有川浩のレビュー一覧
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『海の底』番外編的短編集
「くじらの彼」
『海の底』で活躍した自衛隊員・冬原の恋愛事情。
任務で海に出る彼を待つ彼女の不安。
「待つ身が辛いか、待たれる身が辛いか」
──太宰治には言われたくないけど、待たせる方もきっと辛かろう。
“くじら乗りの彼”という言葉に、『海の底』の記憶が重なる。
冬原なら、誰だってほぼほぼ、待てる。そう思わせる誠実さがある。
「ロールアウト」
冬原の真面目な部下だった記憶の高科自衛官。
航空設計士の女性との恋の始まりを描く。
生活の重要課題・トイレを巡る、自衛官と設計士たちとの攻防戦。
自衛隊界隈で“ロールアウト”とは、開発完成披露のスタートライン。
新型機と恋の -
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ネタバレ・一本の映画を観たようだった。
・塩の結晶によって「塩害」になり死んでしまう世界で出会った、主人公の高校生真奈と、自衛隊員秋庭の物語。
・本編は塩害被害を食い止める話で、その前後談として高校生が自衛隊基地?で出会った女性隊員と夫、自衛隊員のサイコパス同級生、ルポライターを目指す中学生との出会い、自衛隊員の父などが登場する短編集で構成される。
・この話は2004年刊行とのことだけど、東日本大震災やコロナ渦を思い出してしまった。ガラッと変わってしまった環境や大事な人を失った世界で、新しい大事なものができたり、改めて大事なものに気づき、今度こそは後悔しないように行動したり。
・大事な人を大切にして、 -
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いまでは“拾う系恋愛小説”という言葉も通じるようになった。
けれど、その原点にあるのが『植物図鑑』なのかもしれません。
多くの派生が生まれた今読んでも、これはやはり「拾う王道」ですね。
ある日、帰り道で見知らぬ誰かを拾う。そんな出来事は、現実にはまず起こらない。
けれど、誰かを助けたくなる瞬間、あるいは誰かに拾われたい夜は、誰の胸にも一度くらいあったかも(≧∇≦)
作者あとがきで、この作品のオーダーが「女の子の旅と冒険」だったと知る。
なるほどと思う。
“拾う系男子”との、まさかのご近所近旅大冒険なのです。
遠くへ行く旅ではなく、日常のすぐそばで始まる小さな旅。
ふたりで摘む草花や、季節の -
Posted by ブクログ
塩の巨大な結晶が地球に飛来したことを契機として、人が塩となり死んでしまう塩害と呼ばれる架空の大災害に見舞われた世界。そんな荒廃した世界で生きる男と少女、その周囲の人達の恋愛と災害との戦いを描く物語。
作者あとがきでも書かれているが、本書は未曾有の大災害である塩害との戦いを描いた本編とその後の登場人物の後日談等を描いた番外編から成る。
全編を読んで感じたのは、純度の高い恋愛小説だったなということ。主人公達だけでなく、登場人物が全員一途に相手のことを想っている。それこそ崩壊する世界のことなんてどうでもいいかのように。
一方で、塩害から世界を救う話については、所々展開が強引に感じる部分もあったが、作