伊坂幸太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ伊坂幸太郎が、猪苗代湖で年1回行われるオハラブレイクという「音楽とアートのフェス」の第一回でリーフレットに掲載された短編が、毎年恒例となり、それなら1冊の小説にしようと出来上がったのがこの作品。
なので、基本的には1年でスパイの世界と社会人の世界(我々の世界?)でささやかなリンクが生まれるというプチストーリーが連続する形で物語が進む。
長編として作成されたものではないため、ストーリー性などは他の伊坂作品の方が面白く感じるが、その中でも、伏線回収や伊坂幸太郎らしい言葉のちょいすなどがふんだんに盛り込まれており、これはこれで面白かった。
2つの世界を行き来しながら進むが、実は冒頭の「昔話をする女」の世界はスパイの世界よりも更に小さい世界で、
更には、単行本のラストに描かれている雪のかたまりのようなものと、軽トラックサイズの手というのは、社会人の世界(我々のいる世界)より更に大きな何かがいる世界があるという示唆(ファンタジー)ではなかろうか。
つまり、ベースの2つの世界のそれぞれより小さい世界と大きい世界の4つの世界が重なり合っている御伽噺というのがこの作品なのかと読み取った。
(諸説ありそうだが笑)
印象深かったのは下記のフレーズ
「いろいろ理不尽なことが多いじゃないですか。いい人がひどい目に遭ったり、悪い人がのさばったり。なんかそういうのは嫌なんですよね」
まさに伊坂幸太郎作品らしいフレーズだと感じた。
本人は意図していないところで誰かに感謝されたり、巡り巡って自分の助けとなったり。そういう願いのような、御伽噺のような、小さな奇跡や幸福を描く。
この一冊はまさにそれを体現するような作品だった。
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Posted by ブクログ
【2026年度74冊目】
街頭アンケートから始まる出会い、電話越しの逢瀬、免許更新日の再会と発見、世代を越えた繋がり、いじめっ子との再会、ボクサーから広がる人間関係――波紋を描くような連作短編集。
伊坂幸太郎さんは、連作短編集が本当にお上手ですね。人と人とのつながりを描くのが上手い。今回は、過去と現在を生き来する回数が多かったので、ちょっとだけ時系列で混乱してしまったのですが、やはり面白かったです。
登場人物同士の思わぬ繋がりというか、「こういう形で描かれるのか!」という驚きが多く、時には目頭が熱くなりました。好きなのは「ライトヘビー」と「ルックスライク」ですかね、そういうことか!といい意味での騙された感がある作品でした。
斉藤さんが、斉藤和義さんから来てるのも良いですね。曲を聴きたくなりました。 -
Posted by ブクログ
作中に頻出するレミゼラブルの小説も映画も触れたことがないわたしのような人間を置いてけぼりにしない伊坂幸太郎さんの物語の運びかた、とても素敵だ。読んだことのないレミゼラブルを読んだことがあるような気持ちにさえさせてくれた。
レミゼラブルに倣ったらしい“作者が妙にしゃしゃり出てくる”ホワイトラビットだったけど、わたしには新鮮で良かった。
そして何度か出てくる軽快なミスリードが楽しい。
この物語がどんな風に収束していくのかなとワクワクしながら読み進める感覚がとても懐かしかった。
ほぼ全部のキャラクターにどこか愛おしさが芽生えてしまう筆力は流石だ。
わたしっていまも変わらず伊坂幸太郎という作家がすきだ、と再確認できてとてもうれしかった。
そんな展開うまくいく〜?!と思う気持ちもなくはないのだけど気づけば納得できる、させられている、腑に落ちている。
フィクションってこれでいいんだ、と思う。 -
Posted by ブクログ
今度は伊坂氏作品読みなおしです。
なんとも不思議な世界観。
舞台は現代の仙台沖の離島のようですが、カカシがしゃべります。ファンタジーかと思いきや、現実に沿った話のようで、なかなか突飛です。また、この島は本島と断絶しており、そこに住む人たちも風変わりですが、同じ人間です。
離島というとのんびりしたいい雰囲気を思い起こしますが、どうもここは本島の縮図のように、犯罪も起こるようで、妙な窮屈さを感じました。
非現実と妙な現実感が混ざった不安定な感じです。
リョコウバト絶滅の話は衝撃でした。何しろ数字が桁違い。ちょっと信じられない感じですが、事実なんですよね。
また、本島では悪意たっぷりな悪事が描写され、この2つの事柄が人間の恐ろしさを際立たせています。すごく凹みます。
それと対を為す存在として、全てを知るしゃべるカカシと、「桜」という断罪者がいます。彼らの存在によって、読感になんとかバランスが生まれてる感じがしました。それにしても「桜」の優雅さはいいですね。なかなか身につけることができない優雅さに憧れます…
あとオーデュポンって、どこかの神様の名前かと思ってましたが、人の名前だったのも意表をつかれました。