酒寄進一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
猟奇的な犯行から始まって、主人公刑事の過去と絡みながら話が進んで行く。
過去が絡むミステリー系は多いが、この作品の場合、過去や視点の切り替えが頻繁にある。
ミステリーとしてはよく練り込まれているのに、場面転換が多すぎて話の腰を折ってしまっている。
主演二人の陰影あるキャラも、あまりにも大仰で魅力的に感じられない。
数多の作品で色々なコンビが登場しており、それを凌ぐためには仕方ないのかもしれないが、そこまでしなくてもプロットがあれば十分なのに。
500ページ以上あり、内容も濃厚だが、一応事件の解決はみるものの伏線の回収がなされておらず、”続編に続く”状態なのも物足りない。
ドイツ作品のため登場人物の名前が覚えにくく、訳者が丁寧な人物一覧をつけてくれているものの、読んでいて今一つ話にのめりこめれなかった。
作品の完成度は高いので、好みの問題だろう。 -
Posted by ブクログ
作品紹介・あらすじ
ドイツでは、クリスマスに最も殺人が多い。十世紀から続く貴族トーアベルク家のクリスマスの惨劇を描いた表題作と、日本人の女子留学生に恋をしたパン職人の物語「パン屋の主人」、公明正大だった裁判官の退職後の数奇な運命を描く「ザイボルト」を収録。本屋大賞翻訳小説部門第1位『犯罪』のシーラッハによる珠玉の短編を、気鋭の版画家タダジュンの謎めいたイラストが彩る。ふたりの天才が贈るブラックなクリスマス・プレゼント。
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初めて読むシーラッハ。
名前はなんとなく知っていたし、「犯罪」が2012年本屋大賞の翻訳部門で1位を獲得したことも知っていたのでちょっと期待して読んでみたのだけれど、今ひとつ読み応えがなかった。
100頁足らずの中に3つの短編が収録されているので、著者が本領を発揮した作品ではなかったのかもしれない。読みが浅いと言われそうだけれど、内容も何となくありふれた事柄のようにも思える。さらにヒンシュクを買いそうな書き方をすれば、本編よりも「訳者あとがき」の方が読み応えがあって面白かった。
シーラッハは他の作品も積読状態になっているので、そちらに期待。 -
Posted by ブクログ
ネタバレなにかのミステリ関連で本書のタイトルが出たので気になって読んでみた本書。
原文タイトルは「RACHESOMMER」。
うん?英語ではないな。
SOMMERは英語のSUMMERで夏なんだろうけど、RACHEって??
うん? そういえばシャーロックホームズに復讐の意味でこの文字が壁に描かれていた話があったんじゃないっけ??
とかなんとか思いながら表紙をためつすがめつ眺めた。
表紙は夏の夕暮れ時。ぽわっと灯のともった街灯と、そこに浮かびあがる金髪で肌を大きく出した青っぽいワンピを着ている華奢な女性の後ろ姿。そして立派な白い建造物の背景もなんとも雰囲気がある。そうか、これはヨーロッパのミステリなんだ、と納得。
プロローグの掴みはオッケー。
なに? どういうこと? この子、何者?? とじゅうにぶんに引き付ける。
場面も話の展開もスピーディで、読んでいるとただのミステリではなくサイコ系の空気もあって、程よい緊張感を伴って読み進めることができた。
が、最終的な感想は、うーん、緻密さに欠けるというか、なんだか大味だったなあというものだ。
いちいち挙げればきりがないが、いちばん肝心なのは、犯人である彼女がどうしてあそこまでの行動に出たのか、出られたのか、それがどうにも納得できないんだよなあ。
どうやらそこには多重人格がポイントになっているようだと私は理解したんだけれど、それでも本書だけではあの子のあの行動は説明不足なんじゃない? それともヨーロッパの読者さんって多重人格(解離性同一性障害)といわれればここまで基本人格とは隔たった行動をするのが当たり前という前提でもあるのかしら。
とにかく全体的に予定調和すぎるというか、表面をするっと撫でて問題解決な感じが否めなかった。
ミステリで手垢がつきすぎて今や御法度といわれるものに「夢落ち、双子、サイコパス」というのがあるけれど、本書も究極それなんだよなあ。そして追加される保護者のいない児童への性的虐待、それによる解離性同一性障害など、ちょっとおなかいっぱいです。
せっかく冒頭にゲーテの引用があるんだから、もっと緻密に書き込めばハンニバルにも劣らないスリラーになったような気もするんだけれど、みなさんはいかがでしたでしょうか。
怪物と対峙する者は、みずから怪物とならぬよう心せよ。汝が久しく深淵を見入るとき、深淵もまた汝を見入る。
====データベース====
地位も名誉もある男たちの事故死。病院に入院している少女の不審死。オーストリアの弁護士とドイツの刑事、ふたつの軌跡がであうとき、事件はそのおそるべき真の姿を現す。
ドイツでセンセーションを巻き起こした、衝撃作登場。 -
Posted by ブクログ
ウェルテルの躁鬱具合というか、メンヘラ特有の気分の波がすごくて、この手紙を読んで返事を書き続けたであろうヴィルヘルムの存在がすごく気になった。ウェルテルの側にいなくても、手紙のやりとりだけでメンタルやられそう。
アルベルトは社会の中で模範的な人物であるからこそ、ウェルテルは自分が社会に馴染めない存在だということが際立って嫌になったと思うし、ロッテはロッテであたたかい自然を愛し、それ故によく言えば情熱的なウェルテルに惹かれて余計こじれるという。
ウェルテル目線だと、ウェルテルが頭おかしい、居なくなるべき存在に思えるが、冷静に考えると誰が悪いわけでもない、だからこそ行き場がなく、昇華されない苦しみの有様に魅せられた。