大森望のレビュー一覧

  • オール・クリア2

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     このオックスフォード大学史学部シリーズ、タイム・パラドックスを起こす可能性がある時点には時間旅行できないという設定で、面倒くさいパラドックスは回避されている。それゆえ、過去から帰れなくなってしまったというほかは延々と戦時の生活が描かれるのだが、物語も最終局面に向かって、時間旅行の問題が前景化してくる。

     1940年に閉じ込められた(本巻では41年に年が開ける)、マイク、アイリーンことメロピー、ポリーの3人は、2060年のオックスフォードにメッセージを送ろうと偽装した広告記事を新聞にのせたり、様々な努力をするのだが、そうした帰還のための努力が効を奏しているなら、すでに回収チームが来ているはず

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    2016年02月04日
  • オール・クリア1

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     2060年のオックスフォード大学史学部、タイムマシンを使って、学生が過去の時代に旅行してフィールドワークをしているという設定のシリーズ、『ブラックアウト』の続編であるが、長くなってしまったのでひとつの長編を『ブラックアウト』『オールクリア』、すなわち第二次大戦中のロンドンの灯火管制とその解除をタイトルに2分冊にしたもの。日本語訳ではさらに『オールクリア』も2分冊になってしまった。

     評者も最近、フランケンシュタイン産業のロンドン、裏ロンドン、クラーケン神のロンドンなど結構ロンドンに行っているのだが、オックスフォードの航時史学生もたくさんロンドンに行っている。第二次大戦下のロンドンに。
     そ

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    2016年02月04日
  • ブラックアウト

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     第二次世界大戦中の日本の様子については、書物やドラマなどでそこそこに知っていると思うのだが、はて、イギリスがどうだったかなど、とんと知らぬ、本書を読むまでは。
     すなわち、ロンドンはナチスによる空襲にあって、灯火管制が敷かれていた。灯火管制、英語ではブラックアウト。

     2060年のオックスフォード大学史学部では、タイムマシンを使って、学生が過去の時代に旅行してフィールドワークをしているという設定のシリーズだが、私は初めて読む。時間旅行は過去へのみ可能で、ネットといわれる装置で「降下点」を開いて学生を過去に送り出す。「降下点」が開くのを現地人、いや現時人に見られる可能性があったり、そこに「降

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    2016年02月04日
  • 書き下ろし日本SFコレクション NOVA+ 屍者たちの帝国

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    お勧めはイスラム神秘主義に絡ませた話の「神の御名は黙して唱えよ」とワトソン・フライデーたちも活躍する「屍者狩り大佐」

    伊藤氏ためのアンソロジーなのですが、内容も充実していて楽しかった(#^^#)

    もし伊藤氏が存命していたら(言っても詮無いことなんですが)、どんなテーマで作品を書いただろうか。

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    2015年10月27日
  • 犬は勘定に入れません(上) あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

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    ヒューゴー賞とローカス賞のダブル受賞を果たした本書は、コニー・ウィリスの人気シリーズ<史学部シリーズ>の第2弾。
    いったいこのシリーズだけでどれだけの賞を受賞したのか気になるところです。

    全2巻。シリアス路線だった前作「ドゥームズデイ・ブック」と異なり、今作はどたばたコメディ。抱腹絶倒もの。
    そして単なるどたばたコメディではなく、SF、ミステリー、そしてラブロマンスも兼ねそろえた充実ぶり。こういうと、ごちゃまぜな感がありますが、うまくバランスが保たれているのは、著者の技量によるものか。
    ウィリスのシリアスな作品も好きですが、どちらかというと「まれびとこぞりて」のような作品が好きな自分にとって

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    2015年08月31日
  • オール・クリア2

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    ポリーは魅力的キャラで好きなんだけど、ちょっとイラっとする面もあって、何故だろうと考えたら、これはマイクやアイリーンも多かれ少なかれ共通するんだけど、先走りしすぎる傾向がある、事実を確認する以前に想像をたくましくしすぎる。これって歴史を専攻する者の資質としてどうなの?タイムトラベラーはそういう性向になりがちなのかな。このシリーズの長編は読破したので、残るは短編だな。ここでは結局つかまえられなかったジョン・バーソロミューさんの話が読みたい。

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    2015年08月19日
  • ブラックアウト

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    ヒストリアン達がそれぞれ微妙なズレを感じているところがハラハラ。ダンワージー先生による急の予定変更も理由が明らかにされていないので、不穏だ。私はヒストリアンには向いていないな。口が軽いから。コニー・ウィリスのページターナーの才能は凄い。この長さでちっとも飽きさせないんだもの。そういう意味では現代の、SF界のディケンズだね。

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    2015年08月14日
  • 文学賞メッタ斬り!

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    これは面白かった。信頼の置ける書評家2人の対談ってだけでもワクワクする上に、文学賞の何たるかを説いている内容となると、面白くない訳がない。そもそも、芥川賞と直木賞の違いもいまひとつピンとこなかったから、そのあたりも含めてクリアカットに説明されているだけでも読んだ価値あり。で、有名文学賞の欠点とか、それの代わりとなり得る文学賞が示されていたりだとか、注目に値する文学賞の紹介とか、欲しい情報が満載。いやいや、実に参考になりました。ってか、これからも何かのたびに参考にしていくことになると思います。

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    2015年08月11日
  • オール・クリア2

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    空襲警報は解除され(オールクリア)、全ての謎が明らかになる。

    第二次世界大戦下のロンドンで、それぞれの学問的課題を研究するために2060年のオックスフォードからやってきた3人の史学生。ポリー、アイリーン(メロピー)、マイク。
    過去へのタイムトラベル。それは絶対に安全なはずであり、もしも危険なことが起こりそうになったら、または歴史を改ざんしてしまいそうになったら、すぐに2060年の世界へ戻されるはずだった。
    だがしかし、何度も命を失いかねない危険な目に遭い、本当なら死んでいたのかもしれない人々の命を多数救ってしまう彼ら。

    だからなのか?
    2060年へ繋がるはずの降下点はどこもここも使用不可能

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    2015年04月14日
  • 変数人間

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    ディックのSF短編集.正直SFは苦手だったのですが,この本を機にSFを面白く感じるようになりました.どの短編も面白いです.

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    2015年02月03日
  • 犬は勘定に入れません(上) あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

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    ネタバレ

    SFは総じて導入の設定を読み込むのが大変。なのでこの本に限ったことではないけれど最初がしんどい。けどそこさえ乗り越えてしまえばぐいぐい読ませるお話でした。タイムトリップが可能になった時代に空襲で焼けた大聖堂を再現しようと躍起になった女王?政治家?金持ち?権力者に振り回され、そのせいで起きた時代の齟齬を直すためにさらに振り回され………上巻なのでまだ先わからず。主人公可愛いヴェリティ可愛いフィンチがいちばんすき。そしてトシーの赤ちゃん言葉は最初は本格的にイラついてたけどだんだん愛らしく感じられてくる病気。

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    2015年01月06日
  • オール・クリア2

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     3冊合わせて1745ページ。ポケット判で750ページ以上もある「ブラックアウト」を読んだ時には、「これ、普通の作家なら200ページぐらいで書き終えるのでは」などと思ったが、全部読み終えてしまったら、タイムトラベルものの常でまたすぐに最初から読み直したくなる。

     実際に読み返さなくても、あれはどうだったか、ここはどうなっていたかとページをめくって確認してしまうこと必定だ。それほど登場人物たちに魅せられ、この長い物語から離れたくなくなってしまう。大空襲下のロンドンに閉じ込められるポリー、アイリーン、マイクの史学生3人をはじめ、いたずらが過ぎて手に負えないビニーとアルフのホドビン姉弟、勝利を信じ

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    2014年10月04日
  • NOVA1【完全版】

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    結構面白かった。メタフィクションが多いのは時代の流れか。以下作品毎に記す。
    『社員たち』
    世紀末ものと寓話を掛け合わせて現代への風刺…てな感じでなんとでも言える。感激はしない。
    『忘却の侵略』
    全く新しいタイプの侵略者に対して主人公の武器は…というのは非常に楽しく、それが現実的であるか否かという発想はエンタメに対して失礼というものだろう。
    『エンゼルフレンチ』
    一歩間違えばサブカルに振り切りそうな物語を、ただミスドという一点で支えきったかのような作品。
    『七歩跳んだ男』
    まあ、西澤保彦の『七回死んだ男』のもじりだろうか。トリックに関してはなんかごちゃごちゃ言ってるぞという感じで、間に挟まるいつ

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    2014年09月21日
  • オール・クリア2

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    長かっただけに感動もひとしお。ポリー、マイクル、メロピー三者三様の結末は正直、意外だった。
    思えばこれまでの短長編の登場人物の出演・言及などサービスも有り、この終わり方。航時史学生シリーズは本作を持っておしまいなのかもしれない。犬は勘定のような大団円とは言えないかもしれないが、余韻のあるいい終わり方なのかも…
    でも、本心はもっとこのシリーズ読みたい!

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    2014年09月08日
  • 犬は勘定に入れません(下) あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

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     オックスフォード大学史学部シリーズの長編第2作。まるでシェイクスピア悲劇のようだった前作からうって変わって、今度はヴィクトリア朝を舞台としたてんやわんやのラブコメディが描かれている。
    「彼と彼女がくっつかないと未来が大変なことに!」という某名作映画を彷彿とさせるストーリーはもちろん、主人公とヒロインの距離加減もまた読んでいて楽しい。ウィムジー卿に憧れる女の子なんて素敵。
     そしてある意味主役の犬と猫! たかがペットと侮るなかれ、驚くほどキャラが立っている彼(&彼女)は始終物語を引っ掻き回すがどうにも憎めない。人間だけじゃなく動物も魅力的な本作は、一見の価値ありです。

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    2014年08月14日
  • ドゥームズデイ・ブック(下)

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     タイムトラベルによって実地的な歴史研究が行われるようになった近未来が舞台の、“オックスフォード大学史学部シリーズ”最初の長編。本作では、中世イングランドに降下した史学部生キヴリンを軸に、迫りくるペストと21世紀のオックスフォードで発生した原因不明のパンデミックとの闘いを描く。
     紛れもない長編で専門用語も多く、翻訳SFに慣れない人は二の足を踏みそうな作品だが、それでも読む者をグイグイ惹きつけるこの作者はさすがとしか言いようがない。登場人物は皆活き活きとしており、本当にその時代に生きていたかのよう。主人公の成長物語としても歴史小説としても一級品なので、興味がある人は是非読んでみてほしい。
     ま

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    2014年08月14日
  • ドゥームズデイ・ブック(上)

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    2054年のオックスフォード大学では、開発されたタイムトラベル技術を歴史研究に利用している。女子学生キヴリンは現地調査のため、飢餓と疾病が蔓延する14世紀にタイムトラベルするが、キヴリンを現地に送り届けた技術者が未知の病に倒れ、キヴリンが無事現地に到着したか確認できなくなってしまう。キヴリンの非公式指導教授のダンワージーは、彼女の安否を確認すべく奮闘するが、未知の病が次第にオックスフォードを覆ってしまい… 一方、キヴリンは14世紀に到着するも原因不明の病に倒れてしまう。現地人の看護により一命を取り留めた彼女は、もとの時代に戻るために出現地点を目指すが…

    全2巻。終盤までは、物語は遅々として進

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    2014年07月06日
  • 航路(上)

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    『犬は勘定にいれません〜』以来のコニーウィリス作品。2作目。

    『犬は〜』のような登場人物が冗談を交えながらのんびりと話が進んでいくSFコメディを想像して読み始めたが、今作ではギャグの面白さもますます磨きがかかっており非常に読みやすかった。

    病院内で臨死体験について調べている主人公が神経学者のリチャードとともに疑似的に臨死体験を起こし科学的に解明しようとする一方で、「臨死体験は死者からのメッセージだ!」と言って譲らないトンデモノンフィクション作家との攻防(?)を中心に繰り広げられる物語は、総合病院の中という限られた舞台にも関わらず話のネタは尽きない。

    あまり書いてしまうとネタバレになってし

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    2014年04月21日
  • 新編 SF翻訳講座

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    「SF」翻訳講座と銘打ってはいますが、SFに限らず「人の心を掴む」翻訳のコツについて軽妙かつ端的な語り口で解説しています。「読ませる」文章を書くためのTipsが満載で、翻訳に限らずエッセイやブログの執筆の際にも役立ちそうな感じ。SF者以外でも十分楽しく読めるし、勉強になると思います。

    といいつつ、やっぱりSF関係の小ネタが一番面白かったりするんですが(笑)

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    2014年03月02日
  • オール・クリア2

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    最後のほう、涙が止まりませんでした。思い出しても泣けてくる…。とても長いので、一気には読めませんが、一週間くらい睡眠不足になりました。

    第二次大戦中のヨーロッパの知識がなく、ブラックアウトではよくわからない単語もありましたが、読み終わりにはすっかりイギリス人の気分になれました。

    この長さで、はじめからの、すべてのパズルがカチカチはまっていく感じ、すごいです。ああ、そうだったのか〜。ばっかり思ってました。伏線ばっかりなんです。始めからもう一度読みたいです。

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    2014年03月02日