酒寄進一のレビュー一覧

  • 乗客ナンバー23の消失

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    書店で見かけ、面白うそうと思い、やっと手に取る。

    久しぶりのミステリー。

    大西洋横断航路の豪華客船「海のスルタン」に「乗客23号」が現れる。

    過去に同じ船で妻と子供を失った囮捜査官、この船で生活している老人女性からの電話を受け、客船に乗り込む。

    密室の豪華客船で起こる不審な事件。
    帯に書いてある通り、ノンストップミステリー。

    残念なのは題名。現代通り「パッセンジャー23」でいいんじゃないかな。

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    2021年12月19日
  • 乗客ナンバー23の消失

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    豪華客船は、カジノ、シネマ、バー、カフェ、ありとあらゆる娯楽や施設が整った小さな町のようだ。
    ただしそこには警察だけがない。
    23ーそれは毎年客船で消える乗客の数。

    原題はPASSAGIER23(直訳:乗客23)で、やはりこちらのほうがしっくりくる。でもパっと見た時のインパクトは邦題のほうですね、でも中身読むとしっくりこなくなる。
    でまぁそんなことはどうでもいいのであって、面白かったです。
    きなくさいオープニング、囚われているらしい女性の独白と、とてもヴィジュアルに訴える刺激で、あっという間にすいこまれてしまいます。
    妻子を失いイカれてしまった潜入捜査官・マルティン・シュヴァルツが主人公。
    2か月前、客船”海のスルタン”号の乗客が消え、自殺と報告されたのだが、それが姿を現したところからマルティン本格参入。
    スリルとイライラとモヤモヤの連続!
    ちょっと船旅をするのがこわくなっちゃう一冊でした。
    犯行の動機やらなんやらに関しては
    「あ゛ぁん?!?!」ってな感じで気に入りませんが、
    知らない世界ではこういうこともあるのかと飲み込んで。
    この作家さんの作品をもっと読みたい!翻訳プリーズゥウ!

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    2021年10月17日
  • 犯罪

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    小説とルポタージュの境目を漂い、不思議な読書感を味わう。

    作者は弁護士という職業から見た、様々な刑事事件を小説にしたという。
    (守秘義務から実際に担当した内容は用いていないとあとがきにあったけど)
    そこには大掛かりな組織犯罪や陰謀もなく、サイコキラーなどの強烈な犯罪もない。
    一歩逸れれば誰にでもありうるところから、「少し」異常な犯罪に至る状況を淡々と描くことで、かえってその人物の心情を読み手に想像させる、または、時には読み切れない状態で謎を残す。

    読者は、そのあやふやさもまた現実であろうことと、感じとることになる。

    日本の裁判判例は、ネットで内容を検索することができる。
    かつて、仕事上の必要から、民事事件のいくつかを読み込んだことがあった。
    文章構成などに読み慣れて、それほどの苦もなく理解できるようになると、中には「名文」と思えるような「判例」に出会うことがある。

    人が生きていくと、そこには必ずドラマがある。
    そんなことを思い出した。

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    2021年09月30日
  • ベルリン1933 壁を背にして(下)

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    上巻もなかなかだったが下巻は背中が汗どじっとりするような恐怖に支配される。周りが変わっていくのを何もできないもどかしさ。それでもなんとかしようと立ち上がる人々の強さ。自分が同じ状況になったらどう行動するだろうか?問いかけずにはいられなくなる一冊。つぎの1945に進むのが怖い。けど読む。

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    2021年09月15日
  • ベルリン1933 壁を背にして(上)

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    1919では市民の生活の苦しさがメインとして描かれ革命の匂いが燻り始めた様子だったが今回の1933では15歳のハンスの目を通してドイツが混沌の時代に足を踏み入れたことが描かれる。わたしの乏しい世界史知識でもここからの悲劇は知っているので読み進めるのが怖い…。

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    2021年09月06日
  • ベルリン1919 赤い水兵(下)

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    まだ読んでいる途中。
    ヘレたちが待ち望んだ革命は中途半端に終わり、エーベルトという日和見主義者に奪われてしまう。
    革命のリーダーは、自分たちが何を求めているのかはっきりわかっていなかった。
    一旦芽生えた希望が潰えた時、それに抗って再び立ち上がることができるのだろうか。

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    2021年09月02日
  • 悪しき狼

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    とても不快な事件。キツい内容だった。悲しい事件なだけに、最後はもっと分かりやすい救いが欲しくなった。今回はホーフハイム内の伏線が回収されているのが魅力。

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    2021年08月25日
  • 深い疵

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    「森の中に埋めた」でハマってしまったネレ・ノイハウス。
    ミステリー要素以外に、テーマや、オリヴァーとピアの世界が面白い!訳も素晴らしいのだと思う。
    ホロコーストについては学校で習う知識しかなかったが、本作を読んで、もっと知りたいと思った。過ちの歴史に対して、恨とも哀悲とも違う感情を覚えた。上手く言えないのだけど、無知である事が恥ずかしくなった。

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    2021年08月23日
  • 黒のクイーン

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    名画の焼失事件が徐々に連続殺人事件とリンクしていく展開はよくできている。様々なキャラが絡み事件の謎が広がっていくプロット、プラハという東欧の陰影のある街の描写も魅力がありラストまで一気に読める。
    ただ、名画焼失の方が物足りないし、キャラやそこに付随するドラマも少し大仰な作り物っぽいところは残念。

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    2021年08月18日
  • 犯罪

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    評判通りのすごい短編集だ。
    犯罪にいたるまでの経緯を事細かに描写したもの、事後の顛末を描いたもの…どの話も興味深く、かといって興味本位だけで終わらず、何かしら考えさせられる。
    犯罪の内容も様々、中にはショッキングなものも出てくるが、最後の「エチオピアの男」のおかげで読後感はいい。

    残念ながら誤訳が多いようで、「シーラッハ『犯罪』の誤訳」というサイトで補填しながら読むのがよさそう。
    (文庫版ではほとんどが修正されていたが、一部まだ残っている)

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    2021年08月03日
  • テロ

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    ハイジャックされ、大量殺人を目的にサッカースタジアムに墜落しようしている飛行機をその手前で撃ち落とすことは許されるのか?何万人の命を守るために、何百人を奪うことに正当性はあるのか?法哲学では鉄板のテーマ、功利主義を考える題材に適している。カントのトロッコ問題よりも、現実的で昨今の時世に鑑みても、本当に起こりうる話なので、真剣に考える余地を与えてくれる。

    本書はドイツが舞台となっており、「人間の尊厳」を最大限に尊重するドイツ基本法も背景にあることから、繰り広げられる命の価値に関する論争には重みがある。理解を深めていくにつれ、いろんな結論を導けるのがこの本の醍醐味。

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    2021年07月24日
  • 犯罪

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    本屋大賞のみならず、各所で評価されているのを見て、これは是非!ということで。実際に自分が扱った案件を元にしたフィクション、ってのが売りみたいだけど、確かにそういう目線で見ると、事実は小説よりも奇なりを地でいくというか、なかなかにゾッとするものがある。背景になった事実の方を知りたい、みたいな気持ちにもさせられる。面白かった。

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    2021年06月15日
  • 刺青の殺人者

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    シリーズ第2作。
    ヴァルター警部とエヴァリーン弁護士がそれぞれの立場から殺人事件に関わることとなり、章ごとに視点が変わりながら話が進んでいく。

    前作同様、緻密な構成で、東欧そしてドイツと舞台を移動しながら話がテンポよく進み、全てが収斂していくラストまで全く飽きることなく読み進む。

    話しの完成度が高く、セバスチャン・フィッツェック、ヘニング・マンケルらと並ぶストーリーテリングの巧さを堪能できるので、他の作品も期待大。

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    2021年04月11日
  • 生者と死者に告ぐ

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    ネタバレ

    前作の、児童虐待と性暴力の話も胸が悪くなる話だったけれど、今回もまた勝るとも劣らない嫌な話。
    本来なら人類のためになる技術であるはずの臓器移植を、私利私欲のために行うという、何と愚劣な話。

    殺人を犯した犯人は、もちろん悪い。
    何しろ殺された人たちには何の落ち度もないのだから。
    では、犯人はなぜそれらの人を殺さねばならなかったのか。
    ここが、この作品の肝なのだけど。

    怪しい人が何人も出てくるのね。
    プロファイルされた犯人像に近い人が何人も。
    この人が怪しそうに書いているから、実はあの人が犯人なんじゃないか?と思わせておいての…?
    と、脳内で翻弄され、裏切られ、肩透かしを食わされ、ミスリードされる。

    で、被害者家族がまた、一筋縄ではいかないのよ。
    どうして本当のことを言わないの?
    何を隠しているの?
    そしてなんとまあ、自分勝手な人であることよ。

    臓器移植が悪いのではない。
    それを悪用する人たちが悪いのだ。
    ということだけは、強く意識していないと、ドナーになる勇気が持てない。

    前回警察の裏をかいて逃げた奴のその後が一行ほどで語られたけど、今後まだ何かあるのかな?
    そして、絶対彼女はオリヴァーと付き合うことになるよね。

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    2021年03月30日
  • 咆哮

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    ドイツミステリー。凍った湖で遺体を発見したのは外勤警官のクロイトナー。次に捜査担当のヴァルナー首席警部の自宅の屋根から第二の死体。どちらも口内から数字を示したバッジが発見された。並行して描かれるのは、昔。バックカントリースキーをしていたら、娘が転落し、救出しようと死にものぐるいの父親の姿・・・

    途中まではそれほど面白くなく、先が楽しみでもないのでやめようかと思った。しかし山岳遭難の方の関わりが分かると急に面白くなる。

    殺人の動機がこれほど読ませる小説はあまりないかも。

    下にネタバレ。


    ※ネタバレ

    スキーで転落した娘を救うために、夜半に山を彷徨ったペーターがやっと山小屋に辿り着いた。そこではドラッグでラリった男女がいた。救助隊を呼ぶために無線機を貸してくれと頼むが、ふざけた奴らが壊してしまった。ペーターが、彼らの子供など大切な人たちを殺そうとする。

    復讐することが正義だとすれば、ペーターのしたことは必ずしも間違った事ではないのか?復讐の向く先が子供なであることが間違ってるのか?それとも復讐自体が間違ってるのか?なんてことを考えた。

    たぶん、多くの読者は慎重な、捜査を指揮するヴァルナーと、ワイルドでテキトーなクロイトナーの落差を面白がるのではと想像するけれど、個人的にはそれほどではなかった。

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    2021年03月23日
  • 犯罪

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    同業者の友達に勧められて読む

    ベルリンって、こんなに治安が悪いの?と思ったが、いやいや、これはフィクションで、この描写がベルリンの全てではないと思い直す
    それでも、ネオナチや移民の存在感は日本では想像できないものだった

    著者が弁護士であることもあり、描写が細かく具体的でリアリティがある 被告人に対する視線にも共感が持てる

    「弁護人が証人に尋問する場合にもっとも重要なのは、自分が答えを知らない質問は絶対にしないということだ」
    そう、分かってはいるんだけど

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    2021年03月22日
  • 悪しき狼

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    ネタバレ

    今回の事件は、いつにも増して読み進めるのが辛かった。
    児童虐待。性暴力。
    何度も辛くて本を置き、続きが気になって再び手に取った。

    前作とは違って、オリヴァーは悩みを乗り越えたようだけれど、逆に帰って目立たなくなってしまった。
    オリヴァーのチームというより、ピアのチームだ。

    そしてこのシリーズは、社会の上辺にいる人たちの自己中心的な行動が犯罪を引き起こし、そして犯罪の影には必ず悪女が…というパターンになっている。
    今回はその犯罪の影、必要だったかな?

    今回の犯罪は根が深いもので、隠ぺいするためには手段を問わない犯罪グループが出てくる。
    が、目を覆いたくなるようなおぞましい暴力をふるう割には、詰めが甘いというか、犯罪の証拠を握っている人物を殺そうとして殺し切れていないことを気にしていないというのが信じられない。
    また、ヨーロッパを股にかけた人脈を誇る割に、実行部隊が少なすぎるよね。
    そしてやつは今後も出てくるのかな?

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    2021年03月18日
  • 咆哮

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    没頭させていただきました。最後の方、失速?かと思いきや、なかなかの展開で面白かったです。恨んでるのはわかるけど、そもそも自分のせいでは?感が拭えません。検問の時とラストシーンの雰囲気で、クロイトナーの人となりがわかりますね。張り詰めた場面を和ませてくれてる感じです。南ドイツの冬の厳しさがひしひしと伝わります。いつか行ってみられたらなあ。

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    2021年03月18日
  • 夏を殺す少女

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    事故に見える殺人事件、自殺に見える少年少女の殺人事件、一見無関係な事件を追う女生弁護士と刑事。

    二つの事件が徐々に繋がっていくプロットが精緻に練り上げられていてラストまで一気読み。
    女性弁護士と刑事のドラマも過不足なく描かれているし、何より交互に描かれるそれぞれの事件が少しずつ真相に近づく過程が丁寧で、あまり読んだことのないオーストリア産のサスペンス小説だが完成度が高く映像化にも向いている。

    テイストとしてはセバスチャン・フィジェックに少しスパイスを効かせた感じ?

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    2021年03月13日
  • 咆哮

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    久々に一気読みした。酒寄氏の訳に間違いないし、アイゼンベルクシリーズとは違った趣も感じた。犯人の目星はつくミステリーだが、読みものとしても面白かった。

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    2021年03月11日