あらすじ
きっかけは「忘れられない本」。そこから始まったメールの交換。やりとりを重ねるうち、僕は彼女に会いたいと思うようになっていた。しかし、彼女にはどうしても会えない理由があって――。2015年11月映画公開
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Posted by ブクログ
物語の内容が生々しくて、途中読むのが苦しくなりましたが、それでも最後まで読んで良かったと思える一冊でした。
人は強くなれるんだと、そう思います。
その為には、「知る」ことが大事であると、僕は考えます。それが例え他人を傷つけたり、自分を傷つけるものだったとしても。その逆、ハッピーなことも含めて。
それを「知って」時間をかけても良いから、何度も同じ失敗をしてもいいから、受け入れていく。
あとがきのp.255より
「しかし、何度でも〜自分でいたい。」
僕も強くそう思います。
そういう人でありたい。
Posted by ブクログ
全体的に話し言葉が多く、とても読みやすかった。
現代ならではの男女の関係性でしたね。
実は…個人的な事ですが、主人公達と似たような境遇で知り合った女性と仲良くさせてもらっております。やり取りして早3か月、まだお会いしてませんが、日々チャットを楽しんでます!そんな状況を踏まえて感想や意見を書きます。同じような境遇の方、他にもいらっしゃるのでは…?
「伸行と利香の初メール」
利香のブログに影響されたとはいえ、伸行は見知らぬ人に初メールでよくここまで本音をバシバシ書けるな〜。
自分なら、ほんの数行で様子を伺ったり、「失礼のないように、嫌われないように」とか「好かれたい」とかを意識した表現に終始してしまうかな。利香が「警戒するだろう」とは思いつつ、この長文のメールを実際に送ったのは、まずは本に対するリスペクト、そして同じ作品に影響を受けた相手に対する共有意識なのかな。
「何かが続くことは想像の外」と割り切れるのは、伸行にとって結果にこだわらず行動する事に意味があったのだろうと思う。しかし、繋がれるかどうかは別として、繋がりたいと0.1%くらいは思っていたはず。健康な男性だし!
私は…結果を恐れて、なんとなく繋がれる確率が高いっていう自信がないとここまで出来ない気がする。だってコメント返信じゃなくて1対1のメールに持ち込むって結構胆力いるよ〜
Posted by ブクログ
初めての感想です。
思ったことをつらつら書くので読みにくかったらごめんなさい。
まず、有川さんは何冊か読んだことがあるのですが、とても読みやすい文章で相性がいいんだろうなと思いました。
好きな本がきっかけでネットの見ず知らずの相手に恋をしてしまう物語なのですが、もう発想が素敵すぎて。
そんなロマンチックな出会いできたらどんなに素敵だろう、と、出会い方から好みに刺さりました。
序盤から伸のまっすぐさに惹かれました。
今時、あんなにまっすぐ気持ちを伝えられます?
大人になって向き合うのが怖くなってきた自分がなさけなくなるくらい、伸は真っ直ぐで、心をつかまれました。
ただそれはいいところだけじゃなくて、言葉がきついなあて思う部分もあったり。
余計に人間ぽさがあって、有川さんすごいなあになりました。
そして、ひとみ。同じ女だからこそ痛いほどわかるささくれかげん。
めんどくさくて、裏切られるのが怖いから相手を突き放して。優しくしてほしいと思うほど、ツンツンしちゃう。もう、恋愛相談乗りたくなりました。
それでも私は伸みたくひとみのささくれを受け入れられなくて、失望させてしまうかもなあ、とも思いました。
p.104の
「ケンカしようや。ガッチリやろうや。お互い言いたいこともたまってると思うし、仲直りするためにきちんとケンカしようや。」
この本で一番好きなセリフです。
ケンカをするってマイナスなイメージを持つ人が私の周りには多かったです。でも、ケンカってすごく素敵なことだと思っていて、自分の感情を伝えたい、わかってほしいと思うからケンカするじゃないですか。
それだけどうでもよくない証拠で。
そう思う私ってちょっとずれてんのかな?て大人になって余計に思ってたので、伸の「仲直りするために」て前置きが素敵だなあて思いました。
こんな風に思ってくれる人、思いあえる人にいつか出会いたいなあとも思いました。
このセリフ通り、本当にすれ違う二人だけど、それがまたよくて。
いわないで知らないうちにすれ違うんじゃなくて、お互いぶつけ合ってるからこそ、みえてきてしまう違いで。
そこをなんとか埋め合わそうと、わかりあおうとお互いが言葉を交わしあってるのがもう、これこそ知り合うってことだなあて思いました。
あと、小見出し。章の題名っていうんですか?
あれがお互いの嫌味なのも大好きです。
はじめ、それを読んだときはむしろプラスな言葉だと思っていたので、いい意味で裏切られました。
この二人がどうなったかはわからないけど、仮に結婚までいけなかったとしても二人の人生にとってかけがえのない存在になったんだろうなって思いました。
最初から泣かされっぱなしの本でした。
図書館戦争を読んで、この小説を知りました。一部ご紹介します。
・ひとみ「傷つけた埋め合わせに自信持たせてやろうなんて、本当に親切で優しくてありがとう」
伸「こんなバカにされたこと言われる筋合いないで。さすがに。同情や埋め合わせで人に好きとか言われへんで、俺」
・伸「いろんなことにフラットになるには、ハンデやコンプレックスがあるときついねん。」
・伸「そうやって世界で自分しか傷ついたことがないみたいな顔すんなや。いっつも自分の耳の悪い苦労ばっか言うよな。気遣い行き届かへん俺を責めるよな。でも、君かて俺をちょっとでも気遣ったことあるか?俺にも君みたいに傷ついた昔があったかもしれんとか思ったことあるか?伸さんはすごい、伸さんはえらいって都合がええときに都合のええところだけつまみ食いで誉めてもらっても、こっちかてたまらんときはあるんやで。」
・伸「ごめんな、君が泣いてくれて気持ちええわ」
・痛みにも悩みにも貴賤はない。周りにどれだけ陳腐に見えようとも、苦しむ本人には、それが世界で一番重大な悩みだ。
・ミサコ「結局そのめんどくさい彼女のことが好きなんじゃない。」
・叔母「顎をな、あんまり食いしばっとったらあかんで。顔がその形で固まってしまうからな。」
・伸「君が好きや。今すぐ一生か約束できひんけど、今は君が好きで君と付き合いたい。俺のことが迷惑じゃなかったら、俺と付き合ってもよかったら、君の本名とか、連絡先とか、誕生日とかいろいろ教えて」
ただの恋物語ではなく
人が誰しも持っているコンプレックスや悲しみ、引け目に感じる感情とどう向き合うか。そんな弱い部分を持つ人間同士のやりとりの中でどう、それを折り合いつけていくか。そんな物語だなと思いました。一見すれば聴覚障がいを持つ女性との恋物語。けれど、別の方面から見れば自分の弱い部分をどう大事な人と共有して乗り越えていくか。それを書かれた物語です。伸のまっすぐさ、ぶつかること、ひとみさんの辛さけど向き合うことをあきらめない姿。とても心に響く物語です。
ふと、自分のコンプレックスや弱さに負けそうなとき、大事な人との関係がうまくいかないとき読み返します。
平等とは
私も伸と同じような場面に遭遇した時に、「あ、この人はもしかしてどこかに障害があるのかな?」なんて、とっさに思えるか考えてみましたが、絶対に無理だろうなと思いました。何をしてるんだよ、と少しイライラしてしまう自分がとても情けないなと痛感しました。この本を読んだことで、もしそういう場面に出会ったら、何かその人が周囲の人に伝わるようストラップや今回のように補聴器などがついていないか、確認すべきなのだと。私達の普通が彼女たちにとって普通ではないというのはなんとなくは分かっていましたが、手助けをせず避けるのではなく、真摯に向き合うことでより良い世の中になっていくのだと改めて実感しました。
2人の関係性が近くなったり、離れてしまったり、でもお互い相手のことをよく考え、話の中でいろいろな距離感が生まれるため読んでいて、続きがすごく気になる一冊でした。
Posted by ブクログ
ネットで知り合った聴覚障害を持つ女の子との恋の話。
お互いに理解しきれなくてイライラしたりすれ違ったりするけど、そこを乗り越えていく2人が良かった。
伸の懐の広さがかっこよくて尊敬できる。
2人のクサイメールのやり取りとかリアルでの初々しい感じがムズムズするけど読んでて楽しい気持ちになれた。
Posted by ブクログ
# あらすじメモ
ある小説をきっかけに、20代半ばの男女(伸とひとみ)がインターネット上で知り合う。
メールでやり取りをするうちに、互いの共通点や会話の切り口等に惹かれ合う。
メールでのやり取りで惹かれあった2人は、初めてデートをすることになる。
そこで、ひとみが後天的な聴覚障害者であることを知る。
伸はひとみに向き合おうと努力するが、すれ違いやトラブルが重なり、関係が揺らいでいく。
ひとみもまた、自分の殻に閉じこる性格で、素直になれず葛藤する。
# 良かった点、感想
- メールのやり取り
読んでいて少し恥ずかしくなるような、でも実際にありそうなリアルなやり取りが良かった。
- 2人の性格の違い
聴覚障害を扱っている作品であり、もちろんその点についても学びがあったが、あくまでも主テーマとしては素朴な恋愛を描いている点が良かった。
聴覚障害故のトラブルがいくつも発生するが、揉めたりすれ違ったりすることの根本的な原因は、2人の性格や考え方の差異だと思う。その辺りの食い違いを双方の視点から読めるので面白く、共感しやすかった。
伸は、正義感が強く、前向きで社交的。ひとみとの恋愛についても真剣に向き合うが、ひとみの繊細な感情を理解できない無頓着さや、合理的に自分の考えを押し付けてしまいがちなところもある。(この辺りがやはり男あるあるで、読んでいてギクリとする場面も多い)
ひとみは、知的でインドア。人と積極的に関わるタイプではないが、伸との会話から楽しい性格だと分かる。繊細で臆病だがプライドも高く、我儘になってしまいがちなところもある。
個人的にはどちらにも共感できる部分があるなと思いながら読んだ。
- 聴覚障害について
本作を通して、聴覚障害について理解を深めることができた。取材を重ねた上で物語を作っていることが読み取れた。
聾者、聾唖者などは知っていたが、感音性や伝音性の違いなどは知らなかったので勉強になった。
また、聾唖者はコミュニティの結束感が強いという話や、難聴者と失調者の間には精神的な隔たりがあるといった話も勉強になった。
- 悩みの対比
自分の悩みやトラウマの大きさを盾にすることは危ういと感じたけれど、自分ではそこまで達観することは難しいと思った。
ただ、相手にどんな背景があるかわからないということは意識すべきだと感じたし、その想像力が優しさだと思った。
Posted by ブクログ
ブログを書いているひとみと小説の感想を読んでメールを送った伸の恋。ひとみが聴覚障害を持っているためにうまくいかないことがあり、そのことで喧嘩しながら仲良くなっていきます。聴覚障害について学びました。