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〈ヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞受賞〉中世にタイムトラベルした史学生キヴリンの身を案じるダンワージー教授は、未来で奮闘をつづけるが……
21世紀のオックスフォードから14世紀へと時をさかのぼっていった史学生のキヴリン。だが、彼女が無事に目的地にたどりついたかどうか確認する前に、時間遡行を担当した技術者が正体不明のウイルスに感染し、人事不省の重体に陥ってしまった。彼女の非公式の指導教授ジェイムズ・ダンワージーは、キヴリンの無事を確かめるために、新たな技術者を探そうと東奔西走するが!? ヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞を受賞したウィリスの感動の大作。 /掲出の書影は底本のものです
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Posted by ブクログ
☆4.5
結構シリアスな展開な作品なので確かに読むのは疲れるけども、じゃあそこで読むのやめられるかってんだ。
だって希望が欲しいじゃないか。
その希望をくれるのがコニー・ウィリスじゃないか。
二つの時代で起こる感染症。
14世紀はメカニズムが判明していない故に、21世紀は世界が発展してるが故に、感染は広がる。
特に21世紀パートはコロナを経験した今、事実に即してると思えるほどの描写。
トイレットペーパーのくだりとかも、笑っちゃうけどフィンチは真剣そのもの。
貧乏くじな彼、結構好き。
下巻は特に第三部に入るともう怒涛の展開。
優しい人も、嫌いな人も、聡明な人も、人の話聞かない人も、尊敬する人も、面倒くさい人も。
それが訪れるのは誰もが同じ。
怖いしつらい。
14世紀の孤立無援な中、無力なことに打ちひしがれながらもできることをやり続けるキヴリンを本当に褒め称えたい。
物語の前半で何気なく使われてるものが、後々意味の重みが変わってくるのは『航路』の時もそうだったけど、とても印象的だった。
流石"対"と言われることも多いだけある。
パンデミックのことだけでなく、時間遡行から無事に戻れるかというサスペンスフルな話でもあるので、隅から隅まで浸らせてくれた。
Posted by ブクログ
タイムトラベルによって実地的な歴史研究が行われるようになった近未来が舞台の、“オックスフォード大学史学部シリーズ”最初の長編。本作では、中世イングランドに降下した史学部生キヴリンを軸に、迫りくるペストと21世紀のオックスフォードで発生した原因不明のパンデミックとの闘いを描く。
紛れもない長編で専門用語も多く、翻訳SFに慣れない人は二の足を踏みそうな作品だが、それでも読む者をグイグイ惹きつけるこの作者はさすがとしか言いようがない。登場人物は皆活き活きとしており、本当にその時代に生きていたかのよう。主人公の成長物語としても歴史小説としても一級品なので、興味がある人は是非読んでみてほしい。
また、読後は短編である『空襲警報』を手に取ることをおすすめする。書かれた時期は短編のほうが先だが、脇役として登場するキヴリンにぐっと来ること請け合いである。
Posted by ブクログ
いつもの如く前半はドタバタが描かれる。キブリンを送り出した2054年のイギリスでは突然ウィルスが猛威を奮いネット技術者が人事不省に陥りキブリンが1320年に無事に着いたのか判らなくなる。過去に着いたキブリンは当然1320年に到着したと思いこみ、上手いこと領主館に転がり込み姉妹の面倒を見る羽目になる。ホドビン姉弟程ではないにしろロズムンド、アグネス姉妹も中々の曲者。中世の風景に驚きながら日々を過ごしていく。前半での読みどころは「キブリン到着のずれはどれくらいなのか?」「キブリンは自分の降下点を知る事が出来るのか?」の2点だけ。しかし!「オールクリア」を読んで学習済みの私には後半怒涛の展開が有るに違いないと思いながら読み進むと!遂にキブリンがヨーロッパ中にペストが蔓延した1348年にいる事が判明!ここからのスピード感が凄い、ダンワージーは直ちに救出の準備に取り掛かり、前半やんちゃな少年として描かれていたコリンは物凄い行動力を発揮、同じく前半単なる女たらしとして描かれていたウィリアムは病に倒れたダンワージーに関わる全ての部署の看護婦を掌握(籠絡?)、あっという間に病院を脱出、ネットの実行まで漕ぎつける。「オールクリア」でのコリンの成長を知っている私にとっても納得の大活躍!一方1348年は領主館の家族・召使が次々に病に侵されなんとロズムンド姉妹も倒れ家族は全滅、それどころか村全体が死に絶えてしまう。中世に降下した時に助けてくれた牧師までもが死んでしまうシーンは涙なくしては読めない、もう泣ける、泣ける、SFでこんなに泣けるなんて!
ラスト、ダンワージーとコリンが回収に現れるが、全ての死を見届けたキブリンは精神的に大きく成長を遂げ「大人」になって帰って来る。ヒロインの成長する様を描いた大河ドラマとも言えるし、タイムトラベルが授業の一環となっているオックスフォード大学が舞台の時間SFとも言える。ここから「ブラックアウト」「オールクリア」に繋がると思えば感慨もひとしおである。あぁ、素晴らしい物語を読んだ満足感でいっぱいです。(も一度ブラックアウト読まなきゃ!)
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