【感想・ネタバレ】別冊NHK100分de名著 フィクションの超越者 筒井康隆のレビュー

あらすじ

筒井康隆、やっぱりヤバい! 読む者すべてを虜にする底なしの想像力

「100分de筒井康隆」(2025年1月3日放送)が待望のムック化! 日本の「SF御三家」と称され、90歳を迎えた今もなお精力的に作品を世に送り続ける、文学界のスター筒井康隆。SF、スラップスティック、言語実験、精神分析、そして超虚構――小説という形式の限界に挑み、進化を重ねてきたその軌跡をたどる。
熱烈な筒井愛に溢れる4名の豪華著者陣による解説に加え、そこから続けて読みたい作品リストを特別コラムとして収載。その魅力にとりつかれた筒井マニアだけでなく、初めて作品に触れる読者も底なしの“筒井沼”へと叩き込む、筒井康隆ガイドの新定番がここに登場!

【内容】
第1章 革命と内宇宙のリズム――『脱走と追跡のサンバ』(中条省平)
第2章 拡張と回帰の物語――「七瀬シリーズ」(池澤春菜)
第3章 夢と虚構の純文学へ――『エロチック街道』(菊地成孔)
第4章 超虚構の到達点――『虚航船団』(大森望)

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Posted by ブクログ

書店で必ずあるのがNHKテキストのコーナー。そこに「筒井康隆」と大きく書かれた薄い本が山積みで置かれていた。なぜ筒井康隆の本がNHKテキストなのか?と混乱しながら本を手に取ってみたら、別冊NHK100分de名著のシリーズ関連図書とのこと。他にも、有名人の本がいくつも置かれていた。この本は、今年のお正月にNHKで放送された内容を基に纏められたもの。筒井康隆大好き人間4人とカズレーザーが出演していたとのこと。4人それぞれが自分のスタイルで筒井康隆作品を解説する。そう言えば、昨年もNHK-BSで筒井康隆の特集番組が組まれていた。一時期、「残像に口紅を」がSNSで話題になり、どの書店でも文庫本がこれも山積みされ、飛ぶように売れたとのこと。一体、どの様な経緯があってSNSでバズるのか理由を知りたい。

中条省平(フランス文学者)は流石に学者らしく、お題目の「脱走と追跡のサンバ」に関連する様々な外部作品や世界情勢を基に持論を展開し、見事に本作品を説明しきっていた。そこまで広げるか?という点は否めないが、この作品に対する深い愛を否が応でも感じてしまう。

池澤春菜(声優・作家・エッセイスト)の担当は「七瀬三部作(家族八景・七瀬ふたたび・エディプスの恋人)」。NHKでドラマ化(NHK少年ドラマシリーズ)されており、主演の七瀬には当時好きだった多岐川裕美が演じていた。この半年前に「東芝日曜劇場」で「芝生は緑」という題名で家族八景を放送していたとは全く知らなかった。こちらも主演が多岐川裕美だったらしく、見逃してちょっと悔しかった。池澤春菜は中条の様に外部の作品をあまり引用することなく、三作品の文章自体を引用して自分の七瀬愛を深掘りしていた。

菊池成孔(音楽家・文筆家)は18作品の短編集「エロチック街道」の個々の作品について解説をしている。まず、本作品が中南米文学から大きく影響を受けていることは知らなかった。私は単に面白い作品だなと楽しんで読んでいた訳だが、その様な深い背景があったとはね。そしてこの時期、筒井は中央公論社の編集者である塙嘉彦氏にかなり影響を受けていたようだ。実は編集者という仕事がそれほど重要とは思ってはいなかったが、編集という仕事は松岡正剛の様に哲学者の如く文学作品に影響を与えることを知った。実際に、筒井康隆をSFから純文学に舵を切らせたのは塙嘉彦氏とのこと。この本は短編集なのだが18作品の個性がかなりバラバラなので、本全体として評価するのではなく、気に入った作品を集中的に、これも深掘りしていた。

そして最後は、SFだったら何でも首を突っ込んで来る大森望(書評家・翻訳家・アンソロジスト)による「虚構船団」の解説。この解説を読んでいると、本当にこれは純文学なのだろうかと首をひねってしまう。大森望が言う通り、この作品が新潮社から叢書風に箱入りで出すような作品なのか?安部公房「砂の女」や大江健三郎の「同時代ゲーム」と同列の純文学なのか?でも実際にこれら3冊を並べてみると、意外としっくりくる。実に不思議で謎だ。正直に言うと、購入当時は擬人化した文房具の説明に辟易して積読コーナーへ。でも大森望の解説を読んだら俄然読む気が出て来た。でもページ数が多いから、また途中で中止するかもとグダグダ悩み中。

今回の参考に使われた筒井作品をリスト化してみたら、意外と抜け落ちているものがあった。DVDは「日本以外全部沈没」、「ウィークエンド・シャッフル」、それと芦名星の映画版「七瀬ふたたび」の3つを持っていた。買った時点で安心して、なんとどれも見ていなかった、ショック!

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2025年11月25日

Posted by ブクログ

NHK100分シリーズで、対象が筒井道隆、評者も個人的に気になる面々となると、これは読まない手はないわな。で、改めて本サイトで既読の筒井作品を確かめてみると、なんとまあ少ないこと。本書で取り上げられているものも、殆ど未読のものばかり。これはいけません。まずは積読状態にあるものから。

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2025年08月07日

Posted by ブクログ

筒井康隆 中条省平 NHK出版
フィクションの超越者
別冊100分de名著
脱走と追跡のサンバ 家族八景 
七瀬ふたたび エディプスの恋人
エロチック街道 虚航船団
等の作品紹介と解説
兎も角多岐にわたって多作
SF作品としての代表作は
「48億の妄想」だと思うけれどね
ここにはタイトルしか出てこな

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2025年09月21日

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