大森望のレビュー一覧

  • トータル・リコール

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    表題の『トータル・リコール』を含むSF短編を収録した本。

    表題の『トータル・リコール』は、何の変哲もない主人公が、火星にどうしても行きたくて「火星に行ったという記憶を自分に植え付ける」サービスを受ける話。
    もしかしたら主人公のようなことが自分にもあるのかもしれないと思うと楽しい作品だった。

    ディックの短編集を3冊読んだ中では、一番爽快感があり後味も悪くない作品が多かったように思う。

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    2021年05月03日
  • いたずらの問題

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    こいつは傑作だ!ガハハハハ!!!
    傑作という言葉を辞書で引くと、2つの意味があり、この小説には両方の意味で傑作だと拍手喝采を送りたい。
    例によって、込み入った世界観を把握するまで序盤はやや読みにくいが、「なにこれどうなってんの!?」というディック節から物語は加速していくのでご安心を。
    道徳や倫理が絶対視され、集団相互監視の状態にある息苦しいディストピア。不倫した芸能人を匿名SNSで叩きまくる、昨今の日本を見てきたかのような、先見性あふれる描写に驚かされた(この小説は1956年発表)。その中で、主人公が取る行動によって、痛烈な社会風刺ともいえる、思いがけない結論が導きだされる。序盤の主人公の言動

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    2021年04月01日
  • SFの書き方 「ゲンロン 大森望 SF創作講座」全記録

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    講義の会話内容と受講生の作品(梗概)を載せてあるだけだが、この一冊でSFの歴史や内容、作品全てを吸収できる。
    科学技術が進歩していく昨今でもSFの可能性ってまだまだあるんだなと思えた、私もSF書くぞ!

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    2021年02月27日
  • 人間以前 ディック短篇傑作選

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    「地図にない町」を含むファンタジー色の少し強い短編集。ファンタジー色が強いとは言っても、日常に感じた違和感に対して自分が狂っているのでは?と疑問を抱かせる描き方はディックそのものです。足元から揺らいでしまう不安感がたまらないです。

    風変わりなところでは「妖精の王」、「欠陥ビーバー」(冴えないビーバーが主人公の寓話なのです!)。印象的なのは「宇宙の死者」急速冷凍された遺体が半生者となっているという設定など「ユービック』に通じる不気味なものがあります。子供の教育を扱ったものや、人工妊娠中絶を扱って炎上した表題作など、作品に現代が追いついてきた感がある作品集です。コロナで隔絶された日常をディックが

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    2021年02月12日
  • フロリクス8から来た友人

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    ディストピアもの。管理社会を地球外生物がやって来て…という物語に恋愛とアクションが合体。ディックは何読んでも面白い。

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    2020年06月27日
  • ゴッド・ガン

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    「馬鹿と天才は紙一重」を地でいった英国SF作家の短編集。思わず「くだらねーw」と一蹴してしまいそうなネタを膨らませ、読者の少年心に訴えかける作品が持ち味。

    「神を殺すための兵器を生み出す科学者」や「極限まで巨大な音で演奏するオーケストラ集団」など冒頭から面白設定の話が続くが、ラスト3話はどれも必読。

    特に「蟹は試してみなきゃいけない」は、思春期まっただなかにいる蟹の若者たちの青春を描いたお馬鹿SFの傑作。蟹の生殖行為や本能をここまで面白く解釈して書けるのは天才としか思えない。

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    2019年02月07日
  • ドゥームズデイ・ブック(下)

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    ネタバレ

    コリンの大叔母である医師メアリや、いやーな野心家ギリクリストがあっさり死んでしまったのは拍子抜けしたが、死ってそういうものかも。
    ペストの蔓延するなかで病人の血で汚れることも厭わずローシュ神父とともに奮闘するキヴリンは、原作版風の谷のナウシカを彷彿とさせたし、コリンは12歳らしく溌剌としてて良かった。無事に現代に戻ってから病院で怒られるんだろうなぁと思うとちょっと可笑しい。
    絶望的な話なのに、読後感はとてもよかった。

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    2018年12月30日
  • ドゥームズデイ・ブック(上)

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    中世史科の学生キヴリン。好奇心旺盛で小柄の女性が研究のために1320年へタイムトラベル。しかしキヴリンは飛んだ先で倒れ、過去へ送りだしたほうのダンワージー教授のところではパンデミックの事態。どちらも原因がわからぬまま話は進む。
    出だしで話に入りこむのにいくぶん時間がかかったが(いくつかの普通名詞がどの意味で使われているのか理解するのに手間取った)、わかってしまえばページを繰る手が止まらない系の小説でした。下巻へつづく。

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    2018年12月30日
  • 航路(下)

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    前半の、ユーモアも交えつつ、あっちへ行ったりこっちで隠れたり、みたいなドタバタ劇も楽しかったけど、本下巻では、結構展開がスリリングになってくる。物語の核心に近付いていきつつ、でも本巻の中盤でまさかの主人公死亡事態が発生して、どうなるのかと思いきや、そこからは謎解きの面白さも加味しながら、感動の結末へ突き進む。主人公亡き後とはいえ、二章に一章は死後の世界における主人公の活躍が描かれるから喪失感はさほど無く、悲しみのカラーってよりは、むしろ次の世代に託された希望のカラーのイメージの方が強い。かなりの長編だったけど、翻訳の妙もあって、どんどん読み進められる良品でした。

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    2018年09月22日
  • 人みな眠りて

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    シニカルな表現に、ブラックなオチを予想するのに、物語は全部とても優しい。
    憤り悲しむのは、人が持つ優しさ、純粋さ、繊細さを愛おしみ信じているからこそなのだろうと思う。
    怒りんぼやニヒリストが実は誰よりモラリストだったりロマンチストだったりするのと同じですね。

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    2018年09月18日
  • 航路(上)

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    (上下巻を読んだ感想です)
    若き認知心理学者のジョアンナは、マーシー総合病院で臨死体験者の対面聞き取り調査を行い、臨死体験の科学的仕組みを解明しようと試みる。だが、死後の世界を信奉するノンフィクション作家のマンドレイクもまた臨死体験者への取材を行っており、彼女の調査の妨げになっていた。そんな折、神経内科医のリチャードから彼が立ち上げる新規プロジェクトへの協力を求められる。そのプロジェクトは、擬似的な臨死体験を発生させ、その状態の脳の動きを観察するというもの。リチャードへの協力を決めたジョアンナであったが、プロジェクトの遂行には不適合な被験者が多く、深刻な被験者不足に悩まされる。プロジェクト遂行

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    2018年09月15日
  • はい、チーズ

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    2018年47冊目。

    これまでで一番好きな短編集になった。毎晩一つお話を読むのが楽しみだった。

    特に「セルマに捧げる歌」は至福の23ページ。ユーモア溢れる展開から、音まで聴こえてきそうなクライマックスの盛り上がり、そして「...ジャンッ!!」という感じの完璧な終え方。にやけが止まらなかった。

    ブラックな作品も少なくはないけど、基本的に終え方が本当に優しい。長編『タイタンの幼女』でもそうだったけど、終盤の一言にすっと救われる。

    ヴォネガットの魅力にすっかりはまってしまった。来週から、全4巻の短編全集が発売するということで、絶対に買って読もうと思っている。長編作品も全部読みたい。

    村上春

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    2018年09月15日
  • はい、チーズ

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    帯文を今世紀の作家である円城塔が書いてたりするから、てっきり今の感性が選ぶ傑作選の類だと思ってたら、未発表作品集だった。美味しくいただきました♬

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    2018年08月08日
  • 小さな黒い箱 ディック短篇傑作選

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    2023/10/3再読
    読み返してみて今回印象深いのは「聖なる争い」。
    大統領の役割は情報分析し判断するコンピューターシステムが代替している。どうしてそのような判断が下されたかは人間側はわからない。敵が攻めてきているとの判断がくだされ一気に戦争状態になってしまうのを止めようとするFBI とコンピューターエンジニア。まるで現代の生成AIによる問題を予言しているかのようではないですか。この短編集にはある物をとんでもない物に代替させその存在価値を突き詰めて考えさせる作品が多く集められています。でもよく考えると今所属している社会にとっての価値であって、その社会そのものが正しいものかはわからないし保証も

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    2023年10月03日
  • オール・クリア2

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    全部読んだ!
    面白い。さすがだ。
    この3人は、時を超えていろんなとこで出会っていた。
    コリンの話を読まなきゃ。
    史学部シリーズ全部読まなきゃ。

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    2018年04月06日
  • 航路(下)

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    上巻は第一部のスローな日常の反復描写のために、かなり時間がかかった。しかし第二部から、もっといえば下巻からはもう止まることはできなかった。もう、止まれるわけがなかった。そして着地、なんと見事か。

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    2018年03月08日
  • 村上春樹「騎士団長殺し」メッタ斬り!

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    騎士団長とつくるのメッタ斬りは、さすがの斬れ味で爽快感満点。1Q84の感想もなるほど、って感じ。自分的には相当楽しめた作品だったけど、本作で指摘されている瑕疵は、確かに気にはなったし。でも読みが甘いのか、今だにやはり、春樹作品は長編の方が概して好きなのです。

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    2018年12月27日
  • カエアンの聖衣〔新訳版〕

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    自分は元々キルラキルは好きな作品だったが、本作へはキルラキル経由ではなく、ベイリー経由で偶然たどり着いた。長年色々追っていると、こういう偶然が出来て面白い。

    読後感を振り返るとまるっきりキルラキル。服がテーマってなんだよ?という、多少穿ったような、本当に面白いのか?という疑問も抱きながらの読み始め、荒唐無稽でありながらもグイグイ引き寄せてくる構成に徐々にハマっていき、最終的には秀逸なオチに唸る。振り返ってみると見事としか言いようがない作品で驚くに至る。なるほど、中島かずき氏が本作の影響を受けた、というのはよくわかる。中島氏の視点を追体験する意味でも、読んでよかった。

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    2018年02月27日
  • 犬は勘定に入れません(下) あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

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    すったもんだは続き、戦時中にも飛んだりして、とても大変なんだけどずっとどこか牧歌的な雰囲気が流れていて、楽しかった。なんだろうな、この感覚。

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    2017年12月11日
  • 犬は勘定に入れません(上) あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

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    出だし、なんか意味がよくわからなくてあまり進まなかったのだけど、あとがきを読んだらそれは当然のことだったらしい(笑)。主人公の任務というか、休暇のため送り出されたのに話がかえってややこしくなっているんだということが明らかになるころからぐんぐんおもしろくなった。
    犬猫に振り回される主人公がなんともおかしい。ていうか、教授にも、まわりの人たちにもひたすら振り回されているんだよね。いいのかそれでw

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    2017年12月11日