大森望のレビュー一覧

  • 犬は勘定に入れません(下) あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

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    2057年。タイムトラベルが可能になった未来で、一匹の猫の命を救ったことからはじまるドタバタ劇。

    タイムトラベルにより時差ボケならぬ時代ボケ(タイムラグ)で、疲労困憊したネッド・ヘンリーの描写から物語は始まります。
    そもそも主人公のネッドが冒頭から朦朧としているので、読んでいるこっちも何がどうなってるんだか分かりにくい始まりでした。
    「主教の鳥株」がタイトルにある花瓶なんだろうなぁ、ネッドはこれを過去まで行って探してるんだろうなぁ、という曖昧な認識のまま読み進めていきましたが、ネッドの意識がしっかりしていき事態が見えてくるにつれて、こちらも物語にのめりこんでいきます。

    イギリス文学の引用が

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    2011年11月07日
  • 文学賞メッタ斬り!

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    物書きとして、そして小説を愛してる自分にはすごく勉強になった一冊。
    うんうん、と頷けたり
    え、そこまで言うかと思ったり。

    なかなかおもしろい。

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    2011年11月03日
  • アジャストメント ディック短篇傑作選

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     初ディック(正確には、『きょうも上天気』で一編読んだのが最初)。映画『アジャストメント』を観たことをきっかけに手に取ってみましたが、すごく読み応えがありました。とはいえ、表題作「アジャストメント(「調整班」改題)」は、映画にとってはほとんど原案程度みたいですね。

     特におもしろかったのは「ウーブ身重く横たわる」、「にせもの」、「ぶざまなオルフェウス」です。
     「ウーブ…」は高度な知性を持った宇宙豚の話。人間てどうしてこんなバカなことするんだろう…という落ち込みから一ひねりあるラストにぞくっとしました。
     「にせもの」は自分という存在や記憶のあやふやさ、それを証明することの難しさがテーマ。す

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    2011年07月02日
  • アジャストメント ディック短篇傑作選

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    〈私〉という存在は何か魂みたいなものがあって、生まれた時から存在するものではない。生まれてからの経験や思考を記憶として積み重ねていく、その積み上がった現在までの記憶の総体が〈私〉として認識されているだけなのだ。
    とすると、自分の記憶は本物の記憶なのかという疑問は、〈私〉の存在自体をおびやかす疑問で、本作に収録されている「にせもの」や「電気蟻」は〈にせものの記憶〉がテーマになっていて読み終わっても、う~んと考え込んでしまって答えは出ないんだけど、その考え込むという行為を誘発させる読書というのは非常に贅沢。他にも「父祖の信仰」での共産主義の描き方はなるほどと思えるものがあるし、「凍った旅」は非情な

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    2011年05月16日
  • NOVA1【完全版】

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    大森望さんが編集したSFアンソロジー集。笑いあり、ホラーあり、スペースオペラあり、SFミステリありと多種多様。お気に入りは山本弘「七歩跳んだ男」、斉藤直子「ゴルコンダ」、伊藤計劃「屍者の帝国」。「七歩跳んだ男」はこう来るかというどんでん返しで見事にだまされました。「ゴルコンダ」は癒し系のドタバタコメディ。是非とも梓さん1人ほしいです。「屍者の帝国」、この先どのような展開が待っていたのでしょうか。亡くなられたことが惜しまれる序章です。

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    2011年04月18日
  • NOVA1【完全版】

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    難解な作品がいくつかありましたが、総じて面白かった。
    読んだことのない作家さんの文章にも触れられてよかったです。次に誰の本を読むかの指針にもなりました。

    しかし、屍者の帝国面白かったなー……

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    2011年04月11日
  • NOVA1【完全版】

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    ほとんど面白い。
    特に牧野修「黎明コンビニ血祭り実話SP」~円城塔「Beaver Weaver」~飛浩隆「自生の夢」と続く編集者いわく「微妙にシンクロしている」かのような文学でしか表現できないタイプの作品がすごかった。
    田中哲弥「隣人」は幻想的な描写になっていくSFというよりもマジックリアリズムのような作品で、この人を知れたのは収穫。

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    2011年03月15日
  • 犬は勘定に入れません(上) あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

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    読み始めは、物語を把握するのに苦労した。
    主人公が、タイムトラベルによるタイムラグ(時差ぼけ)で、状況認識が曖昧な状況が随分続く。
    歴史に関するコネタが続くので、知識があればより楽しめる作品。
    知識が無くても、登場人物が皆個性的で、人間関係を追うだけでも楽しめた。
    歴史のズレが起こった謎と、主教の鳥株の行方を絡めた推理もの・・・の体だが、物語の中のタイムトラベルに関するルールが明かされるのが後半過ぎて、推理を楽しむのは難しい。

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    2011年03月03日
  • 文学賞メッタ斬り!

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    よく知らなかった色々な賞の事が書かれていて、勉強になった。そして読みたい本がとても増えた・・・
    めちゃくちゃに褒められてる本はもちろん、めちゃめちゃ貶されている本も読んでみたい(笑)

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    2019年01月16日
  • 犬は勘定に入れません(下) あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

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    名作ドゥームズデイ・ブックの続編(?)。
    今回はドタバタ劇に終始しており、その分読み終わっての感動等はないが、予定調和の世界で安心感があり、読んでいてとくにかく楽しい。

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    2010年10月09日
  • 文学賞メッタ斬り!

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    <業界騒然!読書家待望! 小説が100倍楽しくなる痛快文学賞ガイド
    文学賞ってなによ? 芥川賞・直木賞から、話題のホラー小説大賞、メフィスト賞、ファンタジーノベル大賞まで、50を越える国内小説賞について、稀代の読書家大森望・豊崎由美の二人がアンタッチャブル徹底討論!WEBマガジン「エキサイトブックス」で一大センセーションを巻き起こした掟破りの言いたい放題がさらにパワーアップ。最新受賞作全採点「文学賞の値うち」付き。読む前に、読むべし!>大変興味深く、勉強になった。読みたい本もいくつかできて楽しめた。文学賞のありがたみはちょっと減っちゃったかもだけど(笑)

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    2010年10月06日
  • 犬は勘定に入れません(下) あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

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    前述のとおり。
    文庫本なので上下二冊の分冊になっています。
    が、二冊とも購入したほうがハードカバー一冊よりも安いはず。

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    2009年10月04日
  • 犬は勘定に入れません(上) あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

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    推理小説なのか、それともSFなのか迷う作品。
    たぶん、SFより。


    タイムトラベルが可能になった未来で、主人公はオクスフォードの学生。
    タイムトラベルの技術そのものは、過去のものを未来に持ち込めないという時空の自浄作用のようなものの存在によって、企業からは見放された、あまり活発なものでなくなってきています。

    それでも、過去に正確に何があったのか、そういったことや、過去に訪れた人たちによって未来が変えられ、その変更された未来を修正するために、歴史そのものが過去に干渉する。

    そんなさなか、主人公がしなくてはいけないのは、死ぬはずではなかった猫が殺されそうになっていたため、未来に持ち込まれてし

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    2009年10月04日
  • 文学賞メッタ斬り!

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    書評家二人による文学賞に関する毒舌エッセイ集。
    様々な文学賞について独自の視点に立って解説を加えており、その解説一文一文が真面目なものあり、厳しいものあり、ユーモアたっぷりのものありで面白い。
    今後の読書の参考にもなる。

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    2009年10月07日
  • 文学賞メッタ斬り!

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    豊崎由美ということで読んでみましたが、思った以上に良い。本探しの指針になります。
    でも、いつか読みたい本が増えすぎて…

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    2009年10月04日
  • ドゥームズデイ・ブック(下)

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    上巻読んでいたときは「だから担当教授の言うことはちゃんと聞けよ!」とか、教授に対しても「愛弟子が心配なのは分かるけれど、倒れた同僚にももっと優しさを示せよ!」とか思ったけれど、下巻はそんなことを思う間もなく事態が進んでいく、という感じ。読み終わって泣きはしなかったけれど、遣る瀬無さ無念さが胸に沁みる。

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    2010年03月27日
  • 文学賞メッタ斬り!

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    「文学賞とは何か」がわかる訳ではない。

    腰帯の「どの文学賞がエラいのか?」を見ればわかるように、てなこともない。

    簡単に言うと悪口。特に審査員の悪口。おもろいよ。著者二人が楽しんでいるのが伝わってくるので悪口がしっかり楽しめます。

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    2009年10月04日
  • 文学賞メッタ斬り!

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    08/2/29購入。文庫化されたのを機に(今さらながらだが)読んだ。文学賞を通した日本文壇案内になっており、とにかく内容が痛快。笑わずには読めない。 芥川賞選考での石原慎太郎の恣意性の強さは知っていたけれど、なんのことはない、他の委員たちも似たりよったりだったのねw 現代日本の文学者ってこんなのしかおらんの?

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    2009年10月07日
  • 文学賞メッタ斬り!

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    日本の様々な文学賞についての二人の討論。ライトノベルらへんは飛ばし読み…。ごめんなさい。

    なかなか売れてるらしい。やっぱり文学賞の存在って気になってしまうものね。
    確かに、芥川賞も直木賞も選考委員の任期がないってどうなんだろう。風通し悪そう。

    「選考委員と選評を斬る!」が一番ツボ。こんな楽しみ方があったのかぁ。

    とりあえず、舞城王太郎・島田雅彦・綿谷りさの作品を読んでみたくなりました。

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    2009年10月04日
  • ドゥームズデイ・ブック(上)

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    タイムトラベルが可能となった近未来。
    オックスフォード大学の女子学生キヴリンは実習の一環として14世紀に赴く。
    ところがキヴリンは到着と同時に病に倒れ、
    一方彼女を送り出した21世紀のオックスフォードでも
    伝染性疾患が蔓延し…

    所謂タイムトラベルSFですが、SF色は薄く、
    中世の描写の方がかなり詳細。
    文章が冗長だと感じる部分もあるのですが、
    それ故に登場人物に感情移入出来る部分もあり、
    物語の後半、中世のパートで
    ペストによってばたばたと人が死んでいく場面は
    云い様のない悲しさを感じました。
    快い読後感というのとはまた違いますが、
    悲惨な状況に立ち向かってゆくキヴリンの芯の強さが印象的な物

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    2009年10月04日