【感想・ネタバレ】森の中に埋めたのレビュー

あらすじ

ホーフハイム刑事警察署の管轄内にあるキャンプ場でキャンピングトレーラーが炎上し、大爆発が起きた。計画的な放火の痕跡があり、中から男の焼死体が見つかる。刑事オリヴァーとピアは捜査を始め、トレーラーの持ち主がオリヴァーの知人の母親だと判明する。だが余命わずかでホスピスにいた彼女が、何者かに窒息死させられてしまう。さらに新たな被害者が。被害者や被疑者のほとんどがオリヴァーの知り合いで、一連の連続殺人には42年前のある事件が関係している可能性が……。緻密極まりない構成で人間の裏の顔を暴きだす圧巻の警察小説!

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Posted by ブクログ

オリヴァー&ピアのシリーズも8作目。
重厚な部分と、生き生きと親しみやすい部分を兼ね備えたシリーズです。
前作「生者と死者に告ぐ」はミステリとして枠組みがユニークで、スピーディな展開と感じました。
今作は、オリヴァーの過去に関わる、シリーズ中でも重要な作品です。
こういう展開になることを見据えて書かれていたシリーズだったのだなあと認識を新たにしました。

オリヴァーは、主席警部。
長身で男前の、性格もなかなかいい方の50代。
少し年下のピアは部下で、相方、金髪で明るい性格。恋人というわけではないのですが、夫婦よりも一緒にいる時間が長いほどでもあり、信頼し合う間柄です。
キャンプ場でトレーラーが爆発、放火事件とわかります。トレーラーの所有者は高齢で施設にいましたが、そこでも事件が。
さらに‥
オリヴァーの住む地域で、怪事件が起きていくのです。

オリヴァーはフォン・ボーデンシュタインという貴族の家系の出で、今は昔のように領地があるわけではありませんが、城では弟がレストランを経営、観光地となって存続しています。
村人は皆、子供の頃からよく知っている人ばかり。
実は40年も前に、少年の行方不明事件がありました。ロシアからの移民の子で孤立気味でしたが、オリヴァーは守ろうという意識があった。
それなのに、守れなかった…
それは心の奥の痛みとなって残っていたのです。

次第に明らかになっていく過去の事情。
登場人物が多いのは大変ですが。
年月が経っていったことを感じ取りながら、オリヴァーが確かめていく家族関係や様々な変化。
それを描き出していく筆力と、容赦のない真実。

離婚から何かと不安定だったオリヴァーが、前作で知り合ったお似合いの女性と付き合っていることが救いです。
オリヴァーを心配していたピアは胸を痛めますが。
真相が明らかになったことは、やはり救いともなるのでしょう。
期待通り、期待以上の、読みごたえがありました。

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2021年10月13日

Posted by ブクログ

ネレ・ノイハウスは初めて。
マジめっちゃ面白かった!
犯人が読み終わる間際まで分からない展開がたまらない。読み終えるのが勿体なく感じた。
文章もキャラも、そして作者が伝えたいメッセージも濃く深くて良かった。
良いミステリー、というよりホント良い本に出会えた読書時間だった。

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2021年08月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

オリヴァ―とピアシリーズの第8作。

大変良かった。
オリヴァーのルーツとも言える事件が解決したこともそうだが、
長年もやもや、いや、いらいらしていたオリヴァーの私生活が安定を得られそうなことが、とても良かった。

とはいえ、登場人物が多く、かつその関係が複雑で、
さらには過去と現在を把握していないと話について行けないので、
かなり読み進めるのが難しかったことは否めない。

しかも、
知識豊富で、証言を引き出すための嘘も上手い新人が入ってきたことや、
(彼のあだ名、アインシュタインはそういうタイプの天才ではないと思うが)
オリヴァーが義母の遺言で屋敷を相続することになったこと、
今の恋人に心の内を打ち明けられたこと、
長期休暇中の後任にピアが決まったことで、
これが最後の作品になるのではないかという心配も、
読む進めるのを難しくしていた。

オリヴァーの人生そのものとあって、
あちらこちらに心ゆさぶられる場面があったが、
事件解決後にけがで入院したオリヴァーに、
ピアがかわいい贈り物をする場面には心を打たれた。

それと、あとがきで書かれていた訳者の「聖地巡礼」は本当に羨ましい。
この事件の舞台の村、作者が暮らす村内の「聖地」を訪れ、
作者本人に朗読してもらえたとは。

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2020年11月28日

Posted by ブクログ

相関図を書きながら読みましたが今回は特に込み入ってて途中で、これ誰とどんな繋がりあった!?みたいになりながら読みました。

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2025年07月07日

Posted by ブクログ

邦訳が出るたびに手にとっているドイツのミステリシリーズ。毎回書いてるんだけどこのエピソードが好きで...ソーセージ職人と結婚した作者が夫の店を手伝う傍ら趣味で書いて店頭に置いていたものが出版社の目に止まっていまでは大人気シリーズになっているという警察小説。大都市フランクフルトの近郊の街を舞台にもともとその辺りの領主を先祖に持つ貴族階級出身の男性警官とそのパートナーの女性警官を中心としたシリーズ。思えば最初の頃はドイツ人で固められていた警察も気がついたらトルコ系やシリア人の刑事がいるのはどこまで現状を反映しているのだろうか...。さて、本作ではキャンプ場でトレーラーハウスが爆発し男の死体が発見される。そのトレーラーハウスが男性警官の知り合いの母親の所有でその母親も殺されて、爆発を目撃していたと思われる青年も男性警官の知り合いの息子で...といった具合で周囲の人間が次々と不審死やら不審な行動をとって、という話。あることがきっかけで村の秘密が暴かれて...みたいなのってミステリでは割とよくあるシチュエーションかと思うのだけどそこは手練の作者、かなり面白く読ませてくれます。登場人物がかなり多くあまり馴染みのないドイツ人の名前がたくさん、というものでも平気、という人にならお薦めできる作品でした。

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2021年02月23日

Posted by ブクログ

まず新人が優秀でよかった。仲間内でいがみ合う展開は必要ないと思うし嫌いなので。
今回は登場人物が多い。一度見失うと迷子になるので無理しないでゆっくり読むべし。
女難でヘタレのオリヴァーは、ピアに泣くんじゃないかと心配されつつも頑張っている。
あと、表紙が…キツネ°・(ノД`)・°・
動物好きとしては、辛すぎるので動物ネタは勘弁して°・(ノД`)・°・
カイのイメチェンは最後まで謎。気になる。
私もヌテラは好きだ!

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2021年01月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

登場人物一覧が5頁!
翻訳ミステリに慣れてない人にはきついか⁈
でも時間をかけて読む価値あり。
読み続けてきたファンは特に。

オリバーはダメダメな時代もあったけど、なんて過酷な人生をおくってきたことか。
長年の謎の一部が明らかになる。

彼と周囲の人々の取り戻せない長い時間を思うと胸が締めつけられる。

女難の相があるのか?女に弱すぎるのか?
そんなオリバーに今度こそ幸せが…やっと…ほんとに?

ピアの有能さが際立ち、新しい部下の活躍も期待できそうでうれしい。
捜査本部内に足を引っ張る奴がいる設定は好きではないが、今回の署長は許容範囲。

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2020年12月28日

Posted by ブクログ

もうやめられない
オリヴァー&ピアシリーズ。

ドイツの地名人名が
覚えられないのと
登場人物が多すぎるのは
このシリーズの特徴ですが
それらを補ってあまりある面白さ。

特にオリヴァーとピアの
人間性や内面、環境が
興味深くて目が離せません。

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2025年05月08日

Posted by ブクログ

オリヴァー&ピアシリーズ8作目。オリヴァーが住む村で起こった連続殺人事件。幼少期から知る人々に嫌疑がかかる。友人だったソ連移民の少年の死が発端となるが、同時に死んだキツネの死も切ない。ドイツの閉鎖的な村社会と複雑な人間関係を背景に、今回も重厚で読み応えのある作品となった。

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2024年06月02日

Posted by ブクログ

ドイツの警察小説・オリヴァー&ピアシリーズ第八作。

一年間の長期休暇(サバティカルというらしい)を年明けに取ることにしたオリヴァー。今回は休暇前の最後の事件となる。しかし事件の被害者や関係者はオリヴァーの知人ばかり。更にはオリヴァーにとってはとても苦い、少年時代に起きた不幸な事件を甦らせることにもなる。

これまで様々な国内国外様々な警察小説を読んできたが、警察官のキャラクターも様々。悪徳警官もいれば正義感の塊のような警官もいる。どんな悪意や憎悪も跳ね返す強いメンタルの持ち主もいれば、いつまでも引き摺ってしまう警官もいる。
オリヴァー自身は事件と上手く距離を取って来た、などと評価しているが、これまでシリーズを読んできた人間からは引き摺られまくりのごく普通な人間だ。そして今回、彼の少年時代が明らかになったことでその印象は更に強まった。

貴族階級の生まれでスマートで優しくて、でもどこか気弱で鬱屈を抱えている。少年時代の彼は正にそのままだった。いわゆるリーダー格の不良少年たちに逆らえず、何とか距離を保って付き合っていた図が目に浮かぶ。

改めて、舞台のルッペルツハインという地域もコミュニティも狭くて、人間関係が濃いなと思う。オリヴァー自身、町の人たちは子どもの頃からの付き合いが多いし、あるいは親の代、さらにその上の代からの付き合いもある。
なのにオリヴァーは友人や知人同士が結婚したり別れたりしたことを知らなかったりもするのだが。
それにしてもこういう場所で警察官の仕事をするのはやりにくくないだろうかと改めて思う。特に今回はピアが心配して捜査から外れるように助言するほど事件はオリヴァーの周囲で起こる。

相変わらずのページ数と長い人名と登場人物の多さでなかなか読み進まなかったが、結末としては謎が解けてスッキリした部分とあまりの身勝手さ残酷さに腹立たしい気持ちとが織り混ざる、シリーズお約束の読後感だった。
そして思うこと。オリヴァーは女性を見る目がない!元妻といい、元彼女といい。今回の彼女カロリーネはどうだろうか。上手くいくと良いのだが。
そして娘のゾフィアはこれまた元妻に似て厄介な感じ。これからも苦労しそうだ。

一方のピア。オリヴァーに代わり今回の事件の指揮を取っているがすっかり慣れたもの。たまにヒステリックになることはあっても上手くチームを率いている。そしてオリヴァー休暇中は後任として課長になることが決まった。

既に次作は本国で発売されているようだが、オリヴァーは不在で物語が進むのか、ピアはどんな活躍をするのか。訳者さんの予告によるとピアの家族にまつわる秘密が明かされるらしい。

※シリーズ作品一覧
 本国での出版順なので日本語翻訳版の出版順とは違います。
(★はレビュー登録あり)
①「悪女は自殺しない」
②「死体は笑みを招く」
③「深い疵」★
④「白雪姫には死んでもらう」
⑤「穢れた風」★
⑥「悪しき狼」★
⑦「生者と死者に告ぐ」★
⑧ 本作 ★

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2021年11月17日

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