大森望のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
20代ですが今まで読んだ中で個人的にベストなSF作品でした!物語の前編では三体という圧倒的な技術力を持った異星人が近未来のうちに確実に侵攻してくる(その上科学理論が三体の妨害のせいでこれ以上発達しないというオマケ付き)という絶望ムードの中でいかに対応策を練るかという話が進められていましたが、後編では既存の科学理論の中で人類の科学技術が遥かに向上していたという希望の中から再開します。そこからの希望と絶望の二転三転が凄まじく「水滴」の出現からはページを捲る手が止まりませんでした。難しい科学用語が毎ページ必ずあるのでそういうのが大好きなSF慣れしている人に強く勧めたい作品です。
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Posted by ブクログ
ネタバレ中国の方である劉慈欣が描くSF短編集。『三体』も文庫化されたらすぐ書いたいと思う。「鯨歌」「詩雲」「円」が特に面白かった。
「鯨歌」鯨にチップを埋め込むことにより外部からの制御ができるようになった世界。その技術を利用して薬物の密輸をするマフィアとその技術者。密輸自体は成功したものの密猟者たちによって鯨が狩られて2人とも死んでしまうというもの。新旧の価値観の皮肉が描かれていた。
「地火」石炭労働をメインとした話。技術革新により炭鉱夫の仕事が楽になるはずであったが、技術を過信しすぎたために自然にやられてしまう。父親と局長の言葉が刺さった。
「郷村教師」中国の農村地で一生を終えようとしている老 -
Posted by ブクログ
お、おもしろかった…!二巻がものすごく面白かったから、三巻は本当にそれを上回ることができるのかと思っていたけど、予想を遥かに超えて面白かった。まだ上巻なのに!
めちゃくちゃ時間がかかってしまったけど、下巻を読むのが楽しみでしょうがない。
ところで、4次元ってほんと何?悲しいくらい全く理解できないんだけど。我々が2次元の紙、それにたまたま接着したシャボン玉、が1番わかりやすかった。4次元がどういうものか、この次元にいる限り理解できないことがよく分かる良い例え。
p.421
何も見えないこの暗黒は、いまや程心を守るものになっていた。闇の外はさらに恐ろしかった。そこに立ち現れたものは、寒さそれ自 -
Posted by ブクログ
劉慈欣『三体0 球状閃電』ハヤカワ文庫。
『三体』シリーズの前日譚。『三体』の3部作同様に面白い。
突然発生し、あらゆる物質を透過し、突如として爆発的なエネルギーを放出する球電。何故、球状の中に電磁波が閉じ込められているのか。そんな謎に満ちた球電の正体を追う科学者たち。
ストーリーの中で語られる哲学や科学アプローチの方法は十分に現代の仕事に活用出来る考え方であり、決して創作と軽んじてはいけないと思った。
今の自分の存在が事実であるのか否か。そんな疑問が渦巻くような結末。
本作の中で興味深かったのは球電を発生させるためのパラメータと計算式のシミュレーションを行う過程であった。確かに大昔