大森望のレビュー一覧
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オックスフォード大学史学部タイムトラベル・シリーズの第三長編(の前編)。
であることを、解説を読んで初めて知った。
(コニー・ウィリスをはじめて手に取った)
2060年のオックスフォード。タイムトラベル技術を駆使して、過去の出来事を実地観察する「航時史学生」たちが主人公。
本作は第二次世界大戦下のイギリスを観察するために、3人の主人公がそれぞれの時期、それぞれの場所に赴く。
規則として、滞在期間を厳密に決定したうえで過去に赴き、定期的に報告のために現代に戻らないといけないし、仮に設定期間を過ぎて戻らない場合は、回収部隊がやってきて強制的に連れ戻されるという基本ルールがある。にも関わらず何か -
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ネタバレ読む前から「オールクリア」という続編が未刊であることを知ってはいたが..... ああ,でも止まらない.止められない.
「犬は勘定に入れません」の前半はとても読みにくかったが(とは言っても,それが作者の狙いでもあるのだが),あっという間に読み終えてしまった.ロンドンの中の話が多いので,何となく通りや駅の位置関係がわかる,って言うのも理由かも.一見ハイティーン向けのようにも思えるんだけど,全然安っぽくないんだよね.ポリーの気がかりは一体何なのか? 53章で登場したのは誰なのか? 「オールクリア」,本当に4月に出るんでしょうな? じゃないと怒るよ,ホントに. -
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ネタバレタイムトラベルが歴史研究目的で行われるようになった21世紀中盤。
オックスフォード大学史学部の学生、キヴリンは14世紀の農村に実習で赴いた。しかし、到着直後、彼女は病に倒れてしまう。一方21世紀でも謎のウイルスが蔓延し始めた。二つの時代を席捲する病。キヴリンもまた、「ドゥームズデイ」(世界の終わり)というべき悲劇に直面する……
「犬は勘定に入れません」のほうを先に知っていて、この本に興味を持ち読みました。すばらしい物語でした。
この物語のタイムトラベルシステム、「ネット」はタイムパラドックスを許容しません。歴史家たちは個々の人間に関わることはできても、歴史の大きな流れを変えることはできま -
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上巻に引き続きタイムトラベルしまくりの下巻である。主人公達の思惑通りにはことが進まずにあわや歴史は変わってしまうのか?と思いきやそんなことは無くきっちり丸く収まり“主教の鳥株”は見つかる。結局時間の流れは変化を嫌い、自ら修正しようともするわけである。作中で述べられている通りの職業の人物が犯人か?と思いきや実は意外な人物が犯人でしたというパターンでミステリとしても秀逸。タイムトラベルSFであり、歴史小説であり、ミステリであり、恋愛小説であり、コメディであり、あらゆる要素を含んだエンタメ大作である。登場人物(犬1匹と猫1匹含む)も皆愛着の持てるコミカルな造形で魅力的である。上巻前半の読みにくい部分
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時は2057年。いくつか制約があるもののタイムトラベルが可能となった時代。オックスフォード大学はコヴェントリー大聖堂の復建に協力している。同大学史学部の院生である主人公のネッドは復建に必要な”主教の鳥株”をみつけるように命じられ過去と現在を行ったり来たりするのだが疲労困憊で倒れてしまった。ちょっとした休暇をとるために19世紀ヴィクトリア朝に軽い任務とともに派遣されたものの任務を忘れたままで行動していたら時空連続体の存亡をかけて奮闘することに……。
主軸はタイムトラベルSFであるがミステリであり恋愛小説であり歴史小説でありユーモア小説でもある。下巻のレビューで改めて感想を述べます。 -
Posted by ブクログ
今回この短編集を購入したのは表題作である「アジャストメント」を読むためではなく(同作ももちろん面白いのですが)、巻末に収録されたディックの講演原稿「人間とアンドロイドと機械」を読むためです。
「人間とアンドロイドと機械」は、遺作となったヴァリス三部作の執筆中にディックがイギリスで行う予定だった講演の原稿に加筆したもの。体調不良のためディックが渡英を中止したためこの原稿が残された唯一のものとなりました。
ディックが終生作品のテーマとして持ち続けた「アンドロイド」という概念が一体何を意味しているのか。またディックの作品に共通してみられる記憶の改変、真実の隠蔽といったモチーフについてもディック自