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ずっと気にしていた『三体』の作者の短編集ということで、一目見るなり購入し、家で順番待ちしている本をかなり飛ばして読みはじめた。
訳者のあとがきによると、本書は原著となる短編集は存在しないものの、収録作品は著者側で選考したものだそうだ。
そのため、訳者や日本の編集者の意向は含まれておらず著者の趣向に近い作品集になっているようだ。
1999年掲載の処女作から2014年発表の表題作『円』まで13篇を掲載年代順に載せている。
1つ目の作品は「ぼちぼちだな」と思った程度だったが、
2つ目の短編を読み終えた時点で「あぁ、これ只者ではないわ」と感嘆した。
SFだけでなく、作家としての文章が優れている。翻訳の上手さももちろんあるのだろうが、それを差し引いても臨場感が素晴らしかった。あとがきを読むと、この『地火』には著者の生い立ちが多分に含まれているようだが、筆致の凄まじさに納得するとともにそれでも著者の力量を感じられた。
途中までは「地球上の狭い地域での出来事を現代科学のちょっと先の技術で」というテイストの話が多かったが『詩雲』では激変。
それまでとは大きく異なり、現代とは遠く離れたレベル、未来のSF設定と中国古代の漢詩を合わせる。それだけでも面白い発想だが、すべての組み合わせを試し全ての詩、最高の詩を科学で作るという試みも面白い。「これは傑作だ」と思った。
この『詩雲』以降は再び地球上での物語が続くが、扱うテーマが全球的な問題へとスケールアップしており、物語内での時間変化も大きくなり、作品の時空間的な厚みがグッと増している感じがした。
また、後半の作品群では、別の作品で是とされたものが次の作品では否定的に扱われること(ex. 『円円のシャボン玉』と『月の光』の太陽光発電技術)もあり、一つの技術に対しても多面的な設定の検討をしているようで面白かった。
表題作の『円』は最後に収録されている。
荊軻による始皇帝の暗殺未遂をモチーフに、コンピュータ(電子計算機)の原理を融合させるという非常に驚かされるアイディアの作品だった。
この『円』もそうだが、後半(2000年代後半以降)の作品達は、前半(2000年代前半発表)の作品群で使われたSF的アイディアを複合させたりブラッシュアップさせたりという部分が見られ、より洗練された感じがする。これはネタ切れというより、荒削りで実験的であった初期のアイディアを上手く扱えるようになっている感触で好意的に受け止められた。
個人的には4作目の『繊維』の設定が面白く、印象的だった。この作品を読んだせいで、各作品間でSF設定が相矛盾しても何も感じないどころか「遠い"繊維叢"なんだな」と納得する始末で、劉慈欣作品ならどんな設定が来ても楽しめそうである。
本書を読んでいて漢字の文化圏で良かったと思うことが何度もあった。
周の文王(: 儒教でよく目標にされる聖人の一人、太公望を見出した人物)や、李白、荊軻、始皇帝といった固有名詞だけでなく、『詩雲』で読み上げられる有名な漢詩を知っていることと、その味わいも(ネイティブには遠く及ばずとも)感じることが出来る。
同じ内容でも英語で書かれていたら絶対に同じ感覚は味わえないと思う。漢詩の形態のシンプルで規則的な美しさも、ごく短い文字数に極めて情緒豊かな表現を組み込めることへの驚きも、1つ1つの漢字(:表意文字)から浮かぶイメージや読んだ際の韻も、漢字を日常的に使っているからこその味わいだろうなと思った。
SF的な仕掛けは、著者がコンピュータ技術者ということもあり、機械工学、物理学的なものが多いが、環境工学、バイオサイエンス的なものもあり多彩。
物語の作りも含めて、13篇を読んで「またこれかぁ・・」というものはない。
「登場人物が(神の目線では)正しいことを懸命に行うも、志果たせず、報われず。しかし、個人としては上手くいかなかったけれど大勢には一定以上(問いには英雄的な)の影響を与える」という形態の話が多い。主人公の悲劇的な扱いは、なんとなく日本の近代文学を思い起こしたのだが、これは著者の作風なのだろうか?それともこの短編集の選考によるものなのか?
・・と思って読んでいたのだが、文庫版に収録された著者のインタビューで個から宇宙へつながる関係を物語として描こうと意識している旨が記されていた。
後半の作品では、個としてのバッドエンドは弱まった印象があるが、他の作品はどうなのだろうか。『カオスの蝶』などは物語中盤以降の主人公の境遇が気の毒すぎてページをめくるのがつらくなったので、全体としてはグッドエンドでも個別のキャラクターが不幸になりすぎる物語ばかりだとちょっとイヤだなと思っている。
巻末の『訳者あとがき』は著者の来歴が記されている点も良いが、作品に対する愛や感動が込められている文章も良かった。
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『三体』で著名な劉慈欣のSF短編集。
風刺とユーモアに溢れた作品群で、作品によっては辛辣なところもあるけれど、それらの底には、人間の営みや知性、芸術への憧れが流れていると感じさせる。
『郷村教師』『詩雲』などは特に、良い意味でロマンティックな作品だとさえ思う。
『三体』は未読なので、そちらも今後読んでみたい。
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地火
業務用スーパーの社長が地熱発電やってるけど大丈夫??
郷村教師
最後の最後で救われた。
「今は理解出来なくても暗記しとけ」
詩雲
太陽系を潰してまで作った詠詞データベース。取り出し方がわからないってそんなの作る前から予想つくでしょ!? 呑食帝国が気の毒。
栄光と夢
泣けた…
人生
記憶の遺伝
円
「三体」で1番好きなエピソード。
荊軻のラスト、「チ。」を思い出した。
こういう短編集、もっと読みたい。
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『地火』
なんとか映像化してほしい作品。
中盤からもう絶対大変なことになるんだろうな…と思ったら想像以上に大変なことになって興奮した。地火が爆発した時の表現がおそろしくて良かった。
劉慈欣作品はやらかしたキャラクターが必要以上にしっかり報いを受ける傾向にある。三体の程心をのぞいて。
『郷村教師』
解説にもあったが、藤子・F・不二雄のSF短編集を彷彿とさせた。なんか終盤やけに宇宙人が地球の美しさに感動してて地球ホルホルか?と思った。
『カオスの蝶』
カオス理論はSFの切り口としてはかなりベタなんだろうけど、目まぐるしく変わる舞台とスリリングな会話の緊張感で楽しく読めた。“著者付記”が誠実で良い。初めて見たこんな注釈。
『詩雲』
この短編集の中で1番好きだった。
Gパンパンダのコントの中で575の俳句のパターンを全部網羅するネタがあるけど、それと発想自体は同じ。俳句に関しては実際にジェネレータが作られていたが、使う文字が漢字になるとここまで壮大な話になるのか…と絶句した。
なんか恐竜ずっとかわいそうで面白い。
全パターンの漢詩を作ろうっていう発想は根本的に詩の情緒を解せていないような気がして、それがおかしかった。
『栄光と夢』
スポ根。主人公の少女も良かったけど、射撃せずに会場を後にしたヤリク・サリが最高だった。こういう脇役がメインテーマとあまり関係ないところで理知的な判断をする展開好きすぎる。娼婦に堕ちたと見せかけて1番アツかったライリーも好き。
『円』
三体で読んだ時にも思ったけど設定が飛び抜けて好き。
コンピュータの発想に直接辿り着く荊軻がサヴァンすぎる。
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三体より面白いという帯に惹かれて購入。
短編集だが読み応えがある。
SFのすごさにも驚くが、ノンフィクションとも思える中国の田舎の現状に胸が痛くなる。
来年の文庫化新刊が楽しみ。
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買ってはみたものの、SFが苦手な自分を省みると
『もしかしたら読む事はないかも』と思って積んどいた本。
DUNE*3冊+DUNE MESSIAH*2冊を読み終わった時
『円を読むなら今しかないんじゃね?』と読み始め、
想像を遥かにこえて楽しく読めた。
短編集にありがちな『何故か入ってる面白くない作品』がひとつもない。
『メッセンジャー』は唯一ほのぼのとしてる作品だった。
未来の彼からの言葉は、創造だとわかっていても胸を撫で下ろす。
どの作品もドキドキしながら読み進められる。
SFと言えば未来を思いがち、最後の円で『秦の始皇帝』の時代に遡られたのはやられた感。
やってる事はめちゃ現代。
こんなに面白く読めたのは翻訳の良さにも起因すると思うと同時に、心からの感謝を。
読み終わった瞬間、目の前にあったみなとみらい丸善で『三体』買ってしまったわ。
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「三体」の劉慈欣の短編集。
以前「折りたたみ北京」で「円」を読んでどっひゃー!と思った記憶があるがそれをタイトル作とした短編集。
「郷村」「円円のシャボン玉」「人生」が好き。でも他の作品も甲乙つけがたい。まさにセンス・オブ・ワンダーな作品ばかり。
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【印象に残った一文】
「李白の目に映っていた自然とは、あなたがいまごらんになっている川辺の少女です。しかし、同じ自然でも、テクノロジーという目を通して見たそれは、結局のところ、白い布の上に整然と並べられた血の滴る人体の各パーツなのです。ですから、テクノロジーとは反詩情的なものです。」( p.286, 『詩雲』)
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理系の友人が、エンジニアは世界を変えていけると言っていた。 この短編集は、劉慈欣が、エンジニアとしての知識をフルに活かして、さまざまな世界を、そこにあるかのように生み出してくれる。一緒に旅する世界は、過去から未来、宇宙、そこに住む人々、ありとあらゆる世界だ。私たちの想像力は、羽を持っているように、導かれて広がっていく。
一方で、人間たちへの優しさが、細やかな表現を通して、伝わってくる。自然もまた、テクノロジーとの対比で描かれていると同時に、その世界を包むように、さりげなく美しく表現されている。
久しぶりのSF、これがSFなのだなあ、と思う。
そしてこのお話を生かしているのは、見事な翻訳。ハルキストが世界中にいるのは、言葉巧みな翻訳家達の努力だろうな、と改めて思う。細かい表現まで心配りされていて、わくわくしながら読み進むことができた。
テクノロジーの開発は、もっと未来の先まで俯瞰して考え、神の視点に匹敵する部分もあるのだな、と改めて気づかされた。
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短編集なのに一気読みしてしまいました!最高傑作揃い!劉慈欣氏の作品は『三体』を最初の1冊だけ読んだことがあるのですが、いろんなアイデアをひとつのストーリーに押し込むより、短いストーリーでサクッ、サクッと読める短編集の方が私は良いと思いました。世界観もひとつひとつのアイデアに合わせているので、壮絶だったり、底抜けに明るかったりバラエティ豊かな感じです。
個人的には、自然と立ち向かう『地火』、壮大すぎるコメディ『詩雲』『月の光』が超オススメ!『円』もオチまで考えるとやっぱり短編にしなおして良かったと思います。未来への希望感も、貧乏の描き方のエグさも日本の作品にはないものがありますね。西側諸国の価値観マンセーじゃないところも中国作品の良さでしょうか。ほかの劉慈欣氏の短編作品もぜひ読みたい!!
…と、その前に、『郷村教師』を読んで、科学の基礎を勉強しなおそうかな~と思っちゃったり(^_^;)
追記:『三体』の方はイマイチみたいな書き方をしてしまいましたが、別の方のレビュー曰く、『三体』の5冊目のラスト100ページが最高らしいです。…やっぱり『三体』も全部読むべきだろうか…むむむ。
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テッド・チャンの『息吹』を読んだ時と同じくらい,作者の描く世界にのめり込んで読むことができた。こちらの作品の方が小難しくないというか,肌感として理解しやすい。次は『三体』三部作を読んでみよう。
「郷村教師」「円円のシャボン玉」が興味深く読めた。中国をはじめ新興国では最近まで(今でも?)電気もない田舎に人々が暮らしていて,離れた街の発展ぶりとの格差だったりを実際に見てきていることが作者の背景としてあるのかなあと。自分はもう生まれたときに家庭に車やテレビや固定電話があった世代で,今のドローンやスマホもその延長線上にあると感じられるけど,親や祖父母の世代はエネルギーやテクノロジーによって大きく変化した社会によくついていけたなと思う。もう50年以上前か,祖父が手綱を握る馬橇に乗って駅まで雪道を送ってもらった記憶がおぼろげにある。祖父は車の免許を持っていたのだろうか。でも7人もの子供を教育は十分ではないにせよそれなりに育て上げたわけで,時代の色や勢いって人を左右するよなと思うし,やっぱり教育は大事だと思う。
好きなのは「詩雲」。優れた芸術はハイパーなテクノロジーをもってしても超えられないというテーマ。無限大の試行を重ねれば「神の御業」に届くはず,なのだが,そこには生物の生物たる意志なのか,環境に対応する知恵・偶然なのか,生き残った子孫としての我々に根源的な部分で訴えかける何かがマスターピースとして必要なんだと思う。
Posted by ブクログ
中国SF界の至宝と言われる著者の短編集で、13編が収録されている。
著者の「三体」シリーズが去年読んだ小説の中でも、ぶっちぎりで面白かったので、この短編集が文庫化されて発売されるのを楽しみにしていました。
表題作の「円」は、軍隊による隊列で人間コンピュータをつくるという内容で、その他の短編にも、秀逸な設定があったり、
何より、主人公の行動が思わぬ大規模な変化を引き起こしてしまうような、個人の行動が世界の命運を変えるような、怒涛の展開をみせるストーリー構成が魅力だと思います。
短編集なので、1つ1つは読みやすい文量でもあるので、普段SFを読まないという人にも読んでもらいたい短編集です。
Posted by ブクログ
今、中国SFが面白い。
三体を代表する劉慈欣の短編集。
時代遅れの炭鉱から、新たなエネルギー源を得ようと実証実験を開始するもそれは地獄の業火の始まりだった(地火)
ボスニアヘルツェゴビナへの空爆に対し、地球上のある一点でアクションを行い、天候を操ることで阻止しようとする科学者がいたのだが(カオスの蝶)
秦の始皇帝は、数学者に「円周率を二年後に一万桁、五年後に十万桁まで求めよ」と命令した。
この難題に対し、数学者は三百万人の兵力を求めた。その方法とは(円)
全13編。
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短編のひとつひとつが意外性に富んでいて楽しめた。解説にも書いてあるが、三体のエッセンスが随所に感じ取れる。この短編たちがあの傑作の礎になっているのかと、また違った意味での感慨もあった。
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この作者はハズレがない。今回も面白かった。三体の世界に繋がる発想や着眼点をいろいろな短編で楽しめる。空想の設定も科学的な説明で現実的にありそうな気持ちにさせられる。三体のような重厚長大な世界もいいが、短編で少しづつ感じるのもいいと思った。
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とんでもない大ボラ話を、破綻させずに描き切る腕力がある。ストーリーテリングの巧みさもなかなか。
「郷村教師」での地と天の落差!感動的な話であると同時に、この上なくバカげた話であるという離れ業。「詩雲」もワイルドな想像力を発揮している。
「月の光」や「メッセンジャー」みたいな小品もあざやか。
中国の作家だけあって、「カオスの蝶」や「栄光と夢」など、アメリカに爆撃されたり経済制裁されたりの側から描いている。「地火」や「円円のシャボン玉」も中国人作家ならでは。
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『三体』著者の短篇集。「鯨歌」は麻薬の売人が驚きの秘密兵器で麻薬を密輸しようとする話。兵器として開発されたものを使って麻薬の密輸を企むことは、依存性薬物を使って侵略された阿片戦争の過去を持つ中国らしい発想である。麻薬の売人を破滅させる結末にすることは健全である。
「郷村教師」は高次の文明を持った宇宙人が人類を調査する話。宇宙人からすれば会話でコミュニケーションする人類の方法は情報伝達の在り方として非効率この上ない。「記憶遺伝もなく、音波で情報を伝達し、しかも毎秒わずか1ビットから10ビットの速度でしかコミュニケートできない生物」と評される(110頁)。コロナ禍によってテレワークが普及したが、日本には対面コミュニケーションにこだわる主張がある。しかし、メールなどの文章に比べて会話の情報量は少なく、残らないことをもっと考えるべきである。
「詩雲」も人類よりも高次の文明を持った宇宙人の話である。人類は支配され、家畜のようになっている。しかし、優れたテクノロジーがあれば、李白のような優れた漢詩を創作できるかというテーマになっている。宇宙人は全ての漢字の組み合わせを生成して保存すれば、そこに優れた漢詩も含まれると考える。
しかし、漢詩を生成するソフトウェアは作れても、優れた漢詩を判断する鑑賞能力を持ったソフトウェアは作れなかった(218頁)。現実世界ではChatGPTなどGenerative AIが話題である。AIができること、人間でないとできないことの線引きを示唆する話である。
「カオスの蝶」はNATOの空爆からセルビアを守ろうとする科学者の話。「栄光と夢」はアメリカ合衆国から攻撃される独裁国家シーア共和国の話。シーア共和国は架空の国家であるが、フセイン政権のイラク共和国を連想させる。セルビアはモスレム人やアルバニア人を弾圧し、イラクのフセイン政権はクルド人やシーア派を弾圧した。アメリカなど西側が介入することが必要という意識がある。これに対して中国ではアメリカが侵略する側という意識もあるのだろう。
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おっと、これはなかなか…つい一気読みしてしまった。
何処となく過去の名作SFのエッセンスが感じられるSF短編集。
それもクラークから藤子F不二雄、野尻抱介や小川一水、イーガンまでと幅広い。
テクノロジーを推し進めた結果、見慣れた風景を、世界の在り方を(良くも悪くも)まるっきり別物に変えてしまうというSFならではの楽しさを味わえる。
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三体は巻数多く、まだ読めてないのでこの短編集を先に購読。どれも設定、世界観、テーマが面白い。シャボン玉の話が、一番気に入ったかな。シャボン玉に魅入られた少女がただ大きく割れないシャボン玉の研究に莫大な資金を投じるが、ある地方の課題解決に繋がっていく。
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『三体』はいつになったら文庫化されるのだろう?
と思っていたところに本作登場!
いろんな角度のSF作品で気にいる作品は必ずあるはず!
個人的には『円円のシャボン玉』『カオスの蝶』『栄光と夢』『月の光』が良かった!
順番は付けられません。
鯨歌:鯨を使った麻薬密輸の話、オチが秀逸
地火:炭鉱労働者の為に石炭を石炭ガス化させる話、学者の理論と現場の理屈の話かと思いきや・・・
郷村教師:中国の寒村で子供達に自分の人生を捧げて教育を施す教師の話と、全宇宙の覇権を賭けて争う巨大帝国の話が何処で繋がるの?
繊維:パラレルワールドの話
メッセンジャー:有名な理論物理学者のもとに若者が現れた!?その若者の正体は?
カオスの蝶:バタフライ効果を技術として確立した話
詩雲:伊依、恐竜と李白の詩作の旅!?この3人の関係は?テクノロジーによる芸術の限界に挑む!
栄光と夢:戦争の代替手段?経済制裁により衰退していく国家とアスリートの話
円円のシャボン玉:シャボン玉を科学する、シャボン玉に魅せられた少女の話
二〇一八年四月一日:寿命を三百年に伸ばす為には会社の金を横領しなければならない、若者は悩む
月の光:エネルギー問題、何かを選ぶと何かが狂う・・・
人生:産まれてくる胎児と母親の会話
円:始皇帝暗殺のエピソードから始まる、当時のスパコン開発
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面白い。
ベストセラーSF「三体」につながるアイデアもちらほらと(最後の「円」とか)。この人のぶっとんだ発想は実に楽しい。そして、翻訳のせいかもだが、文章が読みやすい。
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三体の中に含まれる要素が以前から散りばめられていたというのが分かる作品集。あとがきにある通り、三体が分厚すぎて中々手を出せない人にオススメ。作者の描く壮大な宇宙SF×個人レベルの手触り感のある問題の掛け合わせを体験できる。
個人的に好きなのは、メッセンジャー、詩雲、円円のシャボン玉かなー。