大森望のレビュー一覧

  • 犬は勘定に入れません(下) あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

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    すったもんだは続き、戦時中にも飛んだりして、とても大変なんだけどずっとどこか牧歌的な雰囲気が流れていて、楽しかった。なんだろうな、この感覚。

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    2017年12月11日
  • 犬は勘定に入れません(上) あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

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    出だし、なんか意味がよくわからなくてあまり進まなかったのだけど、あとがきを読んだらそれは当然のことだったらしい(笑)。主人公の任務というか、休暇のため送り出されたのに話がかえってややこしくなっているんだということが明らかになるころからぐんぐんおもしろくなった。
    犬猫に振り回される主人公がなんともおかしい。ていうか、教授にも、まわりの人たちにもひたすら振り回されているんだよね。いいのかそれでw

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    2017年12月11日
  • ゴッド・ガン

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    日本オリジナルの短編集。巻末の解説にもあるが、ベイリーの短編は一つのアイデアを著者の豊かな想像力で膨らませて、見事な作品に仕上げている。難しいアイデアではなく、もし◯◯が△△だったらというifを広げている感じだ。例えば、表題作は、もし神を殺せる銃があったらだし、「邪悪の種子」は、もし不老不死になったらを描く。希望がない作品が多いが、これはベイリーから人類への警告なのかもしれない。「蟹は試してみなきゃいけない」はその中では異色。蟹を通して人類の存在を茶化しているように感じた。人もやはり動物なのだと。単純に文字面を追って楽しむのもよし、深読みして哲学的なことを考えるのもよし、様々な楽しみ方がある本だ。

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    2017年11月10日
  • 村上春樹「騎士団長殺し」メッタ斬り!

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    SF小説の指針となる本をいつも導いてくれる大森望先生と豊崎由美さんが村上春樹をメッタ斬り。
    言いたい放題。しかし愛あればこそ。「愛の鞭」、「好きだからスカート捲り」の世界である。
    私は「1Q84」からの読者なので、この本は弩ストライクである。気になるところを全部おさらいしてくれました。やっぱり皆んなそう思うよね⁉︎
    私だけじゃなかったんだ!と思わせる指摘ばかりです。重箱の隅をつつきたくなるのが村上春樹の著作であるし、本読み同士なら酒の肴になる程面白いのも村上春樹です。142頁に豊崎先生のハルキ作品ベスト3ワースト3が載ってるんです。いづれも読んでいないので、全て読んでしまおう、と思う今日この頃です。

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    2017年09月30日
  • ブラックアウト

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    タイムトラベルものだけど、同時に三人の人がバラバラの時間軸で行動してるので、こんがらがる。
    どうやってタイムパラドックスを回避してるのかよく分からん。
    とりあえず、オールクリアも読んでみるか。まだまだ先は長い。

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    2017年09月11日
  • SFの書き方 「ゲンロン 大森望 SF創作講座」全記録

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    SFを書く予定はないですが、豪華な作家陣が対談でどんな風に書いているのか語っているのがとても面白くて読み応えがありました。
    新井素子さん、面白すぎです。
    これを機会に読んでみたい作家さんもありました。
    ただSFって難しいなあ・・・^^;

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    2017年06月27日
  • SFの書き方 「ゲンロン 大森望 SF創作講座」全記録

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    たいへんおもしろかった。

    十人十色の小説作法。その小説家たちひとりひとりにするどく深く切り込んでいく大森望もすごい。しかしその大森さんをもってしてもまるで切り込めない新井素子、やっぱり優勝(笑)

    実作も読んで、評価の高かった高木刑氏のは、よく魅力がわからんかった。もう1編の崎田氏のほうがぴんときたんだけど、大森さんの講評によるとわたしと同年代のようで「古き良きSF短編を愛する中高年のためのSF雑誌があれば人気作家になれそうだが」という評に思わず苦笑しました(笑)

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    2017年06月24日
  • ドゥームズデイ・ブック(下)

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    ウィリスの感動作 読むべき一冊である
    表紙   6点田口 順子(旧作) 大森 望訳
    展開   7点1972年著作
    文章   7点
    内容 800点
    合計 820点

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    2017年06月08日
  • ドゥームズデイ・ブック(上)

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    ウィリスの感動作 読むべき一冊である
    表紙   6点田口 順子(旧作) 大森 望訳
    展開   7点1972年著作
    文章   7点
    内容 800点
    合計 820点

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    2017年06月08日
  • カエアンの聖衣〔新訳版〕

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    読む前は、服のSFって何だ!って感じだったが、読み進めて納得し、センス・オブ・ワンダーに震えた。確かに、服を着ると気分が変わるし、いつもと異なるテイストの服を着れば、他人が受けるその人の印象が変わる。服を着た本人も(一時的なものかもしれないが)性格が変わったかのように錯覚することもあるだろう。気づいているようで気づいてない状況を、あわや星間戦争なところまで物語を膨らましているのはさすがである。読む前の期待がそれほど大きくなかったこともあり、余計に心と脳みそにガツンときた。

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    2016年12月06日
  • ドゥームズデイ・ブック(下)

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    21世紀のドタバタはさておき、14世紀のオックスフォード付近の人々の暮らしがまるで見てきたように活き活きと描かれている。ペストに抗する術を持たない人々が神に祈りながら倒れていく様は哀れだ。キヴリン嬢は本シリーズの続編には登場しないだろうなぁ。

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    2016年08月19日
  • ドゥームズデイ・ブック(上)

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    SF小説とサスペンス小説と歴史小説とが渾然一体でとても美味しく面白い。時間旅行が衛星の打ち上げ程度のことになれば、過去を観察するために大学の研究機関でこんな風に使われるのかも。送り出した側でのトラブルと送られた先での悲惨な状況とが、キヴリン嬢の記録を挟んで交互に描かれる構成はとても上手い。

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    2016年08月19日
  • カエアンの聖衣〔新訳版〕

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    人類がこの先幾多の分岐を経て宇宙に拡散していく前提で、古地球の文明がどのように伝播されていくのか。また異星の知的生命体との関わり。そのアイデアの1つを切り出した作品。いい感じ。

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    2016年07月29日
  • カエアンの聖衣〔新訳版〕

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    意表を突くアイデア満載のSF小説。人間のアイデンティティーを服が支配して行く過程を描いている。キルラキルの脚本家つながりで読んだが、もともとSF小説を読みなれた人からすると、十分楽しめるし、ふだんなかなかSFを読まない読者でも読みやすい一冊。ワイドスクリーンバロックなどと言うジャンらしいのだが、ブラックユーモアの効いたコメディ(いい意味で)感覚で読めてしまう。脳内で映像化しやすい文章と、イケイケドンドン!!な展開のためサクッと読めてしまう。が、正直ツッコミが追いつかないw個人的にMIBを見たような感じ。純粋に面白かった。

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    2016年07月20日
  • 50代からのアイドル入門

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    アイドルにそんなに興味無い様な人に読んでみて欲しいですね。意外に気軽に参加出来るイベントもあったりする事がわかったりとかガイド的にもいいと思います。ハロヲタ的には色々ニヤニヤしながら読みました。

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    2016年06月20日
  • カエアンの聖衣〔新訳版〕

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     もう記憶が定かではなくなっていたが、解説を見ると、本書はバリントン・ベイリーの初翻訳長編だったようで、『禅銃』なども翻訳はこのあと。ワイドスクリーンバロックなどといって、なんだあ大したことないじゃないかと思ったのは、短銃で恒星を破壊してしまうような『禅銃』の突拍子なさと比べると、『カエアンの聖衣』のアイディアはちょっとスケールが小さい気がしたのだ。
     服を着ることによってその人の潜在能力が開化して別人のように力を発揮できるようになるというアイディア。そしてそのような服飾文明を発展させたカエアン人。物語はカエアン星系と対立するザイオード人の視点から描かれる。原題は「カエアンのガーメント」。ガーメント・バッグのあのガーメントであって、「聖衣」などという宗教がかった特別な意味はない。これは初訳のなごりであり、新訳の本書でもそれを踏襲している。問題となるカエアンのガーメントは伝説の服飾家フラッショナルの仕立てた5着のうちのひとつだが、見た目は単なる地味なスーツであり、それを手に入れたザイオードの服飾家ペデル・フォーバースはザイオード社会でのし上がっていく。
     他方、カエアンとの戦端が開かれるまえの情報収集にカエアン星系に密かに調査にはいった文化人類学者の調査団一行が話のもうひとつの軸。人類が銀河に広がって千年、日本人の末裔ヤクザ坊主とソヴィエト・ロシア人の末裔が戦っている宙域を発見し、カエアン文明がこのソヴィエト・ロシア人の末裔からさらに発展したのではないかと推測する。
     知性を持った線維というアイディアをアニメ『キルラキル』で使った脚本家のエッセイも巻末に。『ど根性ガエル』みたいな『キルラキル』の服はやはりアニメ的にわかりやすいが、ベイリーが知性を持った線維を考えたときにそれは喋る服ではない独特なアイディアが投入されている。

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    2016年06月06日
  • 新編 SF翻訳講座

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    TOEICを受けなければいけないけれど、テストのための勉強なんて全くやる気がおきないので、モチベーションを高めるために読んでみる。(どんなモチベーションだ!)

    これを読めば、Google先生でも通訳はできるけど、翻訳はまだまだできない世界だなと実感できます。

    読み返すたびに発見がある楽しい・悲惨なエピソード満載。

    原書が読みたくなってきた。

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    2016年05月01日
  • ドゥームズデイ・ブック(上)

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    タイムトラベルなSF。
    こちらとあちらの二幕仕立てで、交互にお預け状態になるため、一気に読破。

    中世研究のためのトラべルだったのが、アクシデントで…。
    ドラマティックなお話というより、サスペンス仕立てな実録というか。
    余計に切なくて仕方ない。静かにじわじわ泣けてくる。

    散々会話に出てくる「姪の息子」君、あんなん可愛いすぎるやろ!
    てっきり脇役だと思ってたのに。

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    2016年04月07日
  • 書き下ろし日本SFコレクション NOVA+ 屍者たちの帝国

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     没後6年を経て伊藤計劃の名声はいや増しに高まっている。生きていれば駄作を書くかも知れないのに、もう絶対に駄作を書くことのない彼は不滅だ。
     でも読者はもっと彼の作品を読みたい。『屍者の帝国』。プロローグだけが書かれた第4長編。1878年、ヴィクター・フランケンシュタインの先駆的研究から100年、屍者に疑似霊素を注入することでロボットのように使役できるように蘇生させる技術が一般化していた。わたし、医学生のジョン・H・ワトソン、すなわち後のシャーロック・ホームズの記録作家は女王陛下の諜報機関にスカウトされ、グレート・ゲーム(中央アジアでの大英帝国とロシア帝国の覇権争い)のプレイヤーとして乗り出すことになる。
     舞台はアフガニスタンから日本へという程度の構想しかはっきりしていなかったこの作品を円城塔が書き継いで長編として完成させた。このゲーム「プロジェクト伊藤」に大森望が他のプレイヤーを招集したのが、オリジナル・アンソロジー『NOVA+』の第二弾「屍者たちの帝国」である。『屍者の帝国』の設定を共有して短編を書く使命が8人の作家に与えられたのだ。もう作品を書かない伊藤計劃に代わって物語を紡ぐために。

     藤井大洋「従卒トム」。屍者による軍隊、屍兵を統率するという忌み嫌われる仕事は黒人の解放奴隷に任される。テネシーの農場で綿花栽培に従事していた奴隷のトムは7年後、薩長の要請で屍兵を率いて江戸城攻めに向かおうとしている。ある種の人情話である。
     『屍者の帝国』と同じ月に『カラマーゾフの妹』を上梓した高野史緒は今度は『白痴』の続編を書くが、これがとんでもない大暴走。白痴に戻ってしまったムイシュキン公爵。ムイシュキンとは小ねずみの意味。そして白痴の治療とねずみといったら、ドラマ化までされてSFファンでなくとも知ってるあの話。パルフョン(童貞の意味)・ロゴージンに殺されたナスターシャ(復活の意味)は首だけ他の死体にすげ替えられて死者として復活する。そうそう、首だけ生きてるってのはあの教授。といった具合のネタが繰り出されて最後は地球を飛び出していく「小ねずみと童貞と復活した女」。
     仁木稔「神の御名は目して唱えよ」は「我」をなくして神と一体化するというイスラム神秘思想がネタ。ヴォルガ・ウラル地方のイスラム神秘主義教団を舞台に、この思想と屍者をからませた作品。作品で思索するという点で伊藤計劃の道を正しく進む。
     シャーロキアン北原尚彦は円城塔版『屍者の帝国』の一挿話をでっち上げる、シャーロック・ホームズの登場人物を連れてきて。タイトル「屍者狩り大佐」はのちにモリアーティの右腕となるモラン大佐のこと。そして「まだらの紐」の粗暴なロイロット博士、さらにウェルズの登場人物や中島敦のまで登場。話はワトソン一行がインドで屍者化された虎に人が襲われる事件に遭遇するというもの。インドの虎刈りだから、宮澤賢治、いやそこまでは言ってないか。
     愛する者を生き返らせるのはオルフェウスの冥府下り、イザナギの黄泉の国行きの昔から人間の欲するところだが、『屍者の帝国』のアイディアのキモは屍者が個性をなくして道具になるところにある。森鴎外が主人公の津原泰水「エリス、聞こえるか?」は伊藤計劃に背いて愛する者の蘇生をテーマにするが、屍者たる作曲家の作品などという変なアイディアで単なる感傷的な作品に終わらない。
     山田正紀「石に漱ぎて、滅びなば」はロンドンの夏目漱石を引っ張り出す。漱石、すなわち「石に漱ぐ」という言葉と、海軍カレーの誕生を結びつけるが、その論理の強引さと説得力のなさは「トンデモ」というほかない。彼も『神狩り』『弥勒戦争』で夭折していたら、伊藤計劃のような伝説になっていただろう。ま、その後、駄作も書いたが,傑作も書いたから、生き延びることは無条件で正しい。でも、たいがいにしてもらいたいこともある。
     屍者技術が時代遅れとなった時点から語られる坂永雄一「ジャングルの物語、その他の物語」はこのアンソロジーの他の作品からは異彩を放っている。伊藤計劃の世界から軽々と遠ざかりつつも,その独創性から伊藤計劃の境位にまで迫っている、というべきか。
     トリは宮部みゆき。舞台は第二次大戦後の日本。後者の管理を離れた「拡散屍者」についての調査報告書の体をなす老婆の証言、「海神の裔」。「3回生まれ変わっても」『虐殺器官』のようなものは書けない宮部が、宮部にしか書けないお話を書いている。この作品でトムさんが登場するは藤井と申し合わせたわけでないのに、面白い。

     最後にオマケで円城塔のインタヴュー。次のセリフがキマってる。

     「伊藤計劃の名前で商売している」と言われてもいいんですよ。死体を働かせる話なので、「そうだ」と言える。

     そうか、伊藤計劃は今も働いているんだ。

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    2016年03月02日
  • NOVA1【完全版】

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     気が向いたときだけ買っている『NOVA』である。

     1970年代、「SF」といったら「SM」に間違えられて、という自虐ネタがよくあった。
     では、SFとは何か、というのも昔から問われてきた難問である。村上春樹からしてSF的設定で小説を書き、それがベストセラーとなっている昨今、かつての筒井康隆会長の日本SF大会のテーマ「SFの浸透と拡散」はすでに現実のものとなった。ところが逆にコアなSF短編の発表舞台が乏しくなったと考えた大森望が、アメリカでは昔からあるが、日本にはさっぱりないオリジナルSFアンソロジーを編んだのが本書『NOVA1』。10まで続くらしい。

     北野勇作「社員たち」、田中哲弥「隣人」は不条理ものと括れそうだが、これがコアなSFといっていいのか? 藤田雅矢「エンゼルフレンチ」は宇宙を舞台にしたラヴ・ストーリー、田中啓文「ガラスの地球を救え!」は馬鹿馬鹿しいパロディ、斎藤直子「ゴルコンダ」はほのぼのとしたアイディア・ストーリー、面白いけれどSFとしては傍流だなあ。

     月は遠くて近いSFの古典的舞台。しかし、月面で起きた初の殺人事件を扱う本格推理小説というのはありそうでなかったかも。山本弘「七歩跳んだ男」。しっかり、「と学会」ネタが使われている。
     SFはセンス・オヴ・ワンダーだといったのは誰だっけ? その意味では小林泰三には唸らされた。「忘却の侵略」は遭遇しても記憶に決して残らない宇宙生物(か何か)と戦う、量子論的SF。

     すでに発表された傑作を集めたアンソロジーではなく、編集者の求めで書いてもらったアンソロジーだから、まあ、レベルはこんなものかと思っていたら、後半ぐっと密度が高まり、一般誌には載せがたいだろうという、しかも今日的なSFが並ぶ。小説をメタ・レベルにもっていくというアイディアは昔からあるけれど、次の3作はいずれも記述すること、語ることが世界を作るという、いわば言語中心主義的SFであり、しかも三様に違っている。
     既知外生命体にテキスト改編という攻撃方法で挑む戦隊ものというとんでもないのが、牧野修「黎明コンビニ血祭り実話SP」。しかもテクストで相手を攻撃するというのはすなわちスプラッター描写。円城塔「Beaver Weaver」は数学的フレーヴァーを振りかけた、スペース・オペラの語り/騙り。飛浩隆「自生の夢」はGoogle時代のサイバーパンクの如きもの。語ることと読むことが問題となる。
     最後に伊藤計劃の未完の長編『屍者の帝国』の残された冒頭部分で、このアンソロジーはいまだ語られていない世界に開かれる。もっともその後、円城塔によって語られてしまったが。

     とりわけ語り口の個性と洗練、そしてある種の強さを感じさせたのは円城塔と伊藤計劃であった。

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    2016年02月08日