大森望のレビュー一覧

  • ドゥームズデイ・ブック(上)

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    学術的な目的で過去に時間旅行が可能な世界の話。
    21世紀のオックスフォード大学と、過去にいったギブリン(女学生)との話が並行して進む。
    21世紀の話には、冒頭から登場人物が入り乱れて、彼らの関係や立ち位置などがほとんど頭に入らないまま、がまんして読み進めると、なんとかメインのストーリーが見えてくれる。そうなるとだんだん面白くなる。

    それにしても、個人と連絡を取るのに固定電話に画面がついた装置を利用するという時点で、書かれた時期が相当前なのだろうと思った。確認したところ、1992年に出版ということが判明。1980年代には自動車電話が利用されていたらしいことを考えると、携帯電話などの発想があって

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    2018年05月23日
  • 航路(上)

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    臨死体験を研究する医者のジョアンナ。
    音、トンネル、光、天使、人生回顧、帰還命令など臨死体験者は(宗教観や先入観、聞く人による誘導もあるが)共通した内容を体験することが多い。
    臨死体験とは生命においてどんな機能があるのか。
    しかし、人工的に臨死体験を引き起こす研究プロジェクトはうまく行かず、ついにジョアンナは自分を被験者にする。
    そしてトンネルと光の先にあったものは... とにかく前半が長くて辛いことで有名(主観です)なコニー・ウィリス。
    しかしこれまでの作品は後半からの加速感が病みつきになるものばかりだった。

    今回はどうなんだろうか?
    今のところ、長くて辛いままだぞ?

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    2018年02月11日
  • 村上春樹「騎士団長殺し」メッタ斬り!

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    再読。最近、加藤典洋とか内田樹の村上春樹本を読んでさ。けっこう面白かったんだけど、一方でメッタ斬りの本もけっこう楽しく読んだ記憶があった。だから、読み比べてみるのも面白いんじゃない、と。結果、こちらもやっぱり楽しめたと思う。思うに、ぜんぜん違う視点から語ってるんだよね。加藤氏や内田氏は村上春樹の小説を読んで、自分の中の思考を掘り進めるステップにしているんじゃないか。一方で大森氏、トヨザキ氏は物語として、そのものを楽しもうとしている、というかなぁ。だからSFとかミステリとかの、ジャンル小説的な視点から批判することになる。いろいろ考えさせられて、面白かったね。(2019年11月16日)



    あっ

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    2017年09月29日
  • 変数人間

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    ネタバレ

    長編はいくつか読んだが、短編集は初めて。巻頭は「パーキー・パットの日々」というディックらしい想像力を刺激する題名の作品だ。内容は核戦争後のシェルターで人形遊びに興じる人々の話。異常と悲惨と滑稽が見事に調和し、愚かだが愛すべき人々の姿を描き出す。しかもエンディングでは彼らが新しい世界へ踏み出す姿が描かれており、なんとこれはディック版「オメラスを歩み去る人々」であった。感心して他の作品も読み進めていくと、短編だけにアイデアの消化がメインで人間の内面を描き出すような作品はなかった。巻末の解説を参照すると「パーキー・パットの日々」のみ60年代の作品で、最晩年の一篇を除いて、他は50年代前半の作品であっ

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    2017年08月15日
  • 村上春樹「騎士団長殺し」メッタ斬り!

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    邪道は承知で、「騎士団長殺し」を読まずして「メッタ斬り!」を読む。だって面白いんだもんね。メッタ斬りシリーズを愛読してきたが、このごろとんと紙媒体でお目にかかれない。「仕事を選ばず即参上」がモットーなのに、「なぜかめったにお座敷がかからない」と大森氏が書いている。出版社も「忖度」するんでしょうねえ。いや、ストレートに怒っている方もおありでしょう。私は豊崎由美さんの、天下御免の言いたい放題芸が好きなので、もっと読みたいのだけど。

    最後に読んだ村上春樹の長編小説はなんだっただろう。うーん、思い出せない。エッセイのたぐいはほぼ全て読んでるし、短篇も大体読んでると思う。「風の歌を聴け」でのデビューか

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    2017年06月07日
  • 村上春樹「騎士団長殺し」メッタ斬り!

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    1Q84、多崎つくる、女のいない男たち、騎士団長殺しという近年の村上春樹作品を肴に好き勝手に対談している本。すぐ読めて面白い。
    違和感があったところを突っ込んでくれててスッキリするところもあるが、そんなこと言ってどうするっていうところもある。騎士団長殺し殺しにはなっていない。

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    2017年04月24日
  • 村上春樹「騎士団長殺し」メッタ斬り!

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    「色彩を・・・」と「1Q84」は未読だが、ネタバレでもまあいいやと読んでみた。どんどん劣化してるってこと?

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    2017年04月22日
  • 変数人間

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    SF小説10篇。映画化された正統派SFミステリーが1篇ありこれが一番素直に楽しめた。他は中年達がこぞって人形すごろくに熱中していたりするシュールな作品が多く、これらの良さが分かる人がこの作者にハマるようだ。深読み出来る人向きなのかな。表題作は割と正統派だろうけれどその本質より設定の古臭さが先立ってしまった。途中から面倒になって読み飛ばしたのも2篇あるけど、それらの作品を推す人も多くいるようで。傑作選集と帯にある割に玉石混交な印象だったけれど、それだけ幅のある作品を書ける人というのが一般的な評価なのだろうね。

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    2017年03月18日
  • キャピトルの物語

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    分かりにくさが増した
    表紙   5点野中 昇
    展開   6点1978年著作
    文章   5点
    内容 500点
    合計 516点

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    2016年12月27日
  • 神の熱い眠り

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    カードの基本的な考えらしいが分かりにくい
    表紙   4点野中 昇
    展開   7点1978年著作
    文章   6点
    内容 610点
    合計 627点

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    2016年12月27日
  • 現代SF観光局

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    SFこの10年。膨大な未読本と知識・人脈の奔流に圧倒される。それにしても、こういった文章には水玉螢之丞のイラストを合わせたい、と思わずにはいられない。

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    2016年12月11日
  • 航路(上)

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    ネタバレ

    認知心理学者のジョアンナは神経内科医リチャードに共同研究をもちかけられ、二人は臨死体験を科学的に究明するプロジェクトに着手するのだけど、上巻だけで600ページを超えるボリュームな上、第一部の展開はゆるやかなのでちょっと長いなあって感じていました。ジョアンナ自身が被験者となり臨死体験の実験をするあたりから面白さに加速がついて、先が気になる展開に。迷路のような病院内部だとか、災害マニアの入院患者の少女、いつも閉まっているカフェテリア、アルツハイマー病の教師など、冗長に感じた部分が下巻で活きることを願い下巻へ。

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    2016年12月06日
  • 50代からのアイドル入門

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    実はこれ、大森さんと対談するための資料として送られてきたものです。いやー、不思議ですね。アイドル文化というのは、日本では例えばお茶やお花のような、ひとつのマナーの領域に達したというのがよく分かりますね。どんなふうに応援するか、どうチケットを取るか、握手会やコンサートでどう振る舞うべきか。より良いファンのあり方とは、ということを事細かに書いてあるんですよ。

    (石田衣良公式メルマガ「ブックトーク『小説家と過ごす日曜日』」19号より一部抜粋)

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    2016年11月18日
  • 人間以前 ディック短篇傑作選

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    ネタバレ

    「地図にない街」★★★★★
    「妖精の王」★★★
    「この卑しい地上に」★★★
    「欠陥ビーバー」★★★★
    「不法侵入者」★★★
    「宇宙の死者」★★
    「父さんもどき」★★★
    「新世代」★★★★
    「ナニー」★★
    「フォスター、お前はもう死んでるぞ」★★★
    「人間以前」★★
    「シビュラの目」★★★

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    2016年10月16日
  • 50代からのアイドル入門

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    SF翻訳やアンソロジスト、「文学賞めった斬り!」シリーズや書評でお馴染みの大森望さんが…という意外性とタイトルのインパクトで読んでみた。

    ライブ評は、ロッキングオンジャパンのそれによく言われる「毎月日本のロックに革命が起こる訳ないだろ」の対極みたいなクールさがいい。現場主義の極地。聴いたことない曲の連呼に戸惑う。ライブの同行者にこれまた斯界では有名なミステリ評論家の香山二三郎さんが頻出して笑った。

    ハロヲタぶりは微笑ましい。本業もこなしつつ妻子もおありになるのに良く時間あるなあと思ったけど、洋楽殆ど聴かないのかも。日本の音楽市場はつくづく特異だなあ、とも思わざるを得ない。

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    2016年09月22日
  • 文学賞メッタ斬り!

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    題名に違わずメッタ斬りしている点は高評価.
    特に大御所と呼ばれている選考委員の作家の悪口をいいたい放題言っている.
    でもかなり冗長なので,興味のある部分だけかいつまんで読むのが吉.

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    2016年09月09日
  • カエアンの聖衣〔新訳版〕

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    ネタバレ

    人類が宇宙の星々へ飛び出し、新たな文明を切り開いた時代の話。カアエン人という服飾文化を奉る人々がいた。彼らの存在を異端および脅威とみなしたザイオード星団の人間は、カエアン人を仮想敵とみなし、弱点を探るべく調査団を送る。そのいっぽうで、高価格で闇取引されるカエアン製の衣装を密輸するザイオード人の悪党。彼らの陰謀に巻き込まれ、さらにカエアン製の衣装の秘密にせまることになるひとりの「服飾家」。

    衣装が人を操るという発想だけでも面白いのに、さらに踏み込んで衣装の材料となるとある植物に知性があって、彼らが人類の制覇を狙っているという設定がぶっ飛びすぎている。

    アイデアの面白さはそれだけではない。カエ

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    2016年08月28日
  • オール・クリア1

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    「ブラックアウト」の続き。続篇の「オールクリア2」まででひとつの物語になる。本書は物語の途中なので、中弛みを感じてしまうが、第二次世界大戦中の英国で3人が元の時代に戻れなくて奮闘するのに興奮してしまう。3人が予定通りのタイムトラベルができなかった理由は徐々に明らかにされていく。もしかしたらどんでん返しがあるのかもしれないが、ラストに向けて怒濤の展開を期待せざるをえない。そもそも時空で迷子になった3人は元に戻れるのだろうか。戦時中の一般市民の情景をリアルに表現したこの物語は、長いけれどそれほど無駄はないストーリーだ。これからどのようにまとめられるのか楽しみである。

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    2016年05月17日
  • 航路(上)

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    とても長い。時たま、こんなに長い必要はあるのだろうか。アウトラインだけで考えると、もっとコンパクトになるはず…と思いつつ、読めてしまうという不思議。あら、上巻でほぼ解明された?!と思いつつも、下巻も同じような厚さ。ここからどう展開されていくのかを楽しみに読み進めようと思う。

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    2016年04月30日
  • 書き下ろし日本SFコレクション NOVA+ 屍者たちの帝国

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    映画の公開に合わせて出版されたアンソロジー。伊藤計劃さんが書いたエピローグに円城氏が長編作品として仕上げた「屍者の帝国」。この作品をもとにしたシェアード・ワールドものである。屍者が登場するのはすべての作品で共通しているが、役割や生者との関わりが異なる。この作品集を読んで、改めて「屍者の帝国」を読みたくなった。円城氏のインタビューも屍者の帝国を読む上で役に立つだろう。面白かったのは、「小ねずみと童貞と復活した女」「屍者狩り大佐」「海神の裔」。

    以下、個別作品の感想。

    ◎従卒トム(藤井 太洋)
    江戸城無血開城とアンクル・トムと屍者を絡めた物語。奴隷だったトムであるが、屍者になってしまっても元主

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    2016年04月19日