有川浩のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読み終えた瞬間、世界が180度ガラリと変わり、全身に鳥肌が立った。
単なる闘病記だと思い読み進めていたけど、まんまと著者の巧みな罠にはまってしまった。
彼女が命を削ってまで小説を書いたのは、単なる作家の業だけではないだろう。自分を忘れてほしくない、夫の心に永遠に住み続けたいという切実な願い。そして、最高の読者である夫への「究極の贈り物」だったのではないか。
私の家族も病を患っているため、「共白髪まで一緒にいたい」という言葉や、「人間が無条件に優しくなれるのは、相手の死が目の前にぶら下がってから」という一節が、残酷なほど心に突き刺さった。当たり前だと思っていた日常や未来が崩れ去っていく痛み -
Posted by ブクログ
どこからが物語でどこからが現実なのか、その境界が曖昧で、読みながら何度も揺さぶられた。作り話のはずなのに現実のように感じられ、何度も涙がこぼれたのは、そこに込められた想いがあまりにも真っ直ぐだったからだと思う。
タイトルの「ストーリー・セラー」は“物語を売る人”という意味だが、単なる作家だけでなく、語る人・受け取る人すべてを指しているように感じた。物語は受け取る側が信じた瞬間に“本当”になる。
だからこそ、この作品では現実とフィクションの境界が揺らぐのだと思う。
ラストの言葉も、それが物語だけのものなのか現実にも通じるのかは明かされない。その余白があるからこそ、読後もずっと考えさせられる。