大森望のレビュー一覧

  • ドゥームズデイ・ブック(上)

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    SF小説とサスペンス小説と歴史小説とが渾然一体でとても美味しく面白い。時間旅行が衛星の打ち上げ程度のことになれば、過去を観察するために大学の研究機関でこんな風に使われるのかも。送り出した側でのトラブルと送られた先での悲惨な状況とが、キヴリン嬢の記録を挟んで交互に描かれる構成はとても上手い。

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    2016年08月19日
  • カエアンの聖衣〔新訳版〕

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    人類がこの先幾多の分岐を経て宇宙に拡散していく前提で、古地球の文明がどのように伝播されていくのか。また異星の知的生命体との関わり。そのアイデアの1つを切り出した作品。いい感じ。

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    2016年07月29日
  • カエアンの聖衣〔新訳版〕

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    意表を突くアイデア満載のSF小説。人間のアイデンティティーを服が支配して行く過程を描いている。キルラキルの脚本家つながりで読んだが、もともとSF小説を読みなれた人からすると、十分楽しめるし、ふだんなかなかSFを読まない読者でも読みやすい一冊。ワイドスクリーンバロックなどと言うジャンらしいのだが、ブラックユーモアの効いたコメディ(いい意味で)感覚で読めてしまう。脳内で映像化しやすい文章と、イケイケドンドン!!な展開のためサクッと読めてしまう。が、正直ツッコミが追いつかないw個人的にMIBを見たような感じ。純粋に面白かった。

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    2016年07月20日
  • 50代からのアイドル入門

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    アイドルにそんなに興味無い様な人に読んでみて欲しいですね。意外に気軽に参加出来るイベントもあったりする事がわかったりとかガイド的にもいいと思います。ハロヲタ的には色々ニヤニヤしながら読みました。

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    2016年06月20日
  • カエアンの聖衣〔新訳版〕

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     もう記憶が定かではなくなっていたが、解説を見ると、本書はバリントン・ベイリーの初翻訳長編だったようで、『禅銃』なども翻訳はこのあと。ワイドスクリーンバロックなどといって、なんだあ大したことないじゃないかと思ったのは、短銃で恒星を破壊してしまうような『禅銃』の突拍子なさと比べると、『カエアンの聖衣』のアイディアはちょっとスケールが小さい気がしたのだ。
     服を着ることによってその人の潜在能力が開化して別人のように力を発揮できるようになるというアイディア。そしてそのような服飾文明を発展させたカエアン人。物語はカエアン星系と対立するザイオード人の視点から描かれる。原題は「カエアンのガーメント」。ガー

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    2016年06月06日
  • 新編 SF翻訳講座

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    TOEICを受けなければいけないけれど、テストのための勉強なんて全くやる気がおきないので、モチベーションを高めるために読んでみる。(どんなモチベーションだ!)

    これを読めば、Google先生でも通訳はできるけど、翻訳はまだまだできない世界だなと実感できます。

    読み返すたびに発見がある楽しい・悲惨なエピソード満載。

    原書が読みたくなってきた。

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    2016年05月01日
  • ドゥームズデイ・ブック(上)

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    タイムトラベルなSF。
    こちらとあちらの二幕仕立てで、交互にお預け状態になるため、一気に読破。

    中世研究のためのトラべルだったのが、アクシデントで…。
    ドラマティックなお話というより、サスペンス仕立てな実録というか。
    余計に切なくて仕方ない。静かにじわじわ泣けてくる。

    散々会話に出てくる「姪の息子」君、あんなん可愛いすぎるやろ!
    てっきり脇役だと思ってたのに。

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    2016年04月07日
  • 書き下ろし日本SFコレクション NOVA+ 屍者たちの帝国

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     没後6年を経て伊藤計劃の名声はいや増しに高まっている。生きていれば駄作を書くかも知れないのに、もう絶対に駄作を書くことのない彼は不滅だ。
     でも読者はもっと彼の作品を読みたい。『屍者の帝国』。プロローグだけが書かれた第4長編。1878年、ヴィクター・フランケンシュタインの先駆的研究から100年、屍者に疑似霊素を注入することでロボットのように使役できるように蘇生させる技術が一般化していた。わたし、医学生のジョン・H・ワトソン、すなわち後のシャーロック・ホームズの記録作家は女王陛下の諜報機関にスカウトされ、グレート・ゲーム(中央アジアでの大英帝国とロシア帝国の覇権争い)のプレイヤーとして乗り出す

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    2016年03月02日
  • NOVA1【完全版】

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     気が向いたときだけ買っている『NOVA』である。

     1970年代、「SF」といったら「SM」に間違えられて、という自虐ネタがよくあった。
     では、SFとは何か、というのも昔から問われてきた難問である。村上春樹からしてSF的設定で小説を書き、それがベストセラーとなっている昨今、かつての筒井康隆会長の日本SF大会のテーマ「SFの浸透と拡散」はすでに現実のものとなった。ところが逆にコアなSF短編の発表舞台が乏しくなったと考えた大森望が、アメリカでは昔からあるが、日本にはさっぱりないオリジナルSFアンソロジーを編んだのが本書『NOVA1』。10まで続くらしい。

     北野勇作「社員たち」、田中哲弥「

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    2016年02月08日
  • オール・クリア2

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     このオックスフォード大学史学部シリーズ、タイム・パラドックスを起こす可能性がある時点には時間旅行できないという設定で、面倒くさいパラドックスは回避されている。それゆえ、過去から帰れなくなってしまったというほかは延々と戦時の生活が描かれるのだが、物語も最終局面に向かって、時間旅行の問題が前景化してくる。

     1940年に閉じ込められた(本巻では41年に年が開ける)、マイク、アイリーンことメロピー、ポリーの3人は、2060年のオックスフォードにメッセージを送ろうと偽装した広告記事を新聞にのせたり、様々な努力をするのだが、そうした帰還のための努力が効を奏しているなら、すでに回収チームが来ているはず

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    2016年02月04日
  • オール・クリア1

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     2060年のオックスフォード大学史学部、タイムマシンを使って、学生が過去の時代に旅行してフィールドワークをしているという設定のシリーズ、『ブラックアウト』の続編であるが、長くなってしまったのでひとつの長編を『ブラックアウト』『オールクリア』、すなわち第二次大戦中のロンドンの灯火管制とその解除をタイトルに2分冊にしたもの。日本語訳ではさらに『オールクリア』も2分冊になってしまった。

     評者も最近、フランケンシュタイン産業のロンドン、裏ロンドン、クラーケン神のロンドンなど結構ロンドンに行っているのだが、オックスフォードの航時史学生もたくさんロンドンに行っている。第二次大戦下のロンドンに。
     そ

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    2016年02月04日
  • ブラックアウト

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     第二次世界大戦中の日本の様子については、書物やドラマなどでそこそこに知っていると思うのだが、はて、イギリスがどうだったかなど、とんと知らぬ、本書を読むまでは。
     すなわち、ロンドンはナチスによる空襲にあって、灯火管制が敷かれていた。灯火管制、英語ではブラックアウト。

     2060年のオックスフォード大学史学部では、タイムマシンを使って、学生が過去の時代に旅行してフィールドワークをしているという設定のシリーズだが、私は初めて読む。時間旅行は過去へのみ可能で、ネットといわれる装置で「降下点」を開いて学生を過去に送り出す。「降下点」が開くのを現地人、いや現時人に見られる可能性があったり、そこに「降

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    2016年02月04日
  • 書き下ろし日本SFコレクション NOVA+ 屍者たちの帝国

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    お勧めはイスラム神秘主義に絡ませた話の「神の御名は黙して唱えよ」とワトソン・フライデーたちも活躍する「屍者狩り大佐」

    伊藤氏ためのアンソロジーなのですが、内容も充実していて楽しかった(#^^#)

    もし伊藤氏が存命していたら(言っても詮無いことなんですが)、どんなテーマで作品を書いただろうか。

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    2015年10月27日
  • 犬は勘定に入れません(上) あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

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    ヒューゴー賞とローカス賞のダブル受賞を果たした本書は、コニー・ウィリスの人気シリーズ<史学部シリーズ>の第2弾。
    いったいこのシリーズだけでどれだけの賞を受賞したのか気になるところです。

    全2巻。シリアス路線だった前作「ドゥームズデイ・ブック」と異なり、今作はどたばたコメディ。抱腹絶倒もの。
    そして単なるどたばたコメディではなく、SF、ミステリー、そしてラブロマンスも兼ねそろえた充実ぶり。こういうと、ごちゃまぜな感がありますが、うまくバランスが保たれているのは、著者の技量によるものか。
    ウィリスのシリアスな作品も好きですが、どちらかというと「まれびとこぞりて」のような作品が好きな自分にとって

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    2015年08月31日
  • オール・クリア2

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    ポリーは魅力的キャラで好きなんだけど、ちょっとイラっとする面もあって、何故だろうと考えたら、これはマイクやアイリーンも多かれ少なかれ共通するんだけど、先走りしすぎる傾向がある、事実を確認する以前に想像をたくましくしすぎる。これって歴史を専攻する者の資質としてどうなの?タイムトラベラーはそういう性向になりがちなのかな。このシリーズの長編は読破したので、残るは短編だな。ここでは結局つかまえられなかったジョン・バーソロミューさんの話が読みたい。

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    2015年08月19日
  • ブラックアウト

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    ヒストリアン達がそれぞれ微妙なズレを感じているところがハラハラ。ダンワージー先生による急の予定変更も理由が明らかにされていないので、不穏だ。私はヒストリアンには向いていないな。口が軽いから。コニー・ウィリスのページターナーの才能は凄い。この長さでちっとも飽きさせないんだもの。そういう意味では現代の、SF界のディケンズだね。

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    2015年08月14日
  • 文学賞メッタ斬り!

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    これは面白かった。信頼の置ける書評家2人の対談ってだけでもワクワクする上に、文学賞の何たるかを説いている内容となると、面白くない訳がない。そもそも、芥川賞と直木賞の違いもいまひとつピンとこなかったから、そのあたりも含めてクリアカットに説明されているだけでも読んだ価値あり。で、有名文学賞の欠点とか、それの代わりとなり得る文学賞が示されていたりだとか、注目に値する文学賞の紹介とか、欲しい情報が満載。いやいや、実に参考になりました。ってか、これからも何かのたびに参考にしていくことになると思います。

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    2015年08月11日
  • オール・クリア2

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    空襲警報は解除され(オールクリア)、全ての謎が明らかになる。

    第二次世界大戦下のロンドンで、それぞれの学問的課題を研究するために2060年のオックスフォードからやってきた3人の史学生。ポリー、アイリーン(メロピー)、マイク。
    過去へのタイムトラベル。それは絶対に安全なはずであり、もしも危険なことが起こりそうになったら、または歴史を改ざんしてしまいそうになったら、すぐに2060年の世界へ戻されるはずだった。
    だがしかし、何度も命を失いかねない危険な目に遭い、本当なら死んでいたのかもしれない人々の命を多数救ってしまう彼ら。

    だからなのか?
    2060年へ繋がるはずの降下点はどこもここも使用不可能

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    2015年04月14日
  • 変数人間

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    ディックのSF短編集.正直SFは苦手だったのですが,この本を機にSFを面白く感じるようになりました.どの短編も面白いです.

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    2015年02月03日
  • 犬は勘定に入れません(上) あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

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    ネタバレ

    SFは総じて導入の設定を読み込むのが大変。なのでこの本に限ったことではないけれど最初がしんどい。けどそこさえ乗り越えてしまえばぐいぐい読ませるお話でした。タイムトリップが可能になった時代に空襲で焼けた大聖堂を再現しようと躍起になった女王?政治家?金持ち?権力者に振り回され、そのせいで起きた時代の齟齬を直すためにさらに振り回され………上巻なのでまだ先わからず。主人公可愛いヴェリティ可愛いフィンチがいちばんすき。そしてトシーの赤ちゃん言葉は最初は本格的にイラついてたけどだんだん愛らしく感じられてくる病気。

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    2015年01月06日