酒寄進一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
豪華客船は、カジノ、シネマ、バー、カフェ、ありとあらゆる娯楽や施設が整った小さな町のようだ。
ただしそこには警察だけがない。
23ーそれは毎年客船で消える乗客の数。
原題はPASSAGIER23(直訳:乗客23)で、やはりこちらのほうがしっくりくる。でもパっと見た時のインパクトは邦題のほうですね、でも中身読むとしっくりこなくなる。
でまぁそんなことはどうでもいいのであって、面白かったです。
きなくさいオープニング、囚われているらしい女性の独白と、とてもヴィジュアルに訴える刺激で、あっという間にすいこまれてしまいます。
妻子を失いイカれてしまった潜入捜査官・マルティン・シュヴァルツが主人公。
2か月前、客船”海のスルタン”号の乗客が消え、自殺と報告されたのだが、それが姿を現したところからマルティン本格参入。
スリルとイライラとモヤモヤの連続!
ちょっと船旅をするのがこわくなっちゃう一冊でした。
犯行の動機やらなんやらに関しては
「あ゛ぁん?!?!」ってな感じで気に入りませんが、
知らない世界ではこういうこともあるのかと飲み込んで。
この作家さんの作品をもっと読みたい!翻訳プリーズゥウ! -
Posted by ブクログ
小説とルポタージュの境目を漂い、不思議な読書感を味わう。
作者は弁護士という職業から見た、様々な刑事事件を小説にしたという。
(守秘義務から実際に担当した内容は用いていないとあとがきにあったけど)
そこには大掛かりな組織犯罪や陰謀もなく、サイコキラーなどの強烈な犯罪もない。
一歩逸れれば誰にでもありうるところから、「少し」異常な犯罪に至る状況を淡々と描くことで、かえってその人物の心情を読み手に想像させる、または、時には読み切れない状態で謎を残す。
読者は、そのあやふやさもまた現実であろうことと、感じとることになる。
日本の裁判判例は、ネットで内容を検索することができる。
かつて、仕事上の必要から、民事事件のいくつかを読み込んだことがあった。
文章構成などに読み慣れて、それほどの苦もなく理解できるようになると、中には「名文」と思えるような「判例」に出会うことがある。
人が生きていくと、そこには必ずドラマがある。
そんなことを思い出した。 -
Posted by ブクログ
ハイジャックされ、大量殺人を目的にサッカースタジアムに墜落しようしている飛行機をその手前で撃ち落とすことは許されるのか?何万人の命を守るために、何百人を奪うことに正当性はあるのか?法哲学では鉄板のテーマ、功利主義を考える題材に適している。カントのトロッコ問題よりも、現実的で昨今の時世に鑑みても、本当に起こりうる話なので、真剣に考える余地を与えてくれる。
本書はドイツが舞台となっており、「人間の尊厳」を最大限に尊重するドイツ基本法も背景にあることから、繰り広げられる命の価値に関する論争には重みがある。理解を深めていくにつれ、いろんな結論を導けるのがこの本の醍醐味。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前作の、児童虐待と性暴力の話も胸が悪くなる話だったけれど、今回もまた勝るとも劣らない嫌な話。
本来なら人類のためになる技術であるはずの臓器移植を、私利私欲のために行うという、何と愚劣な話。
殺人を犯した犯人は、もちろん悪い。
何しろ殺された人たちには何の落ち度もないのだから。
では、犯人はなぜそれらの人を殺さねばならなかったのか。
ここが、この作品の肝なのだけど。
怪しい人が何人も出てくるのね。
プロファイルされた犯人像に近い人が何人も。
この人が怪しそうに書いているから、実はあの人が犯人なんじゃないか?と思わせておいての…?
と、脳内で翻弄され、裏切られ、肩透かしを食わされ、ミスリードされる。
で、被害者家族がまた、一筋縄ではいかないのよ。
どうして本当のことを言わないの?
何を隠しているの?
そしてなんとまあ、自分勝手な人であることよ。
臓器移植が悪いのではない。
それを悪用する人たちが悪いのだ。
ということだけは、強く意識していないと、ドナーになる勇気が持てない。
前回警察の裏をかいて逃げた奴のその後が一行ほどで語られたけど、今後まだ何かあるのかな?
そして、絶対彼女はオリヴァーと付き合うことになるよね。 -
Posted by ブクログ
ドイツミステリー。凍った湖で遺体を発見したのは外勤警官のクロイトナー。次に捜査担当のヴァルナー首席警部の自宅の屋根から第二の死体。どちらも口内から数字を示したバッジが発見された。並行して描かれるのは、昔。バックカントリースキーをしていたら、娘が転落し、救出しようと死にものぐるいの父親の姿・・・
途中まではそれほど面白くなく、先が楽しみでもないのでやめようかと思った。しかし山岳遭難の方の関わりが分かると急に面白くなる。
殺人の動機がこれほど読ませる小説はあまりないかも。
下にネタバレ。
※ネタバレ
スキーで転落した娘を救うために、夜半に山を彷徨ったペーターがやっと山小屋に辿り着いた。そこではドラッグでラリった男女がいた。救助隊を呼ぶために無線機を貸してくれと頼むが、ふざけた奴らが壊してしまった。ペーターが、彼らの子供など大切な人たちを殺そうとする。
復讐することが正義だとすれば、ペーターのしたことは必ずしも間違った事ではないのか?復讐の向く先が子供なであることが間違ってるのか?それとも復讐自体が間違ってるのか?なんてことを考えた。
たぶん、多くの読者は慎重な、捜査を指揮するヴァルナーと、ワイルドでテキトーなクロイトナーの落差を面白がるのではと想像するけれど、個人的にはそれほどではなかった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今回の事件は、いつにも増して読み進めるのが辛かった。
児童虐待。性暴力。
何度も辛くて本を置き、続きが気になって再び手に取った。
前作とは違って、オリヴァーは悩みを乗り越えたようだけれど、逆に帰って目立たなくなってしまった。
オリヴァーのチームというより、ピアのチームだ。
そしてこのシリーズは、社会の上辺にいる人たちの自己中心的な行動が犯罪を引き起こし、そして犯罪の影には必ず悪女が…というパターンになっている。
今回はその犯罪の影、必要だったかな?
今回の犯罪は根が深いもので、隠ぺいするためには手段を問わない犯罪グループが出てくる。
が、目を覆いたくなるようなおぞましい暴力をふるう割には、詰めが甘いというか、犯罪の証拠を握っている人物を殺そうとして殺し切れていないことを気にしていないというのが信じられない。
また、ヨーロッパを股にかけた人脈を誇る割に、実行部隊が少なすぎるよね。
そしてやつは今後も出てくるのかな?