酒寄進一のレビュー一覧

  • 深い疵

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    初ドイツミステリー。
    冒頭とラストの50頁は一気に読める面白さ。ただし、全500頁強あるため、途中で読むのを止めてしまうとなかなか次に読むのをためらう類いの内容だった。(重い、暗い、捜査がなかなか進展しない)
    そしてこのジャンルのお約束を知らないせいか、はたまた私がアガサ・クリスティーばかりを好んで読んできたからか、思ったほどの大どんでん返し、ではなかった。真犯人はわりとはじめから、あの人ではないかなとあたりがつけられる。
    しかし誰も彼もが犯人に見える(読める)中盤から、終盤の一気に事件が転がって帰結する流れは是非とも一気に続けて読んで欲しい。これは秀作。
    訳者あとがきにもあるように、本文で投

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    2019年12月10日
  • テロ

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    テロと法規っていう全く相容れない両者を、哲学的観点から読み解く意欲作。その表現方法としてのト書き形式も、ここでは上手くいっている気がする。結末を2パターン書くというのは、逃げというかちょっと反則な気がするけど、テーマがテーマだけに、仕方ない…のか?とはいえ、単純に物語を楽しむという意味でも、結構満足度は高い作品ではありました。

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    2019年12月09日
  • 生者と死者に告ぐ

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    ホーフハイム刑事警察署の管轄内で、犬の散歩中の女性が射殺された。80メートルの距離から正確に頭部を狙撃されたのだ。翌日、森に建つ邸宅で、女性が窓の外から頭を撃たれて死亡。数日後には若い男性が心臓を撃ち抜かれた。そして警察署に“仕置き人”からの死亡告知が届く。被害者たちの見えない繋がりと犯人の目的とは。刑事オリヴァーとピアが未曾有の連続狙撃殺人に挑む!

    シリーズ第7作は、サスペンスフルな展開で始まるが、途中から前作同様、社会派ミステリの要素も入ってくる。最後の最後まで一気読み。堪能いたしました。

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    2019年12月07日
  • 生者と死者に告ぐ

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    ネレ・ノイハウス『生者と死者に告ぐ』創元推理文庫。

    オリヴァー&ピア・シリーズ第7弾。『仕置き人』を名乗る連続射殺犯にオリヴァーとピアが挑む。シリーズで最も凄惨な事件が描かれながら、相変わらず手薄な警察組織にやきもきしつつも無難な結末を迎える。

    犬の散歩中に女性がライフルで頭部を撃たれ、射殺される。翌日、森の中の邸宅で女性が同じく頭部を撃たれて死亡する。数日後には若い男性が心臓を撃ち抜かれて死亡する。全く共通点の無い被害者に頭を抱えるオリヴァーだったが、犯人の『仕置き人』から警察署に死亡告知が届けられる。

    本体価格1,500円
    ★★★★

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    2019年11月07日
  • 悪女は自殺しない

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    シリーズ一作目。事件は乗馬クラブにて起こるが、皆悪者ばっか。金大好き、そのためには人の命はモラルなんて頭にかすりもしない。かつての昭和の時代劇、水戸黄門、遠山の金さん、大岡越前みたく、正義のない悪事に対し、警部二人が事件を明るみにしてゆくが、このシリーズの主役二人組の男女の上司部下の信頼関係、人間味、弱味などが嫌みなく、読む側に無理なく親近感を与え、ほんとね、どこにも悪口書くような否定的な要素がないよ。多分酒寄さん訳がより素晴らしい読み物な昇華させてる。自分の褒めすぎレビューが気持ち悪い。

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    2019年10月27日
  • 深い疵

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    これは良く書けてるなあ。この作者はすごくバランスがいい。話はかつてナチスの親衛隊が個人的な恨みと財産乗っ取りで無実の人達を自分達の利益だけために無差別に殺害し、なに食わぬ顔で60年ばかし生き延びて生きてきた歴史を暴くという、壮大なドラマ。死人が出るが、むしろ昔の事件を暴くためと復讐のための行動に裏付けられたもので、警察側は無駄に撹乱させられる。普通に面白かった。このシリーズ追いかけるぞ。

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    2019年10月13日
  • 白雪姫には死んでもらう

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    なかなか上手な書き手。十年ぶりに出所してきた若者が閉鎖された村に帰ってくる。無実をきせられたのは関係者は知っているので、彼の存在は邪魔でしかない。同時に、昔殺された少女にそっくりの顔付きをした都会育ちの勇敢な少女が、好奇心あらわに事件に興味を持つ。こいつも邪魔だな。。。権力者は当然のように自分が有利になるように、村人達を誘導する。だって自分達には生活あるもん、誰かの人生台無しにしてもさ!誰にでもあるんだ、正しくないみたいだけと、こっちに動いた方が取り敢えずはうまくいく、何よりも自分自身が一番大事だから。

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    2019年10月04日
  • 静寂 ある殺人者の記録

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    トーマスラープ 「静寂」

    副題「ある殺人者の記録」とあるが、殺人者の告白や事件解決の物語ではない。殺人者を否定は していないことに 違和感はあるが、宗教的倫理感と切り離して 死を取り上げている。

    殺人犯 カールが「死とは何なのか」を 確信していく心理過程を経て、生への希望を描いている。タイトル「静寂」の意味は、母胎であり、愛の象徴であり、親から子へ、生を贈る場所 と捉えた。

    最初読んだ時、誤訳かと勘違いしたが、エピグラフと序文の意味は 最後の章でスッキリする。2部 の「死とは何なのか」の内省は かなり面白かった。


    カールにとっての静寂の場所
    *暗闇や水の中〜何の不自由もない我が家

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    2019年09月22日
  • コリーニ事件

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    フェルディナンド・フォン・シーラッハの長編作品を初めて拝読した。

    この小説は彼の「懺悔」だ。祖父が元ナチスの高官であるシーラッハが抱えていたものを、私たちは計り知ることは出来ない。

    その「苦悩」がこれを書かせたのではないか。作中の主人公コリー二と同様彼も、先の大戦を根強く引きずっていた。

    彼の短編作品と比べると、若干の「キレのなさ」を感じさせつつも、コリー二の動機が明るみになるにつれ増してくる、スリルは極上。

    やはりこの著者は、ただ者ではない。

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    2019年08月12日
  • 罪悪

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    短編集でどれももやっとしたり、おお、と思ったりとなんかしら後味を残されるものばかりで一気読み。
    ただ、前作の犯罪を先に読みたかった…!失敗した!
    また犯罪も読もう、そしてこの作家さんの他の作品も読みたいと思った。
    イルミナティ、子供たち、解剖学、司法当局がなんかよかった。鍵はエンタメチックでこれはこれで好き。

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    2019年07月15日
  • 弁護士アイゼンベルク

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    腕利きの弁護士が鋭い洞察力と行動力を武器に窮地に陥った依頼人を救う。
    弁護士アイゼンベルク、面白かったー。

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    2019年06月16日
  • コリーニ事件

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    証拠も証人もそろい、わからないのは動機のみ。
    そして被害者は、子どもの頃世話になった人だった。

    たとえば司法解剖に立ち会ったあとのライアン。
    〈シャツの縞の数を数える。外階段での熱気。タバコ入れの冷たさ。震える手。〉
    カメラワークのような目線、心の動き。
    この作者らしい無駄のない焦点を絞ったような文体は今回も。
    詳しくないながらも弁護士の関わり方もドイツと日本ではずいぶん違うようで、そこもまた興味深かった。

    3冊目のシーラッハ。長編(といっても190ページほど)も楽しめました。

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    2019年06月11日
  • コリーニ事件

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    ネタバレ

    200ページぐらいの本なのだが…日本では、こんな本は書けないんじゃ無いかと思うかな。
    無益な戦争、ナチス時代を背景にした悲劇。そして法律の落度…歴史に翻弄される人々…中々難しい本だと思う。

    小説には、内面的な描写はあるけど、なんだろう著者の描写は、読者側が読んで想像するような書き方が、とても印象的だったので、深読みしてしまった…嫌いじゃないし、著者が何となく答えを教えてる、ちっとな文章と中々良かった!

    読んだ事の無いタイプの本。外国作品は、登場人物ごちゃごちゃになるので、あんまり読まないが、この作品は数人だけで読みやすくて良い。

    気になったら読んでみてください!

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    2019年02月24日
  • 禁忌

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    文章を読んでいる最中に、あ、これ『テロ』の作者だったのか、と気付く。

    奇矯な作品を世に出しては、有名になってゆく写真家ゼバスティアン。
    前半は、彼の独特な感性を作るに至った少年期と、ゼバスティアンと適当な距離を保つことの可能な女性ソフィアとの出会いが語られる。

    のだが。
    ある時、唐突にゼバスティアンは殺人鬼と化し、まずは読者に「彼は殺人鬼か、否か」の採決を委ねられる。

    ここから、後半、ゼバスティアンを弁護するよう依頼されたビーグラーの登場で、一気に話が面白くなってゆく。
    私は先に『テロ』を読んでしまっているのだけど、この問いかけに思わず息をのむ。


    「テロリストがベルリンに核爆弾を仕掛

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    2019年02月03日
  • 悪しき狼

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    川で少女の死体が発見された。長期間にわたって虐待された痕があり、死因は溺死だと判明する。だが不可解なことに、少女は川の水ではなく塩素水で溺れていた。おぞましい犯罪に、刑事オリヴァーとピアたちは必死の捜査をはじめるが、二週間たっても少女の身元が判明しない。さらに殺人未遂事件も発生。警察関係者の想像を絶する凶悪犯罪の全貌とは。欧州席捲の大人気警察小説!「刑事オリヴァー&ピア」最新作!

    シリーズ第6作。今回はオリヴァーは安定しているが、事件そのものがあまりにも陰惨で、読んでいてたまらなかった。

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    2019年01月31日
  • 月の夜は暗く

    購入済み

    一気読み

     少しばかり話の展開についていけない場面もあったが、全体的には面白く物語に引き込まれていった。 

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    2018年12月30日
  • 悪しき狼

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    ネタバレ

    オリヴァ―とピアシリーズの第6作。

    異動を願い出るとか言っていたオリヴァーも、
    ようやく私生活が落ち着いてきたようで、良かった。
    とうとう実家の離れ、御者の家からも出られそうだし。
    幼馴染のインカとの関係は、まだ一波乱ありそうだけど。
    とはいえ、
    鑑識課長クレーガーとピアのコンビが活躍して、主役の座を奪われそう。

    ラストが、事件の解決というよりかは、
    犯人たちへの復讐の銃弾と、うち一人の逃亡という結果に終わったのには、
    残念、かつ少し失望した。

    印象的だったのは、
    罠にはめられた元弁護士が、
    刑務所に送られ、職も家族も失いながら、
    人生をあきらめず無実を証明するべく闘い続けたこと。

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    2018年12月22日
  • 悪しき狼

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    なぜか俄然目立ち始めたクレーガー。おいしいところをガンガンふんだくる。
    一方オリヴァーは空気。もっと見せ場をやれよ。主人公なんだよね?違ったの?
    バラバラな話が半分過ぎたあたりで繋がり始めると面白くなってくる。
    だが、そこに行くまでの前半がまだるっこしいというか、話がなかなか進まない…
    短くぎゅっとまとまると、もっと良くなりそうな、そんな感じ。
    薄幸の青年と、はねっかえり小娘はノイハウスのパターンなのね。

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    2018年12月10日
  • 罪悪

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    “青い”の反対はなんだろう?
    この前に読んだ『空気の名前』が青いなら、こちらは。。。黒い?

    高め安定。
    ミステリーファンならこれは読まなくては。
    いやミステリーじゃないか、現実に基づいた犯罪短篇集。
    人って。。。

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    2018年11月14日
  • 静寂 ある殺人者の記録

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    ネタバレ

    異能を持って生まれた人間の生涯を描く傑作が、また一つ誕生した。例えば料理の才で人を操るハリー・クレッシングの『料理人』。あるいは世にも稀なる嗅覚を活かした調香の術を使って、ある野望を果たすパトリック・ジュースキントの『香水 ある人殺しの物語』。いずれも寓話的な作品世界の中で、主人公の超人的な才能を描くことに筆が費やされ、作中の登場人物ばかりか読者までもがその魅力に翻弄される頃には、取り返しのつかない事態が起きているという話である。

    蝶の羽ばたきが聞こえ、雨音を銃弾の雨あられのように感じ、母親の声がナイフのように鋭く耳に突き刺さるほど異様に研ぎ澄まされた聴覚を持って生まれた人物が主人公の本書も

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    2018年11月09日