大森望のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
P335の「この春が、初めて迎える春のような気がしたことは。この夏が、初めて迎える夏のような気がしたことは。この秋が、初めて迎える秋のような気がしたことは。この冬が、初めて迎える冬のような気がしたことは。この季節がそのどれでもないと思えたことは。かつてない暑さで、かつてない寒さで、これまでに経験したことのない、その度ごとに新しい、かつて経験したことのない、冬1、冬2、冬3だと感じたことは」というセリフに心臓をわしづかみにされた。電車の中で目にして、頭の中がかきまわされて興奮して、自転車置き場に行っても自転車がみつからなくて、スーパーに寄っても満足に買い物ができなくて、1時間ぐらいぼーっとしてた
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Posted by ブクログ
表題作と『地図にない町』を読んだ。
・表題作:12歳未満の子供は人間とみなされず両親の希望があれば中絶トラックによって回収、処分されてしまう。かつての中絶の概念が拡張され、人間とみなされるかどうかは、産まれてくる前かどうかではなく、代数(高等数学)を扱える年齢以降の世界となっていた。
表題作は後ろの解説を読むと中絶批判の作品として取られることが多いらしいが、全然そんな風には受け取らなかった。人間として人権を与えられる根拠、基準は何かといった普遍的な問いが題材だったと思う。私の考えは本書で扱われた内容とは違うがそれはまた別の機会に。
・地図にない町:ある日駅員に定期を買いに来た男が降車駅として指 -
Posted by ブクログ
トヨザキ社長オススメ、翻訳・大森ってことで入手。ただ、”航路”って言葉を、自分で勝手に”宇宙航路”と拡大解釈してて、それはSFのイメージに基づくものでもあるんだけど、で、『だとすると、こんな長編を読みきるのはしんどいかも…』って思ってた。でも蓋を開けてみると、舞台は親和性の高い病院で、内容も臨死体験に関したものと、思ってたのと大違い。安心して読み勧めることが出来た次第。SFの中では寧ろ読みやすい部類。上巻だけでかなりのボリューム感だけど、それをあまり感じさせられないくらい、リーダビリティも高い。キャラの魅力とか、秀逸な訳文とか、色んなおかげの賜物だけど。続きも楽しみ。
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Posted by ブクログ
果してここに収録されている短編はSFなのだろうか。
SFというにはS(科学)の占める割合が極端に少ない(あるいはまったくない)ようにも思える。
ファンタジーというか、超現実的というか。
筒井康隆氏のスラップスティック的作品と同傾向の作品が目立つ気もする。
まぁ、そんな筒井康隆氏も日本SFの元祖の一人として認知されているので、ここに収められた作品群もSFというカテゴリーに含まれてもいいのかも知れない。
SFということに拘らなければ結構面白い作品が多く収録されていた。
特にメタフィクション的な作品が面白く、その中でも飛浩隆氏の「自生の夢」が心に残った。
一番ダメだった