大森望のレビュー一覧

  • はい、チーズ

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    2018年47冊目。

    これまでで一番好きな短編集になった。毎晩一つお話を読むのが楽しみだった。

    特に「セルマに捧げる歌」は至福の23ページ。ユーモア溢れる展開から、音まで聴こえてきそうなクライマックスの盛り上がり、そして「...ジャンッ!!」という感じの完璧な終え方。にやけが止まらなかった。

    ブラックな作品も少なくはないけど、基本的に終え方が本当に優しい。長編『タイタンの幼女』でもそうだったけど、終盤の一言にすっと救われる。

    ヴォネガットの魅力にすっかりはまってしまった。来週から、全4巻の短編全集が発売するということで、絶対に買って読もうと思っている。長編作品も全部読みたい。

    村上春

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    2018年09月15日
  • はい、チーズ

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    帯文を今世紀の作家である円城塔が書いてたりするから、てっきり今の感性が選ぶ傑作選の類だと思ってたら、未発表作品集だった。美味しくいただきました♬

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    2018年08月08日
  • 小さな黒い箱 ディック短篇傑作選

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    2023/10/3再読
    読み返してみて今回印象深いのは「聖なる争い」。
    大統領の役割は情報分析し判断するコンピューターシステムが代替している。どうしてそのような判断が下されたかは人間側はわからない。敵が攻めてきているとの判断がくだされ一気に戦争状態になってしまうのを止めようとするFBI とコンピューターエンジニア。まるで現代の生成AIによる問題を予言しているかのようではないですか。この短編集にはある物をとんでもない物に代替させその存在価値を突き詰めて考えさせる作品が多く集められています。でもよく考えると今所属している社会にとっての価値であって、その社会そのものが正しいものかはわからないし保証も

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    2023年10月03日
  • オール・クリア2

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    全部読んだ!
    面白い。さすがだ。
    この3人は、時を超えていろんなとこで出会っていた。
    コリンの話を読まなきゃ。
    史学部シリーズ全部読まなきゃ。

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    2018年04月06日
  • 航路(下)

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    上巻は第一部のスローな日常の反復描写のために、かなり時間がかかった。しかし第二部から、もっといえば下巻からはもう止まることはできなかった。もう、止まれるわけがなかった。そして着地、なんと見事か。

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    2018年03月08日
  • 村上春樹「騎士団長殺し」メッタ斬り!

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    騎士団長とつくるのメッタ斬りは、さすがの斬れ味で爽快感満点。1Q84の感想もなるほど、って感じ。自分的には相当楽しめた作品だったけど、本作で指摘されている瑕疵は、確かに気にはなったし。でも読みが甘いのか、今だにやはり、春樹作品は長編の方が概して好きなのです。

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    2018年12月27日
  • カエアンの聖衣〔新訳版〕

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    自分は元々キルラキルは好きな作品だったが、本作へはキルラキル経由ではなく、ベイリー経由で偶然たどり着いた。長年色々追っていると、こういう偶然が出来て面白い。

    読後感を振り返るとまるっきりキルラキル。服がテーマってなんだよ?という、多少穿ったような、本当に面白いのか?という疑問も抱きながらの読み始め、荒唐無稽でありながらもグイグイ引き寄せてくる構成に徐々にハマっていき、最終的には秀逸なオチに唸る。振り返ってみると見事としか言いようがない作品で驚くに至る。なるほど、中島かずき氏が本作の影響を受けた、というのはよくわかる。中島氏の視点を追体験する意味でも、読んでよかった。

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    2018年02月27日
  • 犬は勘定に入れません(下) あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

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    すったもんだは続き、戦時中にも飛んだりして、とても大変なんだけどずっとどこか牧歌的な雰囲気が流れていて、楽しかった。なんだろうな、この感覚。

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    2017年12月11日
  • 犬は勘定に入れません(上) あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

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    出だし、なんか意味がよくわからなくてあまり進まなかったのだけど、あとがきを読んだらそれは当然のことだったらしい(笑)。主人公の任務というか、休暇のため送り出されたのに話がかえってややこしくなっているんだということが明らかになるころからぐんぐんおもしろくなった。
    犬猫に振り回される主人公がなんともおかしい。ていうか、教授にも、まわりの人たちにもひたすら振り回されているんだよね。いいのかそれでw

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    2017年12月11日
  • ゴッド・ガン

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    日本オリジナルの短編集。巻末の解説にもあるが、ベイリーの短編は一つのアイデアを著者の豊かな想像力で膨らませて、見事な作品に仕上げている。難しいアイデアではなく、もし◯◯が△△だったらというifを広げている感じだ。例えば、表題作は、もし神を殺せる銃があったらだし、「邪悪の種子」は、もし不老不死になったらを描く。希望がない作品が多いが、これはベイリーから人類への警告なのかもしれない。「蟹は試してみなきゃいけない」はその中では異色。蟹を通して人類の存在を茶化しているように感じた。人もやはり動物なのだと。単純に文字面を追って楽しむのもよし、深読みして哲学的なことを考えるのもよし、様々な楽しみ方がある本

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    2017年11月10日
  • 村上春樹「騎士団長殺し」メッタ斬り!

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    SF小説の指針となる本をいつも導いてくれる大森望先生と豊崎由美さんが村上春樹をメッタ斬り。
    言いたい放題。しかし愛あればこそ。「愛の鞭」、「好きだからスカート捲り」の世界である。
    私は「1Q84」からの読者なので、この本は弩ストライクである。気になるところを全部おさらいしてくれました。やっぱり皆んなそう思うよね⁉︎
    私だけじゃなかったんだ!と思わせる指摘ばかりです。重箱の隅をつつきたくなるのが村上春樹の著作であるし、本読み同士なら酒の肴になる程面白いのも村上春樹です。142頁に豊崎先生のハルキ作品ベスト3ワースト3が載ってるんです。いづれも読んでいないので、全て読んでしまおう、と思う今日この頃

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    2017年09月30日
  • ブラックアウト

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    タイムトラベルものだけど、同時に三人の人がバラバラの時間軸で行動してるので、こんがらがる。
    どうやってタイムパラドックスを回避してるのかよく分からん。
    とりあえず、オールクリアも読んでみるか。まだまだ先は長い。

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    2017年09月11日
  • トータル・リコール

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    ■トータルリコール
    「自分の記憶は本物なのか」誰もが一度は考えたことがあるようなことが設定となっている話。
    何が本物で偽物か?フィリップ・K・ディック作品に通ずるテーマが本書にも埋め込まれています。

    ■出口はどこかへの入り口
    自分の夢を、正しいことをせず、ただ権力に従う。その結果としての評価が「いい人」である。
    「いい人」という評価は誰の視点からかのものか、それが内包する意味は?
    この評価はむしろ「くそったれ!」なものではないかと考えさせるお話

    ■地球防衛軍
    設定としては米ソによる世界戦争という、作品の書かれた当時の冷戦の影響を強く受けている。
    人類は永遠と戦争を続けるがそれは人類が一つに

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    2017年07月01日
  • SFの書き方 「ゲンロン 大森望 SF創作講座」全記録

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    SFを書く予定はないですが、豪華な作家陣が対談でどんな風に書いているのか語っているのがとても面白くて読み応えがありました。
    新井素子さん、面白すぎです。
    これを機会に読んでみたい作家さんもありました。
    ただSFって難しいなあ・・・^^;

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    2017年06月27日
  • SFの書き方 「ゲンロン 大森望 SF創作講座」全記録

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    たいへんおもしろかった。

    十人十色の小説作法。その小説家たちひとりひとりにするどく深く切り込んでいく大森望もすごい。しかしその大森さんをもってしてもまるで切り込めない新井素子、やっぱり優勝(笑)

    実作も読んで、評価の高かった高木刑氏のは、よく魅力がわからんかった。もう1編の崎田氏のほうがぴんときたんだけど、大森さんの講評によるとわたしと同年代のようで「古き良きSF短編を愛する中高年のためのSF雑誌があれば人気作家になれそうだが」という評に思わず苦笑しました(笑)

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    2017年06月24日
  • ドゥームズデイ・ブック(下)

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    ウィリスの感動作 読むべき一冊である
    表紙   6点田口 順子(旧作) 大森 望訳
    展開   7点1972年著作
    文章   7点
    内容 800点
    合計 820点

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    2017年06月08日
  • ドゥームズデイ・ブック(上)

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    ウィリスの感動作 読むべき一冊である
    表紙   6点田口 順子(旧作) 大森 望訳
    展開   7点1972年著作
    文章   7点
    内容 800点
    合計 820点

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    2017年06月08日
  • カエアンの聖衣〔新訳版〕

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    読む前は、服のSFって何だ!って感じだったが、読み進めて納得し、センス・オブ・ワンダーに震えた。確かに、服を着ると気分が変わるし、いつもと異なるテイストの服を着れば、他人が受けるその人の印象が変わる。服を着た本人も(一時的なものかもしれないが)性格が変わったかのように錯覚することもあるだろう。気づいているようで気づいてない状況を、あわや星間戦争なところまで物語を膨らましているのはさすがである。読む前の期待がそれほど大きくなかったこともあり、余計に心と脳みそにガツンときた。

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    2016年12月06日
  • トータル・リコール

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    映画化されたトータルリコール、マイノリティレポートを含む短編集。名作と言われているのは聞いていたが、読むのは初めて。面白い。時代背景からか、核戦争に絡んだ話が多いのも興味深い。
    子供の頃、SFはよく読んだが、ここしばらくはご無沙汰。人生後半にたくさんの楽しみが残されている感じがして嬉しいかも。

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    2016年10月03日
  • ドゥームズデイ・ブック(下)

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    21世紀のドタバタはさておき、14世紀のオックスフォード付近の人々の暮らしがまるで見てきたように活き活きと描かれている。ペストに抗する術を持たない人々が神に祈りながら倒れていく様は哀れだ。キヴリン嬢は本シリーズの続編には登場しないだろうなぁ。

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    2016年08月19日