大森望のレビュー一覧

  • 村上春樹「騎士団長殺し」メッタ斬り!

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    村上春樹ファンである、大森望さん、豊﨑由美さんが村上作品をについて言いたい放題書いている。いやタイトル通り「メッタ斬り」でおもしろかった。ストーリーを思い出しながら、自分も疑問に思っていたことや前の作品と似ているような…と思ってたところを共有できたのでよかった。ハルキストは結構いるからこういうのを読んで「やっぱり」と思う人は多いような気がする。
    豊﨑さんの春樹作品ベスト3は
    世界の終わりとハードボイルド·ワンダーランド
    ねじまき鳥クロニクル
    神の子どもたちはみな踊る
    だったけど、私はどれも読んでなかった。
    今度読んでみようと思った。

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    2023年10月14日
  • ミステリースクール

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    古典ミステリーから現代ミステリーまで様々なジャンルのミステリー作品の書評本。
    割と分厚くかなりの作品を知ることができる。
    ミステリーを新たな視点で読むきっかけにもなる?本だと思う。

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    2023年10月14日
  • 金色昔日【こんじきせきじつ】 現代中国SFアンソロジー

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    「折りたたみ北京」に続くケン・リュウ選の中国SFアンソロジー第二弾.
    時間が遡る中での男女の愛を描く表題作「金色昔日」が秀逸.すごく幅があるのだが,始皇帝がゲームをする話なんかは,日本の同人誌でマンガとして書かれてそうだ.
    巻末に中国SFの歴史に関するエッセイが3編掲載されているが,非常に興味深い.少し前に福島正実の「未踏の時代」を読んだが,21世紀初頭の中国のSF界は,あの時代の雰囲気にとても似ている.そういった時代が中国にやって来るのが政治のために30年遅れて,現代になって一気に花開いているようだ.

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    2023年09月29日
  • 超新星紀元

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    劉慈欣の第一長編。
    センス・オブ・ワンダーを感じられる、とても面白い話でした。

    劉慈欣らしい、とんでもない発想からのとんでもない展開。
    何度も「おぉ!」と驚かされる展開があり、とても楽しめた。
    三体が好きなら楽しめるはず。

    「子供の世界ってどんなだろう」その想像を、軽々と斜め上に超えて行ってくれます。

    最後が尻すぼみというか、もっと詳しくその後の話が読みたかった。
    三体が最後までしっかり描かれていだだけに、少しガッカリした。

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    2023年09月24日
  • 超新星紀元

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    こういうシンプルな設定からの予想外な展開が楽しめるSF作品は大歓迎。
    エピローグで作者自身が作中人物として出て来たのにはちょっとひきました。

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    2023年09月24日
  • 超新星紀元

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    1番最初の長編小説らしいのですが、気づかなくて最近見つけて読みました。
    前半と最後のあたりは面白かったのですが、途中戦争の描写が細かすぎてよく分からないので、私は飛ばし読みしてしまいました。戦争や兵器などに興味や知識がある人は興味深く読めるのかな??
    この作品以外は全て、心から面白いと思い、興奮しながら読みましたが、こちらは他の作品と比べると興奮度合いは下がります。
    創世記の展開からオチに至るまでの部分の説明がもう少しあれば楽しかったかなと思います。

    でも大好きな作家さんなので、また新刊が出たらすぐ読みたいです。

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    2023年08月31日
  • 超新星紀元

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    あらすじから惹きつけられ、序盤の感情的な導入からいったいどんな展開がなされていくのかとワクワクしていたら、全く予想できない方向に話が進んでいって非常に驚きました。いや、とても面白かったんですが、まさかそんな展開になるとは。

    三体に比べると風呂敷の畳み方を含め、正直荒削りな部分的も多いんですが、著者のルーツを知るという意味ではとても魅力的な作品だと思いますので、三体を読み終わった方にはぜひ手に取って欲しいですね。

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    2023年08月28日
  • 超新星紀元

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    劉慈欣の初期小説。さすが!
    超新星爆発により13歳以下の子供たちだけが生き残ることになった地球。『蝿の王』を超える残酷ぶりが吹き荒れるわけだが、淡々とした筆致とユーモア、子供ならではの軽い命認識などとあいまって、悲惨感はなく、どう落とし前をつけるのかなとページを繰る手が止まらない。

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    2023年08月27日
  • 超新星紀元

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    三体作者の長編デビュー作がやっと翻訳されましたということで読んでみた。地球規模版少年少女漂流記と言いますか、ぶっ飛んだ設定はさすがのスケールも、後半はかなりひっちゃかめっちゃかになりがち。そこも含めて楽しみたい。

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    2023年08月20日
  • 円 劉慈欣短篇集

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    面白い。

    ベストセラーSF「三体」につながるアイデアもちらほらと(最後の「円」とか)。この人のぶっとんだ発想は実に楽しい。そして、翻訳のせいかもだが、文章が読みやすい。

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    2023年06月19日
  • アジャストメント ディック短篇傑作選

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    ディックの作品は「アンドロイドは電気羊の〜」、短編集「トータルリコール」を呼んだのみ。
    短編集「トータルリコール」のようなものを期待していたが、こちらの短編集は「トータルリコール」よりもオチが分かりにくい印象を受けた。単純に私の読解力が乏しいのもあるが、、
    特に最後に収録されているエッセイに関しては私には難しすぎた。

    この作者の別の作品をもう少し読んでから再挑戦したいと思う。

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    2023年06月12日
  • 金色昔日【こんじきせきじつ】 現代中国SFアンソロジー

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    ・ケン・リュウ編「金色昔日 現代中国SFアンソロジー」(ハヤカワ文庫SF)は「折りたたみ北京」に続く中国SFの第2弾である。登場人物等、さすが中国である。カタカナでではなく、漢字の名前が多い。ま づこのことに感心してしまつた。それほど私が中国とは無縁の読書生活を送つてゐるといふことである。さういふ内容の作品もあればさうではない作品もある。実に様々である。「本アンソロジーには、全部で十四名の作家による十六篇の作品が収録されて」(「序文」12頁)をり、「作品渉猟の場を拡大する方向に目を向けて」(同前)編まれたといふ。ただし、「本プロジェクトは、中国現代SFの代表的な作品を集めるという意図は」(同13頁)持つてゐないといふ。私にはいかなる作品が「中国現代SFの代表的な作品」か分からない。「中国SFと呼びうる作品の多様さと中国SF作家界の雑多な構成」(同前)といふことは、中国SFといつたところで、決して一つにくくれるものではないといふことなのであらう。
    ・表題作宝樹「金色昔日」はおもしろい作品であつた。私は現代中国の歴史を知つてゐるわけではないが、 それでもこの作品が現代中国の歴史をさかのぼつてゐることは分かる。主人公の「いちばん古い記憶はオリンピックの開会式だ。」(222頁)といふのが北京五輪であれば、彼は私達の同時代人であると言へる。 「三年生のときに感染症のSARSが流行し」(226頁)た。次にサダム・フセインやビン・ラーディンが出てくる。例の9・11もある。かうして様々な出来事があり、ゴルバチョフがソ連邦を作り、「?小平の計画経済改革が失敗し、経済は悪化の一途をたど」(243頁)る。さうして共産党内部抗争から天安門事件が起きる。主人公は学生側の指導部に加はるも、最後は軍隊に掃討される。……ここまで書けば十分であらう。この作品は歴史を改編しつつさかのぼつてゐる。従つて、最後は日独伊の三国同盟対米ソ同盟であ り、この中国側の動きとして国共内戦と国共統一戦線による抗日闘争である。この間に幼なじみの恋人が登場する。この女性の運命は歴史に弄ばれてゐる。最後は日中戦中に主人公に会ふことかなはず死ぬ。「ある意味で本書の作品中最も中国的な物語であ」(ケン・リュウ解説218頁)り、「人民共和国の歴史を知れ ば知るほど、この物語の意味もはっきりと見えてくる。」(同前)といふ。私に見えたものが宝樹の見たものであるなら、これが中国国内で発表できるのかと思ふ。「最初の公式な出版が英語版と」(同前)なるさうである。原典には"No Chinese publication"とある。中国語版なし。訳者はケン・リュウである。「公式な出版が英語」であるなら、非公式な中国語もあるのであらうか。中国国内で出せないから英語版を出したのではないのか。中国の現状を見る限り、危険を顧みずに敢へて出版するとは思へない。宝樹はいかなる人かと思つても、フリーライターであるらしいとしか分からない。web上 にもこれ以上はなささうである。この人、中国で現役の作家としてやつてゐるのだらうか。天安門事件や文革を描き、?小平の経済改革を失敗といふ。かういふことが許されるのなら、中国は今少しまともな国にな つてゐさうでる。しかしさうではない。あくまで習某の中国である。かうして日本語版が出るからには、この人の現在を心配する必要はないのかもしれない。もちろんこれは例外的な作品である。本書は普通のSFばかりである、とは語弊があるか。しかし、ここに様々な傾向の作品があり、様々な内容の作品があると知れる。おもしろい作品集であつた。

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    2023年04月05日
  • 金色昔日【こんじきせきじつ】 現代中国SFアンソロジー

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    アンソロジー集なので
    合間あいまに拾い読みしてました。
    いろんな作家さんがいることがわかって
    楽しかったです。

    好みなのは
    『おやすみなさい、メランコリー』
    『鏡』もテイストが近い。
    『月の光』『正月列車』は
    なんか星新一のようにニヤリとする。

    表題作の『金色昔日』も哀しいけど良かった。
    ひとつの家族の一代記なんだけど
    途中である違和感を感じてから先は
    胸が締めつけられつつ読んだわ。

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    2023年02月27日
  • トータル・リコール

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    ネタバレ

    “彼はめざめた——そして火星を恋い、その峡谷を想った。一歩一歩、足を踏みしめてその谷間を歩くのは、どんな気分のものだろう。意識がはっきりしてくるにつれ、しだいしだいに大きくその夢はふくれあがっていった。その夢、その憧憬。自分をとりかこんでいるその世界の存在さえ、実感できるような心地がした。(『トータル・リコール』より、p.9)”

     ハマっていると言うほどでもないが、ここ数ヶ月ディックをよく読んでいる気がする。短編集初収録の3篇を含む、全10篇を収録。
     表題作『トータル・リコール』が良かった。火星に行くことに憧れる会社員クウェールは、ある日リコール社を訪れる。夢が到底叶いそうにないことを悟り、それならばと偽の記憶を植え付けてもらうつもりだったのだが・・・。若干バカSFっぽい、とても愉快な作品だった。「現実と非現実」というディックが好むテーマも見える。

    トータル・リコール/出口はどこかへの入口/地球防衛軍/訪問者/世界をわが手に/ミスター・スペースシップ/非O/フード・メーカー/吊されたよそ者/マイノリティ・リポート

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    2023年02月09日
  • 金色昔日【こんじきせきじつ】 現代中国SFアンソロジー

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    近年スマッシュ・ヒットを飛ばし続けている現代中国SFのアンソロジー、2019年に発売された「折りたたみ北京」に続く第二弾が満を侍して発売。SF者の期待感を表すかのような分厚さ。「折りたたみ北京」の1.5倍ぐらいになっている・・・(^_^; 早川書房さん、紙の文庫本は上下巻に分かれても構いませんので一冊あたりの厚みを抑えていただけないものでしょうかね〜。紙の文庫本にとって、「携帯性」ってとても重要なポイントだと思うんですけどね〜〜。

    閑話休題。
    一通り読んでみて、「折りたたみ北京」を読んだ時ほどの衝撃は、正直感じませんでした。読むこちら側の期待値の違いかもしれません。「よーし、面白いSF読むぞー!」と鼻息荒く読み始めたら、肩透かしを食った感じ。SFというよりも、「幻想小説」または「実験小説」といった趣の作品が多い印象です。
    ただ、面白くないわけではありませんので念のため。SF風味は薄めかもしれませんが、ひとつの小説のとしての完成度はどれも高く、読後感は良いです。これ、中国の商業作家たちが、クロスオーバーにレベルの高い作品を輩出し続けている、ということですよね。中国の文壇は今、とてもエキサイティングな状況にあるのだと思います。SFの枠に囚われることなく、もっと読まれても良い作品集だと思います。

    鴨的お気に入りは、劉慈欣「月の光」、宝樹「金色昔日」、張冉「晋陽の雪」あたり。いずれもSFとしてレベルが高いです。そして、やたらとインパクトがあったのが馬伯庸「始皇帝の休日」。「どこの野崎まどだよ」とツッコミを入れたくなる斜め上のぶっ飛びぶりで、どのような心構えで読めば良いのか最後までよくわかりませんでしたヽ( ´ー`)ノ
    いやー、相変わらず肩幅広いですねー。中国SF、当たり外れはありますが、この先も引き続きチェックしていきたいです。

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    2023年01月29日
  • トータル・リコール

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    短編集だけどひとつひとつのスケールがすごくて、ちゃんと面白い。いくつか映画化されてるけど全部やれそう。

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    2023年02月13日
  • 人間以前 ディック短篇傑作選

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    いくつかのファンタジー短編のあと、SF短編が続く。
    SF初期の空気が感じられて面白い。
    個人的には、表題作の「人間以前」が凄いと感じた。
    確かに、突き詰めれば、そういうことだよな。

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    2023年01月18日
  • ブラック・フォン

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    洋風世にも奇妙な物語詰め合わせ短編集。
    きついホラーは無い。(なんなら表紙がいちばん怖い)

    17編あった中で1番のお気に入りは、
    純文学系の「ポップアート」。
    これは勿論、他にも何個か
    読み返したいのがあるので売らずに持っておく。
    (マイナーすぎて重版見込めないだろうし)

    心揺さぶられたりするほどの感動はないけど、
    ふとした時に読みたくなる予感がする。

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    2023年01月01日
  • 変数人間

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    ネタバレ

     フィリップ・K・ディックを読むのはこの本がはじめて。ディックと言えば『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』の思弁系SFのイメージがあったけれど、この短編集には、軽いユーモアSFや超能力を題材とした正統派のSFが主に収められている。『パーキー・パットの日々』と表題作『変数人間』が印象に残った。

    『パーキー・パットの日々』

    “父親がつぶやいた。「あのオークランドの連中。あのゲーム、あの特別な人形、それがあの連中になにかを教えたんだよ。コニーは成長しなくちゃならない。それで、あの連中も彼女と一緒に成長するしかなくなったんだ。ピノールのまぐれものは、そのことをまなばなかった。パーキー・パットからは。これからも、まなべるかどうかはわからない。パットも、コニーとおなじように成長しなくちゃいけないんだ。コニーも、前にはパーキー・パットとおなじようだったようにちがいないよ。ずっと前には」
     父親のいっていることに興味がないー人形だの、人形を使ったゲームなんかのどこがおもしろいんだろう? ティモシーはさっさと駆け出し、目をこらして、なにが行く手に待っているかをのぞいた。自分と、母親と父親、そして、リーガンさんを待っている、たくさんの機会と可能性を。(p.59)”

     核戦争後の荒廃した地球で、火星人から与えられる物資を頼りに各地の地下シェルターで暮らす人々。大人たちが興じているのは「パーキー・パット」という名の人形を使った奇妙な遊戯で、彼女に手作りの小物を与え、架空の人生を送らせることでかつての豊かな日々を懐かしんでいた。そんな中、隣のシェルターには「コニー・コンパニオン」人形があることを知り、興味を持った彼らは…

     少し前までは他でもない自分たちのものだった、たくさんの物に溢れ平和な人生を、人形に託すことで心の支えとする中年たち。
    ”ノーマン・シャインは自分のLPコレクションを覚えている。以前は、パーキー・パットのボーイフレンドのレナードとおなじように、高級な服を持っていた。(略)あのころのわれわれは、いまのパットとレナードのような暮らしをしていたんだ。(p.23)“
    彼らの姿には同情と哀れみを覚えるが、手作りの人形に対するそのあまりの執着には、恐怖と同時に滑稽さも感じる。非常に味わい深い作品。

    『変数人間』

    “「これはーこれは変数なんです」カプランは身ぶるいしていた。唇は血の気がなく、顔は蒼白だった。「そこからどんな推論も引き出せないデータなんです。過去からきた男。コンピュータは彼を処理することができません。変数人間を!」(p.380)”

     西暦二一二八年。地球は、太陽系を包囲するケンタウルス帝国と緊張状態にあった。彼我の勢力差を逆転させることを期待された、地球軍の新兵器イカロス。その完成する直前、過去からやってきた男トマス・コールが唯一の不確定要素となり、コンピュータは開戦後の趨勢を計算できなくなってしまった。公安長官エリック・ラインハートは、彼を排除せんと執拗に追いかけるが…
     
     人類が宇宙に進出した未来を舞台にした、大スケールのSFアクション中編。コールを匿った研究所での戦闘シーンは迫力がある。

    パーキー・パットの日々/CM地獄/不屈の蛙/あんな目はごめんだ/猫と宇宙船/スパイはだれだ/不適応者/超能力世界/ペイチェック/変数人間

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    2022年12月15日
  • 金色昔日【こんじきせきじつ】 現代中国SFアンソロジー

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    明記はされていないようだが(迂生は見つけられなかった)、訳者の顔ぶれからしておそらく英文からの重訳。そのせいか英米SFの翻訳を読んでいるような手触り。ローカリズムを売りにしているわけではないから当然かも知れない。収録作品のレベルは文句なく高いが、(編者が宣言しているように)アラが目立つ作もあるし、文化の違いか、一読して隔靴掻痒の感を覚える作もある。それも味かも知れない。

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    2022年11月29日