あらすじ
ドイツ、2007年春。ホロコーストを生き残り、アメリカで大統領顧問をつとめた著名なユダヤ人の老人が射殺された。凶器は第二次世界大戦期の拳銃で、現場には「16145」という数字が残されていた。しかし司法解剖の結果、遺体の刺青から、被害者がナチスの武装親衛隊員だったという驚愕の事実が判明する。そして第二、第三の殺人が発生。被害者らの隠された過去を探り、犯行に及んだのは何者なのか。刑事オリヴァーとピアは幾多の難局に直面しつつも、凄絶な連続殺人の真相を追い続ける。本国で累計200万部を突破した警察小説シリーズ!
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Posted by ブクログ
オリヴァー(主席警部)とピア(警部)のバディー。事件捜査の中で関係が進展し親密感が増していくのがいい。事件現場に残された「16145」は何を意味しているのだろうか。
1945年から2007年というスパンの壮大な推理小説。
登場人物の名前、関係性、家系、何度も何度も前に戻って確認した。沢山の登場人物の作品、読みこなすのに努力が必要だったが、それを上回るわくわく感があった。満足だ。
小説のキモはこのあたり。
P.443
「聖書に「汝殺すなかれ」と書いてあることは知っています」アウグステがまた口を開いた。
彼女の声は今にも酒え入りそうだった。「でもその聖書には「目には目を、歯には歯を」とも書かれています。彼らがエッダとその一味であることに気づいたとき、わたしはこの不正を僕わせずにおけなくなったのです。妹のイーダは生きていれば七十一歳です。まだ寿命があったかもしれません。そのことがわたしの脳裏を離れなくなったのです」
P.445
アウグステが体験させられたことといったら!目の前で夫、両親、親友、幼い妹を撃ち殺され、子どもを奪われ、ひとり生き残って地面をはいつくばったなんて!!さらには労働キャンプ、強姦、飢餓と病気。あの老婦人はそれでも生きつづけた。その力をどこから得ていたのだろう。息子に再会したいという一念だったのか、それとも復讐心?
アウグステは小説の核心人物。建物修復士の祖母。エッダは女性実業家の実の名前、彼女の過去のおぞましい行為が事件を引き起こした。
東部ドイツのナチズム、ソ連の侵攻、ドイツ敗戦前後の悲惨な歴史に62年後に発生した事件のカギ。
考えてみればわかることだが、ドイツでも敗戦後、ソ連での労働キャンプがあったことを改めてて知った。ナチズムやスターリン主義の下で人生を翻弄された人々が存在した。
Posted by ブクログ
おそらく初めてのドイツ物。ちょっと名前が難しく分かりにくかったが、好きなタイプの警察もので面白かった。
直ぐにシリーズを3冊購入。他のものも楽しみ。
Posted by ブクログ
シリーズ第3弾。しかし、日本ではこれが最初に出版されてたみたいだけど、これはやっぱり最初から読むべき。
1作目、2作目、と確実に作者のレベルがあがっている。
特にプロットの緻密さはこの作品が群を抜いているのでは。
前2作である程度メンバーのキャラ紹介も終わっている分、今回はプロットに重きが置かれているのかもしれない。今までの作品ほど、オリヴァーやピアの私生活は描きこまれず、比較的安定してサラっと描写されている。
短い文章で様々な視点で事件を多角的に描く手法もより密度が高くなっていて、片っ端から伏線が張られて読んでいて謎の多さにこちらがこんがらがってくるほど。
ドイツの氏名や地名は憶え難さもあるうえ、歴史も絡んで過去と話が交差するし、偽名やなりすましも多いし!
どうしてもナチスに絡む戦争被害者の執念は、実感として分かりにくい部分もあるが、最後まで捻ったプロットで十分物語を堪能できた。次回作がますます楽しみ。
Posted by ブクログ
友人のレビューを参考に読んでみた。
雰囲気最高、読み応えばっちり、犯人探しもそこに至る臨場感も趣深く書けていて、翻訳も良い感じ。
ただ、ミステリー読者としての俺のレベルには少々手ごわい感じだった。登場人物が多くて彼らの血縁や付き合い関係が整理できない。操作する側される側にも付き合いがあったりするから余計ややこしい。
巻頭の相関図や人物紹介を、その都度見るんだけど、それだけではついていけない。しかも「○○氏は実は××氏」っていうのまで出て来てしまったら…
誰がどんな人やったか分からなくなる度に、読み返したり思いだしたりしてたら、存外時間がかかってしまいリズムに乗り切れなかった。
本の面白さっていうのは、その本自体の出来もあるが、読み手の実力もないと真価が分からないもんだと、思い至らされました。
Posted by ブクログ
ドイツのミステリィ。
登場人物が多いうえに、視点が次々と切り替わるので、決して読みやすいとは言いがたい。
しかし、その複雑さのなかに織り込まれた伏線が、きれいに解消されていく後半は、これぞ、ミステリィという出来。
旧名家のスキャンダルモノ(というジャンルがあるのだろうか?)の典型のような物語展開。このパターンだと、被害者の数の割に、「スキャンダル」の内容そのものが小粒(いけない関係の隠し子が、とか)だったりして、「え、たったそれだけのことを隠すためにこんなに人が亡くなったの?」と後味が悪いことがあるんですが、本作のスキャンダルは、かなりショッキング。
Posted by ブクログ
シリーズ三作目だけど、日本ではこの作品が最初に刊行されていて、これまでの二作品より少し読みやすくなった。が、相変わらず登場人物多数で相当複雑。
犠牲者たちはみな高齢で、
処刑のようなやり方で殺害されていた。
これはかなりの恨みを感じる!
おもしろいんだけど、ちょっと長い。
警察が推理する犯人も、
いやなんかそれ、ちょっと違うんじゃ…という感じがして。
毎回彼らの推理はなんだか的外れな感じだし、
容疑者に対する言動も相変わらずあり得ない、って思う。(オリヴァー、なんで1人で会いに行った?下心感じるわー。)
今作でオリヴァーとピアの関係が一段階深まった感じがしたのは好ましかった。
この2人、お互いに最愛のパートナーがいるため
わたしが嫌いな社内恋愛に発展することがなさそうなところも安心。
毎回気になるピアの同僚フランクは、今回謎の行動。
理由が最後にはわかると思って楽しみにしてたのに、
そこはなおざりか〜〜い。