大森望のレビュー一覧

  • vN

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    これは、「ブレード・ランナー」その後ですね。

    タイトルのvNは現在の主なコンピューターの基礎理論を確立したフォン・ノイマンからきています。
    主人公はフォン・ノイマン式自己複製ヒューマノイドの女の子。果たして、脳がフォン・ノイマン式どおり逐次処理を行っているのか?等、科学的な突っ込みどころは満載。ディックの原作からブレード・ランナーという映画になっても流れていた人間とは?といった思索をめぐらせるようなテーマを持っているわけではなく、スプラッター&アクション&ラノベ的ラブの連続。でも面白い。ところどころ、何を描写しているのかわかりにくいところもありますが、これがデビュー作とは。すごいなぁ。

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    2015年01月10日
  • 犬は勘定に入れません(下) あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

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    長さを抜きにすれば、お気楽に読めるけど、
    あちらこちらに散りばめられたヒントや、
    複雑にしようとしていると思える仕掛けに
    気づいて楽しむには、人物たちに惹きこまれて
    じっくり読むのが一番。
    引用を多用するテレンスも気取り屋ではなく
    夢見がちで嫌味のないイイヤツだし。
    19世紀の謎は、早くにわかるけど、
    「そこと、掛かっていたいたか!」と。
    イングランドの建築や美術、古典や詩だけではなく、
    推理小説も知っているとより楽しめるのだろうが、
    知らなくても、この世界を楽しめる。

    前作に続きフィンチ君、抜群の安定感、癒し系。
    天職を見つけます。

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    2014年12月26日
  • 犬は勘定に入れません(上) あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

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    『航路』『ドゥームズデイ・ブック 』の
    シリアス路線とは一味違うコメディ。
    語り手、主人公が疲労困憊で混乱気味なので
    最初の方は混乱に付き合わされて読みにくいが、
    周りの見えないマイペースな登場人物、
    当初自分すら見失っている主人公、愛すべき動物
    に魅力的なヒロイン。ドタバタコメディラブロマンス
    にならない方がおかしい、娯楽作の要素たっぷり。
    数多く繰り返される引用、ヴィクトリア朝、
    知らないことに興味をひかれて調べるのも副作用。

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    2014年12月18日
  • 航路(下)

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    こんなことになるなんて…
    どうしてウィリス作品の登場人物たちは人の話を聞かないんだろうか
    どんでん返しがいつくるかないつくるかなと淡い期待をして辛いけど最期まで読んだ
    喪失感
    はあ…

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    2014年10月17日
  • ドゥームズデイ・ブック(下)

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    二つの時代の疫病の蔓延で、物語は加速する。
    わかっているのよ、創作だということも
    すでに700年前に結果が出ているということも。
    でも年代が判明した瞬間、
    あの人(達)が亡くなった(とわかった)時
    何度か震える一行があった。
    なによりキヴリンの最後の一言は、
    文字通りにとってよいのだろうか。

    途中、若さゆえ活き活きと頼もしくもあった
    最終盤では、それがわずらわしくもあるコリンが
    成長して出るなら、シリーズは全部読まないとね。
    もちろん空襲警報も読みなおそう。

    他の方感想に「長い」とあるが、確かに長い。
    (いや、今年ようやく読み終わった『レ・ミゼラブル』
    各巻冒頭100ページに比べたらなんで

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    2014年10月14日
  • トータル・リコール

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    ネタバレ

    「トータル・リコール」・・・クウェールがリコール社を訪ねて、架空の記憶パターン(火星に行った記憶)を植え付けようとする→事実であって、彼はインタープランの秘密捜査官として火星に行き、プロの殺し屋として一人の男を殺していたことを思い出す。
    →記憶の上書きしようと再びリコール社へ。強烈な願望を満たすために、宇宙人が自分を気に入り、自分が生きている限りは地球侵略をしないと言ったことを植え付けようとするが、これも事実であり、思い出す。
    →クウェールを殺せない。殺人光線の杖が見つかるのも時間の問題だ、、、。
    「出口はどこかへの入口」・・・不思議な<大学>へ行き、自分自身の忠誠心を試される話。
    →自販機で

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    2014年09月07日
  • ブラックアウト

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    航時シリーズ。同シリーズの「ドゥームズデイ・ブック」「犬は勘定に入れません」を読んで無くても読める…が、読んでおくことをお勧めする。ネットの原理や過去の事件に言及している部分など、今作から入ると「?」な部分が多すぎると思う。

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    2014年09月01日
  • 航路(下)

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    確かに第2部終盤には驚かされた。
    そして、そこから始まる並行の物語は
    (現実では並行ではないけど)
    本当に静かな余韻を漂わせるラストへ。
    帯にあるような「魂を揺さぶる感動巨編」とまでは
    思わないが臨死体験を通して生と死に向き合う。

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    2014年08月22日
  • 航路(上)

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    確かに650ページ超の(それも上巻だけで)は長い。
    けど、深く知りたいと思いのめりこむ人たちと、
    自分が信じたい(他人に刷り込まれた)ことに
    飛びつく人たちとの対比や、病院内と病院外、
    わかりやすいキャラ設定(ティッシュとか)
    リズムも彩りも豊かで読むのは苦にならない。
    何より、各章の冒頭にある最期の言葉のように
    謎多く、ドタバタしながらも、しっとりと
    落ち着き、詩的なムードが根底を支配している気がして
    どんな結末を迎えるのか楽しみ。

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    2015年11月12日
  • NOVA1【完全版】

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    SFにそれほど強くはないのですが。
    やっぱり、伊藤計劃さんの物語力は凄いと思った。本当にその死が惜しまれる。
    『かめくん』が大好きなので、北野さんの作品が読めたことも嬉しかった。

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    2014年06月28日
  • ブラックアウト

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    波に乗っちゃえばわりあい一気に読めるけど、でもやっぱり長い・・・しかしタイムトラベルって興味あるけど、いくら歴史を目撃したい体験したいと思っても、戦時中に行きたいとは思わないなあ・・・

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    2014年04月11日
  • オール・クリア2

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    私の評価基準
    ☆☆☆☆☆ 最高 すごくおもしろい ぜひおすすめ 保存版
    ☆☆☆☆ すごくおもしろい おすすめ 再読するかも
    ☆☆☆ おもしろい 気が向いたらどうぞ
    ☆☆ 普通 時間があれば
    ☆ つまらない もしくは趣味が合わない

    レビューは前編に

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    2014年01月11日
  • 航路(下)

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    面白かった。
    二日がかりで一気に読みました。
    臨死体験が薬によって再現できる、という設定の元に認知心理学者の主人公が擬似臨死体験のプロジェクトに参加することになるのですが、そのうち自身がその被験者となり、そこで行った先は何とあの歴史上有名なアノ場所だった!と分かるところで第一部が終了します。この辺りで上巻の半分強、ここまでは多少冗長な展開なところもありましたが、そこから先の上巻の終わり、そして衝撃的な第二部のくくりを経て最後へと続くところはまさにノンストップノベルという感じ!訳者があとがきで作者コニー・ウィリスは常々日本の宮部みゆきだと言っているのだが、と書いてますが、まったく同感です。衝撃的

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    2014年01月06日
  • ドゥームズデイ・ブック(下)

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    どうして誰も人の話を聞かないのか…。登場人物たちの身勝手さに読んでてイライラするのはいつものウィリスだが。我慢して上巻の最後のページまでくればすぐさま下巻を読みたくなること間違いなし。過去も現代もパンデミックのためバタバタ人が死んでいく。その凄惨さの中で唯一の救いがコリンの明るさ。「ブラックアウト」に成長したコリンが出てくるらしいので楽しみだ。(ろくでなしの母親しかいないのに何故名門イートンに入れたのか気になる)。
    あと、ボドリアンをボドレアン、ベイリオルをベイリアルとするなど、どうしてそのカタカナ表記にした?という細かいことが気になって仕方ない。

    キブリンのその後は短編『空襲警報』でどうぞ

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    2014年04月09日
  • ドゥームズデイ・ブック(上)

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    歴史調査で1320年に行くという話。タイムトラベルもので過去の描写が丁寧。でも、タイムトラベルだけで話が進まないのが面白い。

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    2013年12月01日
  • アジャストメント ディック短篇傑作選

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    「にせもの」のスリル、
    「おお!ブローベルとなりて」「ぶざまなオルフェウス」の黒い失笑、
    「さよなら、ヴィンセント」の切なさが、特にも印象的だった。
    小説ではなく、著者の論考である「人間とアンドロイドと機械」も収録されていて
    SFを通じて著者が何を熟考し、表現したかったのかが、ひしひし伝わる。
    書くことは戦いであり探究、という印象を得た。
    「ペンと剣」という言葉を思い出した。

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    2013年11月23日
  • オール・クリア1

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    「ブラックアウト」の続編。
    合わせて、数多くの賞を受賞しています。
    ヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞をタイムトラベルもののシリーズでほとんど総なめ!

    2060年の未来。
    イギリスのオックスフォード大学史学部では、学生が歴史的な体験をレポートするためのタイムトラベルが行われている。
    ダンワージー教授がなぜか次々に予定を変更する騒ぎの中、第二次大戦下のロンドンに送り込まれた3人の学生。
    ポリーは、ロンドンのデパートの店員に。
    メロピーは、アイリーンと名乗って、田舎の屋敷のメイドに。
    マイクはアメリカ人記者として、ダンケルクに。

    3人とも自分のゲートがなぜか開かずに帰還できなくなり、少しずれ

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    2013年11月23日
  • NOVA1【完全版】

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    マズい。もしかしたら円城塔は合わないかもしれない。伊藤計劃の次に手を出すつもりにしていたんだけど……ちょっと好きかなーと思う雰囲気はあるんだけど。あるんだけど先にしんどくなってくるので読んでて辛い。

    おもしろかったのは小林泰三『忘却の侵略』と飛浩隆『自生の夢』。
    とくに『自生の夢』はよかった。一読では流れが分かりづらいものの、読み進めてつながりが見えてくる辺りからの引き込み方がすごい。登場人物(といっていいのやら)も魅力的。

    それにしても伊藤計劃は惜しすぎる。
    続きが読みたい。しかし合わなそうな気配がしてきた円城塔との合作を読むべきか、今のままで置いておくべきか。悩む。でも続きが気になる。

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    2013年11月19日
  • アジャストメント ディック短篇傑作選

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    このブラックな感じがなんとも言えない作品。短編集ということもあり、気に入った作品も、苦手な作品も半々といったところでした。とはいっても、これは海外SFがまだ二回目なので楽しみ方がまだ手探り状態ということにも起因しているとは思いますが…。
    個人的には、「ウーブ身重く横たわる」「にせもの」「電気蟻」「凍った旅」がお気に入りです。
    特に「電気蟻」のアンドロイド?ロボット?の仕組みは最近のSFには絶対出てこないものだったので新鮮で興味深かったです。

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    2013年10月18日
  • アジャストメント ディック短篇傑作選

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    やばい!ディックの悪夢世界から抜けられない・・・

    でも、著者の「短期間で量産した」とまで言われる膨大な短編はどんな感じなのだろう?ということで読んでみる。

    ここにもあるある!50年代の短編には見られない、精神分裂症的な影が60年代に現れてきているのです。自分が本物であることを信じきっている「にせもの」って今の我々にも悲しく重苦しく響くものがあります。じゃ、本物って何よと開き直る現代がさらに恐ろしく見えます。

    きっとコンピューターの仕組みを理解しないで書いている「電機蟻」も気味の悪さは増すばかり。これって自分の脳をカスタマイズするってことじゃないですか!

    必ずや発狂する「凍った旅」。傑作

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    2013年10月10日