大森望のレビュー一覧

  • トータル・リコール

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    この時代によくこのような物が書けたなと思う。
    個人的には表題で映画化されたトータル・リコールや同じく映画化されたマイノリティ・リポート以外の短編の方が分かりやすく面白かった。また後ほど再読したいと思う。

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    2022年11月03日
  • トータル・リコール

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    フィリップ・K・ディックは20世紀中盤に活躍したSF作家で、この短編集は、有名な二つの映画化作品をベースに、21世紀に入って日本で再編されたもの。

    いずれも切れ味抜群の結末と個性ある世界観で、「傑作短編集」の名に恥じないものばかり。
    同じ作家の少し難解な長編「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」に比べて、ずいぶんと解りやすく、読みやすかった。

    映画化された「トータル・リコール」「マイノリティ・リポート」はもちろん、他の作品もいずれも印象深い。
    「訪問者」は、驕慢であった人類の地球上での最後の姿が垣間見える。
    「吊るされたよそ者」のあとは、街中を走り回る自分の姿を夢に見そう。
    「フード・メーカ

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    2022年09月21日
  • ブラック・フォン

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    文句なしに大満足の一冊。ジョー・ヒル「お試し」としては十分すぎる内容。こんなにも気持ち悪くて、こんなにも美しい物語を、様々なスタイルで読めるなんて。
    私のお気に入りは「ポップ・アート」。近年読んだ中で最も美しい物語。イタロ・カルヴィーノの「木登り男爵」のラストを思わせるクライマックスには泣けました。「自発的入院」は本書のなかで唯一中篇と言ってもよい作品で、そのアイデアと恐ろしさは唯一無二。とにかく、ジョー・ヒル、すごい才能としかいいようがない。お父上がいなくなっても(そんな世界は考えたくないが、いずれ訪れるであろう)、これで安心、と思ったホラーファンは私だけではないはず。

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    2022年08月31日
  • クロストーク 下

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    テレパス同士がコミュニケーションできるようになり、混乱度はさらに上がる。そして伏線がどんどん回収されていく。CBや大叔母の言動の背景が明らかになっていくのだが、予想の範囲かなと思いつつも、「うわっ! !ややこし! 」と思うくらい真相もごちゃごちゃしている。とはいえ、背景も含めて物語は交通整理ができていくのだが、本当にこの背景で上巻の登場人物の言動に矛盾は生じていないのだろうかと心配になる(検証は面倒だから私はしない)。 上下巻合わせて約1000ページの長編である。でも、登場人物がそれほど多くないからか、読みやすかった。コニー・ウィリスらしい作品である。

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    2022年08月14日
  • クロストーク 上

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    笑える方のコニー・ウィリスの長編作品。EEDという脳外科手術を受けるとパートナーがまるでテレパシーのように気持ちを共有できるようになる。主人公のブリディは恋人のトレントとEEDを受ける。もちろん正常に気持ちを共有できるようになりはしない。ブリディはトレントと接続できずに、同僚のCBとつながってしまう。手術の失敗だけではなく、ブリディの一族の過干渉や詮索好きの同僚など、ブリディは常に気を抜けない状況で手術を受けトレントと接続しようとする。なお、「クロストーク」とは混線の意味がある。ブリディの頭の中の混線と、現実世界の家族などとのつながりというかもつれ合いがドタバタと展開するストーリーは他人だから

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    2022年08月10日
  • 50代からのアイドル入門

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    興味本位で購入。ディープな内容でなかなか面白かった。ただ2016年に発刊された本だったので、2022年の今ではアイドルの情報が古く、もったいなかった。出てきたアイドルをYOU TUBEで調べてみるか。

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    2022年06月11日
  • はい、チーズ

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    全編すごく面白い。落語のようなテンポの良さ、それぞれのオチの意外さ、ハッピーエンドもバッドエンドもありつつどこか優しさに満ちた雰囲気も全てがよかった。
    特に小さな水の一滴がかなり良い、まさかの大逆転にニヤリとした。

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    2022年01月13日
  • トータル・リコール

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    発表当時から時を経て現在より身近でリアルな近未来を映すSF・サスペンス短編集。タモリの歌唱が頭をよぎる「ミスター・スペースシップ」が異色でありながらどこか微笑ましくて好き。

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    2021年08月12日
  • SFの書き方 「ゲンロン 大森望 SF創作講座」全記録

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    面白かったし、為になった〜。ゲスト作家陣との対談がどれも勉強になりました、特に新井素子氏(すごい)と円城塔氏。正直なところ、読み手ではなく素人書き手の一人としてSFは自分の庭ではない……という感覚は強まったのですが、それでもSFというジャンルの面白さや強みについて知ることができたし、他ジャンルの小説を書く時に役立つ内容もたくさん詰まってます。梗概パートより対談パートの方が興味深く読めたけど、実作「コランポーの王は死んだ」がめちゃめちゃ良かったので高木刑氏の作品はぜひ他も読みたいところ。

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    2021年07月28日
  • トータル・リコール

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    表題の『トータル・リコール』を含むSF短編を収録した本。

    表題の『トータル・リコール』は、何の変哲もない主人公が、火星にどうしても行きたくて「火星に行ったという記憶を自分に植え付ける」サービスを受ける話。
    もしかしたら主人公のようなことが自分にもあるのかもしれないと思うと楽しい作品だった。

    ディックの短編集を3冊読んだ中では、一番爽快感があり後味も悪くない作品が多かったように思う。

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    2021年05月03日
  • いたずらの問題

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    こいつは傑作だ!ガハハハハ!!!
    傑作という言葉を辞書で引くと、2つの意味があり、この小説には両方の意味で傑作だと拍手喝采を送りたい。
    例によって、込み入った世界観を把握するまで序盤はやや読みにくいが、「なにこれどうなってんの!?」というディック節から物語は加速していくのでご安心を。
    道徳や倫理が絶対視され、集団相互監視の状態にある息苦しいディストピア。不倫した芸能人を匿名SNSで叩きまくる、昨今の日本を見てきたかのような、先見性あふれる描写に驚かされた(この小説は1956年発表)。その中で、主人公が取る行動によって、痛烈な社会風刺ともいえる、思いがけない結論が導きだされる。序盤の主人公の言動

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    2021年04月01日
  • SFの書き方 「ゲンロン 大森望 SF創作講座」全記録

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    講義の会話内容と受講生の作品(梗概)を載せてあるだけだが、この一冊でSFの歴史や内容、作品全てを吸収できる。
    科学技術が進歩していく昨今でもSFの可能性ってまだまだあるんだなと思えた、私もSF書くぞ!

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    2021年02月27日
  • 人間以前 ディック短篇傑作選

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    「地図にない町」を含むファンタジー色の少し強い短編集。ファンタジー色が強いとは言っても、日常に感じた違和感に対して自分が狂っているのでは?と疑問を抱かせる描き方はディックそのものです。足元から揺らいでしまう不安感がたまらないです。

    風変わりなところでは「妖精の王」、「欠陥ビーバー」(冴えないビーバーが主人公の寓話なのです!)。印象的なのは「宇宙の死者」急速冷凍された遺体が半生者となっているという設定など「ユービック』に通じる不気味なものがあります。子供の教育を扱ったものや、人工妊娠中絶を扱って炎上した表題作など、作品に現代が追いついてきた感がある作品集です。コロナで隔絶された日常をディックが

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    2021年02月12日
  • フロリクス8から来た友人

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    ディストピアもの。管理社会を地球外生物がやって来て…という物語に恋愛とアクションが合体。ディックは何読んでも面白い。

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    2020年06月27日
  • ゴッド・ガン

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    「馬鹿と天才は紙一重」を地でいった英国SF作家の短編集。思わず「くだらねーw」と一蹴してしまいそうなネタを膨らませ、読者の少年心に訴えかける作品が持ち味。

    「神を殺すための兵器を生み出す科学者」や「極限まで巨大な音で演奏するオーケストラ集団」など冒頭から面白設定の話が続くが、ラスト3話はどれも必読。

    特に「蟹は試してみなきゃいけない」は、思春期まっただなかにいる蟹の若者たちの青春を描いたお馬鹿SFの傑作。蟹の生殖行為や本能をここまで面白く解釈して書けるのは天才としか思えない。

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    2019年02月07日
  • ドゥームズデイ・ブック(下)

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    ネタバレ

    コリンの大叔母である医師メアリや、いやーな野心家ギリクリストがあっさり死んでしまったのは拍子抜けしたが、死ってそういうものかも。
    ペストの蔓延するなかで病人の血で汚れることも厭わずローシュ神父とともに奮闘するキヴリンは、原作版風の谷のナウシカを彷彿とさせたし、コリンは12歳らしく溌剌としてて良かった。無事に現代に戻ってから病院で怒られるんだろうなぁと思うとちょっと可笑しい。
    絶望的な話なのに、読後感はとてもよかった。

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    2018年12月30日
  • ドゥームズデイ・ブック(上)

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    中世史科の学生キヴリン。好奇心旺盛で小柄の女性が研究のために1320年へタイムトラベル。しかしキヴリンは飛んだ先で倒れ、過去へ送りだしたほうのダンワージー教授のところではパンデミックの事態。どちらも原因がわからぬまま話は進む。
    出だしで話に入りこむのにいくぶん時間がかかったが(いくつかの普通名詞がどの意味で使われているのか理解するのに手間取った)、わかってしまえばページを繰る手が止まらない系の小説でした。下巻へつづく。

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    2018年12月30日
  • 航路(下)

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    前半の、ユーモアも交えつつ、あっちへ行ったりこっちで隠れたり、みたいなドタバタ劇も楽しかったけど、本下巻では、結構展開がスリリングになってくる。物語の核心に近付いていきつつ、でも本巻の中盤でまさかの主人公死亡事態が発生して、どうなるのかと思いきや、そこからは謎解きの面白さも加味しながら、感動の結末へ突き進む。主人公亡き後とはいえ、二章に一章は死後の世界における主人公の活躍が描かれるから喪失感はさほど無く、悲しみのカラーってよりは、むしろ次の世代に託された希望のカラーのイメージの方が強い。かなりの長編だったけど、翻訳の妙もあって、どんどん読み進められる良品でした。

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    2018年09月22日
  • 人みな眠りて

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    シニカルな表現に、ブラックなオチを予想するのに、物語は全部とても優しい。
    憤り悲しむのは、人が持つ優しさ、純粋さ、繊細さを愛おしみ信じているからこそなのだろうと思う。
    怒りんぼやニヒリストが実は誰よりモラリストだったりロマンチストだったりするのと同じですね。

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    2018年09月18日
  • 航路(上)

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    (上下巻を読んだ感想です)
    若き認知心理学者のジョアンナは、マーシー総合病院で臨死体験者の対面聞き取り調査を行い、臨死体験の科学的仕組みを解明しようと試みる。だが、死後の世界を信奉するノンフィクション作家のマンドレイクもまた臨死体験者への取材を行っており、彼女の調査の妨げになっていた。そんな折、神経内科医のリチャードから彼が立ち上げる新規プロジェクトへの協力を求められる。そのプロジェクトは、擬似的な臨死体験を発生させ、その状態の脳の動きを観察するというもの。リチャードへの協力を決めたジョアンナであったが、プロジェクトの遂行には不適合な被験者が多く、深刻な被験者不足に悩まされる。プロジェクト遂行

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    2018年09月15日