大森望のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2023/10/3再読
読み返してみて今回印象深いのは「聖なる争い」。
大統領の役割は情報分析し判断するコンピューターシステムが代替している。どうしてそのような判断が下されたかは人間側はわからない。敵が攻めてきているとの判断がくだされ一気に戦争状態になってしまうのを止めようとするFBI とコンピューターエンジニア。まるで現代の生成AIによる問題を予言しているかのようではないですか。この短編集にはある物をとんでもない物に代替させその存在価値を突き詰めて考えさせる作品が多く集められています。でもよく考えると今所属している社会にとっての価値であって、その社会そのものが正しいものかはわからないし保証もされていません。たまたま生まれたとろこの国であったり組織体での価値があるかないかなんてそんなに執着すべきものなのか?とも思えてきます。ディックの異常な思考から生み出された作品はこのような歪みを拡大して見せてくれます。価値や考え方の多様性をうたっておきながらある少数の考えにたやすく誘導されそれが大多数の考えであり、スタンダードだと思い込んでしまいがちな自分の傾向に楔を打ち込まれます。情報統制、思想統制は恐ろしいと思っていながら自らが進んで統制されてしまいがち。これにAIが生成する偽情報も加わって何が本物かわからない現代はまさにディック的悪夢が現実化した世界。恐ろしいではないですか。情報を鵜呑みにせず自分で検証できる思考力と想像力をつけていく事がこれからはますます大事だと痛感します。
2018/7/4
「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」の原型となった表題作。宗教的な話だったのか。でも、共感ボックスというガジェットを通じてしか他人と通じ合うことができないという、ある意味強烈な皮肉でまさに現代を描写していないか?人間がディックのいうアンドロイド化しているのか?そら恐ろしくなる短編集。 -
Posted by ブクログ
自分は元々キルラキルは好きな作品だったが、本作へはキルラキル経由ではなく、ベイリー経由で偶然たどり着いた。長年色々追っていると、こういう偶然が出来て面白い。
読後感を振り返るとまるっきりキルラキル。服がテーマってなんだよ?という、多少穿ったような、本当に面白いのか?という疑問も抱きながらの読み始め、荒唐無稽でありながらもグイグイ引き寄せてくる構成に徐々にハマっていき、最終的には秀逸なオチに唸る。振り返ってみると見事としか言いようがない作品で驚くに至る。なるほど、中島かずき氏が本作の影響を受けた、というのはよくわかる。中島氏の視点を追体験する意味でも、読んでよかった。 -
Posted by ブクログ
日本オリジナルの短編集。巻末の解説にもあるが、ベイリーの短編は一つのアイデアを著者の豊かな想像力で膨らませて、見事な作品に仕上げている。難しいアイデアではなく、もし◯◯が△△だったらというifを広げている感じだ。例えば、表題作は、もし神を殺せる銃があったらだし、「邪悪の種子」は、もし不老不死になったらを描く。希望がない作品が多いが、これはベイリーから人類への警告なのかもしれない。「蟹は試してみなきゃいけない」はその中では異色。蟹を通して人類の存在を茶化しているように感じた。人もやはり動物なのだと。単純に文字面を追って楽しむのもよし、深読みして哲学的なことを考えるのもよし、様々な楽しみ方がある本だ。
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Posted by ブクログ
SF小説の指針となる本をいつも導いてくれる大森望先生と豊崎由美さんが村上春樹をメッタ斬り。
言いたい放題。しかし愛あればこそ。「愛の鞭」、「好きだからスカート捲り」の世界である。
私は「1Q84」からの読者なので、この本は弩ストライクである。気になるところを全部おさらいしてくれました。やっぱり皆んなそう思うよね⁉︎
私だけじゃなかったんだ!と思わせる指摘ばかりです。重箱の隅をつつきたくなるのが村上春樹の著作であるし、本読み同士なら酒の肴になる程面白いのも村上春樹です。142頁に豊崎先生のハルキ作品ベスト3ワースト3が載ってるんです。いづれも読んでいないので、全て読んでしまおう、と思う今日この頃です。