有川浩のレビュー一覧
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ネタバレ・一本の映画を観たようだった。
・塩の結晶によって「塩害」になり死んでしまう世界で出会った、主人公の高校生真奈と、自衛隊員秋庭の物語。
・本編は塩害被害を食い止める話で、その前後談として高校生が自衛隊基地?で出会った女性隊員と夫、自衛隊員のサイコパス同級生、ルポライターを目指す中学生との出会い、自衛隊員の父などが登場する短編集で構成される。
・この話は2004年刊行とのことだけど、東日本大震災やコロナ渦を思い出してしまった。ガラッと変わってしまった環境や大事な人を失った世界で、新しい大事なものができたり、改めて大事なものに気づき、今度こそは後悔しないように行動したり。
・大事な人を大切にして、 -
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いまでは“拾う系恋愛小説”という言葉も通じるようになった。
けれど、その原点にあるのが『植物図鑑』なのかもしれません。
多くの派生が生まれた今読んでも、これはやはり「拾う王道」ですね。
ある日、帰り道で見知らぬ誰かを拾う。そんな出来事は、現実にはまず起こらない。
けれど、誰かを助けたくなる瞬間、あるいは誰かに拾われたい夜は、誰の胸にも一度くらいあったかも(≧∇≦)
作者あとがきで、この作品のオーダーが「女の子の旅と冒険」だったと知る。
なるほどと思う。
“拾う系男子”との、まさかのご近所近旅大冒険なのです。
遠くへ行く旅ではなく、日常のすぐそばで始まる小さな旅。
ふたりで摘む草花や、季節の -
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塩の巨大な結晶が地球に飛来したことを契機として、人が塩となり死んでしまう塩害と呼ばれる架空の大災害に見舞われた世界。そんな荒廃した世界で生きる男と少女、その周囲の人達の恋愛と災害との戦いを描く物語。
作者あとがきでも書かれているが、本書は未曾有の大災害である塩害との戦いを描いた本編とその後の登場人物の後日談等を描いた番外編から成る。
全編を読んで感じたのは、純度の高い恋愛小説だったなということ。主人公達だけでなく、登場人物が全員一途に相手のことを想っている。それこそ崩壊する世界のことなんてどうでもいいかのように。
一方で、塩害から世界を救う話については、所々展開が強引に感じる部分もあったが、作 -
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『レインツリーの国』読み終わった〜。登場人物の気持ちの描写がマジで刺さる。喜びや戸惑い、切なさとかが自然に伝わってきて、読んでる間ほんとに物語の中にいる気分になった。文章も読みやすくて、サラーっと読めるのに、あとからじんわり余韻が残る感じ。読んだあとも何回も思い返したくなるし、高校生活とか自分の周りのことに重ねて考えちゃう場面もあって、マジでオススメ。
特に印象に残ったのは、登場人物の感情の揺れや日常の描写。どんな小さな場面も丁寧に描かれてて、物語の世界に自然に引き込まれる。最後まで読み終わったあと、余韻を味わいながら「また読み返したいな」って思える、不思議で魅力的な一冊だった。 -
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自衛隊三部作 第二弾『空の中』。
未知との遭遇から、相互理解を経て、信頼を築き、共生の未来を探る物語。SFであり、ファンタジーでもあり、そこに有川さんらしい恋愛小説が加わります。
有川さんは“大人のライトノベル”を描きたかったとか。それが何を目指すのかわからないけれど、友人としての信望、仕事としての信奉、家族としての信頼……と、大人でなくても心惹かれる場面が展開される。そこに、年代の違う恋愛が絡まるのだから充実の第二弾です。
未知との遭遇をテーマにしながら、より人間的な他者との関わりを描き、わかりあうこと、信じあうことの尊さを――年齢に関係なく楽しめる作品だと思います。