【感想・ネタバレ】トータル・リコールのレビュー

あらすじ

夜ごと火星に行く夢を見ていたクウェールは、念願の火星旅行を実現しようと、リコール社を訪れるが……。現実と非現実の境界を描いた映画化原作「トータル・リコール」、犯罪予知が可能になった未来を描いたサスペンス「マイノリティ・リポート」(スピルバー グ映画化原作)をはじめ、1953年発表の本邦初訳作「ミスター・スペースシップ」に、「非(ナル)O」「フード・メーカー」の短篇集初収録作ほか、全10篇を収録した傑作選

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Posted by ブクログ

p9 - トータル・リコール
彼はめざめた——そして火星を恋い、その峡谷を想った。一歩一歩、足を踏みしめてその谷間を歩くのは、どんな気分のものだろう。意識がはっきりしてくるにつれ、しだいしだいに大きくその夢はふくれあがっていった。その夢、その憧憬。自分をとりかこんでいるその世界の存在さえ、実感できるような心地がした。

SFとしての面白さはもちろん一品級だが、書き出しの情景描写からとてもわくわくするし、何よりフィリップ・ディックの想像力がとてつもない。本当に近未来に起こり得そうなリアリティが各作品の醍醐味。

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2025年05月13日

Posted by ブクログ

どの話も面白い マリノリティ・リポート(映画版も見た。映画も負けず劣らず面白い)、訪問者、ミスター・スペースシップ、吊るされたよそ者あたりがよかった ミスター・スペースシップはこの中だとファン人気が低いらしいけど、ロマンティックで美しい余韻がある

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2025年01月05日

Posted by ブクログ

フィリップ・ディックはいくつか長編を読んだことありますが短編は初めてです。長編は面白いんだけどよくわからないことも多いのですが、短編では言いたいことが直接的に書かれて分かりやすいです。
なにかの本のあとがきでフィリップ・ディックが小説を書く理由として「この世界では生きられない自分の愛する人たちが生きられる世界を作る。本来なら自分を現実に合わせるが自分はそれができない。それがSFを書くっていうこと」といっていたのと、自身の生活やら小説テーマが社会に抵抗するところもあるので、反抗的な印象があったのですが、この短編を読むと平和や人間の自由をのぞみ、やりすぎた管理を批判する当たり前の感覚でした。。

『トータル・リコール』
気弱で平凡なクウェールは、毎晩火星へ行く夢を見ていた。自分は火星特別秘密捜査官なんだ!…という妄想が膨れすぎているようだ。
この物語では、人の脳に記憶を植え付けることができる。そこでクウェールは記憶植え付けを請け負うリコール社に行って、火星旅行の記憶を入れてもらうことにした。平凡でつまらない人生のほんのちょっとした刺激だ。
しかしリコール社の植え付けは失敗した。それどころかクウェールの深層心理から、隠されていた記憶を呼び戻してしまった。
呼び戻された記憶によると、クウェールは本当に火星特別秘密捜査官で暗殺業なども手掛けていたのだ!
クウェールがが記憶を戻したことは捜査官たちに知られて、殺し屋を差し向けてくる。
追手から逃げる方法は体が覚えていた。クウェールは「争いはやめよう。もう一度俺に記憶を植え付けて、火星のことは忘れさせてくれないか」と提案する。
そしてまたリコール社に行くと…。
==シュワルツェネッガーの映画は昔見たことあり、この後火星に行ってアクションします。原作はある意味中二病が全部叶った!って感じが楽しかったです 笑

『出口はどこかへの入口』
平凡なサラリーマン生活を送るバイブルマンは、宇宙最高の大学への入学をスカウトされた。(大学の名前は「大学」。唯一無二のThe大学って感じか)
ここに入れば就職は引く手あまた。自分の送ってきた学ぶ機会もなくつまらない人生を変えられるのか。
入学者たちは「大学」の初日に極秘情報の守秘義務に付いて聞かされる。それはあるエネルギー開発システムだった。
バイブルマンは、たまたま自分が受けた退屈な講義の中に、そのエネルギー開発に関わる設計図を見つけてしまう。
バイブルマンは手に入れた設計図を追う扱うかを逡巡する。「大学」にいるためには機密事項を守らなければならない。しかしこのエネルギー設計図は公表すれば多くの人たちが助かり、このまま秘密にしていたら一部の人たちの富を独占を許すことになる。
 社会のために公表するか?しかしその場合自分は逮捕されるだろう。
 お金のためにどこかの企業に売る?それもすぐに自分だとバレるだろう。
 素直に大学に差し出すか?
決断の時が迫る。
==フィリップ・ディックだったらやらないだろうなーという決断だった。

『地球防衛軍』
8年前のアメリカとロシアの戦争で地表は放射能まみれになり、人々は地下に潜った。地上の戦争や放射線除去は、ロボットたちが地下からの人間の指示に従って行っている。
人間は地下で戦争を指示し、ロボットたちが地上で代理戦争をしているということ。いびつだ(-_-;)
しかし最近ロボットの様子がおかしい。もしかして地上ではもう放射能の影響は無くなっているのではないか?
==地上の様子の美しいこと。読んでいても嬉しくなる。しかしそんな地上の様子を見て「では今こそ戦争を進めて敵を壊滅させるチャンス!!」と決意する人間にはがっくり。
ロボットが自分で判断し、人間の予測不能なことをしたら?というのはSFのお約束ごとですが、大体は人間をロボットが支配するような方向になります。しかしこちらのロボットはなんと素晴らしい!人間からの命令の範囲で、人間を傷つけず、自分たちロボットが何をするのが一番人間の未来に良いのかを計算し、それを実行する。
素晴らしい!!
だが人間は…。
しかしラストでは、ちゃんと正しい方向に向かおうとする人間の姿も書かれます。
なんといういのかですね、人間はロボットに恥ずかしくない存在でいられるのかな。

『訪問者』
人類の大戦争で地球は放射能に汚染された。その当時の生物は姿を消した。人間は地下に潜り、酸素や食料を生み出す機械に頼って生きている。
だが地上に残った生物たちは、放射能に対応できるように、人間と動物の特徴を持つ姿へと変えて生き延びた。
複眼と触覚を持つ「アリンコ」、カンガルーのような「イダテン」、目がなくて穴を掘る「ミミズ」、ゴツゴツの高身長の「トカゲ」、水性生物「イルカ」
地下でほそぼそと生き延びる人間は、もうこの地球では過去の遺物なのか。このまま消え去るしかないのか。
==もう地球に人間の居場所はない。いつか地表の生物たちは訪問者となった人類を迎えてくれるのか。人間が生き延びる道は見つかったが、故郷は失った。物悲しさの残るお話。

『世界をわが手に』
科学は発達し、宇宙探索は進み、人類の寿命は果てしなく長くなった。
だが宇宙には、人類が友好関係を結べるような生命体を見つけられなかった。長い退屈の生活を余儀なくされた人類は、地球そっくりの惑星で、生命体を進化させる生きた球体「世界球(ワールドクラフト・バブル)」に夢中になっていた。何十年も掛けて、生命の発達を細かく設定し、最高の文明を作り上げる。
だが人類はそれにも飽きかけていた。何十年も手塩にかけ最高の「世界球(ワールドクラフト・バブル)」を叩き壊して狂乱のパーティを繰り広げる。世界球の神である作り手の気まぐれから、絶滅する球のなかの生命たち。
だがそれは、この地球もそうなのではないだろうか…。

『ミスター・スペースシップ』
人類は、他の星の生命体との戦争の連続だった。人類生き残りとしてエンジニアのクレイマーが立てた計画が採用される。それは宇宙船に優れた人間の脳を移植するということだった。その人間の自我はなくなる。だがプログラムでは測れない人間の経験や反射、直感により的の宇宙船の攻撃を交わし、相手を攻撃することができるだろう。
移植する脳の候補として元教授で余命僅かな老人トマスが挙がる。トマス元教授は説明を聞き、設計図をみて、ついには了解した。
トマスの脳は宇宙線に移植される。だが宇宙線は地球からの制御を振り切る。どうやらトマス老教授が移植前にプログラムを書き換えていたのだ。教授の自我を持った最高性能の宇宙船(オールドマン)は何を目論んでいるのか…。
==戦争なんかやめようよ。最初の世代は苦労しかしなくても、何代も掛ければそれを共通認識とする集団ができるよきっと、という、テーマは平和と希望を持ったお話。

『非O(なるおー)』
人間の感情を全く持たない「非O(ナルオー)」と呼ばれる特徴を持つ人間がいる。彼らは、この宇宙のすべてのモノ(オブジェクト)には意味がなく、すべてを統一してエネルギー化する運動「非O理論」を実施することにした。(このあたりは、科学的な説明がされていたがよく分からず(^_^;)
でもさすがに感情のある人間は黙っちゃいないよ。完全に理論的なナルオー計画は、知性よりも感情を爆発させる獣ような大衆によって破壊されるのでした、ちゃんちゃん。

『フード・メーカー』
やましいことがないなら頭の中を覗かれることに抵抗するなんておかしいだろう。
ある地域の事故の後に突如生まれ出した精神感応者(テレパス)たちは、政府に雇われ、不満分子たちをあぶり出していた。だがそんなテレパスたちに抵抗する人達もいる。中心にいるのは、精神を読まれなくする頭環(フード)を作る「フードメーカー」と呼ばれる伝説のような人物。
だが厳しい捜査により、フードメーカーもテレパスに捕まってしまった。抵抗一味が根こそぎになりそうな時に、フードメーカーは自分が知った重大な秘密を暴露する。
それは政府に多大な権力を与えられた精神感応者たちを絶望させるには十分な情報だったのだ。

『吊されたよそ者』
地下室の作業を終えたロイスは、街路樹に吊るされた死体を見つけて仰天する。
しかし近所の人達は誰もその死体に反応しない。それどころかロイスは騒動を起こしたとして警察に連行される。違和感を覚えたロイスは危うくパトカーから飛び降りる。
そして市庁舎で目撃してしまったのだ。町の人々が、人間の姿から不気味な昆虫の姿に変わっていく様子を。どうやら自分が地下室にいた間に、この町はエイリアンに乗っ取られてしまったらしい…。
==この冒頭、SF映画の冒頭のようでないか!しかしこれは短編だよ、どう始末するの?…と思ったら、まあ短編ならこうなるよね…な結果に。
これを原作に長編映画作ったらこの短編の終盤から全く違った展開に持っていけそうだなあ。

『マイノリティ・リポート』
未来に起きる犯罪を3人の予知能力者(プレコグ)により予知させて、まだ犯していない罪で犯人予定者を収容所にいれる。このシステムが確立され30年、殺人はなくなった。
だがある日、システム考案者で司法省長官のアンダートンは目を疑った。殺人者として自分の名前が予告されたのだ。被害者は会ったこともない人物だ。
誰かが自分をはめようとしているのか?それとも自分が構築した犯罪予防システムは間違いだったのか?
==未来が分かったことにより、人々の行動が変わったら、その未来はなかったことになるのか?
複数の未来統治者が見た未来が違ったら、どれを採用する?
SFジレンマというか哲学、そして考案者の初老の男が割と頑張るアクション的なものもありました。

トム・クルーズの映画は見ました。映画では殺人容疑を掛けられるのは若者なのでアクションしたり組織悪を暴露する物語でした。
こちらの原作では、殺人容疑をかけられるのがシステム考案者で責任者の初老の男なので、結末は全く逆でしたね。その初老の男が自分の作ったシステムに固執しながらも、体を張ってアクションとか銃撃とかする原作も十分面白かったです。
…しかし未来余地の矛盾に関する科学的・哲学的考察はちょいと理解できず(^_^;)(映画ではこのあたりが「組織悪」のように単純化されていた)

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2024年11月13日

Posted by ブクログ

2024年になっても新鮮な読み心地と生々しい迫力を備えている。時代を超えて読み継がれるとともに、実現可能な時代になりつつあることの恐怖も沸き起こる短編集。以下は個々の作品の備忘録


・トータルリコール
経験の記憶を販売する会社で記憶の植え付け施術失敗と思いきや、政府の要人というか機密を持っている重要参考人的な立場だった人の話。映画も見てみたい

・地球防衛軍
人類が始めた戦争を、人類が作ったAIで代理戦争をさせるも人間より遥か上の知能を持ったAIによって管理下に置かれていたことに気が付く愚かな人間の話。

・訪問者
核戦争後、人間が住めなくなった地球で生き延びるために細々と息をしている様を描いた作品。地球も生きていて、人間が滅びるのも地球の歴史の一部になり得る。人間が最後の地球の支配者だなんて考えは傲慢…。

・世界をわが手に
ラスト数行で察してしまう世界の真実と創造者。破壊衝動に限らず「本能的欲求・衝動」と括ってしまうが、それは理解を簡素化するための言葉だった。溜まったエネルギーの発出。何かを使役したい、力を持ちたい、強さを自覚したい。神になりたい。残酷な世界の成り立ちは残酷な人間のエネルギー衝動によるものだったかもしれない。

・フードメーカー
頭の中を他人から読まれてしまう恐怖。政府に対して不都合な思想ややましいことがあれば即刻逮捕。まさにディストピア!

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2024年02月25日

Posted by ブクログ

本書はフィリップ・K・ディック短編傑作集ですが、有名なところではトータル・リコール、そしてマイノリティ・レポートが掲載されています。もちろんこれらの有名な話も面白いですが、私はむしろそれ以外の短編を堪能しました。

ネタバレになりますので深く書きませんが、「地球防衛軍」「訪問者」は立場の逆転という視点を、「世界をわが手に」はいまでいうシミュレーション仮説につながる話です。「ミスター・スペースシップ」はBMI(ブレイン・マシン・インターフェース)、「フード・メーカー」は、デジタル監視社会といった形で、むしろ2023年に読むほうが、リアリティを増しているという作品もあると思います。私は個人的に「世界をわが手に」が特に印象に残りました。この短編の中で、世界球という玩具を作っている会社の社長が、「人々は倫理観だけでは動かないんだよ、そうではなく・・・・」というシーンがあり、これは現代のSDGsへの大いなる警句だと思いました。つまり「サステナブル」「持続可能な社会」と倫理だけに訴えていても、一部の人は従うがマジョリティは動かないだろう、ということを想起させるわけです。SFのストーリー展開が卓越しているだけでなく人間心理を深くついた作品集だと思います。

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2023年10月14日

Posted by ブクログ

この時代によくこのような物が書けたなと思う。
個人的には表題で映画化されたトータル・リコールや同じく映画化されたマイノリティ・リポート以外の短編の方が分かりやすく面白かった。また後ほど再読したいと思う。

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2022年11月03日

Posted by ブクログ

フィリップ・K・ディックは20世紀中盤に活躍したSF作家で、この短編集は、有名な二つの映画化作品をベースに、21世紀に入って日本で再編されたもの。

いずれも切れ味抜群の結末と個性ある世界観で、「傑作短編集」の名に恥じないものばかり。
同じ作家の少し難解な長編「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」に比べて、ずいぶんと解りやすく、読みやすかった。

映画化された「トータル・リコール」「マイノリティ・リポート」はもちろん、他の作品もいずれも印象深い。
「訪問者」は、驕慢であった人類の地球上での最後の姿が垣間見える。
「吊るされたよそ者」のあとは、街中を走り回る自分の姿を夢に見そう。
「フード・メーカー」には、監視社会の問題が漂う。

フレドリック・ブラウンがちょっと不思議系でレイ・ブラッドベリが寓話的であれば、ディックは文字通りSFの王道。

もっと、掘っててみようかな……。

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2022年09月21日

Posted by ブクログ

発表当時から時を経て現在より身近でリアルな近未来を映すSF・サスペンス短編集。タモリの歌唱が頭をよぎる「ミスター・スペースシップ」が異色でありながらどこか微笑ましくて好き。

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2021年08月12日

Posted by ブクログ

表題の『トータル・リコール』を含むSF短編を収録した本。

表題の『トータル・リコール』は、何の変哲もない主人公が、火星にどうしても行きたくて「火星に行ったという記憶を自分に植え付ける」サービスを受ける話。
もしかしたら主人公のようなことが自分にもあるのかもしれないと思うと楽しい作品だった。

ディックの短編集を3冊読んだ中では、一番爽快感があり後味も悪くない作品が多かったように思う。

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2021年05月03日

Posted by ブクログ

■トータルリコール
「自分の記憶は本物なのか」誰もが一度は考えたことがあるようなことが設定となっている話。
何が本物で偽物か?フィリップ・K・ディック作品に通ずるテーマが本書にも埋め込まれています。

■出口はどこかへの入り口
自分の夢を、正しいことをせず、ただ権力に従う。その結果としての評価が「いい人」である。
「いい人」という評価は誰の視点からかのものか、それが内包する意味は?
この評価はむしろ「くそったれ!」なものではないかと考えさせるお話

■地球防衛軍
設定としては米ソによる世界戦争という、作品の書かれた当時の冷戦の影響を強く受けている。
人類は永遠と戦争を続けるがそれは人類が一つになる過程で必要であったものであると語られる。
人類が人類自身では戦争を終わらせられないであろう諦めと、全人類が一つになったときに何を成しえるかという希望の両方を感じさせる。

■訪問者
核戦争後の世界を描く話。もはや”人間”にとっては故郷は帰る場所ではなく訪れる場所となる。
なんとなく切なくなるラスト。

■世界をわが手に
孤独な世界は諦めと狂気を育むだけか。
この世界も誰かの娯楽のために作られただけなのでは?

■ミスター・スペースシップ
機械の体に人間の精神。ありがちな話ではありますが、面白い。

■非O
この作品は正直理解できなかった。特に非Oの存在と設定が。
論理的であるということが正しいことではないといういうことか。

■フード・メーカー
他人に思考を読まれる息苦しさを感じる。
インターネットの検索内容や個人を特定できない情報としてでも思考を読まれるというのはいい気分じゃないよね。
そして情報が集まるところに権力が形成される。
秘密とは弱さであり、武器である。

■吊るされたよそ者
始まりには終わっていて、終わりにまた始まる。

■マイノリティ・リポート
抽象化されされ生み出された「多数」という結果は真実を表しているのか。
神は細部に宿る。

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2017年07月01日

Posted by ブクログ

映画化されたトータルリコール、マイノリティレポートを含む短編集。名作と言われているのは聞いていたが、読むのは初めて。面白い。時代背景からか、核戦争に絡んだ話が多いのも興味深い。
子供の頃、SFはよく読んだが、ここしばらくはご無沙汰。人生後半にたくさんの楽しみが残されている感じがして嬉しいかも。

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2016年10月03日

Posted by ブクログ

映画化された「トータルリコール」、「マイノリティー・リポート」含む10篇の傑作短編集。

ディックの映画化されたものは「ブレードランナー」を除いてつまらないので、この短編集も期待しないで読み始めたのですが・・・

やるではないですか!ディックにサイエンスは期待しませんが、人間(自分)は何をもってして人間(自分)と呼べるのか?という観点でいろいろな要素に分解して執拗に描くことにかけてはディックは最高です。これは、確かに精神を病んでしまうでしょう。

3.11後の現在に読んでも古びた感じがしないばかりか、今読むからこそ実感できる作品があるということはすごいことです。

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2014年02月01日

Posted by ブクログ

SF短編集。10篇入っていて手軽で読みやすい。タイトルの映画に原作があるのを知らなかったので手に取った。骨子は小説から取っているが、かなり膨らませて映画にしたのだなぁと思った。

他の話も意外なものに助けられるような展開や、前提の立場が入れ替わることで話の流れが変わるようなものが多く、面白かった。
個人的には、テレパスが当たり前にあり、頭の中を読まれることを拒むことが悪いこととされている世界で、精神走査を拒絶するためのフードが送られてくる「フード・メーカー」が好みだった。

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2025年03月30日

Posted by ブクログ

どれもフィリップKディックワールド全開。
SF大好きマンからするともう堪らなく楽しい…!

全体的にそうだけど、特に「地球防衛軍」なんかはプーチンはじめ世界中の戦争おっぱじめる奴らにぜひ読んでほしいお話だった……

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2024年04月24日

Posted by ブクログ

やはりディックはいい。どれもすれた雰囲気がただよう作品ばかりではあるが、単なるオールドSFではなく、どの時代でも通じる社会の根本的、根源的なものの皮肉などがきゅっとコンパクトに畳み込まれている感じがして良い。
そして、短編集のなかでは、トータル・リコールとマイノリティ・リポートのできが頭ひとつ飛び抜けているが、フード・メーカーも良かった。

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2023年01月25日

Posted by ブクログ

ほんと、よく思いつくなぁと思ってしまう。映画の原作になるような面白さや設定の深さ、価値観の転換が短い短編の中にもふんだんに盛り込められている。

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2022年03月31日

Posted by ブクログ

フィリップ・K・ディックの作品は映画原作が多い。
「トータルリコール」火星を夢見る主人公が仮想記憶会社で旅行体験するが何故か不都合が。
「マイノリティ・リポート」犯罪予知システムによる管理社会。

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2022年11月14日

Posted by ブクログ

発想に感嘆する。星新一のSFをヘビーにした印象。映画でしか知らなかった「トータルリコール」がこんな短編だったのも、こんなストーリーだったことにも驚き。表現が重厚なものだから、話の軽妙さがより際立って楽しめた。訳のおかげかもしれない。ここからあれだけ内容を膨らませた映画作品にも改めて拍手。シュワちゃんも好きだけれど、目が肥えた今はリメイク版がやっぱりいい。

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2020年09月08日

Posted by ブクログ

映画原作でもある2篇を含めた合計10篇の短編集。
短編集初収録(本邦初訳1篇含む)である3篇は自分的にはイマイチでしたが、それ以外の7篇はすごくおもしろかった。

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2020年07月22日

Posted by ブクログ

フィリップディックの短篇集
「トータル・リコール」
「出口はどこかへの入口」
「地球防衛軍」
「訪問者」
「世界をわが手に」
「ミスター・スペースシップ」
「非(ナル)O」
「フード・メーカー」
「吊されたよそ者」
「マイノリティ・リポート」
「地球防衛軍」が面白かった。

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2019年05月21日

Posted by ブクログ

全体的に読みやすい。翻訳がこなれているからだろう。古い作品なのだがどれも古さを感じさせない。元のアイデアが良いからだ。個人的に印象に残ったのは、「出口はどこかへの入口」「地球防衛軍」「訪問者」「世界をわが手に」の4作品。人の良心を試されているかのようなもの作品が多い。

以下、個別作品の感想。

トータル・リコール
同名の映画の原作。主に映画の前半部分が本編である。この作品では記憶を取り戻した後のストーリーが異なる。淡々とした感じではあるが、しっかりとしていて面白い。昔のSFだなと感じるのは、記憶媒体にテープを使っていること。火星に人類が行ける時代になれば、テープは一般的な記憶媒体ではなくなってると思う。

◎出口はどこかへの入口
素直に楽しめた。サイバーパンクではないブレードランナー(『アンドロイドは電気羊の夢をみるか』ではない)の世界観に近いかもしれない。人を試す展開がたまらない。

◎地球防衛軍
読み始めて戦争の目的に疑問を持った。戦争によって地表が放射能で汚染され、人類は地下で生活するようになり、戦争は完全にロボット兵士が続行するようになった。ある日、地表から放射能汚染されていないロボットが見つかった。それをきっかけに人類が動く。地球を守ったのは誰だろうか、地球を破壊しようとしたのは誰なのか、考えさせる作品だ。

◎訪問者
人間は地球を破壊しなければ気がすまないのかと思わせる作品だ。ただ破壊しても生き物はしぶとく生き残る。それがかつて人類と呼ばれていた種だとしても。また破壊しても新天地を求める行動を人類はするだろう。フロンティアを求める行動と言えば聞こえはいいが、新たに破壊するものを探しているだけかもしれない。懲りないなあ、人類は。

◎世界をわが手に
多元宇宙論が元ネタだと思われる。人々が盆栽を育てるように宇宙を育てる機械を持っている世界。人々はまるで神のように宇宙を育て、破壊する。やはり天罰がくだるよね。

◎ミスター・スペースシップ
膠着状態になっている戦争を打開するために人間の脳をコンピュータ代わりに宇宙船に載せるプロジェクトが実行された。ネタバレになってしまうが、ノアの方舟のような話だ。いい話だと思う。

◎非(ナル)0
すべてのモノ(オブジェクト)を破壊することが論理的だというのはあまり理解できなかった。非0はストートレックのバルカン人と似たような考えを持つ人々だと自分は考えたが、バルカンがすべてを破壊する行動に出るとは思えないので、あくまでも作者の思考実験と思うことにした。

◎フード・メーカー
先の展開ができるようにしたある程度見えてしまったので、特筆するのものはない。

◎吊るされたよそ者
電車の車内で気持ち悪そうにしている人などに手を差し出した方がいいかなと思うときがあるが、何もしないで通りすぎることがある。この話を読んで、もしかするとエイリアンに試されているのかも知れないと考えたら何もしないのが正解となる。冷たい世の中というが、もしかしたら我々はすでにエイリアンの支配下にあるのかもしれない。

◎マイノリティ・リポート
未来予知ができるようになり、犯罪者を事を起こす前に逮捕できるようになった。一見、素晴らしいように思えるが、使いようによっては人を陥れることもできる。アイデアとして面白く、ストーリー展開もテンポがいいので読みやすい。まあ、未来予知ができなくても、今の政治家は政敵を嵌めるために何でも工作するからなあ。現代の方がよっぽどマイノリティ・レポートを必要としているのかもしれない。

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2015年11月26日

Posted by ブクログ

ディックの短篇は、長篇に比べて読みやすくて解りやすい。そして、とっても面白い!
本書は、アーノルド・シュワルツェネッガー主演の「トータル・リコール」(最近はリメイクもされました)やスティーブン・スピルバーグ監督により映画化された「マイノリティ・リポート」の原作を含む全10篇収録の短篇集です。

地下に潜った人類に代わって、ロボットが地上で戦争を繰り広げる「地球防衛軍」やテレパス(精神感応者)による監視社会を描く「フード・メーカー」、地球外生命体の侵略物として非常にサスペンスフルな「吊るされたよそ者」、そして、プレコグ(予知能力者)により犯罪を未然に防ぐ社会を題材とする「マイノリティ・リポート」などなど、とにかく陰謀を扱った作品が目立ちます。疑心暗鬼とはディックの作品に共通する一種のテーマですが、これらの下地にあるのは、行き過ぎた管理社会や科学技術への痛烈な批判、人類の闘争本能への皮肉であると読み取れます。

ところで、核戦争後の地球を描く「訪問者」や神林長平の「戦闘妖精」を髣髴とさせる「ミスター・スペースシップ」などを読んでいると改めて気づかされるのですが、ディックの作品には先にあげた疑心暗鬼や科学技術への痛烈な批判にあたまが行ってしまうのですが、純粋にオチやアイデアが秀逸な作品が多いですよね。

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2015年03月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「トータル・リコール」・・・クウェールがリコール社を訪ねて、架空の記憶パターン(火星に行った記憶)を植え付けようとする→事実であって、彼はインタープランの秘密捜査官として火星に行き、プロの殺し屋として一人の男を殺していたことを思い出す。
→記憶の上書きしようと再びリコール社へ。強烈な願望を満たすために、宇宙人が自分を気に入り、自分が生きている限りは地球侵略をしないと言ったことを植え付けようとするが、これも事実であり、思い出す。
→クウェールを殺せない。殺人光線の杖が見つかるのも時間の問題だ、、、。
「出口はどこかへの入口」・・・不思議な<大学>へ行き、自分自身の忠誠心を試される話。
→自販機でハンバーガーを頼んだボブ・バイブルマンは偶然政府の軍が運営する<大学>への入学権を得る。
→そこで軍の機密である「パンサー・エンジン」の設計図を発見する。
→設計図を世のために公開するか、それとも軍の規律に従うか。選択を迫られる。
→<大学>に尽くしたバイブルマンは<大学>の目的である「たとえ権威に逆らっても独立独歩で生きること」を外れたため、放校処分になる。


「地球防衛軍」・・・地下と地上。ロボットが本当の意味で「地球を防衛した」話。

→8年間、アメリカとソ連の間で核戦争が行われる。

→人間は地下。ロボットは地上で戦争をする。

→地上では実は戦争は起こっていなかった。

→地上に締め出された一部の兵士と主人公は、ソ連の兵士たちと一つの世界を作ろうとする。

「訪問者」・・・核により生物が変化し、原住民の人類がもはや「訪問者」になる話。

→戦争がおこり、核によって植物、動物、鉱物などに変化が起こる。

→旧人類たちは鉱山から続く地下の洞穴でちりぢりになり暮らす。

→捜索をするトレントはロケットを打ち上げて植民惑星に移住する旧人類のコロニーを発見。

→「これは彼らの惑星だ。われわれのものじゃない。」「いつかまた戻ってきたいな」「戻る?」「いや、訪問にきたい。いつかそのうちに」

「世界をわが手に」・・・世界球の中で自分の世界を作り上げていた世界が、誰かの世界であった話。

→異星人との接触、交易、文化的財産の交換などのスリルを夢見ていた人類は、太陽系のどの惑星でも、自分達以外に生命が見つからないことに人類は絶望。

→ひとつの惑星に縛られているという鬱憤を晴らすために、人々はワールドクラフト社が作った「世界球」を手にし、自分だけの世界を作る。

→しかし、それは進化に限界がある。人々の動きたい欲求は満たされず、世界球を作っては壊す狂気がうずまく。

→アークトゥルスの中にいる異生命体とコンタクトに成功。人類は世界球を投げだす。

「ミスター・スペースシップ」・・・脳を移植した宇宙船が<ノア>となり、新たな惑星で社会を作り上げるため脱出する話。

→「ヤク」と戦争をする未来。宇宙の防衛ラインで、ヤクは自ら思考を持ち、任意に爆発していた。それをかわすには、機械的な思考でなく、人間の無意識は反射が必要。

→恩師の脳トマス教授の脳を移植したクレイマー。宇宙船はトマス教授によって操作されることになる。

→知的能力が失われていないトマス教授の提案で、習慣として身につけている戦争から脱した世界に移住するため、惑星へ飛び出すクレイマーとドロレス。

「非O」・・・非Oと呼ばれる新人類が、宇宙の破壊をする話。

完璧に論理的な思考を持つ非Oと呼ばれる新人類は、「もの(オブジェクト)は存在しない」という理論のもとに爆弾を開発。すべてを還元しようとする。

→地下に人間が潜っており、地爆を爆発させるための塔に向かって侵攻。打ち合い、負ける。

→非Oたちは死にゆくレムを残し、いつか計画を完遂させることを誓い、宇宙へ飛び立つ。

「フード・メーカー」・・・テレパシーを持つ新人類からの侵略を防衛する話。

→隠し事が許されない社会。思考が走査される。

→ティープと呼ばれるテレパシーを持つ人々がマダガスカルの戦争で突然変異により生まれる。ティープたちにより、人類への侵攻が始まる。フードを持ってるだけで犯罪とする法案を提出・可決させようとする。

→「フード」と呼ばれる走査防御装置を開発するジェイムズ・カッターにより、ティープには子どもが生まれないことを突きとめる。政治が止まり、ティープは自殺。全滅する。

「吊るされたよそ者」・・・宇宙人の侵攻を受け、吊るされる話

→吊るされたよそ者を見たエドはびっくり仰天。だが、他の人たちは見向きもしない。こちらがおかしいと言わんばかり。

→実は地下に潜って家の基盤を作っている間に宇宙人が到来。街中の人々が乗っ取られていた。

→隣町に逃げ出すエド。助けを求めるが、実はその町はすでに乗っ取られていた。

→よその町で吊るされるエド。宇宙人が地球人を探し出す「おとり」として。そして、その町でまた正常な誰かが、吊るされたよそ者(エド)を見て、驚きあわてる・・・。

「マイノリティ・リポート」・・・1,2,3の少数報告。

見知らぬ退役軍人カプランを殺すと予言された犯罪予防局アンダートン。

→逃げ出す、最初の時間軸である「カプランを殺す」時間軸から脱出。第2の時間軸「少数報告があることに気づいて、殺人しない決意をする時間軸」に。

→しかしカプランはその情報を手に入れ、犯罪予防局を失墜させようとする。

→第3の少数報告の世界。「決意を翻し、カプランを殺す時間軸」へ。犯罪予防局を守ったアンダートンは、元部下ウイットワーの力により、地球外追放にまで減刑。妻リサとともに地球を後にする。

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2014年09月07日

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ディック読もう!となって、初めはやはり「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」かと思ったところだが念のためネットで見ていたところ、どうやら短編集があるらしいと。そしてそっちのがディックを読み始めるには良いかもとの意見もあったのでこちらを。
トータル・リコール、マイノリティ・リポート…聞いたことあるなーと思ったら映画化した作品だったんですね!映画も観ます!(シュワちゃんだし、トムクルーズだし)

もともとSF 読みてーってところから手に取ろうと思ったのでSF欲の満足度は十分でした。どれも表現は難解だけどスルスル読める。
どれも設定や描写が丁寧であるわけでないが読み進めるうちに自分の中で世界観が構築されてくのが気持ち良い。話の結末の手放し具合がめちゃ良い。

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2025年10月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

過去に何冊か読んだがあまり響かなかったようで、それっきりになっていた。映画『トータル・リコール』を再視聴しようとして序盤も序盤で気力が尽きたので、原作を読んでみることにした。

この選集に掲載された作品はほぼすべて全面核戦争中ないし後を舞台にしている。全面核戦争をテーマにした作品は1950年代にはすでに存在したことになる。
ゾーニングなどない喫煙がシーンに自然にまざっている。
そんな時代の空気を感じながら。


『トータル・リコール』△
邦題『追憶売ります』で発表されたが映画の原作となったことで改題された。寺沢武一の『コブラ』第一話のモチーフとなっているらしいことは聞いていた。その通りかもしれない。しかし、映画にせよコブラにせよ、引用した側が真摯であるように見えるのに比べて、原作はどこかおちょくってる感じがする。その由縁たる物語のマトリョーシカ構造も、ほうぼうで模倣されているように思う。

『地球防衛軍』◎
これは、以後のさまざまな創作の種本になったのではないか。
歴史のゴール。「われわれ」を示すものがひとつになること。アークナイツで繰り返し語られていること。

『訪問者』△
冒頭の防護服と酸素ボンベのイメージは、ボトムズを想起させるものがある。
ひょっとしたらナウシカにインスピレーションを与えたかもしれない。

『ミスタ・スペースシップ』✕
『歌う船』以前の頭脳船、R-TYPEの元ネタだろうか。
このオチはなんだ。反戦という主題が頭でっかちになりすぎたか。

『非0』✕
C爆、コバルト爆弾。1950年にレオ・シラードが想定した核戦争の最悪のシナリオの中に登場する。
共感能力を全くもたないとされる人々の集団が、なにかをなしとげるために協力しあえるのだろうか。

『フード・メーカー』△
『超人ロック』は超能力者への迫害が通底している。初期はおもにテレパシー能力由来だったように記憶している。特に重要なキャラでもないのに意味ありげに少女を連絡員や工作員として登場させたりとか。
ここに語られているティープすなわちテレパスは、現実の現在における利権にくいこむ人々を彷彿とさせる。当時からそのような人々は存在したのであろう。
"「だれか特定の人間が人類を導くべきじゃない。人類を導くべきは人類自身です」" p.323
超人ロックが信条とする「人類を導くのは英雄やシステムではない」に、一番似た言葉かもしれない。

『マイノリティ・レポート』◯
p.391 “閉じた時間の輪の中”
MAGIシステムの祖型が。タカシ、キヨコ、マサルの3人組は、ひょっとすると3人のプレコグ(予知能力者)から来てたりするのかな。男女比は一致する。
時間線という表現。
対中戦争。1950年代半ばにそういう想定があったのだろうか。
タイムループものではないが、それ系の用語が登場する。未来予知の話であるから。

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2025年08月03日

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映画「トータルリコール」の原作を含む短編集
たぶん遠くない未来はこうなるのだろうかと、思わせるそれぞれの世界は見事
中でも「世界をわが手に」の結末はゾワッときた

あまり読んでいない分野なので頭がついていかないところも多々ありでしたが
たまにはこんな未来に想像を膨らませるのも良きかな
かなりリアルで考えたくないこともあるけれど
だからこそ今の世界を考えるきっかけにもなるだろうか

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2025年04月10日

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フィリップ・K・ディックの短編傑作集。
どの作品も短いので読みやすいとは言え、それでも、SF初級者の私には難しかった。いつか、すらすら理解できるようになりたいものだ。
「ミスター・スペースシップ」と「マイノリティ・リポート」が良かった。
未来の物語の中に人間の本質、社会の歪みを突いて来るので、気づきが多い。SF小説の深さなんだろうな。

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2024年02月17日

Posted by ブクログ

表題となるトータル・リコールを含む短編集。

一番面白かったのはやはりトータル・リコール。
映画で観たなぁと思って読んだら全然違う話でびっくり!でも面白い。
なんというか落語にもなりそうだし「世にも奇妙な物語」にも出てきそうな、ありそうでありえない、子どもが夢想しそうなことを一流作家が書いたらこうなる、といった感じの短編小説。

他の映像化作品もぼちぼち面白いのでファンの方が読む分には良いと思う。

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2024年04月08日

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ネタバレ

“彼はめざめた——そして火星を恋い、その峡谷を想った。一歩一歩、足を踏みしめてその谷間を歩くのは、どんな気分のものだろう。意識がはっきりしてくるにつれ、しだいしだいに大きくその夢はふくれあがっていった。その夢、その憧憬。自分をとりかこんでいるその世界の存在さえ、実感できるような心地がした。(『トータル・リコール』より、p.9)”

 ハマっていると言うほどでもないが、ここ数ヶ月ディックをよく読んでいる気がする。短編集初収録の3篇を含む、全10篇を収録。
 表題作『トータル・リコール』が良かった。火星に行くことに憧れる会社員クウェールは、ある日リコール社を訪れる。夢が到底叶いそうにないことを悟り、それならばと偽の記憶を植え付けてもらうつもりだったのだが・・・。若干バカSFっぽい、とても愉快な作品だった。「現実と非現実」というディックが好むテーマも見える。

トータル・リコール/出口はどこかへの入口/地球防衛軍/訪問者/世界をわが手に/ミスター・スペースシップ/非O/フード・メーカー/吊されたよそ者/マイノリティ・リポート

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2023年02月09日

Posted by ブクログ

短編集だけどひとつひとつのスケールがすごくて、ちゃんと面白い。いくつか映画化されてるけど全部やれそう。

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2023年02月13日

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