大森望のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
フォンノイマンと聞いてときめく人にはたまらないであろうSF。
ヒトとは異なるアンドロイドの在り方が描かれていて楽しい。
とりあえずエイミー萌えで読んでおけばよいような気がする。たぶん。
女性作家が書いている割に、男性作家の理想のような乙女だよね。体は大人で心は少女っていう。
エイミーはかわいいのだけれども、なんというか、少女漫画のヒロインポジに居る。本人の努力無しに特異な力を得て、様々なトラブルに巻き込まれるのだけれども、何かを切り捨てること無く、優しきエイミーのままで皆から愛される。
これが女性の憧れる女性のロールモデルなのかと思うと、ちょっと怖い。
ただ、その愛情はフェイルセイフ故であるから……怖いな。
この通り、エイミーは何もしないのだけれども、影たる暴君者のポーシャに魅力があるかというと謎である。結局彼女の野望が見えないのが原因か。
続編があるらしいけど、そこで分かるんだろうか。(主役はエイミーです) -
Posted by ブクログ
いきなり登場人物が当然のように動き出すので
シリーズの続編かと思っていたら、これが初めですか。
14世紀へのタイムトラベル(なにかがおかしい)と
21世紀のパンデミックの混乱が並行で描かれ、
どちらも何が起こって、どうなってしまうのか
気になるのだが、21世紀は周りが自分勝手、非協力的で
かきまぜられて話が進んでいかないし、
14世紀は、時代の隔たりがもたらす
絶望的なほどの違いに、一歩間違えば命を失いかねない
文字通り孤立無援な中、なんの手がかりもなく
当然、進展はゆっくりと時間をかけて。
21世紀は突然の未知の恐怖へ必死にならなければ
ならないはずなのに、個人の主張で
なぜかコミカルにうつる(あの母親のせいか?)。
一方で14世紀は準備万端なはずなのに、
ずれていることで徐々に深まる孤独と恐怖に
さす当時の登場人物の光?というコントラストもある。
上巻では、わからず無駄・冗長な描写と思えるところも
先に『航路』を読んだから、
たぶん何かに収束していくのではないかと期待し、
それ以上に動きだしは遅いけど、
ドンドン引き込まれていく加速感、上巻は★3つだが、
下巻で★は増えるのか? -
Posted by ブクログ
既読の本の中のどこかで(もしかしたら解説かも)紹介されていて、
たしか傑作と表されていた気がしたので、ボリューム満点だけど読んでみた。
文字通り“象徴的”なラストだった・・・。
臨死の中で人は何を見て、何を体験するのか。
それは統一されたイメージなのか、それともメタファーか。
はたまたもうひとつのリアル(現実)なのか・・・。
日本で言えば三途の川のあっち側とこっち側ってのが有名(?)だけど、
本書ではちょっと違った切り口で医学的にドラマチックに解説されて興味深い。
雰囲気はアメリカのテレビドラマ、『グレイズ・アナトミー』みたいな感じ。
序盤はあんまり進展しないんだけど、なんだかんだでいつの間にかめくったページがたくさん。
正直こんなに長くなくてもいいんじゃなかろうかと思いながら読んでいたけど、
先述のラストを体験した今、途中もっとちゃんと読み込めばよかったな・・・
と、意味もなく反省。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前に読んだ同タイトルの本とは打って変わってSFもの。
2060年,オックスフォード大学の史学生は,自分の研究テーマのためのタイムトラベルを使って時空を超え,実際の時代に赴いていた。本作の登場人物は,ドイツによる空襲下の第2次世界大戦中のロンドン。ある者は,疎開先のメイド,ある者はデパートの店員,ある者は新聞記者としてその時代の生活に溶け込み自らの研究を行っていた。それそれ現地での思わぬトラブルに巻き込まれ,2060年に戻れるはずの出口が失われてしまっていた。果たして元の時代に戻れるのか・・・・
上下段で768ページと大長編で,当時の人々の生活風景が丹念に描かれています。でも,とにかく長い・・・。
結局,本作では元の時代に戻ることができず,続編の「オールクリア」,「オールクリア2」に続くことになります。この2作も相当の長編のようで,いつ読むことになるかはわかりませんが,気長にいきます。 -
Posted by ブクログ
タイムマシンが生み出す、パラドックスに対する意識が素朴すぎて、なかなかついていけない部分がある。
時間の複雑系が、タイムトラベルしてやってきた人間の歴史への影響を打ち消す働きをするという設定だが、その設定があまりに人間中心主義的。
後の歴史を変えるような歴史の転換点に関して、時間の複雑系が、歴史を変えさせないために様々な働きをする、ということになっているのだが、何が「後の歴史を大きく変えたことになるのか」の判断は、所詮、それぞれの価値観によって変わるし、そうした価値観のひとつとして、たとえばアリの視点などだって考えられるだろう。人間にとってはどうでもよいできごとでも、人間がやってきて踏まれるか踏まれないかというのは、アリにとってはとても大事なことで、そうした様々な観点を時間の複雑系が斟酌しているなどというのは、まさに(人間中心主義的な)「神」のような所業だ。
結局、信仰を持つ持たないということは、そうした自己中心的な見方を持つ持たないということと大きくかかわっているように思われる。アメリカ人に信仰を持つ者が多いということと、彼らの自己中心的な世界観とは密接に関わっているのだろうし、そのような意味で、信仰を持たないものがより多いヨーロッパや日本の人々は、アメリカ人に比べ、良くも悪くも(ピアジェの言う)より脱中心的な世界観を持つようにも思える。もっともベイトソンが強調したように、信仰によって見えてくるものがあるのかもしれないが。
この小説に関して、さらに言うなら、コニー・ウイリスが想像している時間の神は、人間どころか、連合軍が戦争に勝つことが正義だという観点で作動しているとも言ってよさそうだ。
この小説の時間観をさらに批判するなら、人間が自由に、あるいは偶然に行う行動の選択が、その未来を変えるという考え方と、過去は変えられないはずだという二つの考え方が、タイムトラベルによって、未来と過去が双方向的になった時、必然的に矛盾を生じさせるはずなのに、その点に関して、作者は、確固たる見方を持たずに、この長い長い小説を書いてしまったということなのだろう。
このような点に関して作者の設定があいまいなのに、登場人物が、その時間の仕組みに対して不安をいだき、ひたすら悶々としているのに違和感を感じた。
そのファンタジー世界にかんして、厳格な世界観のルールを定めた上で、そのルールの中で葛藤する人々を描いていこうとした、ル=グインや小野不由美などの域に、コニー・ウィリスがまだたどりついていないということをはからずも示してしまったように思われる。
この小説には、そうした世界観の問題とは別に、読んでいて誰が誰だかさっぱりわからない、ということも、その読みやすさを損なわせている。
各章は時間軸がばらばらになって、複数の登場人物がそれぞれ別々の場所で動いているというのに、さらにそれぞれが偽名を使っていて、本当のところ誰なのかわざわざわからないようにされている。読み進めるうちに、それが主要登場人物三人が、別々の時間にいるということがやっとわかっていくのだが、それまでがとにかく長い。主要登場人物のうち、二人が女性なのだが、彼女たちのキャラもあまりたっていないので区別もしにくく、感情移入もしにくい。
最後まで読み終われば、それなりに感動もあるのだが、上記のようにネガティヴな部分が多すぎる上に、内容の割に全体の長さも異様に長すぎて、楽しみの効率はかなり悪かったように思う。