あらすじ
ドイツ、2007年春。ホロコーストを生き残り、アメリカで大統領顧問をつとめた著名なユダヤ人の老人が射殺された。凶器は第二次世界大戦期の拳銃で、現場には「16145」という数字が残されていた。しかし司法解剖の結果、遺体の刺青から、被害者がナチスの武装親衛隊員だったという驚愕の事実が判明する。そして第二、第三の殺人が発生。被害者らの隠された過去を探り、犯行に及んだのは何者なのか。刑事オリヴァーとピアは幾多の難局に直面しつつも、凄絶な連続殺人の真相を追い続ける。本国で累計200万部を突破した警察小説シリーズ!
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Posted by ブクログ
「性根」というものについて考えてみた
「性根が腐ってる」とか「性根が座ってる」みたいな使われ方をするよね
生まれながらに備わっている性格や性質を言い、後天的に変えにくいもの、精神や魂そのものを指す場合もあるようです
で、ナチよ
積極的にナチに加担した人たちって一定数いるわけな
そういう人たちってもともと「性根が腐ってた」んだろうか?
んで本来そういう人たちは、やっぱりまっとうな世界では日陰者になるところをナチスが支配する世界ではむしろ「素晴らしい人格者」とか言われて、俺たちの時代が来たぜとか思ってたんだろうか
いやね
ヨーロッパのミステリーではよくあるのよ
元ナチの犯人や元ナチの被害者(恨まれて殺される)がね
殺す側でも殺される側でも「性根の腐った」やつとして登場するんだけどね
うーん、なんかまとまらんなー
ドイツミステリーの本作はナチスを題材にしてきまして、やっぱりドイツではナチに積極的に加担したやつは「性根の腐った」人という扱いなんだなぁ〜と思った次第
まぁ、そりゃそうか
Posted by ブクログ
オリヴァー(主席警部)とピア(警部)のバディー。事件捜査の中で関係が進展し親密感が増していくのがいい。事件現場に残された「16145」は何を意味しているのだろうか。
1945年から2007年というスパンの壮大な推理小説。
登場人物の名前、関係性、家系、何度も何度も前に戻って確認した。沢山の登場人物の作品、読みこなすのに努力が必要だったが、それを上回るわくわく感があった。満足だ。
小説のキモはこのあたり。
P.443
「聖書に「汝殺すなかれ」と書いてあることは知っています」アウグステがまた口を開いた。
彼女の声は今にも酒え入りそうだった。「でもその聖書には「目には目を、歯には歯を」とも書かれています。彼らがエッダとその一味であることに気づいたとき、わたしはこの不正を僕わせずにおけなくなったのです。妹のイーダは生きていれば七十一歳です。まだ寿命があったかもしれません。そのことがわたしの脳裏を離れなくなったのです」
P.445
アウグステが体験させられたことといったら!目の前で夫、両親、親友、幼い妹を撃ち殺され、子どもを奪われ、ひとり生き残って地面をはいつくばったなんて!!さらには労働キャンプ、強姦、飢餓と病気。あの老婦人はそれでも生きつづけた。その力をどこから得ていたのだろう。息子に再会したいという一念だったのか、それとも復讐心?
アウグステは小説の核心人物。建物修復士の祖母。エッダは女性実業家の実の名前、彼女の過去のおぞましい行為が事件を引き起こした。
東部ドイツのナチズム、ソ連の侵攻、ドイツ敗戦前後の悲惨な歴史に62年後に発生した事件のカギ。
考えてみればわかることだが、ドイツでも敗戦後、ソ連での労働キャンプがあったことを改めてて知った。ナチズムやスターリン主義の下で人生を翻弄された人々が存在した。
Posted by ブクログ
日本語訳にされたのは、これが一冊めのようですが、シリーズとしては三作目。
基本的に読み切りなので、これ一作だけでも十分楽しめますが、ちょこちょこ過去の話題が出てくるので、やっぱり一作目も読んでみよう!と思うほど、面白かった。
Posted by ブクログ
ノイハウス氏を知るきっかけの1冊。白雪姫も面白くよんだ。3冊めには今行き詰まっているけど。。。。
ドイツ・ミステリーの深みにはまる途で出会った作者。好きです。
Posted by ブクログ
面白かった。
慣れないドイツ系の名前に四苦八苦しながらも、
ぐいぐい引き込まれていく感じで、
とても面白かった。
相棒であるオリヴァーとピアが好対照で、
お互いをぐいぐいひっぱっていく感じが良かった。
二人の家庭(同棲)生活が良好なのも、好感がもてる。
ただ、非常に残念だったのは、これが第三作なこと。
第一作と二作はまだ訳されていないらしい。
どおりで、途中でわからない話がでてきた訳だ。
お願いだから、早く翻訳して出版してほしい。
Posted by ブクログ
ひゃあ〜
ノンストップ!
ナチ親衛隊とか
なりすましとか
いまだに名前に“フォン”が入る貴族とか
女性警部が馬を飼ってるとか
日本人には遠めのお話ばかりですが
(唯一彼女の愛車がニッサンらしい)
手に汗握る展開。
初めて読む作家ですが
このオリヴァーさんシリーズが
続いているようなので
他の作品も楽しみに読みたいと思います。
Posted by ブクログ
ストーリーは濃厚だが演出が淡白で、もう少し芝居っ気があったほうが自分の好みには合うし、もっと感情移入できただろう。或る一族の歴史の暗部を掘り返すダークなストーリーだけに、不気味さや刺さる感じ、ひりつく感じを味わいたかった。ドイツ人が読めばそういう感じを味わえるようなキーワードが、ふんだんにあったのかも知れないが。
Posted by ブクログ
「森の中に埋めた」でハマってしまったネレ・ノイハウス。
ミステリー要素以外に、テーマや、オリヴァーとピアの世界が面白い!訳も素晴らしいのだと思う。
ホロコーストについては学校で習う知識しかなかったが、本作を読んで、もっと知りたいと思った。過ちの歴史に対して、恨とも哀悲とも違う感情を覚えた。上手く言えないのだけど、無知である事が恥ずかしくなった。
Posted by ブクログ
翻訳第1作だが、オリヴァー&ピアシリーズとしては3作目。
前に読んだ「生者と死者に告ぐ」より前の話。であるがゆえに「あれこの人は昔こうだったのか」的な驚きがある。
謎の数字を記されて殺される老人の謎。捜査がままならない状況から進んでいくミステリ。なぜ老人が次々と殺されるのか。最初はまったく見えない点が線になると、恐ろしい理由が明らかになる。
そうして、その理由の裏側にある深い疵を負ったとある人物の行動が……もう本当に、それだけでこの物語成立してもいいかもって思える。
単純な謎解きではなく、人々の生きている証が見えるところがこのシリーズの面白さだと思う。
Posted by ブクログ
おそらく初めてのドイツ物。ちょっと名前が難しく分かりにくかったが、好きなタイプの警察もので面白かった。
直ぐにシリーズを3冊購入。他のものも楽しみ。
Posted by ブクログ
初ドイツミステリー。
冒頭とラストの50頁は一気に読める面白さ。ただし、全500頁強あるため、途中で読むのを止めてしまうとなかなか次に読むのをためらう類いの内容だった。(重い、暗い、捜査がなかなか進展しない)
そしてこのジャンルのお約束を知らないせいか、はたまた私がアガサ・クリスティーばかりを好んで読んできたからか、思ったほどの大どんでん返し、ではなかった。真犯人はわりとはじめから、あの人ではないかなとあたりがつけられる。
しかし誰も彼もが犯人に見える(読める)中盤から、終盤の一気に事件が転がって帰結する流れは是非とも一気に続けて読んで欲しい。これは秀作。
訳者あとがきにもあるように、本文で投げられた謎が全て解かれて終わり、ではなくいくつか疑問が残った終わりだったので、もう一度読み直して自分なりに考察する楽しみもある。さて、もう一回読み直そう。
Posted by ブクログ
これは良く書けてるなあ。この作者はすごくバランスがいい。話はかつてナチスの親衛隊が個人的な恨みと財産乗っ取りで無実の人達を自分達の利益だけために無差別に殺害し、なに食わぬ顔で60年ばかし生き延びて生きてきた歴史を暴くという、壮大なドラマ。死人が出るが、むしろ昔の事件を暴くためと復讐のための行動に裏付けられたもので、警察側は無駄に撹乱させられる。普通に面白かった。このシリーズ追いかけるぞ。
Posted by ブクログ
シリーズ第3弾。しかし、日本ではこれが最初に出版されてたみたいだけど、これはやっぱり最初から読むべき。
1作目、2作目、と確実に作者のレベルがあがっている。
特にプロットの緻密さはこの作品が群を抜いているのでは。
前2作である程度メンバーのキャラ紹介も終わっている分、今回はプロットに重きが置かれているのかもしれない。今までの作品ほど、オリヴァーやピアの私生活は描きこまれず、比較的安定してサラっと描写されている。
短い文章で様々な視点で事件を多角的に描く手法もより密度が高くなっていて、片っ端から伏線が張られて読んでいて謎の多さにこちらがこんがらがってくるほど。
ドイツの氏名や地名は憶え難さもあるうえ、歴史も絡んで過去と話が交差するし、偽名やなりすましも多いし!
どうしてもナチスに絡む戦争被害者の執念は、実感として分かりにくい部分もあるが、最後まで捻ったプロットで十分物語を堪能できた。次回作がますます楽しみ。
Posted by ブクログ
オリヴァー&ピアシリーズ第三作。
戦争中にはこうしたことは世界中で起こっていたのだろうなと思う。だからこそ日本でも戦中戦後の混乱を利用したミステリーが数多くあるわけだし、面白い。
それにしてもドイツというとヨーロッパの中でもお堅いイメージがあったが、このシリーズを読むとやはり男女関係(もしくはその他の恋愛関係も)は随分発展しているのだなと思う。捜査関係者、事件関係者と安易に個人的関係を結ぶなんて日本の刑事小説では考えられないことなのだが、その辺がお国柄を感じて海外小説は面白い。
またこんな大昔の事件を実際に起訴出来るなんていうのもお国柄を感じる。日本ならいくらこれだけの証拠が揃っていてもどうせ起訴猶予処分で終わりそう。
Posted by ブクログ
オリヴァー警部は、今回とんだ災難だったな 警部が飲まされた液体エクスタシー(無色透明)が気になる すんごい威力やな 日本で商品化したらバカ売れしそう
ピアのヘニング(元夫)と、クリストフ(現夫)どちらがいいか…?
ピアには、ほっとできて癒してくれるクリストフがいいんだろうな
私はヘニング派ですけどねw
腹黒女ユッタにも最後ギャフンと言わしてほしかった
Posted by ブクログ
クリスやヘニング、オリヴァーといった素敵な男たちにちやほやされる(?)ピアがうらやましい・・・
人物造形が良い。あ、もちろん話もちゃんと面白い。
Posted by ブクログ
ある方のレビューで興味を持ち本屋さんで探して購入した本書。
第二次世界大戦でナチスのユダヤ人迫害を生き残り、アメリカ大統領顧問を務めたユダヤ人男性が射殺される。戦争時の拳銃が凶器で現場には謎の数字が残されていた。
ところが被害者はユダヤ人ではなくナチス親衛隊員だったことが判明する。
そしてまた同じように老人が殺されていく。
こう始まる物語で、ナチスやヒトラーに興味のあるわたしは当然読んでみたくなるわけで、読んだ感想をまず一言で言うと、面白く読めた。
ナチスが物語全体に関わるため、暗く重い内容にはなるのだが、事件を解決するオリヴァーとピアのコンビが魅力的で物語を救っている。
登場人物は多いというほど多いわけではないが、ややこしい長い名前であることと、本名と偽名とが出てくるので、少し気をつけて読まないと散らかってしまう。
ナチス崩壊後、ドイツやヨーロッパで生きるためには、ナチスに関わったことは隠していくひとが多いだろう。
進んでナチスに加担したひともいれば、戦争を生き抜くためにナチスにならざるを得ないひともいただろう。
また、ユダヤ人の苦しみや、直接迫害こそしていなくとも止めることも出来なかった多くの一般人のことなど多く考えさせられた。
ナチスやヒトラーについてどれだけ文献を読み映像を観ても、当時のひとびとの思いは想像するだけでしかない。
それでもこういった軽く読める作品からでも、戦争とそれにまつわる犯罪など学び考える機会を持つこと大変貴重で重要なことではないだろうか。
本作はネレ・ノイハウスのオリヴァーとピアシリーズの第三作目ということらしい。他の作品も随時翻訳されていくらしいが、個人的にオリヴァーとピアを好きになったので出版が待たれる。
また、「深い疵」というタイトルも素晴らしいと思う。
推理作品としてだけでなく、戦争のことまで思いを深められる良い一冊だった。
Posted by ブクログ
友人のレビューを参考に読んでみた。
雰囲気最高、読み応えばっちり、犯人探しもそこに至る臨場感も趣深く書けていて、翻訳も良い感じ。
ただ、ミステリー読者としての俺のレベルには少々手ごわい感じだった。登場人物が多くて彼らの血縁や付き合い関係が整理できない。操作する側される側にも付き合いがあったりするから余計ややこしい。
巻頭の相関図や人物紹介を、その都度見るんだけど、それだけではついていけない。しかも「○○氏は実は××氏」っていうのまで出て来てしまったら…
誰がどんな人やったか分からなくなる度に、読み返したり思いだしたりしてたら、存外時間がかかってしまいリズムに乗り切れなかった。
本の面白さっていうのは、その本自体の出来もあるが、読み手の実力もないと真価が分からないもんだと、思い至らされました。
Posted by ブクログ
名前やキャラを把握するのに手こずりましたが、頭に入ってしまえば、後は展開も早いしキャラの魅力もあるので、するすると読めました。
過去の深い因縁が絡みあって、最後に事件が収束したときはすっきりしたとともに切なかった。
オリヴァー&ピア、男女のバディものでありながら、2人は恋愛関係ではないのがちょっと珍しい。
初期の頃のドラマ『BONES』のふたりみたい。この作品で少し距離が縮まったようだけど、この先二人の関係も変化していくのかな?
Posted by ブクログ
本当はシリーズ3作目らしいのだけど、日本での紹介はこれが1作目だそう。
テーマがとても重くてセンセーショナルだし、60年も隔りがある過去と現在が絡み合う話なのに、現在だけを追いかけてこれだけ読ませるのってすごいなあ。
内容とあんまり関係ないけど男女のバディもののシリーズって、巻を重ねるごとに、キンケイドシリーズみたいに段々2人の間に恋愛感情が…てパターンが多い気がする。オリヴァーとピアには安易にそういうパターンに陥らないで欲しい。
Posted by ブクログ
面白かったので一気読みした!ただ、当該の人物の関係がちょっとゴチャゴチャしてしまって相関図を見ながら、読み進めた。でも、物語に散らばる伏線や真相に至るまでは引き込まれるので、海外ミステリー好きな方には、オススメの一冊!
Posted by ブクログ
ドイツのミステリィ。
登場人物が多いうえに、視点が次々と切り替わるので、決して読みやすいとは言いがたい。
しかし、その複雑さのなかに織り込まれた伏線が、きれいに解消されていく後半は、これぞ、ミステリィという出来。
旧名家のスキャンダルモノ(というジャンルがあるのだろうか?)の典型のような物語展開。このパターンだと、被害者の数の割に、「スキャンダル」の内容そのものが小粒(いけない関係の隠し子が、とか)だったりして、「え、たったそれだけのことを隠すためにこんなに人が亡くなったの?」と後味が悪いことがあるんですが、本作のスキャンダルは、かなりショッキング。
Posted by ブクログ
自分の出自がわからない苦悩は計り知れず、またその真実も想像の上をゆく。巧妙に偽っても長い時を経て過去が風化しても自分の行いのツケはくるのだと思い知らされ、負の歴史が重い影を落とす話だった。
犯人の心の内、もう少し知りたかったな。
先読みした『白雪姫には死んでもらう』もそうだったが、男女の思考や行動の特徴が明快で国境を越えてあるある~と頷いてしまう。
Posted by ブクログ
シリーズ三作目だけど、日本ではこの作品が最初に刊行されていて、これまでの二作品より少し読みやすくなった。が、相変わらず登場人物多数で相当複雑。
犠牲者たちはみな高齢で、
処刑のようなやり方で殺害されていた。
これはかなりの恨みを感じる!
おもしろいんだけど、ちょっと長い。
警察が推理する犯人も、
いやなんかそれ、ちょっと違うんじゃ…という感じがして。
毎回彼らの推理はなんだか的外れな感じだし、
容疑者に対する言動も相変わらずあり得ない、って思う。(オリヴァー、なんで1人で会いに行った?下心感じるわー。)
今作でオリヴァーとピアの関係が一段階深まった感じがしたのは好ましかった。
この2人、お互いに最愛のパートナーがいるため
わたしが嫌いな社内恋愛に発展することがなさそうなところも安心。
毎回気になるピアの同僚フランクは、今回謎の行動。
理由が最後にはわかると思って楽しみにしてたのに、
そこはなおざりか〜〜い。
Posted by ブクログ
独警察小説。オリヴァー&ピアシリーズ第三作。
ユダヤ人殺害事件の捜査を進めるうちに、ナチス時代の殺戮事件に遡っていく。複雑で残酷な事件を追うことになるが、最後はほっとさせられる。
うーん、面白かった…のか
ナチス政権下の出来事には興味があり色々読んだので、これも読んでみたのですが、別のサイトで買って読んでいたのをすっかり忘れて、買って読んで、後半←解決間近になって
あれっ、これって読んだ覚えがある…!と思い出す、というのを3回もやってしまいました
読んだ本は忘れない方なのですが、こんなに印象が薄い本は初めてです
どなたかも書いておられましたが、最後の解決が無理矢理すぎて(何であんなに酷いことをこの一家にしなきゃいけないのかサッパリ)納得いかないですよね
ちょっと火サスぽいし
でもこれ面白いと批評サイトにあるので、またウッカリ買わないように気をつけないと…
Posted by ブクログ
登場人物が多くしかも名前が難しく覚えられない。文章も読みにくく途中何度も放り出しそうになった。が、最後1/4は引き込まれて一気に読み!総合的には面白かった。前作までのエピソードも沢山散りばめられてる様なので、これから読む方には、シリーズの1作目から順に読むことをお薦めします。
Posted by ブクログ
思いもしなかった人が犯人。
犯人の過去の体験がおぞましい。こういう被害者の人たちは沢山いたんやろな…。人間は、どこまで残虐になれるのか…。
このシリーズ、発行が順番通りじゃないから、人間関係が混乱する。
Posted by ブクログ
久々の読書で、なかなか前に進まず時間ばかりかかってしまった為 面白かったのかそうでなかったのか分からない状態。 確かに重く深い疵ではあるが、まさかのハーレクイーンなエピローグにはちょっと苦笑した。
Posted by ブクログ
第2次世界大戦(と言うよりナチ)の傷痕が今だ生々しいドイツ。あらすじを読んだ時には、政治的な意味合いで「ユダヤ人問題」がクローズアップされた事件なのかと思ったが、あまりそこは突っ込まれず、正直ホッとしてしまった。それよりも驚いたのは、ドイツではまだまだ前時代的(だと思っていた)な「貴族」という存在にかなりの価値があるのだということ。この価値観は理解しづらい。
しかもこの話、登場するほとんどの女性がタフで、男性陣のヘタレっぷりが際立っているけど、これはドイツの国民性?(確かにメルケル首相はタフそう)
だいぶ細切れで読んだ為、警察が右往左往していた印象しかない。でも一気に読めばなかなか面白いと思う。気になる点はあるけれど。
以下、不納得な点。
・カタリーナがカルテンゼー家を憎む理由(読み落としでなければ、そもそも明かされていない気がする。どんな理由だろうと興味津々で読んでいたので、肩透かしを食らった気分)
・勧善懲悪すぎるラスト(手記が発表されれば確実にユッタも終わりでは?普段は勧善懲悪の方が好みだけれど、この収束の仕方には違和感)
・大きな事件の割に関係者範囲が狭い
・捜査陣側の苦戦に対して、犯人の告白であっさり解決方向(苦戦した甲斐がまったくない。告白が無ければ、解決したかが怪しい)