あらすじ
きっかけは「忘れられない本」。そこから始まったメールの交換。やりとりを重ねるうち、僕は彼女に会いたいと思うようになっていた。しかし、彼女にはどうしても会えない理由があって――。2015年11月映画公開
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考えました
私の人生でこんなに他人の事を考えた事があるだろうか・・・。
人の発する言葉を考えた事があるだろうか・・・。
そんな事を考えさせられる内容の本でした。
久し振りにそんな本に出逢えて、本当にありがとうございました。
Posted by ブクログ
初めての感想です。
思ったことをつらつら書くので読みにくかったらごめんなさい。
まず、有川さんは何冊か読んだことがあるのですが、とても読みやすい文章で相性がいいんだろうなと思いました。
好きな本がきっかけでネットの見ず知らずの相手に恋をしてしまう物語なのですが、もう発想が素敵すぎて。
そんなロマンチックな出会いできたらどんなに素敵だろう、と、出会い方から好みに刺さりました。
序盤から伸のまっすぐさに惹かれました。
今時、あんなにまっすぐ気持ちを伝えられます?
大人になって向き合うのが怖くなってきた自分がなさけなくなるくらい、伸は真っ直ぐで、心をつかまれました。
ただそれはいいところだけじゃなくて、言葉がきついなあて思う部分もあったり。
余計に人間ぽさがあって、有川さんすごいなあになりました。
そして、ひとみ。同じ女だからこそ痛いほどわかるささくれかげん。
めんどくさくて、裏切られるのが怖いから相手を突き放して。優しくしてほしいと思うほど、ツンツンしちゃう。もう、恋愛相談乗りたくなりました。
それでも私は伸みたくひとみのささくれを受け入れられなくて、失望させてしまうかもなあ、とも思いました。
p.104の
「ケンカしようや。ガッチリやろうや。お互い言いたいこともたまってると思うし、仲直りするためにきちんとケンカしようや。」
この本で一番好きなセリフです。
ケンカをするってマイナスなイメージを持つ人が私の周りには多かったです。でも、ケンカってすごく素敵なことだと思っていて、自分の感情を伝えたい、わかってほしいと思うからケンカするじゃないですか。
それだけどうでもよくない証拠で。
そう思う私ってちょっとずれてんのかな?て大人になって余計に思ってたので、伸の「仲直りするために」て前置きが素敵だなあて思いました。
こんな風に思ってくれる人、思いあえる人にいつか出会いたいなあとも思いました。
このセリフ通り、本当にすれ違う二人だけど、それがまたよくて。
いわないで知らないうちにすれ違うんじゃなくて、お互いぶつけ合ってるからこそ、みえてきてしまう違いで。
そこをなんとか埋め合わそうと、わかりあおうとお互いが言葉を交わしあってるのがもう、これこそ知り合うってことだなあて思いました。
あと、小見出し。章の題名っていうんですか?
あれがお互いの嫌味なのも大好きです。
はじめ、それを読んだときはむしろプラスな言葉だと思っていたので、いい意味で裏切られました。
この二人がどうなったかはわからないけど、仮に結婚までいけなかったとしても二人の人生にとってかけがえのない存在になったんだろうなって思いました。
最初から泣かされっぱなしの本でした。
Posted by ブクログ
「インターネット」という表現方法が限られた世界で出会った伸行とひとみ。2人が実際に会うと、耳が聞こえるか否かという壁があることが判明。幾度となく、コミュニケーションにおいて衝突が発生するが、そのことにより2人の関係性が構築されていく素敵なお話。
自分自身、難聴者とネット上で出会ってお付き合いした経験がありました(その人は先天的な感音性難聴であり、人工内耳で音を聞き取っていた)が、ちゃんと喧嘩もしました(笑)。なので、このお話に関しては、「両者の言い分がよく分かる〜」って感じでした!自分はその方とは「性格が合わないね」とのことで別れてしまいましたが、伸行とひとみには行けるとこまで行ってほしいです!
Posted by ブクログ
男女が一冊の本をきっかけに、ネット上で出会い、メールを通じて親しくなるところから物語が始まる。
共通の趣味で接近したり、 男女故に、 健常者と障害者故に、 すれ違ったり離れたり。
有川作品のこの男女間のもどかしさみたいなものが実は好き。
Posted by ブクログ
ひとみのようにハンデを持って生きている人間も、自分も健常者と同じように生きたい、生きてるように見せたい、と思うのに、でもどこかでそれを理由にして自分なんて…、自分にはできない、と言い訳をしたり逃げてしまう。私自身、他人の幸せを羨ましく思ったり、"わたしなんて…"という考えになってしまうことも多々ある。この本を読んで気付かされたのは、他人の見えてる部分は一部ということだ。この人ってなんでこんなにいい子なんだろうって人だって、強く見えてる人だって、完璧な人っていないんだろうなって。そのほうが人間らしくておもしろい。これからも、大丈夫だ〜って自分に言い聞かせて生きてく。
この2人の関係うずうずしながらドキドキしながらどんどん引き込まれていった。伸行は気を使うとかなしでどんなことも伝えてくれる。キツめに聞こえる関西弁を使いつつも、わたしにはどれもきれいに響いてくる言葉だった。こういう言葉の伝わり方ってひとみにとって初めてで、それがとても2人には合ったんだなぁって思う。2人がレインツリーの国で出会えてよかったです。
ハンデをもった人でも色んな考えを持っている。決まった向き合い方はない。その1人と真剣に向き合うことで生まれる繋がりを大切にしたい。
(ハンデという言葉を使い、気が悪くなる方がいたら申し訳ありません。作品中でもそういった言葉の表現があったので使わせていただきました。)
Posted by ブクログ
初めて障害をテーマにした物語を読んだ。(病気を患う物語とは別として考える)
彼女の身体をおもっての主人公の行動を、当事者である彼女はどう受け取るのか。実際に聴覚障害を持っていない私達には理解できていないことがいくつもあった。
耳の聞こえにくさに向き合って生きる彼女の姿にも、それを助けてあげたいともがく主人公の姿にも苦しいくらいに感情移入できた。
優しさも親切も、一方通行じゃ成立しないのだと感じる。
実際に障害を持つ人の考え方も感じ方も十人十色だとは思うが、分かった気になって一方的に押し付ける親切は必ずしも相手にとってプラスになるのではないのだと考えられただけでも、この小説が自分にくれたものは大きい。
ドキュメンタリーではなくフィクションだからこそ、私たちの見るべきものを強調して書いてくれていたからこそ、完読後にこんなにも伝わってくるメッセージが重く暖かいのだと思う。
Posted by ブクログ
伸とひとみの不器用で不完全な関係性がとても良い。
すれ違って離れて、でもわかりたいと近づいて。
すごくリアルで人間味の溢れる2人。
異なる視点からぶつかり合って。
最近、失恋した自分には重なるところが何個もあって。でも、俺たちだって降りようと思って降りたけど、そこには意味が無くなったわけじゃなかった。
一緒にいれるとこまでいられた。無駄なんて無かったんだなって。そう思えた。
ありがとうレインツリーの国。
図書館戦争を読んで、この小説を知りました。一部ご紹介します。
・ひとみ「傷つけた埋め合わせに自信持たせてやろうなんて、本当に親切で優しくてありがとう」
伸「こんなバカにされたこと言われる筋合いないで。さすがに。同情や埋め合わせで人に好きとか言われへんで、俺」
・伸「いろんなことにフラットになるには、ハンデやコンプレックスがあるときついねん。」
・伸「そうやって世界で自分しか傷ついたことがないみたいな顔すんなや。いっつも自分の耳の悪い苦労ばっか言うよな。気遣い行き届かへん俺を責めるよな。でも、君かて俺をちょっとでも気遣ったことあるか?俺にも君みたいに傷ついた昔があったかもしれんとか思ったことあるか?伸さんはすごい、伸さんはえらいって都合がええときに都合のええところだけつまみ食いで誉めてもらっても、こっちかてたまらんときはあるんやで。」
・伸「ごめんな、君が泣いてくれて気持ちええわ」
・痛みにも悩みにも貴賤はない。周りにどれだけ陳腐に見えようとも、苦しむ本人には、それが世界で一番重大な悩みだ。
・ミサコ「結局そのめんどくさい彼女のことが好きなんじゃない。」
・叔母「顎をな、あんまり食いしばっとったらあかんで。顔がその形で固まってしまうからな。」
・伸「君が好きや。今すぐ一生か約束できひんけど、今は君が好きで君と付き合いたい。俺のことが迷惑じゃなかったら、俺と付き合ってもよかったら、君の本名とか、連絡先とか、誕生日とかいろいろ教えて」
ただの恋物語ではなく
人が誰しも持っているコンプレックスや悲しみ、引け目に感じる感情とどう向き合うか。そんな弱い部分を持つ人間同士のやりとりの中でどう、それを折り合いつけていくか。そんな物語だなと思いました。一見すれば聴覚障がいを持つ女性との恋物語。けれど、別の方面から見れば自分の弱い部分をどう大事な人と共有して乗り越えていくか。それを書かれた物語です。伸のまっすぐさ、ぶつかること、ひとみさんの辛さけど向き合うことをあきらめない姿。とても心に響く物語です。
ふと、自分のコンプレックスや弱さに負けそうなとき、大事な人との関係がうまくいかないとき読み返します。
平等とは
私も伸と同じような場面に遭遇した時に、「あ、この人はもしかしてどこかに障害があるのかな?」なんて、とっさに思えるか考えてみましたが、絶対に無理だろうなと思いました。何をしてるんだよ、と少しイライラしてしまう自分がとても情けないなと痛感しました。この本を読んだことで、もしそういう場面に出会ったら、何かその人が周囲の人に伝わるようストラップや今回のように補聴器などがついていないか、確認すべきなのだと。私達の普通が彼女たちにとって普通ではないというのはなんとなくは分かっていましたが、手助けをせず避けるのではなく、真摯に向き合うことでより良い世の中になっていくのだと改めて実感しました。
2人の関係性が近くなったり、離れてしまったり、でもお互い相手のことをよく考え、話の中でいろいろな距離感が生まれるため読んでいて、続きがすごく気になる一冊でした。
甘え下手
甘え下手な女の子。その理由はいろいろあるけれど、プライドが邪魔をして、「こんな事頼めない」から始まり、「言わないとわからないの?」と相手を責める気持ちが湧き上がり、「もういい」と心を閉ざす。。
まるで私のことを言われてるみたいでビックリした。
この物語は聴覚障害が源流にあるけれど、純粋に、男女の気持ちが丁寧に描かれた、切なくも勇気をもらえる恋愛小説でした。
つまらないプライドは脇に置いて、私も髪をかきあげて、ニッコリと素直に甘えよう、そんな気持ちになれました。
面倒な自分を持て余してる人にオススメしたいです。
筋は読めても面白かった。
何作か読んで、有川さんの恋愛小説の筋は大体読めるようになったのですが、それでも落とすところに落としてきたな、という感じで面白く読ませていただきました。
なんというか。素直に読める作品で、でも、健常者であることの立場についても考えさせられます。
Posted by ブクログ
有川先生の作品によく見られる改行や表現方法、何度読んでも魅力的。スラスラ読める。
こういう若者の恋愛はいつ読んでもこっちまで恥ずかしくなるほど甘酸っぱい(笑)そして、有川先生はそういう恋愛を書くのがお上手です。こっちまで恋したくなります。「ああ、恋ってそれが醍醐味だよね、楽しいよね!」と、最後まで思える作品でした。
Posted by ブクログ
# あらすじメモ
ある小説をきっかけに、20代半ばの男女(伸とひとみ)がインターネット上で知り合う。
メールでやり取りをするうちに、互いの共通点や会話の切り口等に惹かれ合う。
メールでのやり取りで惹かれあった2人は、初めてデートをすることになる。
そこで、ひとみが後天的な聴覚障害者であることを知る。
伸はひとみに向き合おうと努力するが、すれ違いやトラブルが重なり、関係が揺らいでいく。
ひとみもまた、自分の殻に閉じこる性格で、素直になれず葛藤する。
# 良かった点、感想
- メールのやり取り
読んでいて少し恥ずかしくなるような、でも実際にありそうなリアルなやり取りが良かった。
- 2人の性格の違い
聴覚障害を扱っている作品であり、もちろんその点についても学びがあったが、あくまでも主テーマとしては素朴な恋愛を描いている点が良かった。
聴覚障害故のトラブルがいくつも発生するが、揉めたりすれ違ったりすることの根本的な原因は、2人の性格や考え方の差異だと思う。その辺りの食い違いを双方の視点から読めるので面白く、共感しやすかった。
伸は、正義感が強く、前向きで社交的。ひとみとの恋愛についても真剣に向き合うが、ひとみの繊細な感情を理解できない無頓着さや、合理的に自分の考えを押し付けてしまいがちなところもある。(この辺りがやはり男あるあるで、読んでいてギクリとする場面も多い)
ひとみは、知的でインドア。人と積極的に関わるタイプではないが、伸との会話から楽しい性格だと分かる。繊細で臆病だがプライドも高く、我儘になってしまいがちなところもある。
個人的にはどちらにも共感できる部分があるなと思いながら読んだ。
- 聴覚障害について
本作を通して、聴覚障害について理解を深めることができた。取材を重ねた上で物語を作っていることが読み取れた。
聾者、聾唖者などは知っていたが、感音性や伝音性の違いなどは知らなかったので勉強になった。
また、聾唖者はコミュニティの結束感が強いという話や、難聴者と失調者の間には精神的な隔たりがあるといった話も勉強になった。
- 悩みの対比
自分の悩みやトラウマの大きさを盾にすることは危ういと感じたけれど、自分ではそこまで達観することは難しいと思った。
ただ、相手にどんな背景があるかわからないということは意識すべきだと感じたし、その想像力が優しさだと思った。
Posted by ブクログ
ブログを書いているひとみと小説の感想を読んでメールを送った伸の恋。ひとみが聴覚障害を持っているためにうまくいかないことがあり、そのことで喧嘩しながら仲良くなっていきます。聴覚障害について学びました。
Posted by ブクログ
オレンジデイズを思い出した。
あの時の柴咲コウは聾者だったのかな。
これも本書を読んで調べるまで
聴覚障がい者と一括りにしていたと思う。
普段の生活でも思うことだが
気遣うことは本当に難しい。
良かれと思ってやったことが相手にとって
余計なお世話だったり、僻みを生むことがある。
目の前の相手の気持ちをいかに慮れるか。
分からんから言うても無駄で逃げないようにしたい。
Posted by ブクログ
聴覚障害と健常者の恋の話。ネットから知り合ってお互いの距離を詰めていく様がドキドキもハラハラもして、甘酸っぱくて、応援したくなる恋だった!
Posted by ブクログ
2021.11.07
小説を多く読んでいく中で、小説は"綺麗"であることが前提とどこか感じていたように思います。
それを良い意味で裏切ってきたのがこの作品でした。
レインツリーの国を読んだ後、現実ではないのに、どこか現実で起こっているような、そんな不思議な感覚に陥りました。
最初は星2だな〜〜とか思ってた自分を殴りたいし、そこでやめずに読み終えた自分を褒めたいです。
とても素晴らしい作品でした。
Posted by ブクログ
予備知識なしでなんとなく難しい話かと思っていたら現代的な入り込みやすい話だった。
心情描写が細かく描かれていて、
ひとみの気持ちも伸の気持ちも手に取るように理解ができたし、自分の経験を思い起こしながら読めたのでものすごく感情移入できた。
私も聴覚情報処理障害があるから、人には非常に理解されづらい病気でイライラされることがある。日常生活にそこまで支障はないから、自分から障害について話すほどでもないかと思って伝えないでいることも多いけど、聞き取れないことにめんどくさそうな顔をされて申し訳ない気持ちになったこともあるので、ほんの少しだけ、ひとみの気持ちに近しいものを感じてきた気がする。
あとは私が転勤族で育ったので、転校生特有の人格形成の難しさとか、絶妙に溝ができたままの家族仲とか、そういうのは経験したものにしかわからない(と思ってるところもひとみに通ずるところがある)とは思っていたけど、いや、そうではあるんやけど、そう思って心に蓋をして捻くれているのではなく、外からの刺激を歪んだ受け取り方をせずにまっすぐ受け取って生きていきたいと思った。
Posted by ブクログ
塩の街を読んだ時から有川さんのファンになり、空の中、阪急電車を読んだあとこれを読んだ。
有川さんの書く文章は何故か自分にすんなりと入ってきて一気に夢中で読めてしまう。
聴覚という目に見えるハンデがある人と、目に見えない過去のトラウマがある人。お互いのやるせない様なもどかしいぶつかり合いが、そうだよなと思わずにいられなかった。
大好きな本の1つになりました。
Posted by ブクログ
それぞれの立場から正しいと思われることを主張する、そのことがその人にとってはどうしようもなく正しいということが伝わってきた。自分が思っている以上に人は自分のことを優先で考えると。その中でも互いに寄り添い、相手を理解しようとするということは尊いなと感じた。
Posted by ブクログ
ファンタジーかなと予想していたら、恋愛ものだったためびっくり。
恋愛ものはあまり好みじゃないので、どうかなあと思っていたけど、珍しく私のなかで評価が高かった。
多分恋愛以外の要素も含まれた本じゃないと、私は恋愛小説を読む価値があったとは思わないんだろうなとわかった。少しイラッときてしまう部分もあったけれど、あることが私の実体験と重なって一気に感情移入できた。
恋愛小説特有の甘ったるい空気もそこまで感じず、すらすら読めたので、個人的におすすめな一冊。
Posted by ブクログ
久しぶりの有川作品でした。安定の恋愛スペシャリスト。歓喜の国はにんまりしてしまいました。
関西弁がそんなに得意じゃないことや、2人の言葉の選び方がこしょばゆすぎて、ちょっと離脱したくなる瞬間もある本でした。
だけど、耳が悪いかも?なんて思えずイライラしてしまうことや、ハンデがあるからこそお前より辛いしって比較してしまうことなど、感情を言語化するのがとても上手で面白かった。難聴者の生態に少しは詳しくなれたような気がします。
Posted by ブクログ
この作品を読んで相手を大切に想うって自分を大切に想うことからなのかなと感じました。
2人の不器用に生きる姿は小説でみる綺麗事な感情というより自分が普段抱いてしまうようなリアルな思いで言葉の背景にある感情って自分の言葉でも掴むのが難しいなと改めて気付かされた気がします。
Posted by ブクログ
聴覚障害のあるひとみと健聴者の伸行の恋物語。聴覚障害というモチーフがあることで、惹かれ合う者同士が気遣ったり、衝突して傷つけあったりすることの過程がわかりやすくなっていると感じた。
どんな人との間にだって、分かり合えないことはあって、それでも好きになった相手には向き合っていきたい、でも綺麗事だけではうまくいかない。そんな好きな人との付き合いに対して、聴覚障害を織り込むことで、障害の有無に関わらず普遍的な「人と向き合う姿勢」を感じ取れる物語だと思う。
伸行はとても大人な考え方をしているなと感じた。物語の中で「理屈っぽい」と言われたこともあるようだが、熱はあるけど筋がきちんと通っている人物、人間に向き合おうとしている誠実な人物なのだという印象を受けた。
私は『レインツリーの国』を読んで、人に誠実に向き合う鍛錬をしなければと感じた。おそらく同年代なのに伸行がより大人に見える。伸行のようになりたいという全面的な理想とは違うが、好きな人を前にして、とことん付き合えるような人間にはなりたいと思う。
そして、言葉はこれからも大事にしていきたい。
Posted by ブクログ
メールからはじまる恋!
見た目よりも、その人が使う言葉や表現が好きで、心に恋をしているということがとても共感できた。
存在が好きでもその中にも落胆する面や嫌いがあって、それが実に人間らしかった。お互いに嫌われたくないけど、確固としたプライドがあって、そのすれ違いが胸を締め付けた。知ろうとすることが愛だと思った知ることが愛だと思った。認め合うことが愛だと思った。
Posted by ブクログ
ネット上で知り合った男女の恋愛模様が描かれています。舞台は都会なので田舎育ちの私には新鮮味がありました。女性側にハンデがあるという点ではネット上での出会いの仕方なのかなとも感じます。しかし、ハンデを乗り越えてお互い惹かれ合う部分がある為、純愛を楽しみたい方向けだと思います。
Posted by ブクログ
素敵な出会いを果たした2人。しかし障害をもつ女性のナイーブな悩みに、どう対処するかが描かれていた。こんなにややこしい、面倒臭い人、私ならこちらからサヨナラを考えるはず。この主人公は本当に惹かれたんだな。これから色んな問題もあるはずだけど、この2人が出来るだけ一緒にいられますように。幸せでありますように。と応援したくなる物語だった。お付き合いするのも、結婚も、障害があればハンディは必ずあるけれど、健常者同士でも育つ環境違えば考え方違うのだから、そう考えると、相手を大切にしたい気持ちさえあれば、頑張れるのかな?頑張ってほしい。と思った。
Posted by ブクログ
私に障害はないけれど
障害のある人と関わっていた時間は少しだけあって
何となくわかるような気がする部分があった
そして何より
ひとみさんの言葉を大切にする感じとか
ひねくれてる意固地な感じとか
そういうのはすごく分かって
面白かったのに
少し苦しい本だった
Posted by ブクログ
お初の有川浩さん。
あらすじだけ読んだときは、あぁ…あんまり好きじゃなさそ。
って思いました(笑)
でもすごい良かった!
出会いはブログ。
健聴者と難聴者の恋愛物語。
この要素だけ見るとあまり惹かれませんが
二人のやりとりは健聴者と難聴者の間だけで起こるものじゃないなと。
いい意味で「特別」がないストーリーがとても良かったです。
わたしだけ不幸。わたしだけ可哀想。
あなたはわたしと違って「普通」
「普通」だから「幸せ」
わたしの気持ちなんてわかるわけない
わかった気にならないで
障害がなくてもこういう人いますよね?笑。
自分が一番不幸だから他人に気を使わなくていいし
ワガママ言っていいし、蔑ろにしていい。
でもそれは違うんじゃない?
ひとみにそう言ってくれる伸がいて良かったなって思うし
ひとみがそれをちゃんと受け止めて変わろうと
行動してくれる子で良かったなって思う。
障害あるなし関係なく
人としての在り方を考えさせられる作品でした。
Posted by ブクログ
健聴者と難聴者の恋の話。引き込まれて一気に読めた。伸さんの揺らがない一途な所がとても素敵だった。最後の終わり方が少し不安でしたがずっとうまくいっていたらいいな、と思った。
匿名
積極的で物言いもズケズケとハッキリしている伸と、内向的だけどプライドが高いヒトミ、どっちも苦手だなぁ、と思ってしまいました。会えば喧嘩ばかりのなんだか楽しくないカップルでしたが、お互いを思い合う気持ちが強く見えてくるにつれ、嬉しくなりました。お似合いのカップルです!きっと幸せになれる!
Posted by ブクログ
気付きにくいことに気づかせてくれる1冊
お互いの意見に「そうだよなぁ」と何度も頷かされる。
また作者はきちんと調べて本を出していることにも気付かされる。
自分に向き合わさせる恋愛物語
恋愛物語だが、人と人との向き合い方を、深く考えさせられる小説。ソーシャルインクルージョンが叫ばれるが、深く理解していないと同情からの優しさの罠に陥ってしまう。個人的には無関心よりはそれで良いと思っているが、改めて自分に向き合わさせる作品でもある。
二人のやり取りが「そんな言い方で、そこまで言うんや」と思うばかりだったが…うーん。
乗ってきたところで
もっと続きが気になる…!、そんなところで終わってしまいました。でもその先を書かないところがこの作品のいいところなんだろうなと思いました。
Posted by ブクログ
読みやすく、学びになった。最初の出会いが素敵。
ただ、伸とひとみの感情がリアルすぎて、読みながら「あぁもう!」と思ってしまう部分があり、少し苦しかった。
Posted by ブクログ
ページ数は少なめで、読みやすい文体なのだけど、テーマは軽くなく、しっかり考えながらじっくり読み進めるような本。
「あとがき」にあったメディアの話が物語の軸をさらに強めてるように思ったので、あとがきまで全部読んでもらいたい。
出てくる関西弁が河内弁だったのが全体の雰囲気とギャップを強めていて印象的。