大森望のレビュー一覧
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SFの書き下ろし短編集。
田中哲弥目当てで読んだけど、他にも面白いのがあった。
ちなみに田中哲弥は「隣人」って短編を書き下ろしてた。最高。はた迷惑な一家が隣に引っ越して来るという不条理系で、現実の認識が交錯していく筒井的な表現方法。
他では、山本弘の「七歩跳んだ男」、斉藤直子「ゴルコンダ」、飛浩隆「自生の夢」、小林泰三「忘却の侵略」が面白かった。
「七歩跳んだ男」は、月面での殺人事件を取り扱ったミステリー。トンデモ系かと思ったら、本格派SFでビックリした。ミステリーとしても良く出来てる。
「ゴルコンダ」は、妻が11人に増えるというドタバタコメディ。主人公の軽さが、軽快さを演出していて面白い。 -
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書き下ろしのSF短編集であり、現在日本のSFの第一線にいる方々の作品を収録。なんと言っても目玉は、故伊藤計劃さんの「屍者の帝国」の遺稿。未完ではあるが、スチームパンク風のイギリスを舞台に、ワトスンが語り手となる本作は、ホームズシリーズの読者ならにやりと来る事請け合い。
あと印象に残ったのは、悪い意味では田中啓文さんの「ガラスの地球を救え!」。良い意味では円城塔さんの「Beaver Weaver」と飛浩隆さんの「自生の夢」
ガラスの地球はとにかく汚い(ゲロ的な意味で)。あと、これでもかというほどパロディで埋め尽くされている。訴えられないかと心配になるほどに。
「Beaver Weaver -
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それ以前がのほほんと見える程、後半1/2が盛り上がって面白い。が、やはりそれまでが長い。
それでも上巻に比べると現代パートが短めですっきりしていて読みやすい。もっとも、現代パートはキャラでもたせてるとしか思えないが(そして、何者なんだウィリアム)。
固まった吐瀉物とかが平気で出てくるあたり、キレイなだけではない、作者の意思を感じる。
救いはコリンにある。そして、コリンのちょろまかさを表現している大森望がいい仕事をしている。
ダンワージーは確実に自分を責めすぎである。
最後、キヴリンが口数が少なく、ちょっと怖い感じで終わるが、もっとゆったり語って終わって欲しかった。最後だけいきなり早送り -
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2057年。タイムトラベルが可能になった未来で、一匹の猫の命を救ったことからはじまるドタバタ劇。
タイムトラベルにより時差ボケならぬ時代ボケ(タイムラグ)で、疲労困憊したネッド・ヘンリーの描写から物語は始まります。
そもそも主人公のネッドが冒頭から朦朧としているので、読んでいるこっちも何がどうなってるんだか分かりにくい始まりでした。
「主教の鳥株」がタイトルにある花瓶なんだろうなぁ、ネッドはこれを過去まで行って探してるんだろうなぁ、という曖昧な認識のまま読み進めていきましたが、ネッドの意識がしっかりしていき事態が見えてくるにつれて、こちらも物語にのめりこんでいきます。
イギリス文学の引用が -
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初ディック(正確には、『きょうも上天気』で一編読んだのが最初)。映画『アジャストメント』を観たことをきっかけに手に取ってみましたが、すごく読み応えがありました。とはいえ、表題作「アジャストメント(「調整班」改題)」は、映画にとってはほとんど原案程度みたいですね。
特におもしろかったのは「ウーブ身重く横たわる」、「にせもの」、「ぶざまなオルフェウス」です。
「ウーブ…」は高度な知性を持った宇宙豚の話。人間てどうしてこんなバカなことするんだろう…という落ち込みから一ひねりあるラストにぞくっとしました。
「にせもの」は自分という存在や記憶のあやふやさ、それを証明することの難しさがテーマ。す -
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〈私〉という存在は何か魂みたいなものがあって、生まれた時から存在するものではない。生まれてからの経験や思考を記憶として積み重ねていく、その積み上がった現在までの記憶の総体が〈私〉として認識されているだけなのだ。
とすると、自分の記憶は本物の記憶なのかという疑問は、〈私〉の存在自体をおびやかす疑問で、本作に収録されている「にせもの」や「電気蟻」は〈にせものの記憶〉がテーマになっていて読み終わっても、う~んと考え込んでしまって答えは出ないんだけど、その考え込むという行為を誘発させる読書というのは非常に贅沢。他にも「父祖の信仰」での共産主義の描き方はなるほどと思えるものがあるし、「凍った旅」は非情な -
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<業界騒然!読書家待望! 小説が100倍楽しくなる痛快文学賞ガイド
文学賞ってなによ? 芥川賞・直木賞から、話題のホラー小説大賞、メフィスト賞、ファンタジーノベル大賞まで、50を越える国内小説賞について、稀代の読書家大森望・豊崎由美の二人がアンタッチャブル徹底討論!WEBマガジン「エキサイトブックス」で一大センセーションを巻き起こした掟破りの言いたい放題がさらにパワーアップ。最新受賞作全採点「文学賞の値うち」付き。読む前に、読むべし!>大変興味深く、勉強になった。読みたい本もいくつかできて楽しめた。文学賞のありがたみはちょっと減っちゃったかもだけど(笑)