酒寄進一のレビュー一覧
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ネタバレシリーズ第3弾。しかし、日本ではこれが最初に出版されてたみたいだけど、これはやっぱり最初から読むべき。
1作目、2作目、と確実に作者のレベルがあがっている。
特にプロットの緻密さはこの作品が群を抜いているのでは。
前2作である程度メンバーのキャラ紹介も終わっている分、今回はプロットに重きが置かれているのかもしれない。今までの作品ほど、オリヴァーやピアの私生活は描きこまれず、比較的安定してサラっと描写されている。
短い文章で様々な視点で事件を多角的に描く手法もより密度が高くなっていて、片っ端から伏線が張られて読んでいて謎の多さにこちらがこんがらがってくるほど。
ドイツの氏名や地名は憶え難さも -
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ネタバレ久々のドイツ発の警察もの。ドイツの作家と言えば「漆黒の森」やクリスチャン・フィジック(新作が出ない!)のサスペンス物しか読んでなかったかな?
ネレ・ノイハウスは「深い疵」が有名なようだけど、敢えてシリーズ一作目から読んでみることにした。
話の語りはスゴくスムーズで読み易い。刑事コンビ?が追う墜落死が他殺と判明し、その捜査上で次々と暴かれる犯罪に複雑な人間関係が濃い。主人公が特に名探偵になっているわけでもなく、謎に直面しながら丁寧に捜査する過程を描き、錯綜した謎が徐々に解明されていく展開は見事で、ラストまで真相がうまく煙に巻かれている。
残念なのは、肝心の二人のキャラが描かれているのだけど、 -
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オリヴァー&ピアシリーズ第三作。
戦争中にはこうしたことは世界中で起こっていたのだろうなと思う。だからこそ日本でも戦中戦後の混乱を利用したミステリーが数多くあるわけだし、面白い。
それにしてもドイツというとヨーロッパの中でもお堅いイメージがあったが、このシリーズを読むとやはり男女関係(もしくはその他の恋愛関係も)は随分発展しているのだなと思う。捜査関係者、事件関係者と安易に個人的関係を結ぶなんて日本の刑事小説では考えられないことなのだが、その辺がお国柄を感じて海外小説は面白い。
またこんな大昔の事件を実際に起訴出来るなんていうのもお国柄を感じる。日本ならいくらこれだけの証拠が揃っていて -
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オリヴァ―とピアシリーズの第二作。
大人の事情か何か知らないけど、
原作と翻訳の出版順序を変えるのはやめてほしい。
えーっと、この二人はこの後どうなるんだっけ?
といちいち気にしながら読み進めないといけないから、
本筋に身が入らない!と怒りながら読んだ。
登場人物が多すぎるのか、関係が錯綜し過ぎるのか、
道路建設の話や、バーチャルライフ、動物園への抗議運動、今どきの若者の反抗期と盛りだくさん過ぎるのか、
途中からよくわからない状況に。
最近あまり本を読んでないから、読解力が落ちたのか。
原作の出版順序で読み直したい。
と、ここまで書いてきて、ああ、そういうことかと納得。
読者が食いつきや -
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■命の尊さは数で比較できるか
旅客機をハイジャックしたテロリストが、7万人が詰めかけるサッカースタジアムに墜落させようと計画。 命令に反して、数百人が乗る旅客機を撃墜したコッホ空軍少佐を無罪にするべきか有罪にするべきか、という思考実験的な戯曲。
非常にナイーブな問題だが、自分が陪審員だとしたら断腸の思いで有罪にする。
理由は「どうして観客を逃がすことを考えなかったのか」という検事の一言に尽きる。
コッホ含め関係者全員「7万人か10 0人どちらを犠牲にするか?」ばかりを考えて、全員が助かる道を考え尽くしたといえない。
もし検事の言うとおり、「コックピットに乗客が押し入り、自らの力でテロリス -
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女性が殺され、胎児が奪われるという猟奇事件が発生。ドイツの閉鎖的で因習に囚われた田舎町を舞台に刑事の苦闘を描く。多彩で陰影に富んだキャラも豊富だし、10年前に起きた”事件”の真相も見え隠れするストーリー展開でラストまで飽きずに読める。
しかし、女性作家のせいなのか主人公の心情があまりにも頑固で狭量だし、捜査自体が単純で今一共感できない。又、自閉症の一人称はさすがに読みづらい。話自体も主人公やヒロインの私生活をも描いて幅はあるが、その分話が冗長になったきらいはある。
全体としては、ストーリーの骨格もしっかりしているし、10年前の事件の真相、今回の事件の真相ともにスッキリ謎は回収されているうえ、情 -
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ネレ・ノイハウスさんのオリヴァーとピアシリーズ第二作。
出版の順が作品の出来た順とは異なるため、こちらが現在読める四作中では最後の作品。
動物園から左腕と左脚の切断された死体が発見される。
オリヴァーとピアの捜査により、被害者は高校教師で環境保護活動家であるパウリーだと判明する。
パウリーの評判は、心酔する学生から憎悪されていたというものまで様々だった。
手足が切断された死体というと、猟奇殺人か何かを意図してのものかと思うところだが、違う。
犯人が理由を持って切り落としたのではなく、たまたま切断されたものだということ。
実際の事件に猟奇性は不要だが、読み物としてなら面白いと感じるわたしとし -
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空軍基地跡地燃料貯蔵槽の中から古い人骨が発見される。
検死の結果、11年前の連続少女殺害事件の被害者だと判明する。
同じ頃、その事件の犯人として逮捕され服役していた男性が刑期を終え、故郷に帰っていた。彼は、殺害を認めていなかったものの証拠によって罪が確定され、服役した後も村人からは憎悪の対象だった。
オリヴァーとピアシリーズ四作目。
殺人事件の犯人と家族、被害者遺族のそれぞれの苦しみと、閉鎖された環境において犯人とその家族に向けられる人々の冷たい視線。
こういったことは日本独特なものと思い込んでいた。
いつかテレビでアメリカで、殺人事件の犯人の母親が、マスコミに顔を出してまるで他人事のよう