有川浩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
有川浩の連作小説『三匹のおっさん』を読みました。
有川浩の作品を読むのは初めてですね。
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「俺たちのことはジジイと呼ぶな。―おっさんと呼べ」。
還暦を迎えた、かつての悪ガキ三人組、剣道の達人キヨ、武闘派の柔道家シゲ、危ない頭脳派ノリ。
彼らが、町内の私設自警団を結成した。
「悪くない暇つぶしだな……」
ゆすりやたかりに悪徳詐欺、卑劣な動物虐待に極悪な痴漢……ご近所に潜む悪を、愛とパワーで三匹が斬る!
その活躍に高校生であるキヨの孫・祐希とノリの愛娘・早苗も加わって、「三匹のおっさん」はパワーアップ。
ドラマ化、映画化、舞台化でも話題の、胸がすく痛快活劇小説、第一弾。
『ラジオビタミン 児玉清の読みだしたら止まらない』(2009年5月8日放送)を特別収録。
解説/中江有里、イラスト/須藤真澄
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文藝春秋が発行している小説誌『別册文藝春秋』に2008年(平成20年)3月号から2009年(平成21年)1月号に不定期に連載され、2009年(平成21年)に刊行された作品……三匹のおっさんシリーズの第1作です。
おっさん自警団、ご町内の悪を斬る! 還暦ぐらいでジジイの箱に蹴り込まれてたまるか! 定年を迎えて一念発起した剣道の達人・キヨ、経営する居酒屋も息子に任せられるようになってきた柔道の達人・シゲ、遅くできた一人娘を溺愛する町工場経営者で機械をいじらせたら右に出るものナシの頭脳派・ノリ、、、
かつての悪ガキ三人組が結成した自警団が、痴漢、詐欺、動物虐待などご町内にはびこる悪を成敗! その活躍はやがてキヨの息子夫婦や孫の祐希、ノリの愛娘・早苗らにも影響を与えてゆき……痛快活劇シリーズ始動。
還暦を迎えた剣道の達人・キヨ(清田清一)、柔道家で元居酒屋の亭主のシゲ(立花重雄)、機械いじりの天才で頭頭脳派のノリ(有村則夫)……還暦を迎えた幼なじみ3人が私設自警団「三匹のおっさん」としてご近所の悪を成敗する痛快で温かい連作小説、、、
剣道・柔道・機械いじりという3者3様の特技を活かしながら、詐欺や痴漢、動物虐待、悪徳商法など、身近なトラブルに立ち向かい孫や娘など若い世代も巻き込みながら、正しさと老いに向き合っていく姿が痛快に描かれています……私と同世代が主人公ということもあり、気持ちをシンクロさせながら愉しく読めました。
同世代として、この物語は妙に胸に響くんですよねー 「まだまだ終わっていない」という気持ちと、「若い世代にどう見られているのか」という微妙な距離感……その両方を3人のおっさんは実に軽やかに、時に不器用に体現していました、、、
体力の衰えを自覚しつつも昔の勘が戻ってくる瞬間や家族におじいちゃん扱いされる戸惑い、若者の価値観に驚きながらもどこか羨ましさを覚える感覚……こうした現実感のある描写に共感しつつページをめくっていましたね。
また、悪を懲らしめる展開は単純に痛快で勧善懲悪の爽快さが味わえるし、3人の活躍は孫や娘との距離感、夫婦の会話、地域のつながり等の家族と地域の物語としても愉しめました……老いを前向きに描く視点を軽やかに、ユーモラスに表現していることも印象的でした、、、
老いを悲観ではなく、第2のスタートとして描いた物語なんでしょうね……同世代として読むと、3人の姿に励まされると同時に、自分もまだ何かできるんじゃないか! と背中を押されるような気持ちになり、ポジティブな気持ちになれました。
高校生であるキヨの孫・祐希とノリの愛娘・早苗の淡い恋物語も良いですね……続篇も刊行されているようなので、ぜひ読んでみたいですね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ私が鬱病を患っていたころ、ドラマ化されていた作品。
ずっと読もうと思っていて、ようやく読めた。
で、読後、アマプラあたりで配信してないかなあと思ったけど、有料だったので見るのをあきらめた。
ドラマのイメージとはちょっと違う気がしたのだけれど。
主人公は就職したものの3ヵ月で職場を辞め、時々小遣い稼ぎのバイトをしながら、悠々自適のフリーター生活を送っている。
ある日、部屋にこもってゲームをしていたら、朝昼晩全ての食事がカップ麺で、部屋の前に置いてあった。
何の嫌味だと階下に降りると、結婚して家を出た姉が仁王立ちになって、母の鬱病に気付かなかったのかと責める。
この家に引っ越していた20年以上も母は、近所の人たちからのいじめに耐え、それを家族に悟られまいと頑張ってきたのだった。
しかし長男である誠治の就職の失敗と、それに伴う父子の不和、頼りにしてきた娘の結婚と、母のストレスは限界に達してしまう。
確かに世間知らずの甘ちゃんで、都合の悪いことには耳をふさいでフリーター生活を謳歌してきた誠治はダメダメだ。
が、母の病気とその理由を知り、対応策を姉からレクチャーされてからは頑張ったと思う。
それに対して父の、夫の誠一は、自分に甘くてプライドが高い。
ゆえに自分より格下の存在である子どもたちの言葉も、妻の窮状も、すべてが「甘えるな」の一言で解決できると思っている大バカ者である。
いるよねえ、こういう中年男。
そしてそれよりも許せないのが、ご近所のいじめグループ。
大人のいじめっていうだけで、バカじゃないの?って思うのに、子どもを使って子どもをいじめるってどういうこと?
そりゃあ、親を苦しめるのには、子どもをいじめるのが一番効果的かもしれないけれど、自分の子どもをいじめっ子に仕立てるってどういう親なんだよ、まったく。
いろいろ腹立たしいけれど、主人公がちゃんと自分のダメなところを自覚して、とにかくお母さんの笑顔を取り戻すために奮闘する姿が好きだった。
だから後半の就職後の話は全く記憶に残っていなかったけど…。 -
Posted by ブクログ
友人にオススメされ、有川浩作品を初めて読みました。
会話やストーリー展開のテンポ感が非常によく、短いこともありサクサクっと読み進められました。
単なる恋愛模様ではなく、二人の抱えてきた人生の大きな分岐、それを経てのそれぞれの人生観や価値観が丁寧に描写されていると感じました。
また、ひとみの抱える問題について、身近にそのような人がいないため、付き合う上でどのような障壁があるのか、それによりお互いがどのような葛藤を抱えることになるのかという視点が非常に興味深かったです。
私は恋愛系の作品はあまり読まないため、ゆるめの漫画やアニメであるような、当人同士は仲良しこよしな展開ばかりを見てきたように思います。
そのため、好き同士なのにすごく衝突・葛藤し、自分の価値観をお互いが見つめるという展開が、綺麗ごとばかりではないリアルさを感じ、二人のぶつかり合いにモヤモヤを感じながらも面白く読み進められました。
とてもいい読書体験だったので、他の有川作品も読んでみたいと思います。 -
Posted by ブクログ
レインツリーの国という掲示板に本の感想を投稿をしている女の子とひょんなことからそれを見つけた男の子の恋愛ストーリー。
⚠️下記ネタバレ
耳に障害をもつということの苦しさ、社会とのギャップ、また聾唖と中途失聴者との違い等、知らないこと考えさせられること、学び直すことが多かった。また、ヒロインの繊細さも相まって、少しガサツ?な感じの主人公との間に亀裂が入ってしまうことも多々あり、読んでいて、
ここはそうじゃないだろう!!と
まるで友達の恋愛を応援しているようなそんな感覚にもなった。
また、登場するキャラクターはかなり少ないし、メールでのやり取りを文面で読むというのにも関わらず飽きずに読破することができた。
出てくる登場人物がまるで本当に生きているかのように思える有川先生の小説はどれをとっても面白い。これからも応援したいと思う。 -
Posted by ブクログ
読み終えて、まず感じたのは「構成の巧さ」だった。
テンポよく展開するエピソードの連なりを、私はずっと現在進行形の物語として読んでいた。けれど最後に、それらがすべて回想だったと明かされた瞬間、物語の手触りが静かに変わる。
機研での日々は、決して「今」では終わらない。
それはすでに過去の時間であり、だからこそ一つの塊として、どこか輝きを帯びて立ち上がってくる。
興味深いのは、この作品が学生時代の葛藤や苦悩をほとんど描かない点だ。
現実には、楽しいだけの時間など存在しない。それでも人は、過去を誰かに語るとき、辛かった記憶を意図的に省いたり、感情を削ぎ落としたりする。
『キケン』が描いているのは、当時の「現実」ではなく、後年、語られるかたちに編集された記憶なのだと感じた。
各話の最後で元山が彼女に思い出を語るという形式も、その設計を強く裏付けている。
この物語の主体は個人ではなく、「機研」という場そのものだ。
誰か一人の内面に深く潜るのではなく、複数の人物が同列に配置され、出来事の連鎖として時間が流れていく。その横に広がる構造が、作品全体のリズムと軽やかさを支えている。
これまで私は、登場人物の内面を深く掘り下げる小説を好んで読んできた。
その意味で『キケン』は、自分では決して選ばなかったであろう一冊だ。
けれどこの作品は、「小説はこう読むこともできるのか」という、新しい地平を見せてくれた。
楽しかった時間は、なぜか後から光る。
戻れないと知っているからこそ、愛おしく思えてしまう。
『キケン』は、そんな人間の記憶のあり方を、静かに、しかし確かな構成で描いた物語だった。