大森望のレビュー一覧

  • オール・クリア2

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     3冊合わせて1745ページ。ポケット判で750ページ以上もある「ブラックアウト」を読んだ時には、「これ、普通の作家なら200ページぐらいで書き終えるのでは」などと思ったが、全部読み終えてしまったら、タイムトラベルものの常でまたすぐに最初から読み直したくなる。

     実際に読み返さなくても、あれはどうだったか、ここはどうなっていたかとページをめくって確認してしまうこと必定だ。それほど登場人物たちに魅せられ、この長い物語から離れたくなくなってしまう。大空襲下のロンドンに閉じ込められるポリー、アイリーン、マイクの史学生3人をはじめ、いたずらが過ぎて手に負えないビニーとアルフのホドビン姉弟、勝利を信じ

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    2014年10月04日
  • NOVA1【完全版】

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    結構面白かった。メタフィクションが多いのは時代の流れか。以下作品毎に記す。
    『社員たち』
    世紀末ものと寓話を掛け合わせて現代への風刺…てな感じでなんとでも言える。感激はしない。
    『忘却の侵略』
    全く新しいタイプの侵略者に対して主人公の武器は…というのは非常に楽しく、それが現実的であるか否かという発想はエンタメに対して失礼というものだろう。
    『エンゼルフレンチ』
    一歩間違えばサブカルに振り切りそうな物語を、ただミスドという一点で支えきったかのような作品。
    『七歩跳んだ男』
    まあ、西澤保彦の『七回死んだ男』のもじりだろうか。トリックに関してはなんかごちゃごちゃ言ってるぞという感じで、間に挟まるいつ

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    2014年09月21日
  • オール・クリア2

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    長かっただけに感動もひとしお。ポリー、マイクル、メロピー三者三様の結末は正直、意外だった。
    思えばこれまでの短長編の登場人物の出演・言及などサービスも有り、この終わり方。航時史学生シリーズは本作を持っておしまいなのかもしれない。犬は勘定のような大団円とは言えないかもしれないが、余韻のあるいい終わり方なのかも…
    でも、本心はもっとこのシリーズ読みたい!

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    2014年09月08日
  • 犬は勘定に入れません(下) あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

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     オックスフォード大学史学部シリーズの長編第2作。まるでシェイクスピア悲劇のようだった前作からうって変わって、今度はヴィクトリア朝を舞台としたてんやわんやのラブコメディが描かれている。
    「彼と彼女がくっつかないと未来が大変なことに!」という某名作映画を彷彿とさせるストーリーはもちろん、主人公とヒロインの距離加減もまた読んでいて楽しい。ウィムジー卿に憧れる女の子なんて素敵。
     そしてある意味主役の犬と猫! たかがペットと侮るなかれ、驚くほどキャラが立っている彼(&彼女)は始終物語を引っ掻き回すがどうにも憎めない。人間だけじゃなく動物も魅力的な本作は、一見の価値ありです。

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    2014年08月14日
  • ドゥームズデイ・ブック(下)

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     タイムトラベルによって実地的な歴史研究が行われるようになった近未来が舞台の、“オックスフォード大学史学部シリーズ”最初の長編。本作では、中世イングランドに降下した史学部生キヴリンを軸に、迫りくるペストと21世紀のオックスフォードで発生した原因不明のパンデミックとの闘いを描く。
     紛れもない長編で専門用語も多く、翻訳SFに慣れない人は二の足を踏みそうな作品だが、それでも読む者をグイグイ惹きつけるこの作者はさすがとしか言いようがない。登場人物は皆活き活きとしており、本当にその時代に生きていたかのよう。主人公の成長物語としても歴史小説としても一級品なので、興味がある人は是非読んでみてほしい。
     ま

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    2014年08月14日
  • ドゥームズデイ・ブック(上)

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    2054年のオックスフォード大学では、開発されたタイムトラベル技術を歴史研究に利用している。女子学生キヴリンは現地調査のため、飢餓と疾病が蔓延する14世紀にタイムトラベルするが、キヴリンを現地に送り届けた技術者が未知の病に倒れ、キヴリンが無事現地に到着したか確認できなくなってしまう。キヴリンの非公式指導教授のダンワージーは、彼女の安否を確認すべく奮闘するが、未知の病が次第にオックスフォードを覆ってしまい… 一方、キヴリンは14世紀に到着するも原因不明の病に倒れてしまう。現地人の看護により一命を取り留めた彼女は、もとの時代に戻るために出現地点を目指すが…

    全2巻。終盤までは、物語は遅々として進

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    2014年07月06日
  • 航路(上)

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    『犬は勘定にいれません〜』以来のコニーウィリス作品。2作目。

    『犬は〜』のような登場人物が冗談を交えながらのんびりと話が進んでいくSFコメディを想像して読み始めたが、今作ではギャグの面白さもますます磨きがかかっており非常に読みやすかった。

    病院内で臨死体験について調べている主人公が神経学者のリチャードとともに疑似的に臨死体験を起こし科学的に解明しようとする一方で、「臨死体験は死者からのメッセージだ!」と言って譲らないトンデモノンフィクション作家との攻防(?)を中心に繰り広げられる物語は、総合病院の中という限られた舞台にも関わらず話のネタは尽きない。

    あまり書いてしまうとネタバレになってし

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    2014年04月21日
  • 新編 SF翻訳講座

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    「SF」翻訳講座と銘打ってはいますが、SFに限らず「人の心を掴む」翻訳のコツについて軽妙かつ端的な語り口で解説しています。「読ませる」文章を書くためのTipsが満載で、翻訳に限らずエッセイやブログの執筆の際にも役立ちそうな感じ。SF者以外でも十分楽しく読めるし、勉強になると思います。

    といいつつ、やっぱりSF関係の小ネタが一番面白かったりするんですが(笑)

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    2014年03月02日
  • オール・クリア2

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    最後のほう、涙が止まりませんでした。思い出しても泣けてくる…。とても長いので、一気には読めませんが、一週間くらい睡眠不足になりました。

    第二次大戦中のヨーロッパの知識がなく、ブラックアウトではよくわからない単語もありましたが、読み終わりにはすっかりイギリス人の気分になれました。

    この長さで、はじめからの、すべてのパズルがカチカチはまっていく感じ、すごいです。ああ、そうだったのか〜。ばっかり思ってました。伏線ばっかりなんです。始めからもう一度読みたいです。

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    2014年03月02日
  • ブラックアウト

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    コニーウィリスは大好きで、この本を手に取りました。なので、続いているとは知らず…。とにかく長いですが、少し読み進めると止まりません。おもしろいです。幾つもの物語が並行して進んで行くので、長く感じるのかもしれません。いくつかの物語は合流していきます。

    多くの部分が伏線になっているので、一気に読んだほうがよくわかるかもしれません。

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    2014年03月02日
  • オール・クリア2

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    ブラックアウトから毎日夜なべして一気に読みました。
    レビューの長い、登場人物が複雑の声を
    留めつつ読んでいたためそこまで
    大変にはならず。
    しかし、この大長編を全くそらさずに
    引っ張り込み続ける展開凄い!
    オールクリア最後は泣いちゃってばっかりだったし。
    素晴らしすぎます!

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    2014年02月12日
  • 航路(下)

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    ヴィレッジブックスにて読みました。
    ハヤカワから復刊とのこと、喜ばしい。買います。
    人生のベスト3です。
    しばらく他の本読めませんでした。
    圧倒的な読後感。
    人に面白いよ、って話すのですが、内容全く伝わらない。もどかしい。

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    2014年02月09日
  • トータル・リコール

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    映画化された「トータルリコール」、「マイノリティー・リポート」含む10篇の傑作短編集。

    ディックの映画化されたものは「ブレードランナー」を除いてつまらないので、この短編集も期待しないで読み始めたのですが・・・

    やるではないですか!ディックにサイエンスは期待しませんが、人間(自分)は何をもってして人間(自分)と呼べるのか?という観点でいろいろな要素に分解して執拗に描くことにかけてはディックは最高です。これは、確かに精神を病んでしまうでしょう。

    3.11後の現在に読んでも古びた感じがしないばかりか、今読むからこそ実感できる作品があるということはすごいことです。

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    2014年02月01日
  • オール・クリア2

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    「ブラックアウト」「オール・クリア1」「オール・クリア2」通しての感想。
    厚い!紙で読んだのだが、1冊目を手にしたとき、あまりの厚さに読む前から心が折れそうに…。3冊で、400字換算3,500枚。当初もっと長かったものを、必死でこの長さに収めたらしい。どれだけ長いの、コニー・ウィリス。まさにこういった本こそ電子書籍向けではあるのだけれど、「新☆ハヤカワ・SF・シリーズ」の装丁も格調高く捨てがたい。
    読み始めると、この分厚いページがみるみる減って楽しくなる。特に「ブラックアウト」終盤1/4はものすごい疾走感。物語に完全に入り込んでいるため、単語を見た瞬間に状況が理解できてしまう。プロットだけを考

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    2013年12月23日
  • 航路(下)

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    第二部の終了後、驚愕と衝撃と、これが夢オチなら三文小説だ!と思った。
    でも三部で粛々と話が進み、混乱と新たな謎に立ち向かって行く。
    メイジーには何度も涙腺を攻撃されました。
    ラストの58章は特にがつんとやられました。58章って!58!!

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    2013年10月29日
  • 航路(上)

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    コニーウィリスの傑作。
    臨死体験がテーマという風変わりさだけど、
    登場人物たちがとても魅力的で、読みながらわくわくする!
    後半でジョアンナの体験が何に基づくものが何か探る過程が
    ミステリーのようで、おもしろくて読むのをやめられない。

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    2013年10月29日
  • ブラックアウト

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    オックスフォード史学部シリーズ。2060年のオックスフォード大学では、タイムトラベルにより、過去の歴史を実地で体験することが可能になっている。このシリーズはタイムトラベルこそSFだが、毎回歴史的ターニングポイントに潜入するので、歴史小説の側面も併せ持っている。

    今回は、ロンドン大空襲の時代に潜入した史学部の学生たち。いつものように、すべて想定外の事態の連続。読書中、何度も空襲の夢を見た。まるで自分もその場にいるような錯覚に陥る。それだけの細密な取材力と描写力。いわば、読者をもタイムトラベルさせているコニーウィリスの力量に感謝。

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    2013年10月16日
  • 航路(下)

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    もうずいぶん前に読んだ気がするけど登場する映画タイトルとかみると十年ちょっとしか経っていないのか。
    再読しても面白さと感動は変わらず❗️。
    表紙の変わった「ドゥームズデイ・ブック」も買いなおしたい。前の表紙担当の方には申し訳ないけど、大嫌いでした。あれで読む気を削がれましたもの。

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    2013年10月09日
  • ブラックアウト

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    久しぶりに海外SF作品を、、、、と手を出したのが運の尽き。
    かなりの長編作品にぶち当たってしまいました。ただ、海外タイムスリップモノは、よだれが出る程好きなジャンルなので、全3部作の1作目は楽しんで読めました。

    【内容】
    2060年、オックスフォード大学の史学生三人は、第二次大戦下のイギリスでの現地調査に送りだされた。
    メロピーは郊外の屋敷のメイドとして疎開児童を観察し、ポリーはデパートの売り子としてロンドン大空襲で灯火管制(ブラックアウト)のもとにある市民生活を体験し、
    マイクルはアメリカ人記者としてダンケルク撤退における民間人の英雄を探そうとしていた。
    ところが、現地に到着した三人はそれ

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    2013年09月26日
  • 航路(下)

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    海外小説の中でも1,2位を争うほど好きな小説。
    新たに文庫で読めるようになってとても嬉しい。
    今回再読して初めてこんなにメタファーが重ねられていることに気づいた。
    すごい構築力。

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    2013年09月21日