりで一気に読みました。
臨死体験が薬によって再現できる、という設定の元に認知心理学者の主人公が擬似臨死体験のプロジェクトに参加することになるのですが、そのうち自身がその被験者となり、そこで行った先は何とあの歴史上有名なアノ場所だった!と分かるところで第一部が終了します。この辺りで上巻の半分強、ここまでは多少冗長な展開なところもありましたが、そこから先の上巻の終わり、そして衝撃的な第二部のくくりを経て最後へと続くところはまさにノンストップノベルという感じ!訳者があとがきで作者コニー・ウィリスは常々日本の宮部みゆきだと言っているのだが、と書いてますが、まったく同感です。衝撃的 -
Posted by ブクログ
どうして誰も人の話を聞かないのか…。登場人物たちの身勝手さに読んでてイライラするのはいつものウィリスだが。我慢して上巻の最後のページまでくればすぐさま下巻を読みたくなること間違いなし。過去も現代もパンデミックのためバタバタ人が死んでいく。その凄惨さの中で唯一の救いがコリンの明るさ。「ブラックアウト」に成長したコリンが出てくるらしいので楽しみだ。(ろくでなしの母親しかいないのに何故名門イートンに入れたのか気になる)。
あと、ボドリアンをボドレアン、ベイリオルをベイリアルとするなど、どうしてそのカタカナ表記にした?という細かいことが気になって仕方ない。
キブリンのその後は短編『空襲警報』でどうぞ -