【感想・ネタバレ】コリーニ事件のレビュー

あらすじ

67歳のイタリア人、コリーニが殺人容疑で逮捕された。被害者は大金持ちの実業家で、事務所を開いたばかりの新米弁護士ライネンは国選弁護人を買ってでる。だが、殺されたのはライネンの亡くなった親友の祖父だったと判明する。知らずに引き受けたとはいえ、少年時代に世話になった恩人を殺した男を弁護しなければならない――。苦悩するライネンと、被害者遺族側の辣腕弁護士マッティンガーが法廷で繰り広げる緊迫の攻防戦。そして裁判で明かされた、事件の驚くべき背景とは。刑事事件弁護士の著者が研ぎ澄まされた筆致で描く、圧巻の法廷劇!/解説=瀧井朝世

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ドイツ人作家にしか描けないミステリだった。ミステリの核となる法律は、ナチスの命令に従うしかなかった当時のドイツ人を救うという目的もあったのではないかと思うが、そんなことは被害者にしてみればどうでもいいことである。被害者にとって重要なのは、害を与えた人がきちんと裁かれたかどうかなのだから。そういう難しさ、やるせなさをきちんと描いてくれるこの作者の作品は、やっぱり好きだと実感した。

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2025年11月09日

Posted by ブクログ

解説の冒頭そのままで、「文庫版で二〇〇ページ弱と決して長くはない小説なのに、濃密な大作を読んだかのような衝撃が残される。」、そう言うお話です。でも、これを皮切りに、この主人公が活躍する連作シリーズが出てくると、もっと楽しめるのですが、そうはならないのでしょうね。ネットでみると、2019年には映画が出ているようです。でもページ数が少ないので、本の方がおすすめです。

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2025年06月22日

Posted by ブクログ

単なる推理小説かと思ったら、ナチスの影はまだヨーロッパにも残ってるんだと知った。悪法に対して、こうやって変えていく声の出し方もあるんだ。それにしても切ないわ。責任を背負って生きていくのね。全員よ。背負ってない人なんかいない。 90

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2025年01月07日

Posted by ブクログ

(2013/5/27)
「ドイツの法律を変えた!」という書評に興味を持って読んだ。デイキャッチで豊崎さんが絶賛してた。
結末を読んで思ったのは、この事件、記憶にある、ということだった。
結末のどんでん返しがこの小説のすべてなので、ネタバレは避けたほうがいいのだろうが、、、
どの書評も結末は書いてない

どう描いていいかわからないから、まずはDBから。

内容(「BOOK」データベースより)

2001年5月、ベルリン。67歳のイタリア人、コリーニが殺人容疑で逮捕された。
被害者は大金持ちの実業家で、新米弁護士のライネンは気軽に国選弁護人を買ってでてしまう。
だが、コリーニはどうしても殺害動機を話そうとしない。さらにライネンは被害者が少年時代の親友の祖父であることを知り…。
公職と私情の狭間で苦悩するライネンと、被害者遺族の依頼で公訴参加代理人になり裁判に臨む辣腕弁護士マッティンガーが、
法廷で繰り広げる緊迫の攻防戦。
コリーニを凶行に駆りたてた秘めた想い。そして、ドイツで本当にあった驚くべき“法律の落とし穴”とは。
刑事事件専門の著名な弁護士が研ぎ澄まされた筆で描く、圧巻の法廷劇。

最後ライネンは殺人動機を突き止める。
ドイツの悲しい歴史。
しかしそれでもなぜ今なのかはわからない。
最後コリーニがつぶやく。

ドイツの歴史と、家族への思いが複雑に、残酷に絡まった結末、といっておきましょう。

戦争が人間を狂気に追い込むのか。
理性の中でそれが出来たのか。
日本が「空気」の中で、負けるとわかっている戦争に突入したのと同列にできるのかどうか。
東条英機はA級戦犯にさせられたが、天皇の信頼を得て、なんとか戦争を停めようとしていたとも聞く。
いわゆる南京大虐殺、従軍慰安婦。戦後のアメリカの日本洗脳で、戦前の日本がすべて否定された。
侵略戦争は欧米も同罪。橋下の言うことは正しい。公人が公式の場でいっていいことかどうかは別だが。
我々は江戸時代、戦前の日本の良いところは取り戻さなければいけない。

話がそれたが、ドイツはドイツで過去の清算をしている、ということだ。

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2024年09月04日

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ネタバレ

中編ほどのページ数で、わずかな登場人物。それでいて、ちょっと何かを触れるとネタバレになりそうなくらいの緊張感を含んだ良質のミステリー。

これは素晴らしい!しかもこの本が売れたことで、本国ドイツでは現実が動かされ始めているという。

こんな本、日本では絶対出ないだろうなぁ。書ける作家は要ると思うが、大手出版社は絶対躊躇する(統一教会がらみですらもあの朝日が汚れるんやで)やろし、まして現実が動くなんて根性座った政治家も法律家もちょっと見当たらへんなぁ。

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2022年08月25日

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ネタバレ

法律論を、マッティンガー vs. ライデンの痛快な法廷劇に仕立てつつ、戦時の罪について現在とつながった話として問い続ける。

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2022年05月28日

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ネタバレ

法廷もの。しかも過去と現代を行きつ戻りつするのにすごく読みやすくておもしろかった。
映画化されてますね。顛末をわかっていても観てみたくなります。
「やがて来る者へ」というイタリア映画に第三帝国時代のドイツの蛮行が描かれています。
併せて観るとコリー二の無念さがより浮かび上がってくると思います。

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2020年08月24日

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ネタバレ

主人公・ライネンは、弁護士になってやっと42日。
初めて殺人犯の国選弁護人になったが、容疑者、いや、犯人は犯行を認めるものの、動機を明かさない。
犯行に至るまでのどんな背景が事件にはあったのか、そして、なぜ犯人は動機を明かそうとしないのか。

何を書いてもネタバレにかすってしまうので、感想を書くのが難しいなあ。
これから読もうと思う人は、この先を読まないでね。


いまだにドイツに影を落とし続けているのが、ナチス時代に行った数々の非道。
犯人であるコリーニがなぜ殺人を犯さなければならなかったのか。
それもまた、現在に残るナチスの影のせい。
ナチの生き残りが作った戦後ドイツの法律が、ナチの犯罪をなかったことにする。

余談だが、この小説の出版がきっかけで、ドイツはナチの過去再検討委員会を立ち上げたという。
小説が政治を動かしたのだ。

閑話休題。
犯人は結局最後まで多くを語ることはなかった。
作者としては、その存在が、訴えたいことのすべてだったのかもしれない。

そもそもなぜイタリア人の犯人は、ドイツに暮らし続けたのか。
ずっと癒えない傷を忘れないためにそうしていたのか。

犯人の心のうちにあったものは、恨みだったのだろうか、それとも今は亡い人たちを慕い続ける思いだったのだろうか。
生涯独身を貫いた犯人は、愛する人を持つことはなかったのだろうか。
自分自身を生きることはできたのだろうか。

多くの疑問が頭の中をぐるぐる回るけれど、簡単に答えを出すことではないとも思う。

「わたし、すべてを背負っていかないといけないのかしら?」
「きみはきみにふさわしく生きればいいのさ」

それほど長い作品ではないのに、ずっしりと重い読後感が残された。

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2019年12月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

国選弁護人を引き受けた事件の被害者は親友の祖父だった―。それだけでも十分ドラマ性があるのに、後半の思わぬ展開に、読み終わって呆然としてしまった。語り口も淡々としていてそんなに長い小説でもないのに、じわじわ迫ってくる筆致がすごい。この小説がドイツの政治を動かしてしまったということのもうなずける。
そして小説で政治が動いてしまうドイツという国もすごい。そのことは日本でもよく問題になるけど、責任の取り方というかそれに対する責任の捉え方が、本当に全然違うんだよなぁ…

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2019年10月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

鳥肌が立つ。
この小説を読み私が体感したものの一つ。
ドイツの法廷劇であり、筆者の淡々とした語り口が、読者とほどよい距離感が保たれており、ページを進めずにはいられない。そして、扱うテーマがとてつもなく奥深く過去の暗い歴史へといざなわれる。読者は自らこの重みを受け止め、対処せざるを得えない。物語の登場人物と、語り手の距離感がそうさせるのだと思う。
この重厚なテーマをこのページ数で語ることが、著者のすごいところ。ドイツの戦争との向き合い方について、我が国でも参考にするべきことがあるかもしれない。

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2019年07月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

禁忌と同じタイミングで読んだため、すこしキャラクターが混じってしまった。
基本的にこの人の作品では、警察、法曹界野の人たちは常に善良に自身の仕事と向き合っていて、嫌な人間がいないところが良い。
被害者の二面性、被告人の救われなさ、さすが弁護士、と感心した。おまけに、これは自分自身の話でもあるなんて。すごい。

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2019年02月10日

Posted by ブクログ

シーラッハに魅せられて、これで6作品目。
これまで読んだ短編に比べると、少し物足りなさを感じなくはないが、でも悲惨な出来事であっても登場人物の中にずかずかと踏み入るような事はせずに淡々と書くシーラッハならではの感触が心地よい。



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2025年04月04日

Posted by ブクログ

英小説は邦訳が読みにくくて苦手意識を持っているのですが、ドイツ小説はそうでもありませんでした。やはり言語にも相性はあるんですね。

帯のとおりのあらすじです。刑事を担当する新米弁護士が一番最初に弁護人となったのは殺人事件の被疑者(被告人、コリーニ)でしたが、その被害者は実は親友の祖父だった、と。これだけ読んで、てっきり刑事弁護人の立場からくる心の葛藤を描いたものだと思っていました(それにしては政治を動かしたとは…程度で)。しかし、読み進めるにつれ、それだけではないことに気が付きました。コリーニが頑なに犯行の動機を口にしない理由が何だったのか、法廷の弁論で漸く明らかにされます。まるで自身も傍聴人のように弁論に現れるストーリーにのめりこんでしまいました。

とりあえず、知識不足を感じたドイツ史を勉強しておきます。

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2024年02月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2013年日本刊行、シーラッハの初長編作品とのこと。
『禁忌』は読んだことあったけど、あれよりもこちらの方が前だったとは。

やっぱりこの文体は好き。
どこか不穏でぴりっとした緊迫感が終始漂う。
決して奇をてらった表現や独特な言い回しがあるわけではないのだが、何がどうしてこの著者特有の雰囲気が生まれているのだ。
すごく物語世界に没入させられる。
訳者、酒寄さんの力量、推して知るべし。

ある夜ホテルで一人の大物実業家ハンス・マイヤーが元自動車組立工の年老いたイタリア人コリーニに殺される。
そこには強烈なまでの憎しみがあった。
殺害後自ら警察を呼ぶが、その後は黙して何も語らない。
新米弁護士のライネンは、コリーニを弁護することを決意するが、その後殺された実業家が幼なじみの祖父であることがわかり心が揺れる。
だが、原告側弁護士であり、この道の大先輩であるマッティンガーに「依頼人への責任」を諭され、全力を尽くすことに。

最終的に明らかになる真実は、その題材とミステリを絡ませる趣向は数多くあるため、そこまで意外ではないのだが、著者自身の家系の来歴やハンスの孫ヨハナが語る「わたし、すべてを背負っていかないといけないのかしら?」の名言、現実のドイツ政界をも動かした糾弾姿勢でくるまれたこの物語は、その月並みとすら思える展開に比して奥深い。

今年『珈琲と煙草』、『神』と2作も出版されている著者。
改めてミステリベスト10を賑わすことになるのか。

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2023年11月04日

Posted by ブクログ

ドイツの作家「フェルディナント・フォン・シーラッハ」の長篇ミステリ作品『コリーニ事件(原題:Der Fall Collini)』を読みました。

『罪悪』に続き、「フェルディナント・フォン・シーラッハ」の作品です。

-----story-------------
新米弁護士の「ライネン」は大金持ちの実業家を殺した男の国選弁護人を買ってでた。
だが、被疑者はどうしても動機を話そうとしない。
さらに「ライネン」は被害者が少年時代の親友の祖父だと知る。
──公職と私情の狭間で苦悩する「ライネン」と、被害者遺族の依頼で裁判に臨む辣腕弁護士が法廷で繰り広げる緊迫の攻防戦。
犯人を凶行に駆り立てた秘めた想い。
そして、ドイツで本当にあった驚くべき“法律の落とし穴”とは。
刑事事件弁護士が研ぎ澄まされた筆で描く圧巻の法廷劇。
訳者あとがき=「酒寄進一」
解説=「瀧井朝世」

*第4位『週刊文春 2013年ミステリーベスト10』海外編
*第8位『ミステリが読みたい!2014年版』海外編
*第16位『このミステリーがすごい!2014年版』海外編
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2011年(平成23年)に刊行された「フェルディナント・フォン・シーラッハ」初の長篇作品… といっても200ページくらいなので、短めの長篇ですかね、、、

ボリュームが、ちょっと物足りない感じもしますが… 気合いを入れなくても一気に読めるので、これはこれで読みやすかったですね。


2001年5月ベルリン、67歳のイタリア人「ファブリツィオ・アリア・コリーニ」が殺人容疑で逮捕された… 被害者は大金持ちの実業家「ジャン=バプティスト(ハンス)・マイヤー」で、新米弁護士の「カスパー・ライネン」は気軽に国選弁護人を買ってでてしまう、、、

だが、「コリーニ」はどうしても殺害動機を話そうとしない… さらに「ライネン」は被害者が少年時代の親友の祖父であることを知り、公職と私情の狭間で苦悩する。

そんな状況下で公判は始まり「ライネン」と被害者遺族の依頼で公訴参加代理人になり裁判に臨む辣腕弁護士「リヒャルト・マッティンガー」は、法廷で緊迫の攻防戦を繰り広げることに… 「コリーニ」を凶行に駆りたてた秘めた想い、そして、ドイツで本当にあった驚くべき“法律の落とし穴”とは、、、

地味な感じのリーガルサスペンスですが、「シーラッハ」らしい研ぎ澄まされ淡々とした筆致が物語にリアリティを与え、犯行動機が徐々に明らかになる中盤から終盤は、どんどん先を読みたくなるような展開でしたね。

そして、第二次世界大戦下のイタリアで起こった悲劇… パルチザンに対するナチスの非情な措置や、戦後のドイツ法改正によりナチス戦犯の犯罪が時効扱いとなった歴史的な問題を告発するような作品でした、、、

「コリーニ」がずっと心に抱き続けていたのは、姉の姿だったんでしょうね… 読み進めるうちに、残忍な殺人者が、血肉の通った人間だと気付かされ、印象が360℃変わってしまう展開、最後の写真のシーンが印象に残りましたね。



以下、主な登場人物です。

「ファブリツィオ・アリア・コリーニ」
 元自動車組立工

「カスパー・ライネン」
 弁護士

「ジャン=バプティスト(ハンス)・マイヤー」
 マイヤー機械工業元代表取締役

「ヨハナ・マイヤー」
 ハンス・マイヤーの孫

「フィリップ・マイヤー」
 ヨハナの弟

「ケーラー」
 捜査刑事

「ライマース」
 上席検察官

「リヒャルト・マッティンガー」
 弁護士

「ホルガー・バウマン」
 マイヤー機械工業法律顧問

「ヴァーゲンシュテット」
 法医学者

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2023年03月25日

Posted by ブクログ

わずか190ページの長編(?)だが、重い。
 
舞台はドイツ。
新人弁護士の主人公が担当してしまったのは、家族同然の友人の祖父を殺害した男の弁護だった。

ネタバレになるのでこれ以上は慎みますが、付いている帯を読むと予想できてしまう。
が、分かっていてもおもしろい。
いや、おもしろいなどという感想は不謹慎かな。
腹にズシンとくる重みがあります。

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2022年03月05日

Posted by ブクログ

筆者のフェルディナント・フォン・シーラッハさんのファンで、自分が小説を書くならこういうのが書きたいと思ったのがシーラッハさんの「罪悪」でした。
著者が勝手に盛り上がらずに、読者の気持ちを盛り上げてくれるのが読んでて落ち着く。

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2021年12月26日

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ネタバレ

事件が進むにつれ、一見残忍に見える犯人が、法の僅かな落とし穴によって如何ともし難い苦痛を味わっていることに気づく。重厚な後味を残す一冊でした。

所々、表現が長ったらしく退屈する文があったので星4にしました。

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2021年02月24日

Posted by ブクログ

ドイツの映画を観たいと思い探していたところ、このタイトルに行きつき、原作であるこの小説をまず読んでみることにした。
理解したことを書いてみると、戦争中の殺人は、命令だから罪にならない。指導者側にいたとしても時効がある。
そのような現代の法と照らし合わせた矛盾を暴く、重いストーリーだった。
私のこのような理解があっているのかどうかわからない。
映画を観てみたい。

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2021年02月08日

Posted by ブクログ

このドイツ人著者の作品を読んだのは「犯罪」に続いて2作目。この作品をきっかけにドイツ政府も動いたというから衝撃作ですね。殺人事件の裁判を通して、過去のナチ時代と向き合った今作は、ページ数も少ない分内容も凝縮されている。

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2020年11月12日

Posted by ブクログ

映画が気になってたのですが劇場に行けず。なので、原作を読んでみました。
全くと言っていいほど無駄がなく、淡々と物語が進みます。一気読みです。面白かった!著者の他の作品も読んでみたい。

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2020年09月29日

Posted by ブクログ

新米弁護士のライネンは、ある殺人犯の国選弁護人になった。だが、その男に殺されたのはライネンの親友の祖父だったと判明する。知らずに引き受けたとはいえ、自分の祖父同然に思っていた人を殺した男を弁護しなければならない――。苦悩するライネンと、被害者遺族の依頼で裁判に臨む辣腕弁護士マッティンガーが法廷で繰り広げる緊迫の攻防戦。そこで明かされた事件の驚くべき背景とは。

映画が公開されるのか、最近コマーシャルをよく目にするので、読んでみた。中編とも言える長さだが、重い。

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2020年06月14日

Posted by ブクログ

フェルディナンド・フォン・シーラッハの長編作品を初めて拝読した。

この小説は彼の「懺悔」だ。祖父が元ナチスの高官であるシーラッハが抱えていたものを、私たちは計り知ることは出来ない。

その「苦悩」がこれを書かせたのではないか。作中の主人公コリー二と同様彼も、先の大戦を根強く引きずっていた。

彼の短編作品と比べると、若干の「キレのなさ」を感じさせつつも、コリー二の動機が明るみになるにつれ増してくる、スリルは極上。

やはりこの著者は、ただ者ではない。

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2019年08月12日

Posted by ブクログ

証拠も証人もそろい、わからないのは動機のみ。
そして被害者は、子どもの頃世話になった人だった。

たとえば司法解剖に立ち会ったあとのライアン。
〈シャツの縞の数を数える。外階段での熱気。タバコ入れの冷たさ。震える手。〉
カメラワークのような目線、心の動き。
この作者らしい無駄のない焦点を絞ったような文体は今回も。
詳しくないながらも弁護士の関わり方もドイツと日本ではずいぶん違うようで、そこもまた興味深かった。

3冊目のシーラッハ。長編(といっても190ページほど)も楽しめました。

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2019年06月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

200ページぐらいの本なのだが…日本では、こんな本は書けないんじゃ無いかと思うかな。
無益な戦争、ナチス時代を背景にした悲劇。そして法律の落度…歴史に翻弄される人々…中々難しい本だと思う。

小説には、内面的な描写はあるけど、なんだろう著者の描写は、読者側が読んで想像するような書き方が、とても印象的だったので、深読みしてしまった…嫌いじゃないし、著者が何となく答えを教えてる、ちっとな文章と中々良かった!

読んだ事の無いタイプの本。外国作品は、登場人物ごちゃごちゃになるので、あんまり読まないが、この作品は数人だけで読みやすくて良い。

気になったら読んでみてください!

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2019年02月24日

Posted by ブクログ

以前の職場でお世話になったS先生は、刑法の研究者で現役の弁護士。囲碁とジャズをこよなく愛し、時おり絵筆も握られる、文人とお呼びするにふさわしい方です。仕事で研究室にお邪魔したときも、趣味の話で盛り上がることがしばしば。今は数年に一度お会いするくらいですが、フェイスブックを楽しく読ませていただいています。

本書は、先生がFBで推薦されていたドイツのリーガルミステリー。
作者のシーラッハは著名な刑事弁護士。短い文章をテンポよくつなぎ、結末まで一気に読ませます。

ベルリンの高級ホテルの一室で、高名な老人が命を奪われます。容疑者として逮捕されたのは、イタリア人の元職人コリーニ。
国選弁護に指名された新米弁護士ライネンは、被害者が幼馴染ヨハナの祖父であることを知り、個人の感情と職業的使命感の板挟みになりつつも弁護を決意します。状況からコリーニの犯罪は決定的。にもかかわらず動機について硬く口を閉ざすコリーニ。被害者遺族側には辣腕弁護士マッティンガーがつく圧倒的に不利な状況の中、ライネンは真相を追います。

背景には第二次大戦時の出来事がからみ、ドイツ刑法学の権威ドレーアーが大きな鍵を握っています。物語は裁判を縦糸に、ヨハナとの葛藤を横糸に展開します。ミステリーとしても一級品で出版後たちまちベストセラーになりました。また、本作がきっかけでドイツ政府が調査委員会をもうけるなど、実際に社会を動かす結果となりました。シーラッハ自身、祖父が戦争に関与していて、過去の戦争とどう向き合うのか問う側面もあり、多面的な読み方ができます。

S先生とは、ある規制を巡って長時間議論させていただきました。守るべき法益は何か、安易に規制を持ち出していないか。趣味の話と打って変わって、学者としての厳しい問題意識を教えていただいたのが懐かしい思い出です。久しぶりに一献傾けながら、お話をお伺いしたいものです。

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2018年11月07日

Posted by ブクログ

「犯罪」「罪悪」などの短編集で人気を得た著者の初長編。とはいっても200ページもない。短編と中編の間といってもいいくらい短い。しかし内容は深い。

 (簡単な物語の導入部の紹介)

 自動車組立工だったコリーニの職場での評判は、いたってまじめで、勤務態度は申し分なかった。定年まで勤めあげた彼が殺人を犯すとは、誰も思いもしなかった。
 処刑スタイルで頭に銃弾を撃ち込まれたあげく、絶命後も激しく顔を踏みつけられ原型をとどめないほどの憎悪を向けられた被害者マイヤー。大手機械工業の代表取締役として世間にも顔を知られた実業家であり資産家。
 犯人と被害者の接点はどこにあるのか…

 資産家の惨殺にスキャンダルの臭いを嗅ぎつけマスコミは群がる。しかし犯人は黙秘を続け、動機を一切語らない。国選弁護人として弁護を引き受けたのは新米弁護士ライネン。意気揚々と初仕事に挑む。犯人との信頼関係を構築しようと努める。だが問題が判明した。殺された資産家はライネンがまだ少年だったころ、よく遊んだ友人の祖父だったのだ。

 そんな犯人を自分は弁護できるのだろうか… 
 果たして彼の決断は…


 ここから下は完全ではないけどネタバレ気味。


 本の帯から引用
「本書はドイツで一大センセーションを巻き起こし、作中で語られたある事実がきっかけとなり、ドイツ連邦法務省は省内に調査委員会を立ち上げた。まさに小説が政治を動かしたといえる」

 そうなのだ。この作中で語られた事実に触れないと感想が書けないのだ。法律の瑕疵とでも言っておこうか。実際に1960年代後半に改正されドイツの法律に意図的に組み込まれたある条項によって、ある人たちの罪が免責されてしまったのだ。

 ああ、書きたい。トリックを書きたい。
 日独の比較とか認識の違いとか、うだうだうだうだ書き綴りたい。

 書評欄に、途中から黒塗りする機能とか追加できないでしょうか?
 
 もしそれができるなら、疑惑を追及されて渋々役人が提出してくる内部文書くらい真っ黒にできる自信がある。

 この著者の作品は犯罪を扱っているのに、どこか人間味がある。それは短編集の2作を読んでも感じたことだったけれど、この長編にもそれは感じる。
 サイコパスやシリアルキラー全盛のミステリー界において、「太陽にほえろ!」に登場してきた犯人たちのように、犯人たちにも赤い血が流れているのを感じる。犯人に共感してはいけないんだけれど、どこかにそんな気持ちが芽生えてしまう。そんな感情と理性のゆらぎをこちらに起こさせるようなミステリーやドラマが昔は多かったような気がするが、どうして廃れてしまったんだろう…

 動機が人間らしい。これだけで読む価値がある。

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2018年04月27日

Posted by ブクログ

この本を読んでいる時には、犯人が被害者を殺害した時には、犯人が実際には手を下してはいなくて、それを主人公であるライネンが暴いて弁護するのだろうかと思いましたが、いい意味で予想が裏切られました。トリックではなく、大きな歴史がその前に横たわっているとは予想だにしませんでした。

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2018年01月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

冒頭、当番弁護士の感じが日本と同じだー、と面白かった。ドイツから学ばせてもらったんだったか。
話自体も面白かった。孫との関係は正直要らんかなと思ったけど(映像化が意識されていそうなのは苦手)。ざ・ドイツ、というお話と思う。そんな法改正がなされるのも凄いと思うけど、その後に検討委員会が作られるのも凄いと思った。日本では前者だけで終わりそう。

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2021年05月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

前情報なしで読み始めたので、そんな話だったのか!と驚き、あとがきで作者の出自を知ってさらに驚いた。
知らないまま読めてよかった。
知ったうえで読み返すと、最後のヨハナとライネンのやり取りがますます胸に迫る。
淡々とした語り口なのだが、続きが気になってスルスル読めてしまう不思議な魅力を感じた。他の作品も読んでみたい。

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2021年02月06日

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