【感想・ネタバレ】トータル・リコールのレビュー

あらすじ

夜ごと火星に行く夢を見ていたクウェールは、念願の火星旅行を実現しようと、リコール社を訪れるが……。現実と非現実の境界を描いた映画化原作「トータル・リコール」、犯罪予知が可能になった未来を描いたサスペンス「マイノリティ・リポート」(スピルバー グ映画化原作)をはじめ、1953年発表の本邦初訳作「ミスター・スペースシップ」に、「非(ナル)O」「フード・メーカー」の短篇集初収録作ほか、全10篇を収録した傑作選

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Posted by ブクログ

ネタバレ

過去に何冊か読んだがあまり響かなかったようで、それっきりになっていた。映画『トータル・リコール』を再視聴しようとして序盤も序盤で気力が尽きたので、原作を読んでみることにした。

この選集に掲載された作品はほぼすべて全面核戦争中ないし後を舞台にしている。全面核戦争をテーマにした作品は1950年代にはすでに存在したことになる。
ゾーニングなどない喫煙がシーンに自然にまざっている。
そんな時代の空気を感じながら。


『トータル・リコール』△
邦題『追憶売ります』で発表されたが映画の原作となったことで改題された。寺沢武一の『コブラ』第一話のモチーフとなっているらしいことは聞いていた。その通りかもしれない。しかし、映画にせよコブラにせよ、引用した側が真摯であるように見えるのに比べて、原作はどこかおちょくってる感じがする。その由縁たる物語のマトリョーシカ構造も、ほうぼうで模倣されているように思う。

『地球防衛軍』◎
これは、以後のさまざまな創作の種本になったのではないか。
歴史のゴール。「われわれ」を示すものがひとつになること。アークナイツで繰り返し語られていること。

『訪問者』△
冒頭の防護服と酸素ボンベのイメージは、ボトムズを想起させるものがある。
ひょっとしたらナウシカにインスピレーションを与えたかもしれない。

『ミスタ・スペースシップ』✕
『歌う船』以前の頭脳船、R-TYPEの元ネタだろうか。
このオチはなんだ。反戦という主題が頭でっかちになりすぎたか。

『非0』✕
C爆、コバルト爆弾。1950年にレオ・シラードが想定した核戦争の最悪のシナリオの中に登場する。
共感能力を全くもたないとされる人々の集団が、なにかをなしとげるために協力しあえるのだろうか。

『フード・メーカー』△
『超人ロック』は超能力者への迫害が通底している。初期はおもにテレパシー能力由来だったように記憶している。特に重要なキャラでもないのに意味ありげに少女を連絡員や工作員として登場させたりとか。
ここに語られているティープすなわちテレパスは、現実の現在における利権にくいこむ人々を彷彿とさせる。当時からそのような人々は存在したのであろう。
"「だれか特定の人間が人類を導くべきじゃない。人類を導くべきは人類自身です」" p.323
超人ロックが信条とする「人類を導くのは英雄やシステムではない」に、一番似た言葉かもしれない。

『マイノリティ・レポート』◯
p.391 “閉じた時間の輪の中”
MAGIシステムの祖型が。タカシ、キヨコ、マサルの3人組は、ひょっとすると3人のプレコグ(予知能力者)から来てたりするのかな。男女比は一致する。
時間線という表現。
対中戦争。1950年代半ばにそういう想定があったのだろうか。
タイムループものではないが、それ系の用語が登場する。未来予知の話であるから。

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2025年08月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

“彼はめざめた——そして火星を恋い、その峡谷を想った。一歩一歩、足を踏みしめてその谷間を歩くのは、どんな気分のものだろう。意識がはっきりしてくるにつれ、しだいしだいに大きくその夢はふくれあがっていった。その夢、その憧憬。自分をとりかこんでいるその世界の存在さえ、実感できるような心地がした。(『トータル・リコール』より、p.9)”

 ハマっていると言うほどでもないが、ここ数ヶ月ディックをよく読んでいる気がする。短編集初収録の3篇を含む、全10篇を収録。
 表題作『トータル・リコール』が良かった。火星に行くことに憧れる会社員クウェールは、ある日リコール社を訪れる。夢が到底叶いそうにないことを悟り、それならばと偽の記憶を植え付けてもらうつもりだったのだが・・・。若干バカSFっぽい、とても愉快な作品だった。「現実と非現実」というディックが好むテーマも見える。

トータル・リコール/出口はどこかへの入口/地球防衛軍/訪問者/世界をわが手に/ミスター・スペースシップ/非O/フード・メーカー/吊されたよそ者/マイノリティ・リポート

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2023年02月09日

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