ヒューゴー賞4回受賞の現代を代表するSF作家らしい。中短編集。
商人と錬金術師の門:手の込んだタイムパラドックス。クール。
息吹:異世界の異種生物が自分の種族の将来の限界を発見する話。人類への風刺。
予期される未来:超短編。自由意志とは何か。
ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル:けっこう長い。実録のような味わい。
デイシー式全自動ナニー:これはあまり響かなかった。
偽りのない事実、偽りのない気持ち: 原タイトルは、The Truth of Fact, the Truth of Feeling 多くの人の視覚と聴覚の内容をデータベースとして利用できるようになったために、個人的な事柄についてまで客観的な記録を遡って確かめられるようになった時代に、10年以上前の自分と娘とのいざこざの原因が娘だったと信じていたのに、実際は自分であったことを知るジャーナリストの話と、初めて文字を西洋人から習った部族の若者が、西洋人の40年前の記録によれば、自分の尊敬する長老の記憶が間違っていることを知り、迷った上、そのことを書いた自分のメモを破棄する話が、並行して語られる。これは、深い洞察を含む名作。
大いなる沈黙: オウムが、人間と音声で会話することのできる異種生物として、人間にメッセージを送る。超短編の佳作
オムファロス: 神が世界を作ったことが実証されている世界において、新たな天文学の発見が、神が人類を作ったのは、他の星系において生態系を作るための試作に過ぎないという理論が成立することの衝撃を描いている。キリスト教的なベースが無い私にはあまりピンとこない。
不安は自由のめまい: 無限に分岐する平行世界と交信ができる装置(ただし、使用時間に限界があり、かつ高額)が発明された世界で起きる依存症や犯罪を描く。これは、シリーズ化した欲しいくらい面白い。