大森望のレビュー一覧
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理系の友人が、エンジニアは世界を変えていけると言っていた。 この短編集は、劉慈欣が、エンジニアとしての知識をフルに活かして、さまざまな世界を、そこにあるかのように生み出してくれる。一緒に旅する世界は、過去から未来、宇宙、そこに住む人々、ありとあらゆる世界だ。私たちの想像力は、羽を持っているように、導かれて広がっていく。
一方で、人間たちへの優しさが、細やかな表現を通して、伝わってくる。自然もまた、テクノロジーとの対比で描かれていると同時に、その世界を包むように、さりげなく美しく表現されている。
久しぶりのSF、これがSFなのだなあ、と思う。
そしてこのお話を生かしているのは、見事な -
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短編集なのに一気読みしてしまいました!最高傑作揃い!劉慈欣氏の作品は『三体』を最初の1冊だけ読んだことがあるのですが、いろんなアイデアをひとつのストーリーに押し込むより、短いストーリーでサクッ、サクッと読める短編集の方が私は良いと思いました。世界観もひとつひとつのアイデアに合わせているので、壮絶だったり、底抜けに明るかったりバラエティ豊かな感じです。
個人的には、自然と立ち向かう『地火』、壮大すぎるコメディ『詩雲』『月の光』が超オススメ!『円』もオチまで考えるとやっぱり短編にしなおして良かったと思います。未来への希望感も、貧乏の描き方のエグさも日本の作品にはないものがありますね。西側諸国の価 -
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☆4.5
結構シリアスな展開な作品なので確かに読むのは疲れるけども、じゃあそこで読むのやめられるかってんだ。
だって希望が欲しいじゃないか。
その希望をくれるのがコニー・ウィリスじゃないか。
二つの時代で起こる感染症。
14世紀はメカニズムが判明していない故に、21世紀は世界が発展してるが故に、感染は広がる。
特に21世紀パートはコロナを経験した今、事実に即してると思えるほどの描写。
トイレットペーパーのくだりとかも、笑っちゃうけどフィンチは真剣そのもの。
貧乏くじな彼、結構好き。
下巻は特に第三部に入るともう怒涛の展開。
優しい人も、嫌いな人も、聡明な人も、人の話聞かない人も、尊敬する -
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フィリップ・K・ディックは20世紀中盤に活躍したSF作家で、この短編集は、有名な二つの映画化作品をベースに、21世紀に入って日本で再編されたもの。
いずれも切れ味抜群の結末と個性ある世界観で、「傑作短編集」の名に恥じないものばかり。
同じ作家の少し難解な長編「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」に比べて、ずいぶんと解りやすく、読みやすかった。
映画化された「トータル・リコール」「マイノリティ・リポート」はもちろん、他の作品もいずれも印象深い。
「訪問者」は、驕慢であった人類の地球上での最後の姿が垣間見える。
「吊るされたよそ者」のあとは、街中を走り回る自分の姿を夢に見そう。
「フード・メーカ -
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文句なしに大満足の一冊。ジョー・ヒル「お試し」としては十分すぎる内容。こんなにも気持ち悪くて、こんなにも美しい物語を、様々なスタイルで読めるなんて。
私のお気に入りは「ポップ・アート」。近年読んだ中で最も美しい物語。イタロ・カルヴィーノの「木登り男爵」のラストを思わせるクライマックスには泣けました。「自発的入院」は本書のなかで唯一中篇と言ってもよい作品で、そのアイデアと恐ろしさは唯一無二。とにかく、ジョー・ヒル、すごい才能としかいいようがない。お父上がいなくなっても(そんな世界は考えたくないが、いずれ訪れるであろう)、これで安心、と思ったホラーファンは私だけではないはず。 -
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テレパス同士がコミュニケーションできるようになり、混乱度はさらに上がる。そして伏線がどんどん回収されていく。CBや大叔母の言動の背景が明らかになっていくのだが、予想の範囲かなと思いつつも、「うわっ! !ややこし! 」と思うくらい真相もごちゃごちゃしている。とはいえ、背景も含めて物語は交通整理ができていくのだが、本当にこの背景で上巻の登場人物の言動に矛盾は生じていないのだろうかと心配になる(検証は面倒だから私はしない)。 上下巻合わせて約1000ページの長編である。でも、登場人物がそれほど多くないからか、読みやすかった。コニー・ウィリスらしい作品である。
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笑える方のコニー・ウィリスの長編作品。EEDという脳外科手術を受けるとパートナーがまるでテレパシーのように気持ちを共有できるようになる。主人公のブリディは恋人のトレントとEEDを受ける。もちろん正常に気持ちを共有できるようになりはしない。ブリディはトレントと接続できずに、同僚のCBとつながってしまう。手術の失敗だけではなく、ブリディの一族の過干渉や詮索好きの同僚など、ブリディは常に気を抜けない状況で手術を受けトレントと接続しようとする。なお、「クロストーク」とは混線の意味がある。ブリディの頭の中の混線と、現実世界の家族などとのつながりというかもつれ合いがドタバタと展開するストーリーは他人だから
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- カート
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試し読み
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こいつは傑作だ!ガハハハハ!!!
傑作という言葉を辞書で引くと、2つの意味があり、この小説には両方の意味で傑作だと拍手喝采を送りたい。
例によって、込み入った世界観を把握するまで序盤はやや読みにくいが、「なにこれどうなってんの!?」というディック節から物語は加速していくのでご安心を。
道徳や倫理が絶対視され、集団相互監視の状態にある息苦しいディストピア。不倫した芸能人を匿名SNSで叩きまくる、昨今の日本を見てきたかのような、先見性あふれる描写に驚かされた(この小説は1956年発表)。その中で、主人公が取る行動によって、痛烈な社会風刺ともいえる、思いがけない結論が導きだされる。序盤の主人公の言動 -
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「地図にない町」を含むファンタジー色の少し強い短編集。ファンタジー色が強いとは言っても、日常に感じた違和感に対して自分が狂っているのでは?と疑問を抱かせる描き方はディックそのものです。足元から揺らいでしまう不安感がたまらないです。
風変わりなところでは「妖精の王」、「欠陥ビーバー」(冴えないビーバーが主人公の寓話なのです!)。印象的なのは「宇宙の死者」急速冷凍された遺体が半生者となっているという設定など「ユービック』に通じる不気味なものがあります。子供の教育を扱ったものや、人工妊娠中絶を扱って炎上した表題作など、作品に現代が追いついてきた感がある作品集です。コロナで隔絶された日常をディックが -