大森望のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
これは、「ブレード・ランナー」その後ですね。
タイトルのvNは現在の主なコンピューターの基礎理論を確立したフォン・ノイマンからきています。
主人公はフォン・ノイマン式自己複製ヒューマノイドの女の子。果たして、脳がフォン・ノイマン式どおり逐次処理を行っているのか?等、科学的な突っ込みどころは満載。ディックの原作からブレード・ランナーという映画になっても流れていた人間とは?といった思索をめぐらせるようなテーマを持っているわけではなく、スプラッター&アクション&ラノベ的ラブの連続。でも面白い。ところどころ、何を描写しているのかわかりにくいところもありますが、これがデビュー作とは。すごいなぁ。
レ -
Posted by ブクログ
二つの時代の疫病の蔓延で、物語は加速する。
わかっているのよ、創作だということも
すでに700年前に結果が出ているということも。
でも年代が判明した瞬間、
あの人(達)が亡くなった(とわかった)時
何度か震える一行があった。
なによりキヴリンの最後の一言は、
文字通りにとってよいのだろうか。
途中、若さゆえ活き活きと頼もしくもあった
最終盤では、それがわずらわしくもあるコリンが
成長して出るなら、シリーズは全部読まないとね。
もちろん空襲警報も読みなおそう。
他の方感想に「長い」とあるが、確かに長い。
(いや、今年ようやく読み終わった『レ・ミゼラブル』
各巻冒頭100ページに比べたらなんで -
Posted by ブクログ
ネタバレ「トータル・リコール」・・・クウェールがリコール社を訪ねて、架空の記憶パターン(火星に行った記憶)を植え付けようとする→事実であって、彼はインタープランの秘密捜査官として火星に行き、プロの殺し屋として一人の男を殺していたことを思い出す。
→記憶の上書きしようと再びリコール社へ。強烈な願望を満たすために、宇宙人が自分を気に入り、自分が生きている限りは地球侵略をしないと言ったことを植え付けようとするが、これも事実であり、思い出す。
→クウェールを殺せない。殺人光線の杖が見つかるのも時間の問題だ、、、。
「出口はどこかへの入口」・・・不思議な<大学>へ行き、自分自身の忠誠心を試される話。
→自販機で -
Posted by ブクログ
面白かった。
二日がかりで一気に読みました。
臨死体験が薬によって再現できる、という設定の元に認知心理学者の主人公が擬似臨死体験のプロジェクトに参加することになるのですが、そのうち自身がその被験者となり、そこで行った先は何とあの歴史上有名なアノ場所だった!と分かるところで第一部が終了します。この辺りで上巻の半分強、ここまでは多少冗長な展開なところもありましたが、そこから先の上巻の終わり、そして衝撃的な第二部のくくりを経て最後へと続くところはまさにノンストップノベルという感じ!訳者があとがきで作者コニー・ウィリスは常々日本の宮部みゆきだと言っているのだが、と書いてますが、まったく同感です。衝撃的 -
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どうして誰も人の話を聞かないのか…。登場人物たちの身勝手さに読んでてイライラするのはいつものウィリスだが。我慢して上巻の最後のページまでくればすぐさま下巻を読みたくなること間違いなし。過去も現代もパンデミックのためバタバタ人が死んでいく。その凄惨さの中で唯一の救いがコリンの明るさ。「ブラックアウト」に成長したコリンが出てくるらしいので楽しみだ。(ろくでなしの母親しかいないのに何故名門イートンに入れたのか気になる)。
あと、ボドリアンをボドレアン、ベイリオルをベイリアルとするなど、どうしてそのカタカナ表記にした?という細かいことが気になって仕方ない。
キブリンのその後は短編『空襲警報』でどうぞ -
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Posted by ブクログ
「ブラックアウト」の続編。
合わせて、数多くの賞を受賞しています。
ヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞をタイムトラベルもののシリーズでほとんど総なめ!
2060年の未来。
イギリスのオックスフォード大学史学部では、学生が歴史的な体験をレポートするためのタイムトラベルが行われている。
ダンワージー教授がなぜか次々に予定を変更する騒ぎの中、第二次大戦下のロンドンに送り込まれた3人の学生。
ポリーは、ロンドンのデパートの店員に。
メロピーは、アイリーンと名乗って、田舎の屋敷のメイドに。
マイクはアメリカ人記者として、ダンケルクに。
3人とも自分のゲートがなぜか開かずに帰還できなくなり、少しずれ -
Posted by ブクログ
マズい。もしかしたら円城塔は合わないかもしれない。伊藤計劃の次に手を出すつもりにしていたんだけど……ちょっと好きかなーと思う雰囲気はあるんだけど。あるんだけど先にしんどくなってくるので読んでて辛い。
おもしろかったのは小林泰三『忘却の侵略』と飛浩隆『自生の夢』。
とくに『自生の夢』はよかった。一読では流れが分かりづらいものの、読み進めてつながりが見えてくる辺りからの引き込み方がすごい。登場人物(といっていいのやら)も魅力的。
それにしても伊藤計劃は惜しすぎる。
続きが読みたい。しかし合わなそうな気配がしてきた円城塔との合作を読むべきか、今のままで置いておくべきか。悩む。でも続きが気になる。 -
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Posted by ブクログ
やばい!ディックの悪夢世界から抜けられない・・・
でも、著者の「短期間で量産した」とまで言われる膨大な短編はどんな感じなのだろう?ということで読んでみる。
ここにもあるある!50年代の短編には見られない、精神分裂症的な影が60年代に現れてきているのです。自分が本物であることを信じきっている「にせもの」って今の我々にも悲しく重苦しく響くものがあります。じゃ、本物って何よと開き直る現代がさらに恐ろしく見えます。
きっとコンピューターの仕組みを理解しないで書いている「電機蟻」も気味の悪さは増すばかり。これって自分の脳をカスタマイズするってことじゃないですか!
必ずや発狂する「凍った旅」。傑作