大森望のレビュー一覧

  • ドゥームズデイ・ブック(上)

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    史学部シリーズ。学生が中世の英国にタイムトラベルする。事前にある程度の安全確認をしているので、学生は安全だというが、まあそこは何か起こらないと小説にはならないわけで、もう元の時代に戻れないのではないかと思わせる事態が発生する。一方で学生を送り出した現代(読者から見たら未来)でも謎の感染症で、ダンワージー教授らは隔離を余儀なくされる。

    とにかく上巻は謎だらけ。だらだらした感じを受けるが、それでも舞台の緊張感を醸し出すコニー・ウィリスの筆力には驚く。読んでいて、なんとなく陰謀のようなものを感じ、そいつを疑いながら下巻に進むこととする。

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    2019年04月22日
  • 50代からのアイドル入門

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    最近女性アイドルにハマったので読んでみた。私のような初心者にはかなりわかりやすい。50代ではないけど役に立ちました。大森さん、ありがとう!

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    2019年03月07日
  • 新編 SF翻訳講座

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    翻訳の話としても面白いし、SFの話としても面白い。
    翻訳に限らず、いかに読者に楽しんで貰える文章にするか?が大事だと、まさにその通りだと再認識しました。

    いずれ機械で完璧な通訳は出来るようになるだろうけど、翻訳の方は到底プロの技には及ばないでしょう。
    人とAIの区別が付かなくなるその日までは、大丈夫そうです。

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    2019年02月18日
  • はい、チーズ

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    ヴォネガット初期未発表作品集。しかし、粗削りなところは全く感じられない。後年の実験的な作風はそれほど感じさせず、むしろよくできている、洗練されている、といった言葉の方が似つかわしい。ふつうは逆だろう、と思うのだが、解説の円城塔が書いているように、それがヴォネガット流のやり方なのかもしれない。ピカソが、実はデッサンをやらせても超一流だったように、ここからスタートしたからこそ、カウンター的な作風に発展していったのかもしれない、とも思ったりした。

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    2019年02月03日
  • 人みな眠りて

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    ヴォネガット未発表短編集。ほどよくウィットがきいていてシニカル。村上春樹が影響を受けたのはこういうところだろう。

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    2019年01月24日
  • SFの書き方 「ゲンロン 大森望 SF創作講座」全記録

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    梗概(あらすじ)とはどんなものか、作例がいっぱい。「超SF作家育成サイト」からもいろいろ読めるらしい。

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    2019年01月01日
  • 人みな眠りて

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    この短編よかったなぁ。ぼくは「フルスロットル」が好きだ。母ちゃん最高!

    ユーモアがあり皮肉が効いてて。こういう啓蒙主義的な小説って今はもう書かれないというか、書けなくなってきているのだろうから、貴重な作品だと思う。

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    2018年12月25日
  • NOVA1【完全版】

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    P335の「この春が、初めて迎える春のような気がしたことは。この夏が、初めて迎える夏のような気がしたことは。この秋が、初めて迎える秋のような気がしたことは。この冬が、初めて迎える冬のような気がしたことは。この季節がそのどれでもないと思えたことは。かつてない暑さで、かつてない寒さで、これまでに経験したことのない、その度ごとに新しい、かつて経験したことのない、冬1、冬2、冬3だと感じたことは」というセリフに心臓をわしづかみにされた。電車の中で目にして、頭の中がかきまわされて興奮して、自転車置き場に行っても自転車がみつからなくて、スーパーに寄っても満足に買い物ができなくて、1時間ぐらいぼーっとしてた

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    2018年11月06日
  • 書き下ろし日本SFコレクション NOVA+ 屍者たちの帝国

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    夭折した伊藤計劃が始め円城塔が完成させた小説「屍者の帝国」。
    これをネタにしたアンソロジー。
    元作の影響とか空気感がいい感じで残っており、読み直したくなってきた。

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    2018年10月08日
  • 村上春樹「騎士団長殺し」メッタ斬り!

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    スッキリしたー!
    私はまさしく雰囲気だけで読んでる読者だけど、最近のはモヤアッとしてたのを明快にしてくれた感じ。良い解説本だと思う。
    ちなみに私のベストはダンスとハードボイルドワンダーランド、ねじまき鳥だな。

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    2018年09月19日
  • はい、チーズ

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    人間の最低な部分を描ききってなお人間への愛に溢れたまなざしを絶やさない。ヴォネガットを読むと自分が見守られている気がするし、他人を見守ることができる気がしてくる。

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    2018年09月09日
  • 人みな眠りて

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    「ジェニー」でガツンとくらわされたのは
    冷蔵庫型の女性というとんでもない設定だったが
    本当にガツンとくらわされたのはラストのメッセージ。
    このカラーでいくのかと思ったら・・・
    解説によると、マウストラップ小説というらしいが
    単なるエンターテインメントとは異なり、いわゆるオチに
    ユーモア、あたたかさ、優しさ、物悲しさ、
    胸にしみる色とりどりの物語。

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    2018年09月08日
  • 人間以前 ディック短篇傑作選

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    表題作と『地図にない町』を読んだ。
    ・表題作:12歳未満の子供は人間とみなされず両親の希望があれば中絶トラックによって回収、処分されてしまう。かつての中絶の概念が拡張され、人間とみなされるかどうかは、産まれてくる前かどうかではなく、代数(高等数学)を扱える年齢以降の世界となっていた。
    表題作は後ろの解説を読むと中絶批判の作品として取られることが多いらしいが、全然そんな風には受け取らなかった。人間として人権を与えられる根拠、基準は何かといった普遍的な問いが題材だったと思う。私の考えは本書で扱われた内容とは違うがそれはまた別の機会に。
    ・地図にない町:ある日駅員に定期を買いに来た男が降車駅として指

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    2018年09月02日
  • 航路(上)

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    トヨザキ社長オススメ、翻訳・大森ってことで入手。ただ、”航路”って言葉を、自分で勝手に”宇宙航路”と拡大解釈してて、それはSFのイメージに基づくものでもあるんだけど、で、『だとすると、こんな長編を読みきるのはしんどいかも…』って思ってた。でも蓋を開けてみると、舞台は親和性の高い病院で、内容も臨死体験に関したものと、思ってたのと大違い。安心して読み勧めることが出来た次第。SFの中では寧ろ読みやすい部類。上巻だけでかなりのボリューム感だけど、それをあまり感じさせられないくらい、リーダビリティも高い。キャラの魅力とか、秀逸な訳文とか、色んなおかげの賜物だけど。続きも楽しみ。

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    2018年08月09日
  • 村上春樹「騎士団長殺し」メッタ斬り!

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    マメでない村上読者にはわかりやすい解説になっていて、助かる。「色彩のない」「1Q84」の議論もあり、作品相互の関係も色々と明らかにしてくれる。
    熱狂的村上信者には、薦められない。

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    2018年07月02日
  • ドゥームズデイ・ブック(下)

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    多くの登場人物のキャラクターや関係性を理解しようとするのをやめて、どんどん読み進めると後半はストーリーが加速してくる。
    なんと設定した時代からずれたところにタイムトラベルしていたとは。
    最後にギヴリンやダンワージーは助かったのだろうか?

    ところで「鳴鐘者」って鐘を鳴らす人だと思われるが、教会の鐘を鳴らす人なのだろうか?どうもハンドベル奏者のイメージがつきまとい、物語がうまく想像できないのだが。

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    2018年05月31日
  • SFの書き方 「ゲンロン 大森望 SF創作講座」全記録

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    単なる文章術やアイデアメーカー本ではなく、実践的に「作家になるにはどうすればいいか?」を多方面から解説し、積み上げていく一冊。講義録なので、理論書としてのまとまりは薄めだが、その分幅広い話に言及しているお得感あり。

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    2018年05月25日
  • 航路(上)

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    いつも通り最高に楽しめるんだけど、展開のエンジンがかかるまでの日常の積み重ねがけっこう辛かったりする。あと何回ミスター・マンドレイクに会えばいいのか、とか。毎回行っちゃだめと引き留めるメイジーとか。その分、それまでの経験が、マジかそうなるのかっていう具合にスパークして、楽しいです。

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    2018年03月04日
  • NOVA1【完全版】

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     果してここに収録されている短編はSFなのだろうか。
     SFというにはS(科学)の占める割合が極端に少ない(あるいはまったくない)ようにも思える。
     ファンタジーというか、超現実的というか。
     筒井康隆氏のスラップスティック的作品と同傾向の作品が目立つ気もする。
     まぁ、そんな筒井康隆氏も日本SFの元祖の一人として認知されているので、ここに収められた作品群もSFというカテゴリーに含まれてもいいのかも知れない。
     SFということに拘らなければ結構面白い作品が多く収録されていた。
     特にメタフィクション的な作品が面白く、その中でも飛浩隆氏の「自生の夢」が心に残った。
     一番ダメだった

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    2018年01月04日
  • 犬は勘定に入れません(下) あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

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    時間旅行ユーモア小説!
    本来は過去から何かを持ち帰ることは不可能なはず…
    しかしある学生が川に溺れた猫を助けて連れ帰ってしまった。
    この猫が原因で歴史に齟齬が生じたら?
    齟齬を生じさせないから連れ帰れたのか?
    とにかく猫を元のところに戻すために過去に送られたネッドだがそこでもまた歴史と異なる出来事が起こってしまう。
    どうなる歴史!? いやぁ〜後半に進むにつれてどんどん面白くなっていって一気読みしました

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    2017年12月31日