あらすじ
22世紀、世界は高い知能を有する〈新人〉と、超能力を持った〈異人〉が、60億の〈旧人〉を支配する階級社会と化していた。タイヤの溝堀り職人ニック・アップルトンは、息子を公務員にすることを願う典型的な〈旧人〉だが、黒髪の少女チャーリーと出会って……。一方、〈旧人〉の期待を背負って深宇宙へ旅立った伝説の人物プロヴォーニが、地球外生命体の“友人”とともに帰還しようとしていた…。 鬼才のディストピアSF!
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
飽きずに読めた!さすがSFの大家の作品は、50年前でも面白い。
舞台設定が面白いなと思う。脳に特別な器官を持ち卓越した思考能力を持つ「新人」と、テレパスなどの超能力が使える「異人」がいる世界、までは結構思いつきそうだけど、その新人と異人が交代で統治する世界で「旧人」のプロヴォーニが宇宙の旅に出て、それを待っている状態、からスタートするのがすごい。
設定はファンタジーなのに、「旧人」の価値観がリアルなのも良かった。結局朝ごはんをおいしく食べれればよくて、別に誰が統治してようとかまわない人が大多数なんだよな。これは今の一般人の政治的スタンスにも言える話。もちろんその無関心が政治の暴走、今で言えば資本家の暴走を生んでいることは言うまでもない。
こんな話、小川哲の「ユートロニカのこちら側」でも出てきたな。影響を受けているのかもしれない。
階級制度を「旧人」側と「新人」側どちらからも捉えていた点が優秀な小説だと思う。ただ、主人公とチャーリーの恋愛パートは少し取ってつけた感があった。
Posted by ブクログ
22世紀の人類は、極めて高い知能を有する<新人>と超能力を操ることのできる<異人>、そして一般的な<旧人>の3つに分類され、世界は僅かな<新人>と<異人>が60億以上の<旧人>を支配していた。そんななか、窮屈な支配をうける<旧人>の期待を背負って深宇宙へと旅立ったプロヴォーニは状況を打開できる知的生命体の”友人”とともに帰還の途にあった…
遠くの世界から救世主(というより状況を変化させる存在か)が現れるという展開は「パーマー・エルドリッチの三つの聖痕」を思い出します。主人公でちょっと冴えないタイヤの溝堀り職人ニックが不思議な黒髪少女チャーリーと出会って厄介ごとに巻き込まれる展開や、悪役サイドだけど変に人間味のある<異人>グラムもなんだか既視感がある。そんな(個人的には)模範的ディック作品といった感じの作品でしたが、以前読んだ「ヴァリス」が意味不明過ぎた反動なのか、むしろそのお陰でおもしろく読み進めることができました。
しかし、未知の知的生命体に世界を救わせるというのはなんだかディックの、あるいは当時の社会の願望を表しているように思えるのは無知な考えでしょう。ただ、誰にでも外の世界に救いを求めることはあると思いますが、その結果、本書のように心が晴れない終わり方であったり、そもそも本当に世界が救われたのかよく解らないといったところが本書の良さであるように思えます。