大森望のレビュー一覧
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果してここに収録されている短編はSFなのだろうか。
SFというにはS(科学)の占める割合が極端に少ない(あるいはまったくない)ようにも思える。
ファンタジーというか、超現実的というか。
筒井康隆氏のスラップスティック的作品と同傾向の作品が目立つ気もする。
まぁ、そんな筒井康隆氏も日本SFの元祖の一人として認知されているので、ここに収められた作品群もSFというカテゴリーに含まれてもいいのかも知れない。
SFということに拘らなければ結構面白い作品が多く収録されていた。
特にメタフィクション的な作品が面白く、その中でも飛浩隆氏の「自生の夢」が心に残った。
一番ダメだったのは円城塔氏の「Beaver Weaver」。
どうしても衒学的な印象が強く、乱暴な言い方をすれば、難しい単語を羅列して屁理屈をこねくり回せるだけこねくり回してみました、って感じがしてしまう。
その円城塔氏が完成させた故伊藤計劃氏の「屍者の帝国」は既読。
未完でありながら、群を抜いて面白くなりそうな予感を孕んでいる。
孕んでいるのだが、後を引き継いだのが円城塔氏なので、読むのが怖いんだよなぁ。 -
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質問や命令に対して「ウィリス○○しろ」
というルールを頑なに守ろうとしながら
人間(状況)に合わせて、苛立ちながら妥協したり、
実は□□になる夢を持っていたり、脇役ながら光る。
まさにいま「OKグーグル」で反応する世界を予言。
葛藤があるあたり、当時は違ったかもしれないが
現在からすると風刺・パロディーの様でクスリとする。
で、物語自体は、色とりどりだが
ぶっ飛んだところも少なく、薄味な印象。
何もすることはなく、体制に生かされているだけの
どん底の人間が、何かに必要とされ、そのなかで
他人が敷いたレール:予言に抗い、
自分を見つめなおした先にある再生が
結局のところラスト一文の今回の日本語訳に
落ち着くのだろう、と私は(解説を読んで)思う。
いや、もしかするとそれすら他言語への翻訳を
もういちど元の言語に訳したゲームの結果
でしかないのかもしれない。 -
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臨死体験がテーマのSF。認知心理学者のジョアンナは、神経内科医のリチャードに誘われて臨死体験の研究プロジェクトに着手する。人工的に臨死体験をひきおこし、その謎を科学的に証明しようとするが、被験者不足でジョアンナは自らプロジェクトの被験者となり、ほかの人の臨死体験や自らの体験から、すこしずつ臨死体験の謎を解明していく。
上下巻でそれぞれ650ページずつくらいの大長編。上巻の前半くらいまでは、なかなか話もすすまず医学研究の小難しい話が多かったり、話をやめない登場人物ばかりでほんとうにこの物語自体が「引き延ばしの天才」。でも、ジョアンナが「潜り」はじめてからは、一歩一歩着実に真相に近づいていき、どんどん先が気になってくる。臨死体験の謎が、予想もしてないようなことにつながっていき、展開がよめない。ジョアンナが真相にたどりつきそうでなかなかたどりつかない様子が、舞台の病院が改装工事や通行止めばかりだったり、登場人物たちが留守電やポケベルの行き違いなどでなかなか連絡がとれなかったりする描写と重なり、いろんな意味でこちらももどかしい。下巻に入るともう一気に読めてしまう。
続きは下巻のレビューで。 -
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臨死体験がテーマのSF。認知心理学者ジョアンナは自ら臨死体験の研究プロジェクトの被験者となり、すこしずつ臨死体験の謎を解明していく。
上下巻でそれぞれ650ページずつくらいの大長編だけど、ジョアンナが「潜り」はじめてからは、一歩一歩着実に真相に近づいていき、どんどん先が気になってくる。臨死体験の謎が、予想もしてないようなことにつながっていき、展開がよめない。真相にたどりつきそうでなかなかたどりつかない様子が、舞台の病院が改装工事や通行止めばかりだったり、登場人物たちが留守電やポケベルの行き違いなどでなかなか連絡がとれなかったりする描写と重なり、いろんな意味でこちらももどかしい。
第2部の終わりでまさかの展開で、下巻はもう一気に読めてしまう。衝撃も大きく、最後までよめば展開に納得するものの、やっぱりショック。医学的な研究がテーマだけれど、映画や文学が多く登場し、高校時代の英語の先生がキーパーソン。主人公たちの臨死体験の研究も、そういったものからヒントを得る。象徴的なラストまで読みきると、もう一度最初から読み返し、すべてをひろって考えたくなる。冗長だった部分にも意味があり、物語のいたるところで暗示されていたもの、メタファー……振り返ってみるととても文学的なSFだった。感動号泣、というより、凪がおわった海みたいに心がゆれるような感覚。
ジョアンナとリチャードをはじめ、ジョアンナの親友ヴィエルも、心臓病の幼い入院患者メイジー、敵役のミスター・マンドレイクなど登場人物はみんなわりと典型的なのに魅力的。典型的だからこそかな。ころころと映画をみているよう。文庫のカバー、上巻がメイジーで下巻がリチャードかな。上巻、なんでジョアンナじゃないんだろうと思ってたけど、読んだらちょっとわかった。 -
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これまで読んだフィリップ・K・ディック作品とは少し毛色が違うものが多かったような印象を受けます。
「妖精の王」はファンタジー要素が強く、珍しくしっかりとハッピーエンド!
「欠陥ビーバー」はビーバーが主人公の作品だし、「父さんもどき」は子供たちが主人公(私の頭の中ではスタンドバイミー的な雰囲気でした。いや、内容は全く違いますが)です。
ほかはいつものPKD作品ぽい、不思議な終わり方やディストピア的作品です。
個人的には「宇宙の死者」が面白かった。
「フォスター、お前はもう死んでいるぞ」は命を金で買う的な時代。主人公はいささか過敏というか過激な気もするが、周りの状況と自分の置かれた環境を考えるとああいう気持ちになってしまうのも分かる。
「人間以前」は誰が人間であるということを決めるのか?というひとつの問いが示されている。内容的に中絶問題の関係者から抗議もあったようですが…。
ところであの終わりはどういうことなんでしょうかね。 -
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小説なんて、自分が読んで感じるままでよいのだろうが、他人の見解も気にならないわけではない。こういう本を買うのは、いかにも興味本位っぽくて、自分に自信がなさそうで、ちょっと恥ずかしかったが、好奇心が勝った。
村上春樹を読み込んでいる人は、なるほど、こういう風に読むのかといった参考になる部分もあったし、自分の思ったことは他人も同じように思っているのかと納得できるところもあった。まあ、読んでよかった。
本書は、騎士団長殺しだけでなく、過去に行われた批評として、「田崎つくる」や「1Q84」も取り上げられている。本書の後半を読むために、未読だった「1Q84 BOOK3」を読むという本末転倒的なこともやったが、逆に言えば、本書がBOOK3を読む原動力にもなり、ある意味助かった。 -
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相当変、だけど好き、な世界観。いいのか「服」で、まさか「服」が、と戸惑う私を力ずくで持っていく剛腕。この無茶苦茶で風呂敷広げすぎな世界を大いに真剣に不真面目に書く、この世界観、何かに似てると思ったら、かつて大ファンだった劇団★新感線の作家中島かずき氏が解説してた。やっぱり(笑)。何でか宇宙で全裸の集団率いるヤクーサ・ポンズ、ジャドパーとマストの交渉の場面、ふざけすぎて逆に意味があるのかと思ってしまったし、ザイオードの秘密結社の秘儀の場面の描写とか、もう新感線でした。アマラとエストルーとウィルス船長のトリオも味があるな…。後半やや失速した(というか、カストールと蠅の惑星の場面がさすがにきつくてそのあたりからついていけなくなった)ところもあるが、満足感高いSFでした。
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な ん じ ゃ こ り ゃ(爆)
奇想のSF作家・ベイリーの面目躍如と言うべきか、良くも悪くもベイリー節満載。SF初心者は近づくな危険!(笑)
同じくベイリーの短編集「シティ5からの脱出」を読んだときとほぼ同じ感想なんですけど、ワン・アイディアを徹底的に突き詰めた、非常に純度の高いSence of Wonderが詰まっています。ただし、SFとしての純度の高さと、物語としての完成度は、別物です。物語の完成度を求めてはいけませんヽ( ´ー`)ノ「うひゃー」とか「どひゃー」とか言いながら、○○の一歩手前ギリギリまで暴投しまくるベイリーの奇想に気持ちよく酔いしれつつ読み進めるのが、ベイリー作品の楽しみ方です。
というわけで、かなりマニア向けの作品で読む人を選ぶんですが、初読の「災厄の船」「邪悪の種子」の2編が、完成度が高いのよ。ベイリーなのに。
この2編が収録されているので、普通なら☆3つのところを☆4つとさせていただきました。ベイリー、ちゃんとした話も書けるんだ・・・(笑)