大森望のレビュー一覧
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「ブラックアウト」の続き。続篇の「オールクリア2」まででひとつの物語になる。本書は物語の途中なので、中弛みを感じてしまうが、第二次世界大戦中の英国で3人が元の時代に戻れなくて奮闘するのに興奮してしまう。3人が予定通りのタイムトラベルができなかった理由は徐々に明らかにされていく。もしかしたらどんでん返しがあるのかもしれないが、ラストに向けて怒濤の展開を期待せざるをえない。そもそも時空で迷子になった3人は元に戻れるのだろうか。戦時中の一般市民の情景をリアルに表現したこの物語は、長いけれどそれほど無駄はないストーリーだ。これからどのようにまとめられるのか楽しみである。
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Posted by ブクログ
映画の公開に合わせて出版されたアンソロジー。伊藤計劃さんが書いたエピローグに円城氏が長編作品として仕上げた「屍者の帝国」。この作品をもとにしたシェアード・ワールドものである。屍者が登場するのはすべての作品で共通しているが、役割や生者との関わりが異なる。この作品集を読んで、改めて「屍者の帝国」を読みたくなった。円城氏のインタビューも屍者の帝国を読む上で役に立つだろう。面白かったのは、「小ねずみと童貞と復活した女」「屍者狩り大佐」「海神の裔」。
以下、個別作品の感想。
◎従卒トム(藤井 太洋)
江戸城無血開城とアンクル・トムと屍者を絡めた物語。奴隷だったトムであるが、屍者になってしまっても元主人への忠誠が変わらないところは日本的で素晴らしい。江戸時代の武士が持つ主君への忠誠心ともリンクする。
◎小ねずみと童貞と復活した女(高野 史緒)
読みはじめは、笑えるという意味の面白さであったのが、エンディングに向けて、物語自体の面白さを感じるようになった。驚きの結末が見事。
◎神の御名は黙して唱えよ(仁木 稔)
宗教(特にイスラム教)と絡めた屍者の物語。あまりのめり込めなかった。
◎屍者狩り大佐(北原 尚彦)
「屍者の帝国」のパスティースュであり、シャーロック・ホームズのパスティースュでもあり、その他の作品のパスティースュでもある。こんなことは関係なく単純に面白い。
◎エリス、聞えるか?(津原 泰水)
コミカルであるが、どこか哀しげな感じがする物語。いくつもの作品で、屍者は死んでいるのか生きているのか議論になるが、本作品を読むと、屍者は生きていてくれと思いたくなる。
◎石に漱ぎて滅びなば(山田 正紀)
夏目漱石が登場する英国での屍者の物語。似たような舞台の「エリス、聞えるか?」が哀しい感じがするのに対し、こちらは冒険活劇といっていいと思う。登場するものが現実にあるものとリンクして、「なるほど、こうきたか」とくすりと笑わせる部分もあり、楽しく読めた。
◎ジャングルの物語、その他の物語(坂永 雄一)
前半はゆったりとした展開でなかなか物語の中に入って行けなかった。それが最後はトントントンと展開し、スピード感があって楽しく読めた。物語の背景にある別の作品をよく知らないからなのか、あまり面白味を理解できなかった。作品末に挙げられている本を読めば楽しめるようになるのだろうか。
◎海神の裔(宮部 みゆき)
いい話だ。屍者が漁村でひっそりと活躍する話はほっこりしていい感じ。おばあさんの証言という形式なのもいい。
◎『屍者の帝国』を完成させて 特別インタビュー(円城 塔/述)
『屍者の帝国』が書かれた背景を作者本人が語るインタビュー。円城氏の苦しみや『屍者の帝国』と伊藤計劃の関係を知ることができる。 -
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相沢沙呼「フレンドシップ・シェイパー」あるあるネタですね!まあ登場人物も少ないしすぐ予想はついたけども、正直百合百合筆ペンプレイが気になってそれどころではなかった。
七尾与史「学園諜報部SIA」これは…ミステリではないですね、情報が後出しすぎるし。チューヤさんはなかなかいいキャラだと思った。
深緑野分「血塗られていない赤文字」多分これが初深緑さん。キャラクターがいいなあ。シリーズ化してるのか、ちょっと読みたい。
田丸雅智「E高生の奇妙な日常」
「自転車に乗って」「E高テニス部の序列」「友人Iの勉強法」の三本。おお、これは…なんだか懐かしい。清く正しいショートショートの香りがする。特に、めちゃくちゃなカリスマ部長がいるテニス部の話は、語り手の信頼ぶりが何とも奇妙に面白い。
辻村深月「踊り場の花子」辻村さんの本は大体読んでると思ってたけど、『ふちなしのかがみ』は読んでいなかった模様。ううんこわい。読みたい。 -
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フォンノイマンと聞いてときめく人にはたまらないであろうSF。
ヒトとは異なるアンドロイドの在り方が描かれていて楽しい。
とりあえずエイミー萌えで読んでおけばよいような気がする。たぶん。
女性作家が書いている割に、男性作家の理想のような乙女だよね。体は大人で心は少女っていう。
エイミーはかわいいのだけれども、なんというか、少女漫画のヒロインポジに居る。本人の努力無しに特異な力を得て、様々なトラブルに巻き込まれるのだけれども、何かを切り捨てること無く、優しきエイミーのままで皆から愛される。
これが女性の憧れる女性のロールモデルなのかと思うと、ちょっと怖い。
ただ、その愛情はフェイルセイフ故であるから……怖いな。
この通り、エイミーは何もしないのだけれども、影たる暴君者のポーシャに魅力があるかというと謎である。結局彼女の野望が見えないのが原因か。
続編があるらしいけど、そこで分かるんだろうか。(主役はエイミーです) -
Posted by ブクログ
いきなり登場人物が当然のように動き出すので
シリーズの続編かと思っていたら、これが初めですか。
14世紀へのタイムトラベル(なにかがおかしい)と
21世紀のパンデミックの混乱が並行で描かれ、
どちらも何が起こって、どうなってしまうのか
気になるのだが、21世紀は周りが自分勝手、非協力的で
かきまぜられて話が進んでいかないし、
14世紀は、時代の隔たりがもたらす
絶望的なほどの違いに、一歩間違えば命を失いかねない
文字通り孤立無援な中、なんの手がかりもなく
当然、進展はゆっくりと時間をかけて。
21世紀は突然の未知の恐怖へ必死にならなければ
ならないはずなのに、個人の主張で
なぜかコミカルにうつる(あの母親のせいか?)。
一方で14世紀は準備万端なはずなのに、
ずれていることで徐々に深まる孤独と恐怖に
さす当時の登場人物の光?というコントラストもある。
上巻では、わからず無駄・冗長な描写と思えるところも
先に『航路』を読んだから、
たぶん何かに収束していくのではないかと期待し、
それ以上に動きだしは遅いけど、
ドンドン引き込まれていく加速感、上巻は★3つだが、
下巻で★は増えるのか? -
Posted by ブクログ
既読の本の中のどこかで(もしかしたら解説かも)紹介されていて、
たしか傑作と表されていた気がしたので、ボリューム満点だけど読んでみた。
文字通り“象徴的”なラストだった・・・。
臨死の中で人は何を見て、何を体験するのか。
それは統一されたイメージなのか、それともメタファーか。
はたまたもうひとつのリアル(現実)なのか・・・。
日本で言えば三途の川のあっち側とこっち側ってのが有名(?)だけど、
本書ではちょっと違った切り口で医学的にドラマチックに解説されて興味深い。
雰囲気はアメリカのテレビドラマ、『グレイズ・アナトミー』みたいな感じ。
序盤はあんまり進展しないんだけど、なんだかんだでいつの間にかめくったページがたくさん。
正直こんなに長くなくてもいいんじゃなかろうかと思いながら読んでいたけど、
先述のラストを体験した今、途中もっとちゃんと読み込めばよかったな・・・
と、意味もなく反省。