酒寄進一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「勝手知ったる四面の壁の真ん中で、まぼろしに取り巻かれる」――不安、という感覚。それは必ずしも恐怖とともに訪れるわけではなく、夢想が招き寄せる場合もあるだろう。いずれにしても、「勝手知ったる」現実が、ふとした違和感、驚き、疑い、あるいは高揚、期待によって、見知らぬ異世界に音もなくスライドする。その異変を直視するか、見て見ぬふりをするか。物語の主人公によって選ぶ態度はさまざまだが、自らの選択に対する諦めにも似た受容がどの作品にも漂っていて、やるせなくも妙にリアリティのあるその着地点が印象に残る短編集だった。
個人的には「ロック鳥」の、突然の鳥の訪れは凶事なのか吉事なのか、受け止め方次第でもっと何か変わったのでは、そしてそのことを主人公も気づいていたのでは(だからこそ、「鳥は二度と戻ってこないだろう」というフレーズで終わる)という読後感が、尾を引いて胸に残った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ刑事オリヴァー&ピアシリーズ、その7。
クリスマスも近い12月、次々に起こる射殺事件。被害者たちはまわりから恨まれるようなことをしていない、ごく善良な人物らしい。
手がかりはほとんどなく、捜査が進まないなか、『仕置人』と名乗る犯人からの死亡告知が届く。
“わたしは生者と死者を裁くために来た”という文面から、被害者たちは身近な誰かの罪の報復のために犠牲になったのだと推測したオリヴァーたち捜査班は、彼らの共通点となる過去の罪を追う。
今作は、家族との絆ゆえに苦しみ、家族でありながら絆を作れないことにも苦しみがあり、逆に血縁がなくても新たに結ばれる絆もある、というテーマも感じた。
離婚、再婚、拡大家族の多いこと。
ラストで、前作でまんまと逃げおおせた犯人が逮捕されたとあっさりふれられて、この件に関する続編はないとわかった。思い切りがいいなぁ。
ピアの妹のキムも魅力的なキャラ。これからも準レギュラーになるのかな。
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Posted by ブクログ
ネタバレシリーズも9作目。
会話の中で”ミステリーの登場人物は多い方がいい”なんて話すシーンが出て来るけど、
いやはや、今回はその数がすさまじかった。
容疑者、被害者共に多過ぎて読むのにかなり気力が必要だった。
オリヴァーとピアの関係の良好さは言うまでもないが、今作ではまた別の組み合わせにケミストリーが生まれ、にんまり。
現在シリーズはあと残り二作品。
海外ミステリーで読みたい本がこの先目白押しなので(マルク・ラーべの数字シリーズ、ポー&ティリー、シャルロッテ・リンクのケイトのシリーズ、アン・クリーヴスのペレス、アンソニー・ホロヴィッツなどなど)、オリヴァー&ピアシリーズは再び寝かせることになりそう。
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Posted by ブクログ
第一次世界大戦の最後の頃のドイツ、ベルリン、貧しい労働者の住む地域が舞台。戦争のために行列をしないと食料が手に入らない。父は戦争に行っていて、母が工場で働いている。幼い弟妹の面倒を見ないといけない主人公の生活から物語が始まる。ドイツの歴史について不勉強だったので、戦時中から、こんな状況だったとは知らなかった。第二次世界大戦の頃の日本の話と似ている部分も多い。一方で、家庭で政治や革命の話をしたりするところや、革命に飛び込んで行く人の多さには驚いた。右腕を失って復員した父親は、革命に奔走するよりも、もう少し家にいて子どもの面倒を見れば良いのにとも思った。この後に、ナチスの時代が来ることを思うと、読んでいてやりきれない気持ちになった。
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Posted by ブクログ
オリヴァー&ピア、
文句言いつつも手に取ってしまうシリーズ。
今回はピアの妹キムが登場。
休暇中ということで事件に協力。
二人は似たところもあるけど違う魅力もあり。
もう一人登場する分析官ネフは
とことん嫌な奴として描かれるが、
あまりにもメンバーからコテンパンに扱われ
なんか可哀想。特にオリヴァーの怒りはとどまるところを知らずで、
(あんたもたいがい見当違いな推理してるやん、
今回もまたまたまた恋愛模様グダグダやん、
なんか金銭面でおいしい状況になってるやん!)と
ひとり突っ込みながらの読書。
次作は楽しみにしているタイトル。
でもページ数を見てため息…。
年々集中力がなくなってきて
分厚い本を読むのに時間がかかってしまう。 -
Posted by ブクログ
ネタバレまあまあ残虐な描写や痛そうなシーンもあり、事件自体も主人公トムや犯人の過去も暗いが、ドイツの壁崩壊前後の背景も絡んだ事件となっていて面白かった。
以前初めてドイツのミステリーを読んだ時は人名や地名に馴染みがなく苦戦したが、本作はだいぶマシだった気がする。短めの章立てで視点や場所、時代を行き来しながら話が進むためテンポよく読みやすかった。
トムと相棒ポジションのジータそれぞれのタイプの違いや関係性も良かった。
鍵を軸にトムの仲間たちとの過去の出来事と妹の失踪、クララの謎が徐々に明かされ繋がっていくのがワクワクして面白かった。
ただ、かなり謎が残されたまま終わってしまい、スッキリとしない。シリーズで4部作ということなのできっと2作目以降に繋がる要素なんだろう…とは思うけど、さすがに不完全燃焼なレベルの残され方だと感じた。
全体的に面白くて好みだったのでシリーズ続編も読みたいとは思うが、結末を楽しみに読んでいたので少しがっかりした。続編に期待。