大森望のレビュー一覧
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この話に出てくるサンダーボール(雷球)は、滅多に見ることができない自然現象みたいだが、驚いたことに、昔、叔父が四国の山奥で出会ったらしい。
四国の山では、もののけや動物に憑かれた人たちを含めて、いろんな超常現象が起きるんだなとつくづく感心。
叔父の話では、真っ赤な球が空中に浮かんでいて、それがどんどん膨らんで突然大きな破裂音とともに爆発!そのあたり周辺の電子機器が故障したとのこと。
SFのお話が、身近に起こったことを聞いて興奮した。
小説のラストでは、物理的視点で人生のロマンを表現していて、素敵だった。
難しい理論をロマンに昇華させる筆力が素晴らしくて、もういなくなった人や物がまだ別次元で存在しているように思えて、心があたたかくなるお話だった。 -
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三体シリーズの集大成。三体I, IIではSFに馴染みのない人でも楽しめるようなエンターテイメント性が高い作品である一方で、本作三体IIIはまさにSF好きに捧げる1冊といった仕上がり。正直後半は何言ってるか全然分からなかったが、雰囲気は抜群。(好みが分かれそうな部分でもある。)
これまで以上に壮大なスケールで、「人間とは」 「文明とは」 「宇宙における存在の意味」が描かれる作品でした。
累計で3,000ページを超える壮大な1つの物語が完結してしまい、三体ロスを感じる...。(前日譚となる三体0、有志が本編で語られなかった細部を補完した三体Xもあるが、悩み中...。三体ロスは三体ロスで良いような気もする。)
ナウシカの「庭」のような場面もあり、自分はこういう世界観が好きなんだなと改めて確認したりなどした。 -
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ヒューゴー賞4回受賞の現代を代表するSF作家らしい。中短編集。
商人と錬金術師の門:手の込んだタイムパラドックス。クール。
息吹:異世界の異種生物が自分の種族の将来の限界を発見する話。人類への風刺。
予期される未来:超短編。自由意志とは何か。
ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル:けっこう長い。実録のような味わい。
デイシー式全自動ナニー:これはあまり響かなかった。
偽りのない事実、偽りのない気持ち: 原タイトルは、The Truth of Fact, the Truth of Feeling 多くの人の視覚と聴覚の内容をデータベースとして利用できるようになったために、個人的な事柄についてまで客観的な記録を遡って確かめられるようになった時代に、10年以上前の自分と娘とのいざこざの原因が娘だったと信じていたのに、実際は自分であったことを知るジャーナリストの話と、初めて文字を西洋人から習った部族の若者が、西洋人の40年前の記録によれば、自分の尊敬する長老の記憶が間違っていることを知り、迷った上、そのことを書いた自分のメモを破棄する話が、並行して語られる。これは、深い洞察を含む名作。
大いなる沈黙: オウムが、人間と音声で会話することのできる異種生物として、人間にメッセージを送る。超短編の佳作
オムファロス: 神が世界を作ったことが実証されている世界において、新たな天文学の発見が、神が人類を作ったのは、他の星系において生態系を作るための試作に過ぎないという理論が成立することの衝撃を描いている。キリスト教的なベースが無い私にはあまりピンとこない。
不安は自由のめまい: 無限に分岐する平行世界と交信ができる装置(ただし、使用時間に限界があり、かつ高額)が発明された世界で起きる依存症や犯罪を描く。これは、シリーズ化した欲しいくらい面白い。
380ページまで読んだく -
Posted by ブクログ
劉慈欣のファンとして、読まない手は無く
楽しみに取っておいたが、ついに積読消化
本作ももちろん、私を圧倒的な世界に没入させてくれました
期待値が高いにも関わらず面白いのは、何故だろう?
それは
「球状閃電」の謎を徐々に解き明かしていく、ミステリーの部分があるからだと気づきました
三体シリーズ然り、現実でも起こり得そうな不可解な現象のベールが徐々に明かされる構成により、最後のページまでノンストップで読んでしまうのだと思います
こんな、量子の解釈の仕方もあるのか、、、読み終えるまでに何度圧巻したか数えきれません
堂々の星5
スピンオフなので、どのタイミングで読んでも構いません
また、あとがきを読むと「三体シリーズ」の解釈が深まります
おすすめします! -
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テッド・チャン2作目にして最新刊。どうしてこんなに寡作なの、かなしいね、テッドチャン。
全作品を通して破滅と隣り合わせでひやひやするが、すんでのところで持ち直し希望を見出す展開が読み取れる。SFってどこかディストピアを描き救いがないって方向もあるが、本作品は善のSFである。
キーワードとしての「自由意志」。オートマトンとしての人間観が科学の発展におって否応がなしに突き付けられる世界。それでも人間の知性や感性を駆使して、自由意志消滅の現実にもがきながら人間として生きる道を模索する。まさに人間賛歌、オーバードライブである。
もう一つ、科学の産物との関わり方。
生成AIが跋扈する今まさに。巷ではチャッピーとの友情を育み、誰にも言えないことを密かに相談しているという。ただのツールとして捉える枠から超越した存在になってきているという気がする。
生成AIによって現在の仕事の半分が奪われるなどの負の側面がフューチャーされやすいが、対等な関係性として共存するという正の側面を描き出してくれている。テッド・チャンの将来に対する信頼が垣間見れて、だからこそ作品を通して勇気をもらえる。
SFって専門用語とか世界観が突飛で入り込めないとかたまにあるけど、本作品群はぐーーっと没入感。ストーリーとテーマが秀逸なのはもちろん、登場人物たちの感情の揺れを丁寧物語ってくれている。これからも読み継がれる名作であること間違いなし、次回作なる早やでお願いします。 -
Posted by ブクログ
ネタバレめちゃめちゃ面白かった(語彙力)。
▼ふたつの公理
・生存は、文明の第一欲求である。
・文明はたえず成長し拡張するが、 宇宙における物質の総量はつねに一定である。
▼宇宙文明に関するフェルミのパラドックス
*原注 銀河系は、その全体が荒涼たる砂漠だった(p2)
この謎は、宇宙文明に関するフェルミのパラドックスと呼ばれる。理論上、人類は、百万年の時間をかけて、銀河系の星々へ赴くことができる。ならば、もし人類より百万年早く進化した宇宙人がいれば、現在すでに地球にやってきているはずである。このフェルミのパラドックスに説得力があるのは、銀河系に関するふたつの事実に基づいているからだ。その一、銀河系は非常に古く、誕生からおよそ百億年経っている。その二、銀河系の直径はおよそ十万光年しかない。それゆえ、光速の一千分の一の速さでしか航行できないとしても、一億年程度の時間で銀河系を横断できる。 この時間は、銀河系の年齢に比べればはるかに短い。もしほんとうに宇宙人がいるとしたら、このロジックに照らせば、とうに太陽系に到達していることになる。 -
Posted by ブクログ
テッド・チャン「息吹」大森望訳を読み終える。
間違いなく傑作の短編集!
積ん読になってたけど、読んで良かった。
ひとつひとつの作品が深い思考のもと、入念に作り上げられた緻密な絵画のよう。
物の見方や既定の認識についてに改めて見直させ、深く考えさせてくれる。
SFの部分だけではなく人の心も描いていて、とにかく凄い作品ばかり。
出会えて良かった1冊だ。
表題作の息吹も良かったけど、その他には、タイムトラベルを扱った「商人と錬金術の門」、神の信仰と科学を描いた「オムファロス」、ある分岐点で別れるパラレルワールドはなにをもたらすのかをテーマとした「不安は自由のめまい」が特に印象に残ったかな。