大森望のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
SFで、第二次世界大戦の歴史ものだが、その世界を細部に至るまできっちりと描いていて、その中で登場人物が生き生きと動き回る。
「ブラックアウト」のみの登場人物と思っていた人が、こちらでもしっかりと活躍する。話に無駄がない。
コニー・ウィリスはホント長編向きの作者だ。
今、「オールクリア 2」の3/4くらいまで読み進んできたところ。だんだんと明らかになって来ているが、まだ結末がどうなるのかわからない。残りを読み終わるのが惜しいような気がしている。
「あ、あのときは実はこうだったのか」とタイムトラベルの醍醐味を味あわせてくれる。タイムトラベルものでは昔読んだ小松左京の「時の顔」が秀逸だったが、こちらの方が精緻に書き込んでいるので迫力がある。
読み終わって。
あれだけ広範囲に話を広げまくって、それをきっちりまとめるのだから恐ろしい人だ。
あーあ、もう読み終わってしまった。名残惜しい。
今回は、お盆休みということで、家族が旅行に出た静かな時間にじっくり楽しめた。
こういう小説は、骨折して入院したりしたときには救いの神だ。
「骨折って良かった」と思ってしまうかも。
年取って骨折してもこういう本を事前に用意しておけば、惚けずにすむかもね(目が丈夫だったらの条件付きなので当方は厳しそう)。 -
Posted by ブクログ
これならばわたしにもわかる。なるほどSFですね。主題はタイムパラドクスであり、メイントリックもタイムパラドクスなんだもの。そして真犯人は執事でも無害な老婦人でもなく…だと!うわー拍手喝采。そして巻頭の引用が思い起こされるわけさ。いわく「神は細部に宿る」…お見事でした!
まあしかしこの小説の楽しいところはこまごまと散りばめられたイギリスミステリとヴィクトリア朝(追記してオクスフォードw)に関する小ネタやお遊びでもあるわけですが。これは確かにニヤニヤしたくなる。そしてそれらが結構伏線めいた働きもしているところがまた楽しい。ニヤニヤ。
ジャンルなど気にせず「面白そうだな」だけで手に取ってほしい、そんな小説。いやはや面白かった。 -
Posted by ブクログ
大好き!映画化してほしい。
ヴィクトリア朝もドロシー・セイヤーズも大好きな私にとってドンピシャなお話でした。
上巻は説明なしの冒頭とのんびりした川下りで、ヴィクトリア朝に興味の無い人は退屈だったでしょう。予想外のフィンチ登場で上巻は終わりましたが、下巻までくればスルスル読めるはずです(上巻の引きが最高)。あの日コヴェントリーで何があったのか?消えた鳥株の行方は?あっという驚きはないかもしれませんが、犬も猫も誰も死なない、誰も不幸にならない大団円です。中世から現代まで時を駆け抜けてヴェリティを探すネッドにしびれます。ロマンチック。そしてユーモラス。完璧な執事フィンチにやられて、ウッドハウスのジーヴズシリーズも読みました。本当に好きなお話です。 -
Posted by ブクログ
遂に読み終わってしまいました、怒涛の完結編。こんなに待ち焦がれた最終巻もありませんよ、ホンマに。
「オールクリア1」まで拡げるだけ拡げた風呂敷が次々に畳まれていく、しかも綺麗に丁寧に。
新たに1995年(帝国戦争博物館)が挿入され、これがまた涙を誘います。約束通りあきらめずに何年も(8年!)ポリーを探し続けたコリンの愛情と執念。そして、タイムパラドックス上止むを得ない事ながら苦渋の決断をしたアイリーンの使命感とホドビン姉弟への愛情。
「悪名高きホドビン姉弟、恐怖のホドビン姉弟、恐るべきホドビン姉弟」全編を通じて大迷惑の姉弟が、アイリーンの愛情に応えて最後は時を超えたメッセンジャー役を演じます。
そしてそして待ってました!満を時して回収チーム、コリンが登場、全員が帰れないのはちょっと悲しい、でも素晴らしいエンディングでした。新しい仕掛けは何も無い、タイムトラベルとタイムパラドックスだけでこれだけ読み応えのある大長編にしてしまう、コニーウィリス凄いです。
昨年10月に「ブラックアウト」を読んでから約9か月、1770ページ!(ページ数勘定したら卒倒しそうになります)読み応えありました。暫くは余韻に浸りたいと思います。 -
Posted by ブクログ
最高です。もう夢中になって読みふけってしまった。こういう読書がいったいどれくらいできるものだろう。早くも今年度ベスト1に決定!
まずは目次を見て、ああかこうかと推測する。一九九五年?帝国戦争博物館?なんだそりゃ? ラストが一九四一年のロンドンになってるよ? 二〇六〇年のオックスフォードに帰るんじゃないの? 頭に渦巻く疑問。でもでも、読み終わる何時間後かにはすべて明らかになってるんだ。これほど楽しい気分もそうそうない。なんてったってコニー・ウィリスだもの。
「ブラックアウト」「オール・クリア1」の二冊を横に置いて、む?と思ったらすぐ前のところを読み返しながら、ずんずん読み進む。なかなかお話が進まずもどかしかった「1」とは打って変わって、三人の運命はスピーディに展開していく。読者の予想を小気味よく裏切りながら、これまでの伏線がどんどん回収されていく後半は、お見事!の一言だ。
いったい三人はどうなるの?と息を詰めて見守りつつ、全体を貫く強いメッセージに何度も何度も心を揺さぶられた。それぞれの場でそれぞれの「分をつくす」名もない人たちの営為によってこの世界は成り立っている。自らの努力の成果を知ることなく、讃えられることもなく、死んでいった膨大な人たちに対する心からの敬意がここに込められていることを、ひしひしと感じた。
この物語には実にたくさんの人が登場するけれど、ストーリーのためだけに存在する人がいない。みんな、その人として生きている(こういうところも含め、宮部みゆきさんとの共通点をよく感じる)。セント・ポール大聖堂のミスター・ハンフリーズ、教区牧師のグッドさん、サー・ゴドフリー、ダリッジの看護部隊の面々…、忘れがたい人たちばかりだ。
ラストに近づくともう涙をこらえられない。いくつもの別れの場面に泣けて仕方がない。トラファルガー広場でアイリーンがポリーの後ろ姿につぶやく言葉「私たちこれから大親友になるのよ」には、タイムトラベルの切なさが詰まっている。
八年がかりで執筆されたというが、まったく複雑な構成で、しかもそれがわかりにくくないところがすごい。非常に綿密に組み立てられているからだろう。読み返したらいろいろ発見があるに違いない。これも楽しみだが、しばらくはこの余韻に浸っていたい気もする。いやあ満足しました。 -
Posted by ブクログ
オックスフォード大学史学部タイムトラベル・シリーズの第三長編(の前編)。
であることを、解説を読んで初めて知った。
(コニー・ウィリスをはじめて手に取った)
2060年のオックスフォード。タイムトラベル技術を駆使して、過去の出来事を実地観察する「航時史学生」たちが主人公。
本作は第二次世界大戦下のイギリスを観察するために、3人の主人公がそれぞれの時期、それぞれの場所に赴く。
規則として、滞在期間を厳密に決定したうえで過去に赴き、定期的に報告のために現代に戻らないといけないし、仮に設定期間を過ぎて戻らない場合は、回収部隊がやってきて強制的に連れ戻されるという基本ルールがある。にも関わらず何かのトラブルが発生し3人とも過去に取り残されてしまう・・・。というのがあらすじ。
しっかりと一本筋の通ったタイムトラベルの設定が、作品世界をしっかり支えているし、ミステリ的な要素も含む本書は実に読みやすい良質なエンターテインメント。
また、第二次大戦下のイギリスと人々を生き生きと描き、史学生になったかのような気分で、当時の時代の空気を感じることができる筆力も大したもの。
3人の視点や場面が細かく切り替わり、ついつい続きが気になってぐいぐい読ませるストーリーテリングも魅力的だし、更には謎が謎を呼ぶ日付で最終章で本作は終わり、後編が気になって仕方がない。
SFを読むのは久しぶりだけど、あまりガチガチのSFではなく非常に親しみやすく楽しめる良作。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ読む前から「オールクリア」という続編が未刊であることを知ってはいたが..... ああ,でも止まらない.止められない.
「犬は勘定に入れません」の前半はとても読みにくかったが(とは言っても,それが作者の狙いでもあるのだが),あっという間に読み終えてしまった.ロンドンの中の話が多いので,何となく通りや駅の位置関係がわかる,って言うのも理由かも.一見ハイティーン向けのようにも思えるんだけど,全然安っぽくないんだよね.ポリーの気がかりは一体何なのか? 53章で登場したのは誰なのか? 「オールクリア」,本当に4月に出るんでしょうな? じゃないと怒るよ,ホントに.