酒寄進一のレビュー一覧
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ネタバレ風力発電に関する推進派(政府・企業)と反対派(市民)の対立。
しかし、想像を絶するやりあい。
自分達の主張を通すためには手段を取らないそのやり口は、どちらにも嫌悪を抱かせる。
風力発電は、環境に優しい再生可能エネルギーだと思っていたので、環境破壊を理由に反対運動が起こるとはびっくり。
「渡り鳥の渡りのルート上には風車を作らないで」と作家の梨木香歩が言っていたけど、それ以外にもいろいろ問題はあるのだな。
そして、地球温暖化という不安に簡単に踊らされてはいけないと改めて思う。
もちろんエコは大事だし、何事につけ踊らされるのはよくないけれど、「地球温暖化」というのは結構な切り札になるので。
でもって、シリーズが進むたびにオリヴァーの情けなさが露になる。
女に弱いにもほどがある。
今回ほとんど捜査の戦力にはならなかったオリヴァー。
確かに父親が殺人事件の死体発見者になったり、その被害者から遺産を贈られたりと、どっぷり事件に巻き込まれてしまったということはあるけれど、職場に連絡もしないで個人行動ばかりなのは組織人としてアウトでしょ。
「結婚が破綻し、両親のところに居候し、ゾフィアのベビーシッターしかまともにできることがない。仕事にも身が入らない。ここにいる意味あるかい?」
という、最後のオリヴァーのセリフに、ベビーシッターもまともにできてませんけど!と突っ込んだのは私だけではあるまい。 -
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ネタバレ動物園でバラバラ死体が発見される。
被害者は、カリスマ高校教師で環境保護活動家。
熱い正義感と引くことを知らぬ行動力で、学生たちの圧倒的な支持を受けている半面、煙たく思う大人たちも多い。
しかし知れば知るほど彼自身、そして彼をめぐる二人の女性、さらに彼女たちに振り回される男達の、人間の嫌な面が露わになる。
前作の「悪女は自殺しない」でもそうだったけれども、狭い人間関係の中で嫌な面を見せつけながら繋がっていくのは、読んでいて結構しんどい。
被害者に心酔する高校生たちも、恋愛のもつれ、嫉妬、目的の違いなど、一枚岩ではないことがわかってくる。
今作で気になったのは、ピアの恋愛事情。
別居している夫に未練はないと言いながら、ちょっとあてにしていた部分があったり、ハンサムな高校生と後に恋人になる動物園長との間でふらふら揺れてみたり。
そんなに恋愛体質だったのか、ピア。
で、一作目からそりが合わず、4作目で首になったフランクとは2作目である今作で和解していた。
なのに、あんな勤務態度は変わらなかったんだね。
次からは発表順に読めるはずなので、人間関係のあれこれはストレスなく理解できるはず。 -
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邦訳が出るたびに手にとっているドイツのミステリシリーズ。毎回書いてるんだけどこのエピソードが好きで...ソーセージ職人と結婚した作者が夫の店を手伝う傍ら趣味で書いて店頭に置いていたものが出版社の目に止まっていまでは大人気シリーズになっているという警察小説。大都市フランクフルトの近郊の街を舞台にもともとその辺りの領主を先祖に持つ貴族階級出身の男性警官とそのパートナーの女性警官を中心としたシリーズ。思えば最初の頃はドイツ人で固められていた警察も気がついたらトルコ系やシリア人の刑事がいるのはどこまで現状を反映しているのだろうか...。さて、本作ではキャンプ場でトレーラーハウスが爆発し男の死体が発見される。そのトレーラーハウスが男性警官の知り合いの母親の所有でその母親も殺されて、爆発を目撃していたと思われる青年も男性警官の知り合いの息子で...といった具合で周囲の人間が次々と不審死やら不審な行動をとって、という話。あることがきっかけで村の秘密が暴かれて...みたいなのってミステリでは割とよくあるシチュエーションかと思うのだけどそこは手練の作者、かなり面白く読ませてくれます。登場人物がかなり多くあまり馴染みのないドイツ人の名前がたくさん、というものでも平気、という人にならお薦めできる作品でした。
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ネタバレ「深い疵」「白雪姫には死んでもらう」と、日本での出版順に読んできて、いよいよ出版順では3番目ですがシリーズ最初の本作に。
さすがにシリーズ最初なので、オリヴァーとピア以外の捜査班の面々は大人しめ。
フランクは最初から仕事の好き嫌いというか、手抜きをするタイプだったのね。
しかし、最後の最後まで犯人の見当が使いないのは今と変わらず。
だって怪しい人が多いんだもの。
っていうか、怪しくない人がいない。
みんなが彼女を殺す動機を持っている。
そんな人にはなりたくないなあ。
騙されてバカを見るのは嫌だけど、人を騙してバカを見させるのって、張りぼての人生のような気がする。
正義と法律の限界に引っ掛かりを感じ続けるところに、オリヴァーの誠意を見る。
この場合の正義には確かに共感するけれど、大勢の人がそれぞれの正義を主張して譲らなかった大変なことになるわけで、だからそこに法律の存在意義があるのだが。 -
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ネタバレ登場人物一覧が5頁!
翻訳ミステリに慣れてない人にはきついか⁈
でも時間をかけて読む価値あり。
読み続けてきたファンは特に。
オリバーはダメダメな時代もあったけど、なんて過酷な人生をおくってきたことか。
長年の謎の一部が明らかになる。
彼と周囲の人々の取り戻せない長い時間を思うと胸が締めつけられる。
女難の相があるのか?女に弱すぎるのか?
そんなオリバーに今度こそ幸せが…やっと…ほんとに?
ピアの有能さが際立ち、新しい部下の活躍も期待できそうでうれしい。
捜査本部内に足を引っ張る奴がいる設定は好きではないが、今回の署長は許容範囲。 -
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ネタバレ少年時代のシンクレアの心中には共感できる部分があったが、青年時代の心の探求の部分では、彼の心中から少し遠ざかってしまった。あまりに深く自分の心の中を考えすぎているように感じたが、人間はその自己を知るということが必要なのだという。私はこの時代を知るものではないので、シンクレアとの乖離を感じるのかもしれない。
心について深く考えることは自己の反省につながり、延々と自分の嫌な部分を思い出すループに陥る気がしてならない。この反省の先に、シンクレアのように、何か運命を得ることができるのだろうか。
印象に残っているところは、「人は夢を見て生きている。しかし、多くの人が見ている夢は自分自身の夢ではなく、他のものなのだ」というところ。私も、自分自身の確固たる夢を持てたなら、と考えてしまった。
深く考えさせられるところが多く、すばらしい小説だった。
シンクレアとエヴァ夫人とのやりとりにはちょっとどきどきさせられたが、何もなくてほっとした。
しかし、最も期待していたがきっとないだろうと思っていたデーミアンとシンクレアのやりとりが最後に行われたのには、興奮で顔が紅潮し、深い溜息をついてしまった。 -
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クラウス・コルドンの「ベルリン」三部作の第三作。
一作目の1919ではゲープハルト家の長男ヘレ少年の目から第一次大戦の敗戦と王政の崩壊を、二作目の1935ではヘレの弟ハンスの目からナチスの台頭を描いた。そして第三作はヘレの娘である少女エンネの目線でソ連軍の前に崩壊していくナチス、ベルリンの街を描く。
ヒトラーとナチスの栄光が翳りを見せ、敗戦の色濃いベルリンの街。人々は毎晩空襲を恐れ、一夜明けるごとに街は瓦礫と化していく。
そんな中、それでもナチスを信じる人々、ナチ党に入党し、その手先となって働いてきたにも関わらずベルリンに押し寄せてきたソ連兵からの迫害を恐れてその過去を隠そうとする人々。そして、ナチスの時代も、ソ連の占領下でも暴力の被害者となる女性、老人、子ども。
戦争は勝者も敗者も矛盾を抱える。
ソ連兵がベルリン市民に乱暴を働く。それを非難する人々にソ連兵が答える、ドイツ兵がスターリングラードに攻めてきた時、やはり同じように市民に乱暴を働いたのだと。
ナチスに協力し、同じベルリン市民を密告した人たちを裏切り者と呼ぶ一方で、自分たちはなぜナチスの暴走を止められなかったのか?と自問する。
そして、コミュニストの理想の国であるはずのソビエトではスターリンが独裁をし、粛清されて多くの人が命を失っている。スターリンはヒトラーの再来ではないのかと。
戦争のない世界がないという事実と同じく、この物語にも終わりはない。
ただ主人公のエンネが生まれて初めて戦争をしていない春を迎えるところでこの物語は終わる。
エンネが二度目、三度目を迎えられるのかどうかは読者がどう考えるかにかかっている。 -
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オリヴァー&ピアシリーズ。
この作品で翻訳されている作品はすべて読み終えた。
このシリーズのおもしろさは、やはり探偵役であるオリヴァーやピアたちの人間らしさというか、彼らの人生が事件より大きな比重を置いているところだろうか。
新本格だと90%以上が本筋の事件の謎やトリックに費やされている気がするが、このシリーズだと40%くらいで、他はオリヴァーのままならぬ妻との関係だったり、ピアののろけだったりする。また、探偵役は超人ではなく、しばし誤るが、そこもまた、しょうがないだろうという気もしてしまう。
この先も楽しみなのだが、もういちど出版刊行順に読み直したくなるシリーズである。 -
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ネタバレオリヴァ―とピアシリーズの第7作。
犬と散歩中の老女がいきなり射殺される。
かなりの長距離から。
翌日には、祖母が孫の目の前で同じく射殺された。
「仕置き人」を名乗る者から死亡通知が届くが、
被害者の共通点は、犯人の狙いは。
ピアは恋人とバカンスに行くところだったのをあきらめて、
連続殺人を追うことにする。
オリヴァーは署長に事件分析官を押しつけられ、
チームはいらつくことになる。
三人目の被害者が心臓移植を受けたと分かった時点で、
移植関係の動機だと見当はついたが、
そこからが意外と長かった。
義母からの遺産管理の申し出を受けることにしたオリヴァーの生活が
今後どうなるのかも気になるが、
いきなり新年の抱負に新しい恋人のインカと別れる、
と来たのには驚いた。
ピアは妹以外の家族とは仲が良くないのが初めて描かれていたが、
最後にみんなには言わずに結婚した恋人と
披露パーティーをしていたのが良かった。
その妹は署長はつき合うのか? -
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ネタバレオリバー&ピア、シリーズ、深い疵いらい2冊目を読んでみた(刊行順としても翻訳順としても無茶苦茶だが)
脳死と臓器移植の問題に切り込んでいくのが主題。金と名誉のために人の死の尊厳をおろそかにしていいのか?そういう結構重くて深いテーマを前面に出しつつ、無差別(と思われる)狙撃殺人事件を追うドイツ警察の捜査ミステリーを描く。
ちょっと長くて飽きてくるところと、登場人物の名前を覚えきれず誰が誰だか分からなくなりそうになる、という瑕疵もあるが、それ以外は非常に楽しめるし読みごたえもある小説。
ドイツ人っていい意味にも悪い意味にも真面目だなぁ。日本人の几帳面とはまた違う頑固な真面目さ。警察の側にも犯人の側にも悪役の側にもその真面目さがにじみ出る。そんなあたりも興味深い。