# あらすじメモ
ある小説をきっかけに、20代半ばの男女(伸とひとみ)がインターネット上で知り合う。
メールでやり取りをするうちに、互いの共通点や会話の切り口等に惹かれ合う。
メールでのやり取りで惹かれあった2人は、初めてデートをすることになる。
そこで、ひとみが後天的な聴覚障害者であることを知る。
伸はひとみに向き合おうと努力するが、すれ違いやトラブルが重なり、関係が揺らいでいく。
ひとみもまた、自分の殻に閉じこる性格で、素直になれず葛藤する。
# 良かった点、感想
- メールのやり取り
読んでいて少し恥ずかしくなるような、でも実際にありそうなリアルなやり取りが良かった。
- 2人の性格の違い
聴覚障害を扱っている作品であり、もちろんその点についても学びがあったが、あくまでも主テーマとしては素朴な恋愛を描いている点が良かった。
聴覚障害故のトラブルがいくつも発生するが、揉めたりすれ違ったりすることの根本的な原因は、2人の性格や考え方の差異だと思う。その辺りの食い違いを双方の視点から読めるので面白く、共感しやすかった。
伸は、正義感が強く、前向きで社交的。ひとみとの恋愛についても真剣に向き合うが、ひとみの繊細な感情を理解できない無頓着さや、合理的に自分の考えを押し付けてしまいがちなところもある。(この辺りがやはり男あるあるで、読んでいてギクリとする場面も多い)
ひとみは、知的でインドア。人と積極的に関わるタイプではないが、伸との会話から楽しい性格だと分かる。繊細で臆病だがプライドも高く、我儘になってしまいがちなところもある。
個人的にはどちらにも共感できる部分があるなと思いながら読んだ。
- 聴覚障害について
本作を通して、聴覚障害について理解を深めることができた。取材を重ねた上で物語を作っていることが読み取れた。
聾者、聾唖者などは知っていたが、感音性や伝音性の違いなどは知らなかったので勉強になった。
また、聾唖者はコミュニティの結束感が強いという話や、難聴者と失調者の間には精神的な隔たりがあるといった話も勉強になった。
- 悩みの対比
自分の悩みやトラウマの大きさを盾にすることは危ういと感じたけれど、自分ではそこまで達観することは難しいと思った。
ただ、相手にどんな背景があるかわからないということは意識すべきだと感じたし、その想像力が優しさだと思った。